藏府総論『臓腑経絡詳解』より

【経絡の正奇双修】では経脈と臓腑について学びます

講座【経絡の正奇双修】2021’がスタートしました!
今期は奇経八脉について主に学びますが、十二正経について、そして六臓六腑については希望者が補講という形で学びます。その一環として『臓腑経絡詳解』(岡本一抱 著)をアップしていこうと思います。


※『臓腑経絡詳解』京都大学付属図書館より引用させていただきました
※下記の青色枠部分が『臓腑経絡詳解』の書き下し文です

藏府総論

夫れ人は天地の気中に生じ、五行造化の道を具(そな)え、陰陽剛柔 一身に萃(あつ)まる、入所謂(いわゆる)小天地なり。
天地の気 和して万物化生し、臓腑平和にして神気を宅す。

経に曰く、生気内に根ざし、命(なづ)けて神機と曰う。
臓は蔵なり。陰に属す。陰は閉を主る。五臓は五神を蔵して、敢えて泄さず。則ち陰の道なり。
肺は魄を藏(かく)し、心は神を藏し、脾は意を藏し、肝は魂を藏し、腎は志を藏す。故に臓と云う。

内経に曰く、五臓は精気を藏して泄さず。
難経に曰く、臓は神気の舎蔵する所。本義の註に曰く、藏は藏なり、人の神気内に藏す云々。

腑は府なり。言う心は、府庫の如し。
凡そ府庫の貯える所、物として有らざると云うこと無し。人の飲食五腑に納(い)らざると云うこと無し。
胃は水穀消化の腑。小腸は水穀傳輸の腑。大腸は糟粕の腑。膀胱は水液の腑。三焦は水穀道路の腑なり。
腑は陽たり。陽の徳は喜(よ)く通ず。これをもって腑は水穀を通して敢えて藏(かく)さず。
藏すときは則ち滞りて病となる。乃(すなわち)陽の道なり。
丹溪(朱丹渓)の曰く、腸胃を市となし、その物として有らずということ無きを以てなり云々。

或る人曰く、子(し)なんぞ肝を言って胆に及ばず、心を言って心包に及ばざるや。
曰く、前に言う所の者は神気舎藏の正臓をもってし、水穀傳化の五腑を以てす。手の厥陰心包絡は心を包む細膜にして、真心と相い離れず。故に、十二経絡表裏に於いては之を数えて六臓とし、正臓正腑の配合に於いては之を除いて五臓とす。
(また)胆は清浄の腑、水穀の穢濁(えだく)を受けず。
三焦は孤の腑、正腑五つの者の類に非ずと雖(いえども)、上焦は水穀の容(い)る所。中焦は水穀の化する所。下焦は水穀の出る所なり。
是を以て正臓正腑の表裏に於いては数えるに胆腑を以てし、水穀傳化の腑を論ずるときは胆を除きて三焦を数う。

許昌の滑伯仁の曰く、五臓六腑と謂うも可なり。五臓五腑も亦(また)可なり。六臓六腑も亦(また)可なり云々。
蓋し天地に五運六氣有りて萬物を造化す。人に五臓六腑有りて以て生気を化育す。万物の消長は氣運に従い、人の疾平は臓腑に始まる。苟(いやしくも)臓腑経絡の道 明らかならずんば、此れが虚實を補瀉せんと欲すと云えども、「盲聾明雷を求むる」に同じからん。其の决すること能わざる。

臓腑経絡詳解 天集 終

まずはウォーミング・アップ。こういう文体に慣れておきましょう。
既に慣れている人は京都大学付属図書館のデジタル資料をそのまま読み進めてください。

岡本一抱の書は文量が多いのが特徴(?)ともいえます。「詳解」という名の通り、懇切丁寧に解説してくれている点は実にありがたいです。基本的な用語も一から解説してくれており、文体もお堅くない印象を受けますので、古文に慣れるには良いと思います。
但し、丁寧な解説がわざわいして、慣れるまでは文量に圧倒される人もいるかもしれません。ですがそれを言い訳にしてしまうと、おそらく何を読んでもギブアップすると思います。とにかく頑張って読み続けることです。

鍼道五経会 足立繁久

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