季節の鍼法を学ぶ-難経七十難-

季節・四時を理解する意義とは?

難経の鍼法の中で、七十難では四時(四季)に応じた刺法について説かれています。
四時における刺法という点では『霊枢』本輸篇や四時気篇がありますが、
これらで説かれている刺法よりも、七十難ではとてもコンパクトにまとめられている感があります。

コンパクト化ということは、重要なエッセンスが含まれている可能性も感じられます。

本輸篇や四時氣篇では“縦と横の座標”について言及されていましたが(詳しくは「霊枢 四時気第十九の書き下しと原文」を参照のこと)
七十難では“氣の動き”について言及されています。
厳密には“縦の座標”とそれに準じた“氣の動き”です。動的な意味合いのある鍼法について説かれています。

『難経本義』京都大学付属図書館より引用させていただきました。
※以下に書き下し文、次いで足立のコメントと原文を紹介。

書き下し文 難経七十難

七十難曰く、経に言う、春夏は浅く刺し、秋冬は深く刺すとは、何の謂い也?
然り。
春夏は、陽氣が上に在り、人氣も亦上に在る。故に當に浅くこれを取る。
秋冬は、陽氣が下に在り、人氣も亦下に在る。故に當に深くこれを取る。春夏は各々一陰を致す、秋冬は各々一陽を致すとは何の謂い也?
然り。
春夏は温、必ず一陰を致すは、初め鍼を下すに、これを沈めて腎肝の部に至る。気を得て之の陰を引持する也。
秋冬は寒、必ず一陽を致すは、初め鍼を内れる、浅くして之を浮めて心肺の部に至る。気を得て之の陽を推内する也。
これを春夏必ず一陰を致し、秋冬必ず一陽を致すと謂う。

天人相応・陰陽交流の鍼法

七十難では春夏秋冬の四時に分けることなく、大きく陰陽の春夏と秋冬に区分することで、天氣と人氣の相応を分かりやすくコンパクトにまとめてくれています。

なぜコンパクトにまとめたのか?
強引に『霊枢』本輸や四時気と比較するならば、一つは“横の座標”を省略したこと、そして“動的な要素”を加味したこと。この2点に尽きます。

動的な要素とは「引持」「推内」という言葉で表現されているとおり、鍼によって人氣を操作・運用することにあります。
ここに四時におけるそれぞれの気の動きを複合的に考えるとより複雑なものになります。
なので、まずは簡素化して鍼法をイメージし、習得するのがベターかなと思います。
(あくまでも私見ではありますが)

天氣と人氣、そして表層の気と深層の気という対比から、陰陽の交流が旨である、ということが伝わっている七十難です。

他にも細かなテクニックという点では、補瀉ともに応用可能な鍼法であり
他にも「どの診法と相性が良いのか?」といった鍼法と診法の一致(診鍼一致・診鍼一貫)についても言及されている難であるといえます。

鍼道五経会 足立繁久

■原文 難経七十難

原文 難経七十難

七十難曰、経言、春夏刺浅、秋冬刺深者、何謂也?
然。
春夏者、陽氣在上、人氣亦在上。故當浅取之。
秋冬者、陽氣在下、人氣亦在下。故當深取之。春夏各致一陰、秋冬各致一陽者何謂也?
然。
春夏温、必致一陰者、初下鍼、沈之至腎肝之部。得氣引持之陰也。
秋冬寒、必致一陽者、初内鍼、浅而浮之至心肺之部。得氣推内之陽也。
是謂春夏必致一陰、秋冬必致一陽。

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