日本伝統鍼灸学会2018の2日目は二日酔いからのスタートです。
我が家というか当院に泊り込んでいた石堂先生(私の大先輩)に引率していただき、なんとか立命館大学の会場へ…。
『もう当分の間は酒はいいや…』この時はそう思っていました。ま、いつものことですけどね(笑)
2日目の私の担当は午後スタートなのでまだ助かったかもしれません。
会場に到着してまず私のすべきこと…それは回復。
2Fロビーで至福のひと時
回復に専念しようとソファーに向かうところで、私の師 馬場先生の勉強会で共に学んだ先生方に出会いました。
かつての同門の先生たちに囲まれてソファーで寝転ぶ間が今学会での一番の至福の時だったのかもしれません。
去年と今年の伝統鍼灸学会での活動は師匠と勉強させていただいた会へのご恩返しといった想いも込めていましたから。
回復タイムも終わり実技の時間です
いよいよ実技発表の時間です。
シンポジウム・実技ともにトップバッターを務めさせていただきました。
壇上に上がると目の前には、知り合いの先生方、昨夜の懇親会や二次会でお会いした先生方などたくさんの先生方がいてくれて励みになりましたね。
写真:壇上で気口九道脈診を実演する鍼道五経会 足立繁久
鍼道五経会として実技発表したのは次の2点がテーマでした。
気口九道脈診を臨床で使うとどのような手順になるか?
脈の内外を診るもうひとつの脈診を加えて鍼灸治療を組み立てる
脈の内外を診る脈診法は気口九道脈診だけではありません。
江戸期の漢方医、宇津木昆台先生も内外を診る脈法を提唱されています。
今回の発表では、その宇津木昆台脈診を基に独自で改良した脈診法を紹介。
独自に改良とはいえ、平たく言うと我流ですね。
しかし、我流ながらもこの他にももう一つ内外を診る脈診法を普段の治療で使っています。
この発表で伝えたかったのは、
「ただひとつの脈診に囚われることなく広い視野、柔軟な思考で脈診という技術と向き合うこと。ひいては人体観・生命観をも広くとらえることが大事である。」と、このような趣旨で以上の内容をプレゼンさせていただきました。
そしてこの趣旨は本学会における気口九道脈診の企画主旨に沿ったテーマであったとも自負しています。
写真:会場から希望者を募り、一緒に脈の変化を診る
写真:実技後の質疑応答の時間
学会という場で発表・実技を行うのは今回で2回目。
正直言いまして、初めての金沢大会では緊張のあまりは手は冷たくなり、指の震えも半端ない(笑)と、そんな状態でした。
ですが今回の実技発表では、指の震えもなく手も温かく、ある程度は空間に意識を向けられる程度の臨床家モードで治療できました。
実技時の脈診情報とその後の報告
脈診から得られた情報では、モデル患者さんの脈は以下の通り。
脈状:軟脈が主。いわゆる湿痰多めの脈です。
脈形:両尺中内、左尺中外、右関上外、右寸口外、両寸口外。
※気口九道脈診でみた脈の内外の所見を当会では脈形と呼びます。
それぞれの病経の原穴に刺鍼。実際の治療では、気口九道脈診を基に治療しても、脈の内側に反応が残るものです。
今回の実技発表でもそれは診られました。その反応をもう一つの脈法でみると…大腸兪-膀胱兪の反応となります。
今回は大腸兪の一穴で対処しました。治療のストーリーとしては、脈力から補うべき虚は無いものと判断。
脈状から湿主体の病態、として利水の方向性を考えます。
とはいえ、今回は気口九道脈診が主となる治療デモですので、
経脈を始めに治療を行います。
ざっと病経を見ても中~下焦の臓腑に関与する経脈が多いです。
利水、かつ気を行らして、最後に背部の反応からみて腑から湿痰を追い出す…といった治療の流れです。
一緒に脈をみた先生にも、治療の経過に伴い変化する脈形・脈状を確認してもらい実技終了と相成りました。
モデル患者さんからのその後の報告では『治療を受けた後、20分後と50分後くらいに排便が起こった。これが先生の言っていた通腑、利水ということですね』との連絡をもらいました。
実際、壇上ではバタバタした治療の進行でしたが、前回の実技セッションよりも鍼の効力も発揮できているということで、今回の実技はギリギリ合格点とさせていただきます。
番外編:学会の合間に・・・
当会 東京講座にこの春から参加してくれている若林先生が応援に来てくれました。
骨折されている中、そしてお仕事の忙しい中、ありがとうございました。
写真では真剣に話をしている風ですが、話の内容は「塩振り職人とは、三年殺しの意味とは…」といった雑談(笑)
和気あいあいとした嬉しいひと幕でした。
写真:まじめに発表も聴かずに「はらのむし」になって遊ぶ写真:今学会はお子さんの参加率?が多かったのが印象的であった。