目次
11月のゴケイメシのテーマは羊肉
寒さも増してくる今日この頃…ということで、11月末のゴケイメシは羊肉をいただきます。なぜ寒い時期に羊肉かというと、羊肉の性は熱だからです。
羊は「五畜にて火に属する」ということもありますが、単純にそれだけではありません。羊肉の食物本草的な効能も知っておくべきでしょう。
羊肉を生薬として用いる方剤もあります。
『金匱要略』には当帰生姜羊肉湯という処方があります。(腹満寒疝宿食病・婦人産後病編)
ですので、羊肉の氣味効能主治を知識として知っておくことも大事な学びと言えるでしょう。
ということで、11月【生老病死を学ぶ】講座後のゴケイメシは羊肉をいただくことにしました。
11月の羊肉BBQ
写真:購入した羊のお肉
写真:二十四節気では小雪…この季節になると日没も早い…でもBBQ
写真:ラムチョップがズラリ!
写真:落ち葉焚きをして暖を取る
と、このような感じで、羊肉BBQを楽しみました!
楽しいゴケイメシの後は、羊肉に関する食物本草のお勉強です。
羊肉の食物本草情報
まずは『日養食鑑』(石川元混 著 1819年)から。
『日養食鑑』に記されるヒツジ(羊肉)の効能
ひつじ 羊
甘、大熱、毒なし
五労七傷を補う。
■原文
ひつぢ 羊
甘大熱毒なし
五勞七傷を補ふ
「大熱」の氣をもち「五労七傷を補う」作用があるようです。つまり温補の性質が非常に強いのでしょう。次は名古屋玄医の『閲甫食物本草』です。
『閲甫食物本草』に記されるヒツジ(羊肉)の効能
羊 比豆之(ひつじ)
氣味、苦甘大熱、無毒
『名医別録』に曰く、中を暖め、字乳の余疾、及び頭脳大風汗出、虚労、寒冷(を治す)中を補い氣を益し、心を安んじ驚を止める。
孫思邈が曰く、痛みを止め、産婦を利する。
孟詵が曰く、風眩、痩病、丈夫の五労七傷、小児の驚癇を治する。
『日華諸家本草』に曰く、胃を開き、力を健やかにす。
■原文
羊 比豆之
氣味苦甘大熱無毒
別録曰暖中、字乳餘疾及頭腦大風汗出虚勞寒冷補中益氣安心止驚
思邈曰、止痛利産婦。孟詵曰、治風眩痩病丈夫五勞七傷小児驚癇。日華曰、開胃健力。
とあります。
「暖中(中を暖め)」「補中益氣」の効能はわかりやすいですね。
また「字乳の余疾」とは授乳期間に現れる諸々症状とのこと。そして「産婦を利する」という効能から、産後の血虚をよく補ってくれる効能が理解できます。
「虚労」「痩病」に対する効能はやはり強い補益能を示しています。
また「安心」「止驚」の効能もその延長にあるものでしょう。前述の効能からは「止驚」の機序は、補腎・降氣ではないと思われます。この点、「止痛」作用からも、腎というよりも心に対する影響の方が強調されている気がします。
『公益本草大成』に記されるヒツジ(羊肉)の効能
羊肉
苦甘大熱
中を温め氣を益し、心を安んじ、驚及び痛みを止める。産後の厥痛(さかのぼる痛み)帯下、崩中を治する。
羊の臓腸・血・骨・髄・筋・乳など皆な用て治する所ありと雖も、本邦になき者の諸條は、皆な此の例に倣え。
黄羊肉
甘温
