肝有風熱『小児薬証直訣』より

小児の病態、肝風熱について

五臓病証の総論と各論が終わり、本章から各臓の病態になります。本章では「肝有風熱」と称し、肝木の病にフォーカスを当てています。肝木の病に、風熱という病邪・病性という組み合わせは小児科医学の特性を表しています。
実際に本文をみると「目直視」「搐」「連劄」「強直」など、小児はりの臨床には遭遇することのない症状ですが、かといって無関係なものとは言い切れません。小児はりを実践する鍼灸師にとって、本章を学ぶ意義をよくよく考えながら学んでいきましょう。


※画像は『類証注釈銭氏小児方訣』京都大学付属図書館より引用させていただきました。

※以下に書き下し文、次いで足立のコメントと原文を紹介。
※現代文に訳さないのは経文の本意を損なう可能性があるためです。口語訳は各自の世界観でお願いします。

『類証注釈銭氏小児方訣』 肝有風熱

書き下し文・『類証注釈銭氏小児方訣』 肝有風熱 第七

肝に風有り目連劄して搐せず。心熱を得れば則ち搐す。肝を治するに瀉青丸(四)。心を治するには導赤散(八)之を主る。

肝に熱有り目直視して搐せず。心熱を得れば則ち搐す。肝を治するに瀉青丸(四)。心を治するには導赤散(八)之を主る。(連劄・直視并びに(その)解は下文に見ゆ。肝は風を主る、目は乃ち肝の竅。心は熱を主る、熱すれば則ち風を生ず。故に搐を発す)。

肝に風有りて甚しければ、身反張し強直して搐せず。心が熱を受けざる也。當に腎を補し肝を治すべし。腎を補するには地黄丸(五)。肝を治するには瀉青丸(四)之を主る。

凡そ病に或いは新(新病)、或いは久(久病)、皆な肝風を引く。風動じて頭目に止む。目は肝に属し、風は目に入る。上下左右に(移ること)、風の吹くが如し。軽からず重からず、児は任ずること能わず。故に目連劄する也。
若し熱が目に入れば、其の筋脈を牽き、両眥は俱に緊し、転視すること能わず、故に目直する也。
若し心熱を得れば、則ち搐す。其の子母が俱に実熱有りて、風火相い搏つを以ての故也。肝を治するに瀉青丸(四)、心を治するには導赤散(八)

肝外生感風(即ち傷風也、詳しくは後に見ゆ)

小児病と肝木について

小児の体質をもとに考えると、小児科医学の臓腑病証の各論が「肝」から始まり、「肝」にフォーカスを当てていることはよくわかります。「肝」という基盤の病位に加えて、「風熱」という病性を以て、小児病理を説いているのが本章です。

とくに本章では、肝木と心火、病邪・病性でいう「風」と「熱」の関係に注目しています。これを五行の観点でみると、肝木と心火は、相生関係・母子関係にあります。小児の身体では、常に木氣がはたらき、熱が発生しています。
しかし、本章で示される病伝としては、木病を起点として、そこにさらに心火の熱邪が乗じる経路を示しています。五邪でいうところの“実邪”にあたります。

「治肝、瀉青丸四。治心導赤散八主之」という処方の記載順にも、大きなヒントがあると考えます。これは、「當補腎治肝。補腎地黄丸五。治肝瀉青丸四主之」という処方と比較すると分かりやすいと思います。これもまた小児はりの実践にも大きなヒントになるのです。

五臓所主五臓病証面上証・目内証五臓虚実冷熱 ≫ 肝有風熱 ≫≫≫ 小児薬方

鍼道五経会 足立繁久

原文 『類證注釋錢氏小兒方訣』肝有風熱

■原文 『類證注釋錢氏小兒方訣』肝有風熱 第七

肝有風目連劄不搐得心熱則搐、治肝瀉青丸四。治心導赤散八主之。肝有熱目直視不搐得心熱則搐、治肝瀉青丸四。治心導赤散八主之(連劄直視并解、見下文。肝主風、目乃肝之竅、心主熱、熱則生風。故發搐)。肝有風甚、身反張強直不搐。心不受熱也。當補腎治肝。補腎地黄丸五。治肝瀉青丸四主之。
凢病或新或久、皆引肝風、風動而止於頭目。目属肝、風入於目、上下左右、如風吹、不輕不重、兒不能任。故目連劄也。若熱入於目、牽其筋脉、兩眥俱緊、不能轉視、故目直也。若得心熱、則搐。以其子母俱有實熱、風火相搏故也。治肝瀉青丸四、治心導赤散八。

肝外生感風(即傷風也、詳見後)

 

 

おすすめ記事

  • Pocket
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントを残す




Menu

HOME

TOP