腎祛失音『小児薬証直訣』より

腎祛と失音について

本記事では『小児薬証直訣』の「腎祛失音」の章について紹介しています。「失音」とは“音を失う”、すなわち発声障害です。
発声障害・発語障害と腎祛の関係について、短文ですが解説されています。腎虚と失音の鑑別について、本文を読んでいきましょう。


※画像は『類証注釈銭氏小児方訣』京都大学付属図書館より引用させていただきました。

※以下に書き下し文、次いで足立のコメントと原文を紹介。
※現代文に訳さないのは経文の本意を損なう可能性があるためです。口語訳は各自の世界観でお願いします。

『類証注釈銭氏小児方訣』 腎祛失音

書き下し文・『類証注釈銭氏小児方訣』 腎祛失音 第十九

腎虚と失音は相い似る。
吐瀉を病む、及び大病の後は、声有りと雖も而して言うこと能わず。
又、能く薬を進めるべし。此れ失音に非ず、腎祛を為し、陽に於いて上接すること能わざる故也。
当に腎を補うべし。地黄丸(五)之を主る。
失音は乃ち猝病なる耳(のみ)(猝且没反、倉猝暴病也)。

失音について

本文では腎虚による発語障害について説明されています。
「病吐瀉、及大病後、雖有声而不能言。」とあるように、大きく胃氣を損なうようなできごとの後に、発語障害が起こるとされています。
声は出ても、うまく話せない…といったことでしょうか。軽い意識障害か…?という可能性も捨てきれませんが、ひとまずは腎虚の範疇内ということで読み進めます。

また「吐瀉」という脾胃の損傷が起きた後におこる病態として説明されているのですが、地黄丸が適する腎祛にまで至っている、という病理も要考察ですね。

本章にある唯一の病態説明がこの文です。
「為腎祛、不能上接於陽故也。」
この病態は「失音」だけに限定すべきでなく、他の病症にも適応できるかもしれません。
また、腎を起点に上下を接続する存在についても、鍼灸師ならば想定しておくべきでしょう。治療の大きなヒントになると思います。

最後に「失音」について記されていますが、先天的かつ器質的な発声発語障害ではなく、あくまでも突発的な病(倉猝暴病)であると説明されています。心因性の失音やその他の発語障害を考慮すべきなのでしょう。

傷寒瘡疹同異瘡疹候吐瀉 ≪ 腎祛失音 ≫ 咳嗽 ≫ 黄疸相似 ≫ 諸疳

鍼道五経会 足立繁久

原文 『類證注釋錢氏小兒方訣』腎祛失音

■原文 『類證注釋錢氏小兒方訣』腎祛失音 第十九

腎虚失音相似、病吐瀉及大病後、雖有聲而不能言。又能進藥。此非失音。為腎祛、不能上接於陽故也。當補腎、地黄丸主之五。失音乃猝病耳(猝且没反、倉猝暴病也)。

 

 

おすすめ記事

  • Pocket
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントを残す




Menu

HOME

TOP