中氣を補い、虚冷を治する(状(かたち)は羊に同じ但だ小なり。腹下に黄毛を帯び、角は羖羊に似る、喜びて沙地に伏す。能く走り能く臥し、独居す。)
■原文
羊肉
苦甘大熱
温中益氣安心止驚及痛、治産後厥痛帯下崩中。
羊の藏腸血骨髄筋乳等皆用て治する所ありと雖も、本邦になき者の諸條は、皆此例に倣。
黃羊肉
甘温
補中氣、治虚冷(状同羊但小。腹下に帯黃毛角似羖羊、喜伏沙地。能走能臥獨居。)
とあります。
「産後の厥痛(さかのぼる痛み)・帯下・崩中を治する」という、効能は前述の産後血虚を補い、補血和痛の効能を示していると思われます。
最後に『本草綱目』の情報を引用しておきましょう。
『本草綱目』におけるヒツジ(羊肉)情報
羊 (本経中品)
[釈名]……(略)……
[集解]
『名医別録』曰く、羖羊は河西に生ず。
陶弘景が曰く、羊には三四種あり。薬に入れるに青色羖羊を以て勝と為し、次なるは則ち烏羊。其の䍲羺羊及び虜中の角無き羊は止(た)だ啖食すべし、薬と為すには都下の者には及ばず。然れども其の乳・髄は則ち肥好也。
蘇頌が曰く、羊の種類は甚だ多し。而して羖羊にも亦た褐色・黒色・白色の者有り、毛の長さ尺余亦た之を羖䍽羊と謂う。北人は大羊を引きて以て此れを羊首と為す。又、之を羊頭と謂う。
孟詵が曰く、河西の羊が最も佳し。河東の羊も亦た好し。若くして駆りて南方に至れば、則ち筋力は自ら労損する。安ぞ能く人を補益せんや。今、南方の羊は多く野草毒草を食む。故に江浙の羊は味少なし、而して疾を発する。南人は之を食して、即ち憂えざる也。惟だ淮南州郡、或いは佳き者有り、北羊に亜(つ)ぐべし。北羊が南方に至りて一二年、亦た食するに中らず、何をか況んや南羊に於いておや。蓋し土地の然しむるところ也。
宗奭が曰く、羖䍽羊は陝西、河東に出づる。尤も狠健なりて、毛は最も長くして厚し。薬に入れるに最も佳し。如し食に供するときは則ち北地無肉白大羊に如(し)かざる也。又、同じく華の間に小羊あり、供饌するに諸羊の上に在り。
李時珍の曰く、江南に生ずる者を呉羊と為す。頭身相い等しくして毛は短かし。秦・晋に生ずる者は夏羊と為す。頭小さく身は大、而して毛は長し。土人は二歳(二年)にして其の毛を剪して以て氊物を為す。之を綿毛と謂う。広南英州の一種、乳羊が仙茅を食して極めて肥ゆる。復た血肉の分無し、之を食うて甚だ人を補う。諸羊は皆な孕めては四月にして生まる。其の目には神無く、その腸は薄くして縈曲す。畜に在りては火に属する。故に易すく繁する。而してその性は熱也。
卦に在りては兌に属する。故に外柔にして内剛なり。その性は湿を悪(にく)み燥を喜ぶ。鈎吻を食みて肥ゆる。仙茅を食みて肪(あぶら)つく。仙霊を食みて脾して淫する。躑躅を食みて死する。物理の宜忌とは測るべからざる也。
契丹はその骨を以て占灼して、之を羊卜と謂う、亦た一霊ありや。その皮は極めて薄い。南番は書字を以てし、呉人は画采を以て燈と為す。
羊肉
[気味]苦甘・大熱・無毒
孟詵が曰く、温。
蘇頌が曰く、『神農本草経』は甘と云い、『素問』に苦と云う。蓋し『神農本草経』は味を以て言い、『素問』は理を以て言う。羊は性熱、火に属する。故に苦に於て配する。羊の歯骨五臓は皆な温平。惟だ肉の性は大熱也。
