『按腹図解』家法導引三術の図解

家伝導引三術の章

『按腹図解』もいよいよ施術編に入ります。まずは本記事に紹介する「家伝導引三術の図解」です。
太田氏が伝える「家伝導引三術」とはどのような施術技法なのか?興味が湧きますね。


※画像は『按腹図解』京都大学付属図書館より引用させていただきました。
※本文は盛文堂 漢方醫書領布會 発行の『按腹圖解』から引用していますので、京都大学付属図書館のものとは若干の違いがあります。

※以下に書き下し文、次いで足立のコメントと原文を紹介。
※現代文に訳さないのは経文の本意を損なう可能性があるためです。口語訳は各自の世界観でお願いします。

『按腹図解』の家法導引三術の図解

書き下し文・按腹図解 

家法導引三術の図解

家法導引の術に三つあり。曰く解釈なり。曰く利関なり。曰く調摩なり。
其の解釈とは、骨骸にても筋肉にても皮膚にても、其の常を失て凝結するか屈曲するか攣急するかを、解釈(とき)舒暢(のべ)融和(やわらげ)しむるなり。

其の術は凝結、又は屈曲、又は攣急する所を、しかと認得(とめえ)て、指頭(ゆびさき)にて図の如く横に弾く事、婦女子などの三弦を弾くに其の線を指頭にかけて軽く弾くが如くなすときは攣筋頑肉、手に随うて容易に解釈するものなり。此の心得にて数人を療じ試れば自心に領会(えとく)するものなり。

その利関とは大小関節の機関を屈伸転換して敏捷快利せしむるの術なり。

其の調摩とは解釈利関の三術を行いし後に、其の部位を重からず軽からず疾からず遅からず肉理に循(した)がいて数回も調摩循撫するなり。

諸の手術多くあれども大略此の三條に過ぎず。其の手術療法二三図を左(下記)に出だす。其の余は類を推して考うべし。

家法導引の三術とは

太田氏が記す家法、ということは太田家に伝承される導引三術ということでしょうか。
その三術には「解釈」「利関」「調摩」があるそうです。

第一術の解釈の技法には、「婦女子の弾く三弦」という比喩が書かれています。三弦とは三味線を意味するようで、三味線の弦を軽く弾くように施術を行うとのこと。このような感覚は、按摩術ならでは感覚ではないでしょうか。興味深い表現ですね。

そして解釈・利関の二術のあとに、調摩を行うべきとのこと。施術の順を明示している点も術の組み立てを考える上で重要なことだといえます。

鍼道五経会 足立繁久

原文 診病奇侅 家法導引三術圖解

■原文 按腹図解 家法導引三術圖解

家法導引の術に三あり。曰觧釈なり。曰利関なり。曰調摩なり。
其の觧釈とは骨骸にても筋肉にても皮膚にても其常を失ふて凝結するか屈曲するか挛急するかを觧釈舒暢融和しむるなり。其術は凝結又は屈曲又は挛急する㪽をしかと認得て指頭にて圖の如く横に弾く事、婦女子などの三弦を弾くに其線を指頭にかけて輕く弾くが如くなすときは挛筋頑肉手に隨ふて容易に觧釈するものなり。此心得にて数人を療じ試れば自心に領會するものなり。
その利関とは大小関節の機関を屈伸轉換して敏捷快利せしむるの術なり。
其調摩とは觧釈利関の三術を行ひし後に其部位を重からず輕からず疾からず遅からず肉理に循がひて数囬も調摩循撫するなり。諸手術多くあれども大畧此三條に過す。其手術療法二三圖を左に出す。其余は類を推して考へし。

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