『一本堂行余医言』の問証について

『一本堂行余医言』問証について

六診において、望診の次に位置する問証(問診)です。当会では脈診腹診の二診合参、脈腹背の三診合参と、切診を中心に診法技術を磨いていますが、実は診断において最も重要な役割を果たすのが、この「問診」といえます。
なぜなら「問診」によって病理(=病の流れ)を判断するからです。とくに病の「現在」と「過去」を明確に知ることができるのは、この「問診」です。もちろん、他の診法でも現在・過去・未来を推し測ることは不可能ではありませんが、言葉や文字で速やかに病の情報を時系列にまとめることができるのは問診の強みといえるでしょう。

ということで『一本堂行余医言』に記される問診について学んでいきましょう。

※本文は早稲田大学図書館所蔵の『一本堂行余医言』より引用させていただきました。
※以下に書き下し文、次いで足立のコメントと原文を紹介。
※現代文に訳さないのは原文の本意を損なう可能性があるためです。口語訳は各自の世界観でお願いします。

『一本堂行余医言』 問証

書き下し文・『一本堂行余医言』問証

次に宜しく先ず証状を問うべし。亦た当に委曲に詳尽し、備(つぶさ)に遠末にまで及ぶべし。
譬えば傷風寒の如きは、首として頭痛・噴嚏・清涕・鼻塞・咽痛・悪寒・発熱・悪風・悪熱・項強・腰脊痛・咽乾・口渇・能食不能食を問う。次に小便赤熱・乾嘔・口苦・不食・潮熱・耳聾・大便結瀉・胸中痞結・不得臥を問う。遂に乃ち衂血・下血・腹痛・癥疝・下利・膿血・手足倦怠・痛痒𤸷萎・喘息・短氣・腹満・脹閉・心下痞鞕・胸脇支痛・眼昏・泣涙の種々枝葉を旁問して、而る後に有無応否を査考し、深思熟慮すれば、則ち既に胸中の成案を生ず。諸証此れに準ずる。

○凡そ諸病を診するに、須らく首として食の多少・能否を問うべし。次に溺の通閉、屎の硬軟を問う。此れを最要の先務と為す。
又、心の喜怒哀楽、思慮憂患、氣の聚散鬱暢、或いは嗜好忌悪を問う。
又、当に昔年に曾て病む所、或いは嬰児の閒(あいだ)に患う所、或いは宿疾滞患、発止遠近を問うべし。亦た宜しく問い尋ね探り索(もと)め、遺漏する所無くすべし。

問診の要点について

まずは傷寒を例にあげて、問診の要点を挙げています。傷寒病にあらわれる諸症を列挙して、証を定めることを示しています。

また諸病においては「食の多少・能否」次いで「溺の通閉、屎(便)の硬軟」を問う、とあります。これらの情報から腑を中心とした情報がわかります。

他にも「喜怒哀楽、思慮憂患、氣の聚散鬱暢」他にも「嗜好忌悪」、さらには「昔年に曾て病む所、或いは嬰児の閒(あいだ)に患う所、或いは宿疾滞患」といった既往歴を確認すべしとあります。

行余医言序診候・望診 ≪ 問証 ≫ 聞声切脈按腹視背

鍼道五経会 足立繁久

原文 『一本堂行餘醫言』 問證

■原文 『一本堂行餘醫言』問證

次宜先問證狀、亦當委曲詳盡、備及遠末。譬如傷風寒、首問頭痛噴嚏清涕鼻塞咽痛惡寒發熱惡風惡熱項强腰脊痛咽乾口渇能食不能食。次問小便赤熱乾嘔口苦不食潮熱耳聾大便結瀉胸中痞結不得臥。遂乃旁問衂血下血腹痛癥疝下利膿血手足倦怠痛痒𤸷萎喘息短氣腹滿脹閉心下痞鞕胸脇支痛眼昏泣淚種種枝葉。而後査考有無應否。㴱思熟慮、則既生胸中之成案。諸證準此。
○凡診諸病、須首問食之多少能否、次問溺之通閉、屎之硬軟。此爲最要之先務。又問心之喜怒哀樂、思慮憂患、氣之聚散欝暢、或嗜好忌惡。又當問昔年㪽曾病、或嬰兒閒㪽患、或宿疾滞患、發止遠近。亦冝問尋探索、無㪽遺漏。

 

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