○李時珍が曰く、熱病及び天行病・瘧疾の病後に之を食えば、必ず発熱し危を致す。妊婦が之を食すれば、子をして熱を多くす。白羊黒頭・黒羊白頭・独角なる者は並びに毒有り。之を食すれば癰を生ずる。
『禮記』に曰く、羊の㲐毛にして毳なる者は羶(なまぐさ)し。又云く、羊を煮るに杏仁、或いは瓦片を以てするときは則ち糜し易し。胡桃を以てするときは則ち臊ならず。竹䶉を以てすれば則ち味を助く。羊毒に中る者は、甘草湯を飲めば則ち解する。銅器に之を煮れば、男子は陽を損じ、女子は暴下する。物性の異なること此の如し、知らずんばあるべからず。
汪機が曰く、半夏・菖蒲に反する。蕎麵・豆醤と同じく食すれば痼疾を発する。醋と同じく食えば人心を傷る。
[主治]
中を暖め、字乳余疾および頭脳大風、汗出、虚労、寒冷(を治する)、中を補い氣を益し、心を安んじ驚を止める(『名医別録』)
痛を止め、産婦を利する。(孫思邈)
風眩、痩病、丈夫の五労七傷、小児の驚癇を治する。(孟詵)
胃を開き力を健にする。(『日華諸家本草』)
[発明]
蘇頌が曰く、肉の多くは湯剤に入れる。『胡洽方』に大羊肉湯あり。治婦人産後の大虚、心腹絞痛、厥逆を治する。医家通用の大方なり。
宗奭が曰く、仲景が寒疝を治するに、羊肉湯之を服する。験なき者は無し。一婦人、冬月に生産し、寒が子戸に入る、腹下痛み按ずべからず、此れ寒疝也。医は抵當湯を投ずることを欲す。予が曰く、其れ治に非ざる也。仲景が羊肉湯を以て、水を減ずること二服して即ち愈える。
李杲が曰く、羊肉は有形の物、能く有形肌肉の氣を補する。故に曰く補可去弱(『本草十剤』)。人参・羊肉の属、人参は氣を補い、羊肉は形を補う。凡そ味、羊肉に同じき者、皆な血虚を補う。蓋し陽生ずれば則ち陰は長ずる也。
李時珍の曰く、按ずるに『開河記』云く、隋の大総菅、麻叔謀が風逆を病み、起坐すること得ず。煬帝が大医令の巢元方に命じて之を視て曰く、風(邪)が腠理に入り、病は脳に在り。臆(おしはか)るに須らく嫩肥羊を用い(嫩は“若い”という意)、蒸し熟して、薬を掺(取る・混ぜる)して之を食するときは、則ち瘥。其の言の如く、未だ剤を尽くさずして痊(いえる)。自後、羊羔を殺す毎に、杏酪五味を同じく、日に食すること数枚、此れを観れば、則ち羊肉補虚の功、蓋し証かにす可し。
[附方]旧八新十六
羊肉湯(張仲景、寒労虚羸及び産後心腹疝痛を治するに、肥羊肉一斤を用い、水一斗を汁八升に煮て、当帰五両、黄耆八両、生姜六両を入れ、煮て二升を取りて、分けて四服す。『胡洽方』には黄耆無し。『千金方』には芍薬あり。(金匱要略)
産後厥痛(胡洽(が云う)、大羊肉湯は婦人産後の大虚、心腹絞痛、厥逆を治する。羊肉一斤、当帰芍薬甘草各七銭半を用い、水一斗を用い肉を煮る、七升を取る、諸薬を入れて、一升に煮て、服する。
産後虚羸(腹痛冷氣調わず及び脳中風汗自出。白羊の肉一斤を切り治すること常の如く調和して之を食する。(心鏡)
産後帯下(産後の中風、絶孕、帯下赤白に、羊肉二斤、香鼓大蒜三両を用い、水一斗を五升に煮て、酥一升を納れて、更に煮ること二升を服する。(『千金方』)
