小児科と老年科を学ぶ意義
9月19日の軒岐会さんの外部講義では「老若男女の老と若(ロウとニャク)」について講座を行いました。
「生理学をテーマに…」という外部講義の第2弾でした。
第1弾が気になる方は「複数の脈診から分かる人体観(附、感想文)」をご覧ください。
今回第2弾は「老若男女の老と若(ロウとニャク)」というテーマですので、東洋医学の小児科と老年科について講義をしました。
鍼灸では小児科と言えば「小児はり」でしょうが、おそらくは小児科について東洋医学的な病理学…はおろか生理学も学んでいる人は少ないと思われます。
鍼灸学校ではまず講義カリキュラムに入っていませんし、卒後にわざわざ小児科を一から学ぼうとする人も非常にレアです。
基礎としての医学は完備されていないけれど「小児はり」という治療法は出回っている…という現状に少しでも貢献できればと思い講座を行いました。
「純陽・陽体」「木旺」「変蒸」「胎毒」「胃実問題」「母子同治」などをキーワードに、小児科医学の歴史から臨床的な話までをザザーッとさせていただきました。
当院の小児はり治療の風景を紹介しつつ、小児鍼の術理についての考察をプレゼン
子どもには「乳児幼児特有の生理学』があるからこそ、それに応じた病気や症状が生じます。これが病理。治療には当然この生理と病理に基づいた技術が必要です。これが治療の術理です。
「老若男女の生理学」のロウ(老)についても同様です。お年寄りの生理学って、意外と意識されていないようなのです。
そもそも我々が東洋医学・中医学で学んでいる生理学って誰を基準としているのでしょうか?
イメージしやすい例として中医弁証を挙げてみましょうか。
「臓腑弁証」や「経絡弁証」「氣血津液弁証」…など、学びますがこれは何を基準としているのでしょう?
少なくとも小児や老人を対象としたものではない…と気付く人もおられるのではないでしょうか。
老年科、すなわち高齢者への鍼灸治療は一体どのような基準を基に行われるべきか?(もちろん東医的、伝統鍼灸的に)
古典文献および現代の高齢者の傾向の両面を踏まえて講義を行いました。
ちなみに…陽有余陰不足を唱えた朱丹渓は『格致余論』養老論においてもやはり老人は「陰不足」であることを指摘している。
この点、私も否定はしないが、実際の鍼灸治療においては「陰不足」一辺倒では埒があかないことも念頭におくべきであろう。
…というような話もさせていただきました。
講座終了後は恒例?のオンライン懇親会、やはり皆さん良い笑顔です。
次回「老若男女のナンとニョ」については来月11月21日(第3日曜日)です。
東洋医学の婦人科は比較的よく勉強されていると思いますので、よりコッテリとした内容を紹介しようと思っております。
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鍼道五経会 足立繁久