日月星辰をよむこととは?
『中医臨床』6月号(181号)に論考「星と数字でみる衛気の周行~営衛相随と天人相応~」を寄稿しました。
写真:『中医臨床』杏林春秋に「星と数字でみる衛気の周行~営衛相随と天人相応~」が掲載されました。
この論考は執筆していて楽しかったですね。
まず『内経』を読み解くには、医学・歴史・思想だけでなく暦学の知識が必要であること。これは興味深い事実でした。
「岐伯曰、凡刺之法、必候日月星辰、四時八正之氣、氣定乃刺之。」
(鍼刺の法は、必ず日月星辰、四時八正の気を候い、氣定めて乃ち之を刺す)と、あります。
この言葉からは、昼夜や四時(四季)における氣の動きを候い、その上で氣を定め鍼治をせよ、と言っているように思えます。
しかし「日月星辰」の解釈には、他にもあると思うのです。それはこの論考に含めていますが、「日月星辰」を観るということは、「営衛の法則」を解するということです。
太陽の周期に従う人体の気
「日月」の氣を候うには、太陽の運行を知らなければいけません。なぜなら人体の気(人氣)は昼夜でその動きが変わるからです。よく知られている文章に、「常与営俱行于陽二十五度、行于陰亦二十五度、一周也。」(『霊枢』営衛生会篇)があります。
太陽の運行を知ることは営衛の二氣の流れを大きく把握することにもつながるのです。
しかし、ここで注意しないといけないのは、太陽の動き(一日においては昼夜)と営氣の循環が本当に相応じているのか?ということです。『霊枢』の衛氣行篇本文を読み解くと、「行于陽二十五度、行于陰亦二十五度、一周也。」は衛氣のみに適応される条件・法則であることがわかります。
このことがわかれば、昼夜によって変化・対応する人体生理に衛気が深く関わっていることがわかります。ここまでわかると、臨床応用の幅が広がるのです。
衛気の法則と二十八宿
『霊枢』衛気行篇の最大のポイントは「二十八宿(舎)」ではないでしょうか。二十八宿(舎)という暦学用語を用いて、衛氣の周行法則を理論化し、私たちに伝えてくれています。
衛気行篇には「昼夜」「二十八宿」「刻数」と、3つの時間を用いて、衛気の周行法則を示しているのです。このように衛氣の法則を実に緻密に記しているのが衛氣行篇であり、このような緻密な構築される営衛二氣の法則に深く驚嘆するばかりです。
解き明かされる営衛相随の理論
衛氣行篇に記される衛氣の種類は3種類。そのうちの一つは営氣循環とほぼ同じペースで衛氣周行を行っています。
これはいわゆる「営衛相随」を体現する理論ではないか!と私は推測しています。「営衛相随」という言葉は『霊枢』五乱篇、『難経』三十難に登場します。また類似の表現として『霊枢』脹論篇,衛気篇,『難経』三十二難にも確認できます。しかし、「営衛相随」の理を説く箇所は今まで明確されていませんでした。
それだけに衛氣行篇に数理的に営氣循環と衛氣周行が同じぺ―スで人体を行(めぐ)っていると明示されている事実は実に価値のある記述だと思うのです。
…と、いつになく熱く語りましたが、衛氣営氣の二氣を深く理解することは鍼灸治療の向上につながると考えています。それだけに少しでも多くの鍼灸師に響く論考となれば…と願うばかりです。
この営衛二気の論考は3回シリーズで続きます。次回論考は「二十八宿でみる五十営篇」を予定しています。興味のある方は『中医臨床』(181号)をお買い求めください。
鍼道五経会 足立繁久
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