2022年のラスト講義-経絡の正奇双修-

2022年ラスト回【経絡の正奇双修】をレポート

先日は東京講座【経絡の正奇双修】2022年のラスト回でした。
ということで12月の東京講座のようすをレポートします。

トップは「コロナ後遺症に対する鍼灸」

午前の部は東京メンバーの小幡先生による症例発表「新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆるコロナ後遺症)に対する鍼灸治療」についてです。

小幡先生は鍼灸師一年目ですが、勉強熱心で期待のルーキーの一人です。3か月前に体験したご自身およびご家族のコロナ体験談を資料にしてまとめてくれました。まずは実際に体験した「新型コロナ発症をやり過ごした後に現れた愁訴」を紹介。

倦怠感・意欲喪失・集中力低下(いわゆるブレイン・フォグ)が主症状。他にも頭痛・鼻症状・関節痛などの愁訴に悩まされました。コロナ発症してから約3週間後のことです。

当時は私(足立)とのお見舞いメールをやり取りをしていたので、症状や脈証を聞き、治療法のアドバイスをしていました。鍼灸師同士だからできる遠隔治療です。メールを用いての鍼灸治療アドバイスは、コロナ後遺症に悩まされ始めてからスタートしました。

「この症状の流れ・その脈の動きなら、●●の状態にあるから、■■な治療を行おう」という基本的なやり取りから始まりました。他にも「●●の時間帯なら、■■な治療」「仕事に行く前には○○な治療」などなどのアドバイスでしたね。

「このツボに鍼灸するべし」といった単純なアドバイスではありません。(そのようなアドバイスは役に立たないことが多いのです。特に長期的にみた場合)

このやり取りを通じて体調も落ち着いたときには
「脈に対する信頼もつきました。……東洋医学の治療をするんだという覚悟がきまりました。」という嬉しい感想メールもいただきました。


写真:症例発表「コロナ後遺症に対する鍼灸治療」の風景

講座での症例発表はそのメールでの治療アドバイス(遠隔治療?)のやり取り……ではなく、その東洋医学的における根拠・病理・診断と治療経穴の考え方…などについて小幡先生と私とで紹介しました。

鍼灸治療とコロナ後遺症とは相性がいい?

いまやコロナ陽性者数の累積人数は26,132,159 人(2022年12月12日現在の情報 厚生労働省サイトより)。症状の軽重(無症候も含め)や自他を問わなければ(例えば濃厚接触者として…等)、コロナ感染症を体験していない人も少なくなってきたといえるかもしれません。われわれ鍼灸師もそれなりに新型コロナを体験しているのではないでしょうか。

よくある例として、患者さんが新型コロナ感染症を罹患した、いわゆるコロナ後遺症に悩まされる…といったケースは日常で遭遇することではないでしょうか。

私自身、担当患者さんの相当数が新型コロナに罹患しています。コロナ感染後にそれなりの体調不良を訴えますが、鍼灸治療で軽減・治癒させることはそれほど難しいものではありません。(これまで定期的に治療を担当していた患者さんだから、という理由は大いにあります。)

ではなぜ、そのようなことが言えるのか?

それは新型コロナ感染症・コロナ後遺症の東医的な病理を踏まえているからです。加えて鍼灸治療の特性も理解しておく必要もあります。鍼によって何に対して何をどう動かすのか?このことを理解するのは、なにもコロナだけに必要なことではありません。どの病に対して同じことなのです。

実際の講義では、この鍼治に関する考察はかなり話が広がって、熱気あふれる質疑応答の場となりました。やはり皆さん鍼が好きなんですね。

実技では鍉鍼遊び

鍼治療を理解する、そのためには鍼で遊ぶことも必要です。

そして鍼で遊ぶには鍼の機能・性質などの基本スペックを理解していないといけません。もちろん鍼という治療道具に対する敬意も必要不可欠です。


写真:楽しく鍉鍼遊びをする中年男性二人

コツその1は“線香花火を持つが如し”
コツその2は“鍼を重くつかう”

この鍉鍼遊びを通じて「●●のグラデーション」を感じてもらいます。これが分かれば、鍼管の当て方・近づけ方にも意識が向くでしょう。


写真:受手が仕手の手元を見ざる…これも鍉鍼遊びの一つ

また仕手と受手で感じ方も感じる層も異なります。この違いも体験しておくと良いでしょう。また相手が変わるだけでもその感じ方も変わります。このような微妙な差というのは、実は臨床で日々体験しているモノなのです。そして、もちろん鍉鍼や園鍼だけでなく毫鍼でも同じことです。
……などなど、臨床に繋がる話をしました。というか、そもそも臨床の技術に基づいた鍼遊びであるのです。
写真:鍼道五経会の鍉鍼の訓練風景、和気藹々

素材の違いは鍼治に影響するのか?

金・銀・銅・真鍮の鍉鍼・圓鍼を持ち換え、実際にその違いについても体感してもらいました。
以上の金属の違いで鍼氣・氣感の違いは確かにあります。となれば、鍼の効かせ方やその間合い(射程範囲)も異なります。
あとはその違いを実際にどのように応用するのか?は術者の器と熱意次第でしょう。

次回の東京講座は、2023年1月8日に開催します。
もし受講を希望される方はコチラのメールフォームからお申込みください。
※記入されたメールアドレスにメールが届かないケースが多発しています。
※大人の配慮として複数の連絡先を記入しておいてください。連絡がつかない場合、当会はその責を負いませんので、ご了承くださいませ。

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