崩中、死に垂る(肥羊肉三斤水二斗、一斗三升に煮て、生地黄一升、乾姜当帰三両を入れて三両に煮て、分けて四服する。(『千金』)
虚寒を補益する(精羊肉一斤、碎白石英三両を用いて、肉を以て之を包む、外は荷葉を用いて、裹定して一石の米下に於いて蒸し熟し取り出して、石英を去り、葱姜を和し、小餛飩子に作して、毎日空腹(時に)冷漿水を以て、一百枚を呑む。甚だ補益す。(千金方)
陽を壮んにし腎を益す(白羊肉半斤を用い、生にて切り蒜薤を以て之を食する。三日に一度、甚だ妙なり。(心鏡)
五労七傷(虚冷に肥羊肉一腿を用いて密に蓋(ふた)し煮て爛し、絞りて汁を取りて、服する并びに肉を食する。
骨蒸久冷(羊肉一斤、山薬一斤、各々爛し煮研すること泥の如し、米を下し粥に煮て之を食する。(『飲饍正要』)
骨蒸伝尸(羊肉一拳大を用い、皂莢一尺を煮熟する。炙るは無灰酒一升を以て、銅鐺の内に(鐺は“鼎”の意)煮ること三五沸、滓を去り、黒錫一両を入れ、病人をして先ず肉汁を啜らしめること、乃ち一合を服する。当に馬尾の如くなる蟲を吐くべし、効と為す。(外臺秘要)
虚寒瘧疾(羊肉を臛餅を作する飽て之を食する、更に酒を飲む暖臥して汗を取る。燕国公、常に験有ることを見す。(集験方)
脾虚吐食(羊肉半斤、生を作し、蒜薤醤鼓五味を以て、和し拌して空腹に之を食する。(心鏡)
虚冷反胃(羊肉、脂を去り、生を作し蒜薤を以て、空腹之を食う、立ろに効あり。(外臺秘要)
壮胃健脾(羊肉三斤を切り、梁米二升を同じく煮る、五味を下し粥食に作す。(飲饍正要)
老人膈痞(飲食下らず、羊肉四両を切り、白麺六両、橘皮末一分を用い、姜汁を捜すること常法の如し、五味を入れて臛を作する、食うこと毎日一次、大いに効あり。(多能鄙事)
胃寒下痢(羊肉一片、莨菪子末一両、和すること綿を以て裹み下部に納れること二度にして瘥る。(外臺秘要方)
身面浮腫(商陸一升、水二斗煮て一斗を取り滓を去る。羊肉一斤を切り、肉を入れ煮熟し、葱鼓五味を下し、調和し、臛法の如くして之を食す。(『肘后方』)
腰痛脚氣(木瓜湯、腰膝痛脚氣を治す。羊肉一脚、草菓五枚、粳米二升、回回豆即ち胡豆半升、木瓜二斤、汁を取りて、砂糖四両、鹽(塩)少し許(ばかり)を入れ、肉を煮て之を食う。(正要)
消渇利水(羊肉一脚、瓠子六枚、姜汁半合、白麺二両、鹽葱と同じく炒めて食する。(正要)
損傷青腫(新羊肉を用い、之に貼る。(千金方)
婦人無乳(用羊肉六兩、麞肉八兩、鼠肉五兩、作臛啖之。(崔氏)
傷目青腫(羊肉を煮熟して、之に熨する。(聖惠方)
小児土を嗜む(市中に羊肉一斤を買い、人をして縄を以て地上に繋ぎ拽き、家に至りて洗浄して炒炙して食する。或いは煮汁も亦た可なり。(姚和衆)
頭上白禿(羊肉炒して脯に作する、法炙りて香熱して上に搨すること数次を過ぎずして瘥える。(肘后方)
……(略)……
■原文
羊(本經中品)
[釋名]……(略)……
[集解]
別録曰、羖羊生河西。弘景曰、羊有三四種、入藥以靑色羖羊爲勝、次則烏羊。其䍲羺羊及虜中無角羊、止可啖食、爲藥不及都下者。然其乳髓則肥好也。
