COVID-19(新型コロナ感染症)に対する漢方薬~清肺排毒湯~

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の猛威が振るう今、新薬の開発・承認が切に待たれる今日この頃です。

さて、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ感染症に略す)に効果がある新薬は、西洋薬だけではありません。漢方薬もコロナ感染症に対する有効性が示されています。

今、報告されている漢方薬の一つが「清肺排毒湯」です。この清肺排毒湯は、いくつかの傷寒論方剤の合方になっています。
その処方構成を挙げると、「麻杏甘石湯」「射干麻黄湯」「五苓散」「小柴胡湯」(これに藿香・陳皮・枳実・山薬が加わる)となっています。(諸説あるように感じます。)
実際に上記の方剤を合方して、コロナ感染症の初期~中期に汎用されるとのこと。

私は初め、この清肺排毒湯の処方構成をきいたとき、正直に言うとある種の不満を感じたものです。
『漢方って、こんなガサッ!と混ぜて、広く使うようなものなの?』
『個々の体質に合わせたさじ加減という漢方のウリはどこへ???』
といったモヤモヤです。

しかし、これまでのコロナ感染症の状況をみると、初期~中期の間に使用でき、重症化を抑えることができ、汎用性が高いという特徴が必要なのです。
実際の現場を考えると…
✓まず個々の診察を丁寧に行うことなどできません。
✓となると、当然こまかなサジ加減なども不可能です。
✓傷寒論方剤を骨格としているので、準備するのも容易です。

と、このように考えると「麻杏甘石湯」「射干麻黄湯」「五苓散」「小柴胡湯」の構成は、このパンデミック下で絶妙に機能する方剤ではないかと言えるのです。

次に考えるべきは、各方剤の機能・薬能でしょう。
これに関しては、各方剤で個別に記事を立てる方が良いでしょうね。

ちなみに備忘録として残しておくならば…
「麻杏甘石湯」「射干麻黄湯」は分かりやすいですね。

この「五苓散」と「小柴胡湯」です。
五苓散は太陽経と太陽腑の両方面に効かせる方剤です。コロナ病態を考えると、温病学説の言葉を採用すると「膜原」「経胃交関」という病位を想定する必要があります。
となると、「表位」のみを視野に入れるのではなく「腑」にも、正確には「表位と腑位の間」に目を向ける必要があります。そのコンセプトで組まれているのが、「五苓散」と「小柴胡湯」なのではないでしょうか。
とくにコロナ感染症は「表位から病邪を排除したら、それで終わり」といった単純なものではありません。

外邪由来の中風・傷寒であれば、外から侵入した外邪を外へ駆邪すれば片が付くのです。
しかし、コロナ感染症の場合は、内から発する要素も一つあります。その内なる病位を見据えているのが、五苓散と小柴胡湯なのではないでしょうか。。。と愚考する次第です。

  • Pocket
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントを残す




Menu

HOME

TOP