鍼道五経会の足立です。久しぶりの更新です。
合宿で発表する講義準備に集中していましたもので…。
そして、その合宿というのが毎年、長野県で開催される「伝統医療 游の会」です。
※学術道研鑽合宿という名から「伝統医療 游の会」に改名しました。
目次
充実の講義内容
今年の合宿は“感応”が共通テーマでした。感応を主軸に各講師が選んだ講義は以下の内容です。
「正気と邪気と霊気 -術者の健康を守るために-」(杉山勲先生)
「伝統医学に伝わる水治 ―水から天へ、天から靈へ、靈から鍼へ―」(私、足立のテーマです)
「共鳴感覚の感応 ―実技と講義―」(山口秀敏先生)
シンポジウム「本合宿の総括・感応をテーマに…」
※1日目と2日目の間には夜の宴・早朝の気功教室を挟んでいます。
各講座を一見したところ、それぞれ異なる内容でいて、感応をテーマに結び付いています。そのため、参加された方は初見の方も常連メンバーも口を揃えて「面白かった!」「難しかった言葉もあるけどすごく勉強になった!」といった感想をいただきました。
では、その合宿の様子を写真を交えて紹介します。
「会長の松田先生と副会長の杉山先生のツーショット」
松田博公先生の講義「黄老思想を知らずして…」
初日の第1講座は松田先生による「黄老思想を知らずして内経を読むなかれ」
『素問』四氣調神大論を黄老思想を踏まえて読むと理解する内容が変わります。人と世界の関わりを再認識でき、そうなると鍼灸師の役割や意義は深くなる…と改めて思うことができる講義でした。
松田先生の仰る「天明則日月不明」の解釈は、私の鍼のイメージを補強してくれる内容でした。
杉山勲先生の講義「正気と邪気と…」
初日の第2講座は杉山先生の「正気と邪気と霊気 -術者の健康を守るために-」
気の正邪について基礎的な整理から始まり、最後は杉山先生ならではのディープな世界を展開されました。「鍼灸師は痰で邪を出す」「身代わりは金魚…」「山登りで浄化…」など個人的に共感を覚えるキーワードがたくさんありました。
そして夕食と深夜の宴
夕食はかなり豪勢…私は最後に出されたスイーツはギブアップ…
鍼灸談義のみで深夜(早朝?)まで盛り上がることができる…それも固い話・固い雰囲気ではなく本当に和気あいあいとした宴でした。最終ラウンドは3時~4時だったかと…。
そして朝起きると雪景色。
雪原での早朝 気功教室
早朝6:30からは気功の時間。毎年、山口先生(写真左)が気功を指導してくれています。私も何度も教えてもらいましたが、他にはない指導内容で臨床治療にもいろいろと応用できる気功です。
今年は12月もあって、写真のように雪原で気功しました。
天地の氣と感応する…がテーマ。こんな寒そうな環境の中、ジッと立っているだけなのですが、気功(入静)に入ると足腰から背にかけてホワ~っと温かくなるのです。
足立の講義「伝統医学に伝わる水治 ―水から天へ…」
そして、2日目の第1講座は、私の担当「伝統医学に伝わる水治 ―水から天へ 天から靈 靈から鍼へ―」です。
「伝統医学に伝わる水治」は高野山の阿字観遠足の時の小講義でも発表しました。
高野山の時の発表内容は“地の水編”。
“水”とひと口に言っても、伝統医療で用いられる“水”には多くの種類・分類があります。
その種類の豊富さは一般の想像をはるかに超えるものだと言えるでしょう。
代表的な水の種類ですと『本草綱目』が詳しいです。
また水の使い方になると、神話の頃まで遡ることができますし、
近世、江戸期までは、精神疾患に滝行などの水治法が流行していたとのことです。
“人の水”については今更ここで書くまでもありませんね。
そして今回、伝統医療游の会では“天の水”に言及して、鍼治に結び付ける試みを発表しました。
我々は普段の治療では、地の水、人の水を目当てとして治療していることが常です。
天の水を意識することは極めて稀なことだと思います。
というよりも、天の水を意識することなんてまず無いのではないでしょうか。
中国古代思想をヒントに、天の水を意識しみつめ直してみるという発表内容でした。
山口秀敏先生の講義「共鳴感覚の感応 …」
そして、第2講義では山口秀敏先生による「共鳴感覚の感応 ―実技と講義―」です。
音は振動であり共鳴するものである。音や音楽を通じて人の心身を動かす妙味を実演・発表されました。
古来より音楽は人の精神をも奮い立たせ、鼓舞する存在であった。
また人を繋ぐ役割を持った存在でもあった。…などなど、奥深い講義を発表していただきました。
第3部はシンポジウム形式で「本合宿の総括・感応をテーマに…」
竹井智子先生(写真右)の司会で、先生方のご意見のみならず参加メンバー全員から意見をいただくという形をとりました。
感応から邪正一如にまで話が及び、皆さん満足いく形での閉会となりました。
番外編・蕎麦屋さんにて…
松本駅で解散!の前に、駅近くの蕎麦屋さんでお蕎麦と日本酒です。
松田先生おすすめの女鳥羽の泉・松本市の地酒です。未明3時4時まで飲んでいたのイに、すいすいと呑めます。
今回の長野合宿に参加した関西組はこの二人。私と亀谷先生、文学・物理学そして東洋医学と博識な先生です。亀谷先生にはいろいろとお世話になりました。ありがとうございます。
また、この合宿で出会った先生方からはそれぞれの得意分野での知識を教えていただきました。その中には私自身のヒントになったものいくつかあり、今後の糧としていきます。
この場を借りてお礼を申し上げますと共に、今後ともよろしくお願いします。
足立 繁久