頌曰、羊之種類甚多、而羖羊亦有褐色黒色白色者。毛長尺餘亦謂之羖䍽羊。北人引大羊以此爲羊首。又謂之羊頭。
詵曰、河西羊最佳。河東羊亦好。若驅至南方、則筋力自勞損。安能補益人。今南方羊多食野草毒草。故江浙羊少味、而發疾。南人食之、卽不憂也。惟淮南州郡或有佳者、可亞北羊。北羊至南方一二年、亦不中食、何況於南羊、葢土地使然也。
宗奭曰、羖䍽羊出陝西、河東。尤狠健、毛最長而厚、入藥最佳。如供食、則不如北地無肉白大羊也。又同蕐之間、有小羊供饌在諸羊之上。
時珍曰、生江南者、爲呉羊、頭身相等而毛短。生秦晋者爲夏羊、頭小身大、而毛長。土人二歳、而剪其毛以爲氊物。謂之綿毛。廣南英州一種、乳羊食仙茅極肥、無復血肉之分、食之甚補人。諸羊皆孕四月而生。其目無神、其腸薄而縈曲、在畜屬火。故易繁而性熱也。在卦屬兊、故外柔而内剛也。其性惡濕喜燥。食鈎吻而肥、食仙茅而肪、食仙靈脾而淫、食躑躅而死。物理之宜忌、不可測也。契丹以其骨占灼、謂之羊卜、亦有一靈耶。其皮極薄、南番以書字、呉人以畫采爲燈。
羊肉
[氣味]苦甘大熱無毒
詵曰、温。頌曰、本經云甘。素問云苦。葢經以味言、素問以理言。羊性熱屬火。故配於苦。羊之齒骨五臓皆温平。惟肉性大熱也。○時珍曰、熱病及天行病瘧疾病後食之、必發熱致危。妊婦食之、令子多熱。白羊黒頭・黒羊白頭・獨角者並有毒、食之生癰。禮曰、羊㲐毛而毳者羶。又云、煑羊以杏仁、或瓦片則易糜、以胡桃則不臊、以竹䶉、則助味。中羊毒者、飲甘草湯、則解、銅器煑之。男子損陽、女子暴下。物性之異如此、不可不知。
汪機曰、反半夏菖蒲、同蕎麵豆醤食發痼疾。同醋食傷人心。
[主治]
暖中字乳餘疾、及頭腦大風汗出虚勞寒冷補中益氣安心止驚(別録)
止痛利産婦(思邈)
治風眩痩病、丈夫五勞七傷、小兒驚癇(孟詵)
開胃健力(日蕐)
[發明]
頌曰、肉多入湯劑、胡洽方有大羊肉湯治婦人産後大虚心腹絞痛厥逆。醫家通用大方也。
宗奭曰、仲景治寒疝、羊肉湯服之。無不驗者、一婦冬月生産、寒入子戸、腹下痛不可按、此寒疝也。醫欲投抵當湯。予曰、非其治也。以仲景羊肉湯、減水二服卽愈。
李杲曰、羊肉有形之物、能補有形肌肉之氣。故曰補可去弱。人參羊肉之屬、人參補氣、羊肉補形。凡味同羊肉者、皆補血虚。葢陽生則陰長也。
時珍曰、按開河記云、隋大總菅麻叔謀病、風逆起坐不得、煬帝命大醫令巢元方視之、曰風入腠理、病在腦、臆須用嫩肥羊、蒸熟、掺藥食之、則瘥。如其言未盡劑、而痊自後毎殺羊羔、同杏酪五味、日食數枚觀此、則羊肉補虚之功、盖可證矣。
[附方]𦾔八新十六
羊肉湯(張仲景治寒勞虚羸及産後心腹疝痛、用肥羊肉一斤、水一斗煑汁八升、入當歸五兩、黄芪八兩、生薑六兩、煑取二升、分四服。胡洽方無黄芪、千金方有芍藥。(金匱要略)
産後厥痛(胡洽大羊肉湯治婦人産後大虚心腹絞痛厥逆用羊肉一斤、當歸芍藥甘草各七錢半、用水一斗煑肉、取七升、入諸藥、煑一升、服。
産後虚羸(腹痛冷氣不調及腦中風汗自出。白羊肉一斤切治如常調和食之。(心鏡)
産後帯下(産後中風、絶孕、帯下赤白用羊肉二斤香鼓大蒜三兩、水一斗煑五升、納酥一升、更煑二升服。(千金方)
崩中垂死(肥羊肉三斤水二斗、煑一斗三升、入生地黄一升、乾薑當歸三兩煑三升、分四服。(千金)
