高野山で阿字観を体験

先日の日曜日は通常であれば講義の予定でしたが、遠足(校外学習)ということで、高野山に行き、阿字観を学ぶツアーに行ってきました。

阿字観とは?

サンスクリット(梵字)の阿(あ)の字が書かれたご本尊に向かい、呼吸を調え観想を行う…というものです。※もちろん実際にはもっと深い真意があるかと思います。

 ※写真の阿字は『阿字観瞑想入門』山崎泰廣 著 の表紙写真より引用させていただきました。

阿字に向かう…と書きましたが、実際には蓮華(蓮の花)の上に阿字があり、阿字と蓮華は月輪(がちりん)の中にあり、これら蓮華・阿字・月輪…と全体を観て瞑想を行います。

また、蓮華が月輪の中にある阿字観本尊と、蓮華の上に月輪がある阿字観本尊の二種類があります。我々が行った阿字観本尊は前者でした。

阿字観体験…その結果とは!?

実際に阿字観を体験したのは7,8分と10分の2回。玄人の修行者さんからすると短い時間かと思いますが、初心者の我われにとっては丁度よいペースでした。(その分、指導していただいた北川和尚には随分ご迷惑をおかけしました)

 今回 阿字観・ご講話などご指導いただきました北川真寛 和尚

そんな短い時間の観想でも皆さん、それぞれに変化があったようです。昼食時に精進料理をいただいたのですが(この精進料理がまたものすごく豪華で二の膳まで用意されておりました。写真がないのが残念…。)

ちなみに…高野山の精進料理の豪華な理由を教えていただきました。昔は大名や貴族が参詣に来ていたので、そのような高貴な人々をおもてなしする…と、このような経緯でおもてなしの精進料理ができたそうです。これもひとつの文化といえるのではないでしょうか。

私自身が体験した阿字観の感想は、阿の字の色や形・大きさが徐々に変わっていくという変化を最初に体験しました。この変化は阿字だけでなく月輪や蓮華も同様でしたね。

興味深いのは、私のようにビジュアル方面に変化を感じる人もいれば、聴覚または嗅覚の感度が変化する人もいました。阿字観は視覚から働きかける観想法なので、視覚を入口に五感に大きく影響するようです。まさに「眼耳鼻舌身意」です。そこから「無色声香味触法」と進むべきなのででしょうが、今回は入口の入口の入口…でストップ。

また、視覚面の変化だけでなく、意識精神の感覚と身体の感覚を並行して感じられること。これも観想法の意義深いことだと思います。北川真寛 和尚は“主と客の両方に立って観る”と仰っていました。

観想中はリラックスしつつも程よい緊張状態も混在している感覚であり、それでいて意識はクリアな状態であります。そのため人為的に設定した夢と現の間みたいな状態といいましょうか…、そのため体の心地良さに引っ張られると、すぐにでも眠れます。反対に意識の方ばかりに偏ると、雑念ばかりに振り回される感覚です。

心と身体、夢と現、主と客、これも色即是空、空即是色という観方になるのでしょうか。陰陽観に慣れ親しんだ鍼灸師だからこそ、この観想法は一度と言わず何度も体験しておくべき…と、感じました。

今回の阿字観指導は特例だった?

ここでひと言、付け加えさせていただきますと…

指導してくださった北川真寛 和尚がおっしゃるには「私は通常、阿字観から指導しません。まずは基本となる数息観から指導することが多いのです。今回は足立先生の強い希望で…」と、私がかなり無理をいって阿字観を指導していただいた経緯があります。

ですので、(お寺さんにもよるかもしれませんが)「初めてで阿字観をさせてください」というお願いも難しいかもしれません。この点だけ注意が必要でしょうね。

阿字観だけでなくご講話も受けました

北川真寛 和尚には阿字観指導だけでなく、昼食の時間もご一緒させていただき阿字観についてお話いただきました。

 護摩行についてのご講話のようす

さらに昼食後は「護摩行について」をテーマにご講話いただき、護摩行の理解・護摩行に使われる生薬たちなどについてもご紹介いただきました。

生薬の話をしていただくことで、参加メンバーにとってさらに密教・仏教と医学とのつながりが感じられたかと思います。

鍼道五経会のミニ講義・その1「…生と死」

後藤田有美先生の「在宅看取りからみた東洋医学的な生と死」

後藤田先生は普段、和歌山県田辺市で往診を中心に活動している鍼灸師であります。在宅で最後まで看取るという経験から「東洋医学からみた理想的な死とは?」ということを考えるようになったそうです。

 後藤田先生の講義風景

東洋医学は病気を治すことを目的とします。究極の理想は不老不死ですね(道教的な影響を受けていますので)。理想は治癒であり、健康であります。それを陰陽調和がとれた状態といいますが、ターミナルの現場、とくに“老衰”そして“死”という場面に焦点をあてた場合の理想とはどのような概念になるのでしょうか?

・・・と、このような疑問から、今回のテーマ「在宅看取りからみた…生と死」はスタートした…とのことです。

講義内容の詳しくはここでは明かせませんが、死というテーマは北川真寛 和尚には宗教家として立場からもご意見をいただけました。

また、ご高齢の方を現場で治療している鍼灸師さんも何人かいましたし、ターミナルの治療経験が豊富なベテランの先生もいてくれて、活発な意見交流の場となりました。

北川和尚から宗教者の視点からご意見をいただきました。

鍼道五経会のミニ講義・その2「…水治」

ミニ講義その2は私 足立が担当しました。テーマは「伝統医学に残された水治」。

水治とは、水を使った治療法です。水を使うといえば、漢方薬を煎じるということも大きくみると水治に入るかもしれませんが、ここでは水単体・水だけを治療に使った治法を“水治”とします。

水治の際の脈の変化予想を説明

話は脱線しますが、水を概念的に見ると五行の中にも水は含まれます。鍼灸師にはなじみ深いものですね。かの多賀徳本流には次のような言葉が伝えられています。

「凡そ針は金に属す 故に邪氣に當りて水を生じ邪熱を鎮めて病を治す。」(『徳本多賀流針穴秘傳』より)

この文で使われている“水”は五行的な水でありますが、鍼と灸との治療手段としての五行的な差異として理解する上でも、また単に鍼するのではなく鍼によって起こる五行的な動きを識る上でも、意味深い文であると思います。

さて本題の“水治”ですが、医学文献には水を使った治法というのは意外と残されています。内容はブログでは割愛させていただきます。

ですが、さらに調べまとめて別の機会で発表しようと思います。

この日は昼前から夕方まで、大明王院さんにこもって(?)しっかり勉強してきました。観光という要素はほとんどありませんでしたが…(^^;)

★おまけ・高野山と言えば…般若湯!!

高野山と言えば般若湯。電車の旅と言えば鉄呑み。

ということで、帰りの特急こうやでは、有志のメンバーで般若湯をいただきました。
 お土産用に買った?般若湯も難波駅に着くまでに無くなりましたとさ…。

そして、打ち上げは(まだするのか!?と思われていたかも)梅田の島内先生おすすめの吉在門さんへ。すごく豪華なお料理でこれまたみんな大満足。

ここでも大いに鍼灸・氣の技について盛り上がる宴となりました。

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