小児の望診について
子どもの特徴の一つとして、その“情報が顔色によくあらわれる”という面があります。顔色に表れるのは“感情”や“思考”だけではありません。“体質”もまた顔色に表れるのです。
子どもは大人よりも、望診情報が得られやすい特徴があります。望診の訓練には町ですれ違う子どもたちの顔や目を見るとよいでしょうね。
※画像は『(銭氏)小児直訣』京都大学付属図書館より引用させていただきました。
※以下に書き下し文、次いで足立のコメントと原文を紹介。
※現代文に訳さないのは経文の本意を損なう可能性があるためです。口語訳は各自の世界観でお願いします。
『校註銭氏小児直訣』 面部症
書き下し文 『校註銭氏小児直訣』 面部症
左顋を肝と為し、右顋を肺と為す。額上を心と為し、鼻を脾と為し、頦を腎と為す。
若し色赤き者は熱也。宜しく症に随いて之を治すべし。
薛按ずるに、左顋は肝に属す。其の色青き者は順、白き者は逆と為す。
若し色赤きは肝経風熱を主る。発熱拘急す。青黒は驚風、腹痛を主る。淡赤は潮熱、痰嗽を主る。
右顋は肺に属する。其の色白き者は順、赤き者は逆と為す。若し赤色の甚しき者は咳嗽、喘急、悶乱を主る。飲水が腎に伝わるときは則ち小便赤濇し或いは淋閉通ぜず。
額上は心に属する。其の色赤き者は順と為し、黒き者は逆と為す。若し青黒なれば驚風、腹痛、瘈瘲、啼哭を主る。微黄なるは盗汗、頭髪乾燥、驚疳、骨熱を主る。
鼻は脾に属する。其の色黄なる者は順と為し、青なる者は逆と為す。若し色赤ければ脾経虚熱を主り、飲食少思なり。深黄なるは小便秘而して鼻燥、衂血を主る。
頦は腎に属する。其の色黒き者は順と為し、黄なる者は逆と為す。若し色赤ければ腎と膀胱に熱有りて小便不通を主る。
小児治療における望診
面部症、すなわち子どものお顔にあらわれる氣色をみています。氣色なので、基本的に五色であり、その配当もまた五行(五方)をベースとした五臓配当になっています。そして、基本的には「若色赤者熱也」とあるように、赤色でもって熱をみていたようです。
薛氏の註文では、(五行配当をもとに)各部位にあらわれる色で順逆を判断しています。また五行に基づくため、その診断には五邪(虚邪・実邪・賊邪・微邪・正邪)の病理も活用しています。
また単純な五色判定ではなく、混合色(青黒)や色の濃淡(淡・微・甚・深)といった要素も絡めて望診を構築している点が印象的です。
目部症に続きます。
序文 ≪ 小児脈法 ≪ 面部症 ≫ 目部症 ≫ 五臓所主 ≫
鍼道五経会 足立繁久
原文 『校註錢氏小兒直訣』面部症
■原文 『校註錢氏小兒直訣』面部症
左顋爲肝、右顋爲肺、額上為心、鼻為脾、頦為腎。若色赤者熱也。宜隨症治之。
薛按、左顋屬肝、其色青者順、白者爲逆。若色赤主肝經風熱發熱拘急、青黒主驚風腹痛、淡赤主潮熱痰嗽。右顋屬肺、其色白者順、赤者爲逆。若赤色甚者主咳嗽喘急悶亂飲水傳於腎則小便赤濇或淋閉不通。額上屬心、其色赤者爲順、黑者爲逆。若青黒主驚風腹痛瘈瘲啼哭。微黃主盗汗頭髪乾燥驚疳骨熱。鼻屬脾、其色黃者爲順、青者爲逆。若色赤主脾經虚熱飲食少思、深黃主小便秘而鼻燥衂血。頦屬腎、其色黑者爲順、黃者爲逆。若色赤主腎與膀胱有熱而小便不通。

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