鍼道五経会の足立です。
当会で行っている鍼灸は、診察と診断を重視しています。
診察とは、望聞問切の四診のこと。
中でも脈診に力を入れています。
私自身が師から学んだ脈診法は細かく数えて二十数種類あります。
現在、私自身が臨床で主に使う脈法は(私自身の独創の脈診を含めて)九種類ほどあります。
(これらの脈診に関しては勉強会でも紹介しています)
しかし、脈診の他にも腹背、経の虚実から得た情報を合参して“診断”を行います。
診断というと、鍼灸の世界では「証を立てる」という言葉があります。
しかし、私の意図する診断は証を立てるというよりも、
「病の本体はどこにいるのかを明確にすること」であり、
「邪をどのように動かし排するべきか?」といったことが重要だと考えます。
そのため、より具体的で実践的な“病位”や“体を動かす方向性”が必要だと感じています。
例えば、“虚”を中心とした証であるならば、虚を補うだけで治るのか?
補した後にどのような治法を必要とするのか?
“実”を主体とした証であるならば、実の本体はどこに居るのか?(病位)
その実邪の性質は何であるのか?(病質)
実の勢い、その方向はどこに向かっているのか?(病勢・方向性)
さらにその実はどこからどのような形で追い出したら良いのか?(治法)
といった治療戦略を決定することが鍼灸の診断で重要なことかと考えています。
そのため、単に「補 瀉を決めること」や「臓・腑・経絡を不明瞭な状態で治療を行うこと」は不十分な診断と言えます。
「正確な診断を…というよりも明確な診断を。」
このような鍼灸をひとつの目標として脈診や腹診を始めとした四診技術を研鑽しています。
第2回「経か?腑か?臓か?を明確に…」に続きます。