カモ(鴨肉)の食物本草情報

12月のゴケイメシは鴨肉をいただきました!

寒さも増してくる今日この頃…ということで、12月第2週のゴケイメシは鴨肉をいただきました。鴨といえば鴨鍋にお蕎麦です。


写真:鴨ロースは皮目を炙ってそのカモ脂でネギに焦げ目をつけます

写真:カモ肉とナメコとセリが具材。前日にとった鶏ガラスープとソバツユで味付け

写真:鴨とくれば蕎麦!

美味しくいただいた後は、鴨肉に関する食物本草のお勉強です。

鴨肉の食物本草情報

出典資料は『閲甫食物本草』(名古屋玄医 1669年序)、『公益本草大成』(岡本一抱 著 1698年)、『日養食鑑』(石川元混 著 1819年)です。

まずは玄医先生の『閲甫食物本草』から。

『閲甫食物本草』に記される鴨肉の効能

 加毛
氣味甘涼、毒無し
主治、中を補い、氣を益し、胃を平にし、食を消し、十二種の蟲を除く、身上の諸々の少熱瘡あり年久しく癒えざる者、但だ多く之を食して即ち瘥える。(孟詵)
熱毒風及び悪瘡癤を治し、腹臓一切の蟲を殺し、水腫を治す。(日華)
按するに、鳬の類甚だ多し而して氣味は甚だ遠からず。
鳥(鳬?)、時珍が曰う、或る人が云うに食用には緑頭の者を上と為し、尾尖なる者は之に次ぐ。
孟詵が曰く、九月以後、立春以前に即ち食に中りて大いに病人に益あり。全く家の者に勝れり。雖寒すると雖も氣を動ぜず。○黒き者は毒有り、多食すべからず。

鶩(あひる) 安比呂 一名鴨
氣味甘冷 微毒
主治、虚を補い、客熱を除き、臓腑及び水道を和し、小児の驚癇を療す(別録)
丹毒を解し、熱痢を止める(日華)
劉完素が曰く、鶩の水を利するは其の氣の相感するに因りて而して使と為す也。
李時珍が曰く、鴨は水鳥也。水を治し、小便を利す。青頭雄鴨を用いるに宜し。水木生発の象を取る。虚労熱毒を治すに、宜しく鳥滑白鴨を用いるべし。金水寒蕭の象を取る也。
按ずるに、鶩は已に補虚和臓腑と曰うときは則ち、其の性は鳬に劣らざるが如しと雖も、鶩の氣味は鳬より悪し。氣味悪ければ則ち胡為(なん)ぞ人を益さんや。

■原文
鳬 加毛
氣味甘涼、無毒
主治補中益氣平胃消食除十二種蟲身上有諸少熱瘡年久不癒者但多食之即瘥。(孟詵)治熱毒風及惡瘡癤殺腹臓一切蟲治水腫。(日華)
按鳬類甚多而氣味不甚遠烏(鳥?)、時珍曰、或云食用綠頭者爲上、尾尖者次之。孟詵曰、九月以後立春以前即中食大益病人全勝家者雖寒不動氣。○黒者有毒不可多食。


鶩 安比呂 一名鴨
氣味甘冷 微毒
主治補虚除客熱和臓腑及水道療小兒驚癇(別錄)解丹毒止熱痢(日華)劉完素曰、鶩之利水因其氣相感而為使也。時珍曰、鴨水鳥也。治水利小便宜用青頭雄鴨、取水木生發之象、治虚勞熱毒宜用鳥滑白鴨取金水寒蕭之象也。
按鶩已曰、補虚和藏腑則雖如其性不劣於鳬、鶩氣味惡於鳬、氣味惡則胡為益人乎。

意外にも鴨肉は「涼」の性質をもつようです。(これに反して『日養食鑑』には「大熱」とありますが)

「補中益気」能をもつと同時に、「平胃・消食」能をもつお肉というのも、胃腸の疲れた人にとってはありがたい食材です。「但だ多く之を食して即ち瘥える(孟詵)」とあるのも、獣肉・魚介の中では珍しい性質だと思われます。しかし「涼」性・「平胃消食」能が「但多食之、即瘥」ということに繋がると思われます。

『公益本草大成』に記される鴨肉の効能

鳬(ふ・カモ)

肉 甘涼
中を補い、氣を益し、胃を平にし、食を消す。
諸々の腹中蟲、小熱瘡の久しく愈えざる、熱風毒、一切悪瘡水腫を除く。

血 蟲毒を解く。

緑頭の者良し。九月後、立春前に之を食して人を益す。
胡桃・木耳・豆鼓を忌む。

■原文

肉 甘涼
補中益氣、平胃、消食、除諸腹中蟲、小熱瘡久不愈熱風毒、一切悪瘡水腫。
血 解蟲毒
綠頭者良、九月後立春前食之益人。忌胡桃木耳豆鼓。

岡本一抱先生の『公益本草大成』も、名古屋玄医先生と同じ説を採用しています。

最後に石川元混先生の『日養食鑑』にある鴨情報をみてみましょう。

『日養食鑑』に記されるカモ(鴨肉)の効能

かも 鳬

甘微温、毒なし
氣味、苦甘大熱、無毒
中を補い、氣を益し、胃を平にし、久瘡及び悪瘡を癒す。
○こかも甘平、毒なし。中を補い、氣を益し、脾胃を調う。
大かもより肉軟にして、虚人老人の食用に宜し。
○かもの類も種類多く氣味相い似たり。

■原文
かも 鳬
甘微温、毒なし
氣味、苦甘大熱、無毒
中を補ひ氣を益し胃を平にし久瘡及惡瘡を癒す。○こかも甘平、毒なし。中を補ひ氣を益し脾胃を調ふ大かもより肉軟にして虚人老人の食用に冝し。○かもの類も種類多く氣味相似たり。

元混先生の情報は「涼」ではなく「大熱」とあります。そのせいなのでしょうか、「久瘡・悪瘡を癒す」という効能はあれども、「但多食之、即瘥」の情報がありません。日本と中国の鴨でその性が異なるのか…。

余談ですが「かもの類、種類多く」とあるように、カモ科の種類は非常に多いです。ちょうど今の季節は、湖沢・河川にたくさんの水鳥がわたってきています。一般的には鴨肉といえば、アイガモ(もしくはマガモ)を連想しますが、カモ科の鳥類を観察しに、水辺に足を運んでみるというのはいかがでしょう。寒さ厳しい季節とはいえ、良い運動になりますよ。

鍼道五経会 足立繁久

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