難経 五十四難のみどころ
五十一難、五十二難、五十三難と連続して臓腑病がテーマでしたが、この五十四難も同じく臓腑の病についてがテーマです。
臓病と腑病、その治療の難易について本難では説かれています。
※『難経註疏』京都大学付属図書館より引用させていただきました。
※以下に書き下し文、次いで足立のコメントと原文を紹介。
※現代文に訳さないのは経文の本意を損なう可能性があるためです。口語訳は各自の世界観でお願いします。
難経 五十四難の書き下し文
書き下し文・難経五十四難
五十四難に曰く、臓病は治し難く、腑病は治し易し、何の謂い也?
然り。
臓病は治し難きの所以の者は、其の勝つ所に伝える也。
腑病は治し易き者は、其の子に伝える也。
七伝と間臓とは同じ法也。
五十四難でいう臓病と腑病の難治 or 易治は、言うまでもなく、臓病が難治、腑病が易治です。
理由は今までの各難で説明された通りですね。
五十二難では臓病と腑病、その根本がそもそも異なることを示しています。
五十三難では病伝パターンの違いを示し、その難易を示しています。
以上のように臓病と腑病では陰陽の性質も五行病伝の観点からも治療の難易が異なります。
さらにいうと臓病と腑病ではその病位の深浅が違います。この時点で治療方針が大きく異なり、その治療の難易が大きく左右されるのです。この病理及び治療機序は前の記事、五十三難の「霊枢の臓腑経の病伝とを重ねて考えよう」に述べた通りです。
鍼道五経会 足立繁久
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原文 難経 五十四難
■原文 難経 五十四難
五十四難曰、藏病難治、府病易治、何謂也。
然。
藏病所以難治者、傳其所勝也。
府病易治者、傳其子也。
與七傳間藏同法也。