額前の脈について
本章のタイトルは「面部三指診候図」とあり、診候の部位を“面部”と示しています。しかし、内容からみて診候部位は“額前の脈”をみる診法のようです。
額前の脈は「三部五脈」に属する診法の一つです。「三部五脈」は銭乙の『小児薬証直訣(小児直訣)』そして『類証注釈銭氏小児方訣』(熊宗立注本)にもみられないものです。
となれば、この「三部五脈」という診法は、薛氏による技術伝承なのかもしれません。而して「額前の脈」をみる診法の解説は非常に珍しいものだと思います。
また、実際に子どものコンディションをみる一つの手がかりとしても使える面はあると思っています。まずは本文をみてみましょう。
※画像は『(銭氏)小児直訣』京都大学付属図書館より引用させていただきました。
※以下に書き下し文、次いで足立のコメントと原文を紹介。
※現代文に訳さないのは経文の本意を損なう可能性があるためです。口語訳は各自の世界観でお願いします。
『校註銭氏小児直訣』 附 面部三指診候図
書き下し文 『校註銭氏小児直訣』 附 面部三指診候図
小児、半歳之間は病有るに、名中食の三指を以て額前眉上髪際の下に曲按して、
若し三指俱に熱せば、風邪を感受して、鼻塞し氣粗し。
三指俱に冷れば、風寒を感受して、臓冷え吐瀉す。
若し食中の二指熱せば、上熱下冷す。
名中の二指熱せば、夾驚の候。
食指熱せば、胸膈氣満し、乳食不消す。
附。
額前の脈を診るということ
「小児半歳」とあるように、生後6カ月の間は「額前の脈」を診察に用います。その方法は、本文にあるように、小児のこめかみを、術者の三指でもって触れて診るのです。
脈を診る(脈診)とはいえど、実際に診る指標は、“脈”ではなく、“冷熱”です。三指のいずれに(もしくは三指全てに)冷熱が触知することが指標になります。
実際に子育て経験を持つ方ならわかるかもしれませんが、この額前の脈(こめかみの部)に熱がこもると『あっ、この子 発熱するな…』とわかるものです。わが子の幼い時、発熱前に額前の脈に反応が出ていたものです。
薛氏の文によると、「三指俱」「食中の二指」「名中の二指」「食指(の一指)」に冷熱の反応がみられる場合を説いています。
序文 ≪ 小児脈法 ≪ 面部症 ≪ 目部症 ≪ 五臓所主 ≪≪≪ 面部三指診候図 ≫
鍼道五経会 足立繁久
原文 『校註錢氏小兒直訣』附面部三指診候圗
■原文 『校註錢氏小兒直訣』附面部三指診候圗
小兒半歳之間有病以名中食三指曲按額前眉上髪際之下、若三指俱熱感受風邪、鼻塞氣粗。三指俱冷感受風寒、臓冷吐瀉。若食中二指熱上熱下冷、名中二指熱夾驚之候、食指熱胷膈氣滿乳食不消。附

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