外部講座レポート【老若男女のナンとニョ(妊婦編)】於 軒岐会

オンライン講座「老若男女のナンとニョ」のようす

1月30日(日)には軒岐会さんのオファーを受け外部講座を行いました。去年【老若男女の男と女(ナンとニョ)】-月経~妊娠-の続編です。

オミクロン株流行の影響とまん延防止法発令のためZoomにてのオンライン講座となりました。


写真:資料資料「春~秋のアブラムシは単為生殖をおこなう」

妊娠がテーマなのに、なぜかアブラムシの生殖がつかみのスライドです。もちろん意味はあります。実際に観察できる自然の出来事・ファクトから東医理論や東洋思想にて【理】を追窮する。これこそが現代の東洋医学者が行うべき活物窮理なのだ。


写真:東洋医学に伝わる妊娠中の発生学
『医心方』妊婦脈図月禁方の絵図を紹介、『備急千金要方』では徐之才逐月養胎方として記されている。

産科婦人科をテーマに講義するとなると、そもそも簡単にまとめて終わらせることが困難です。今回は妊娠編を無理やりまとめることで精一杯。
妊娠期の体質についてが主テーマでした。しかし講座内容の4分の1は月経周期のおさらいに費やしました。
その理由は前回にも話した通り「月経はなんのためにあるのか?」「月経は生殖活動の一環」だからです。


写真:月経から妊娠へと至る…そのエネルギーの正体は?

女性の月経、そして妊娠にはその根底に共通する身体観・生命観があります。前回と今回の講義でそれを重点的に紹介できたかと思います。

具体的には「つわりの機序とその治療方針」「逆子の治療になぜ至陰と三陰交なのか?」など鍼灸師にとってもなじみあるテーマを紹介しました。

人間の身体とは複雑なもの、ましてや生殖ともなるとより異質な要素が絡むはずです。それらを東洋医学的に理解し、その上で治療を行うことのなんと難しく、そして魅力的なことでありましょう!

さてこの続き「出産そして産後編」については、もしまた機会がいただけましたら…ということで。
いただいた感想を一部紹介しましょう。

講座の感想文

今まで妊娠中の患者さんを診たことがありませんでしたが、妊娠中の状態やつわりなどの症状に於ける考え方を学べたことで、今後そのような方を治療する機会があっても落ち着いて臨むことができそうです。
本当に有難うございました!
もちろん今回学んだだけではまだまだですのでしっかり復習致します。また、前回でも教えて頂きましたが女性の治療に於いて周期というものがとても重要になるということ、それぞれの周期の状態を考えることで月経に関すること以外(むちうち症など)の治療に役立てられることなど、大きい学びとなりました。医心方などに記載された胎児の発生学も改めて読みます。

女性の体質を理解するには周期の理解は必須です。周期を理解するには現代医学で観察されているファクトを基に女性の体質を再構築する必要があります。

本日は貴重なご講義をありがとうございました。
私は足立先生の授業を受けるまで『女性の体の不調は女性の方がよく分かる』と、婦人科系のことを学ぶことを避けてきていました。
足立先生の講義を受けて、初めに「女性の治療は男性の治療より10倍難しい」とおっしゃられた時に『やはり自分にできるのか?』と思いました。
しかし講義が進むにつれ「特に女性の身体は1週間で別の治療が必要」とのお言葉に、これは10倍どころでは無いのではないか?と感じたのを思い出します。
特に今日、先生が仰られた「鍼の治療はオーダーメイドの治療なのだから、前週の治療と同じで良いはずがない」とのお言葉は、婦人科系の疾患だけに限定される話ではなく、女性を治療するのに必須な話だと毎回気づかされます。
私にとって足立先生の講義は、今まで私が避けて通ってきたお話を講義して頂いている貴重なお話です。
今回の講義で宿(元々持っている体質・素因)・因(病・症状のきっかけ)・本(病邪の本体が居座る場所)のお話がありました。このお話は普段の臨床でも女性治療以外の要素で使える要素だと思います。
また悪阻や逆子の話の各論のお話は、理を垣間見るきっかけとなりました。理を知れば悪阻の症状に食べ悪阻、涎悪阻など応用が利くことも分かりました。
それに胃病によりうつ病が発症することがずっと不思議に思っておりました。しかし今回の講義中に情緒不安定の落ち込みの時のお話を聞いて腑に落ちた気持ちでした。

月経から妊娠が今回のテーマですが、妊婦さん以外、もちろん男性の治療にも通ずる話を散りばめています。
特に今回は宇津木昆台先生が示した八条目(宿・因・本・病・診・証・名・治)のうちの三条目を紹介しました。
この診断法は私が普段臨床で使っている方法です(もちろん老若男女問いません)。

講義の最初で患者さんの年齢層や男女比の話になった時に、男性は殴られる刺激に強く、女性は刺される刺激に強いというお話(五行的にみた場合の傾向)をされていましたが、とても腑に落ちるお話でした
華岡青洲の名前や行ったこと(功績)は知っていたが、和歌山にお墓や施設があるということは知らなかったので、ぜひ行ってみたいと思いました
また、毎回足立先生が講義の中で毎回言っておられる活物窮理(華岡青洲の言葉)という、生きたものに触れて理を求めるという考え方は何度聞いても素晴らしいものだと感じました。講座冒頭のところでお話が合った、問診において患者さんは自分のことを自分の世界の中の言葉で表すというのは臨床上悩まされる部分の一つでした。
そして、脾が中央で軸となっているので、怒りすぎたり落ち込みすぎたりしないようになっているというのは、自分の考えているものに通じる話だったのでとても興味深かったです。
普段から考えていることではあるけれど、言葉にしてじっくりと考えることがあまりなかったので、宿・因・本という考え方(宇津木昆台の言葉)を知ることができたのもとてもよかったです。足立先生の講義を聞くたびに、自分の臨床が流れ作業になっていたり、なんとなくこなしていると痛感します
今後の臨床で少しでも正確な理論を用いれるように今後も精進したいと思います。