補益虚寒(用精羊肉一斤、碎白石英三兩、以肉包之、外用荷葉、褁定於一石米下、蒸熟取出、去石英、和葱薑、作小餛飩子、毎日空腹以冷漿水、呑一百枚、甚補益。(千金方)
壮陽益腎(用白羊肉半斤、切生以蒜薤食之。三日一度、甚妙。(心鏡)
五勞七傷(虚冷用肥羊肉一腿宻盖煑爛、絞取汁、服并食肉。
骨蒸久冷(羊肉一斤、山藥一斤、各爛煑研如泥、下米煑粥食之。(飮饍正要)
骨蒸傳尸(用羊肉一拳大、煑熟皂莢一尺、炙以無灰酒一升、銅鐺内煑三五沸、去滓、入黑錫一兩、令病人先啜肉汁、乃服一合。當吐蟲如馬尾、爲効。(外臺)
虚寒瘧疾(羊肉作臛餅飽食之、更飮酒暖臥取汗。燕國公常見有驗。(集驗方)
脾虚吐食(羊肉半斤作生、以蒜薤醤鼓五味、和拌空腹食之。(心鏡)
虚冷反胃(羊肉去脂、作生以蒜薤、空腹食之、立効。(外臺)
壮胃健脾(羊肉三斤、切梁米二升同煑、下五味作粥食。(飮饍正要)
老人膈痞(不下飮食、用羊肉四兩切、白麵六兩、橘皮末一分、薑汁捜如常法、入五味作臛、食毎日一次大効。(多能鄙事)
胃寒下痢(羊肉一片、莨菪子末一兩和以綿褁納下部二度瘥。(外臺方)
身靣浮腫(商陸一升、水二斗煑取一斗去滓、羊肉一斤切、入肉煑熟、下葱鼓五味、調和、如臛法食之。(肘后方)
腰痛脚氣(木瓜湯、治腰膝痛脚氣、羊肉一脚、草菓五枚、粳米二升、回回豆卽胡豆半升、木瓜二斤、取汁、入砂糖四兩鹽少許、煑肉食之。(正要)
消渇利水(羊肉一脚、瓠子六枚、薑汁半合、白麵二兩、同鹽葱炒食。(正要)
損傷靑腫(用新羊肉、貼之。(千金方)
婦人無乳(用羊肉六兩、麞肉八兩、鼠肉五兩、作臛啖之。(崔氏)
傷目靑腫(羊肉煑熟、熨之。(聖惠方)
小兒嗜土(買市中羊肉一斤、令人以縄繋於地上拽至家、洗浄炒炙食、或煑汁亦可。(姚和衆)
頭上白禿(羊肉炒作脯、法炙香熱搨上、不過數次瘥。(肘后方)
……(略)……
『本草綱目』の主治は、前述の『日養食鑑』『閲甫食物本草』『公益本草大成』など諸本草書が引用しているので、触れる必要はないでしょう。
また[附方]には新旧あわせて24種の羊肉を使ったレシピが記されています。このレシピは処方としても、また薬膳としても興味深い内容だと思います。
『本草綱目』にある[発明]に記載される「李杲曰、羊肉有形之物、能補有形肌肉之氣。故曰補可去弱。人参羊肉之属、人参補氣、羊肉補形。凡味同羊肉者、皆補血虚。蓋陽生則陰長也。」という情報は勉強になります。
補益の効能であっても、形と氣ではまた効かせ方が異なるのです。氣(陽)を補うには人参などの生薬、形(陰)を補うには羊肉なども有形のもの…という理解もまた臨床で有益な情報といえるでしょう。
陰を補うにも、
・地黄などの生薬を使う方法
・羊肉などの有形の物を食する方法
・睡眠の質を高めて、陰を補う方法
…などなど、様々な方法・手段があります。そしてこれらは同じ陰を補うものではありません。このように補陰の種類を知っておくことが治療の質を向上させることにつながることでしょう。
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