「活物窮理」といえば華岡青洲先生。
その関連で「華岡青洲の里・春林軒」および「華岡家の墓所」(和歌山県紀の川市西野山)について紹介しました。
伝統医学を学ぶなら、内経医学、難経、傷寒論系医学、金元医学、温病派医学…などなど伝統中国医学がありますが、それを受けて室町期以降に日本で発展した伝統医学があります。特に江戸期の医学は英才が多く輩出されていますので、日中ともに学ぶと良いでしょう。

1月の軒岐会さんの例会は急遽オンラインになりましたが、今回は2つのことに注目をしながら足立先生の講義を聞きました。
1つは婦人科における妊娠前と妊娠後についての身体の動きです。これが分からないと治療どころか、診察すら出来ません。
自分の治療院では8対2ぐらいで女性の方が多いです。その中でも生理痛を始めとする婦人科疾患、妊活・不妊治療、妊娠中のお母さんが来院される方の割合が大きいのです。
生理周期を東洋医学的に正しく理解するのは当たり前の事ですが、私は専門学校を卒業したての頃は婦人科疾患や不妊治療、妊娠中のマイナートラブルも補腎という先入観がありました。でも足立先生の講義を聞いて、生殖に関わる生理周期がそんな単純なものではないということは理解出来ました。
一般の多くのカップル、パートナーさん達は普通に性交をすれば子供ができると思っている方が多いと思いますが、受精、着床、妊娠をするということは、様々な条件がきれいに揃わないとその流れにはなりません。それは自然妊娠率が約3割前後という数字が表していると思います。
しかも生理のそれぞれの周期における身体の大きな変化は4周期で連動しています。そのリズムを整えるとなると、例えば高温期に何かしらの症状が出る方でも、それぞれの周期ごとに身体を診て、整えていく必要性が出てきます。
また、整えるのに補う一辺倒ではもちろん無理です。
妊娠中のお母さんの治療も学校卒業したての頃は治療といえば補腎という呪縛とお腹の中に赤ちゃんがいるということで、昔を振り返ると、当たり障りのない治療で、果たして治療だったのかと思えるようなこともしていたと思います。男性、女性の性差のある正しい身体の道理を知ることは大切です。もう1つの命をやどしている妊婦さんなら尚更です。
婦人科疾患は補腎だ、使う治療経穴は三陰交だという短絡的な思考になることなく、より正確な診察、診断、治療がおこなえるように東洋医学的な身体観の勉強はし続けていきます。
もう1つは講義進行の進め方です。今回も自分がいつか講義をおこなうという点で見ていました。オンライン講座でしたので、それなりの難しさはあるように感じましたが、1時間講義4本分の中で、生殖、生理周期、妊娠中の胎児の発生における養経脈、妊娠中のマイナートラブル、逆子における至陰穴の使用についてという話の流れで、足立先生が講義の序盤で言われたいたことが、講義の後半でこういう所に繋がっているとかこういう事を言われていたのだなと気付くところがたくさんあって、個人的に興味深い内容でした。

この感想文に書かれてあるように、授業で聞いた情報だけを覚えて思考停止に陥るのは、医家として臨床家としてプロフェッショナルとして適切ではありません。常に「なぜなのか?」と自問自答することです。
とはいえ、やみくもに否定する思考もお勧めしません。この思考では答えが出ないからです。
あくまでも東医的なセオリーに従ってロジカルに答えまでの道を辿ることが大事です。

またこの方の感想文のように「自分が講義するなら…」という視点で受講することもお勧めです。
最初から最後まで受け身いても、得られるものは意外と少ないものです。
『自分ならどんなパフォーマンスをするのか?』という思考は『自分ならどんな風に感じるのか?』という患者さんを前にした臨床での思考にも通ずるものがあります。

以上の感想文から、参加された皆さんにとって有意義な5時間だったようで何よりです。草の根活動規模の講座ではありましたが、少しでもマタニティ鍼灸の質の向上に貢献できればと思います。

人の命、人体の健康と病を理解するには、老若男女(成長から老化、男性と女性の性差)を丸ごと学ぶ必要があります。そうすることで多様な疾患や病症にも対応できる東洋医学的な鍼灸術が構築されるのですね。

マジメな鍼灸師・鍼灸学生さんへ…

以上のように
『女性・男性の周期からしっかり学びたい!』
『周期に意識して産婦人科の鍼灸治療を行いたい!』
『東洋医学の知識を正しく知ることで患者さんを安心させてあげたい。』
『正しく学ぶことで自信を持って患者さんを治療したい!』
そんな東洋医学と治療に対してマジメな鍼灸師はまだまだ少なくないと思います。

そんなマジメな鍼灸師・鍼灸学生さんの中で、もし鍼道五経会に興味があれば、ぜひ!講座【生老病死を学ぶ】に参加してみてください。申込みはコチラです

当日の連絡先・電話番号(必須)

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