利水薬を学ぶ-朮と茯苓-

鍼灸治療を生薬知識で補完する

生薬薬理を理解することは鍼灸師にとっても重要なことです。生薬学の知識から鍼灸の治療イメージを具体的にすることができるからです。このことは以前にも記事「鍼灸師はなぜ漢方の勉強をしないのか?」にて書いたことです。

では、どのように具体的になるのでしょうか?
例えば、利水除湿を例に考えてみましょう。

利水除湿を考えてみると…

穴能・穴性をベースとした場合、豊隆穴を真っ先に挙げる方も多いのではないでしょうか。

五行的な配穴を使用するのも一手です。

他にも飲食由来の湿痰を処理する経穴として脾経・胃経の経穴を連想する方もおられるでしょう。
また水を捌く臓腑の経として、他にも腎経・膀胱経・三焦経・肺経などの経穴も候補にあげるべきでしょうね。
このように臓象から導き出す利水配穴も手のひとつです。

氣血津液でみれば、水を処理するための配穴も利水に使えますが、水を動かしやすくするために氣血を動かす配穴を組み合わせるのも有効な手段ですが、“組み合わせ”に関しては本記事では割愛します。

では利水の生薬についてみてみましょう。

利水の薬能をもつ生薬

湿邪・痰飲を捌く薬能をもつ生薬を挙げるなら、他にも数々あります。
本記事に挙げた朮・茯苓の他にも沢瀉、猪苓、車前子、薏苡仁、赤小豆、半夏、甘遂、大戟…などなど、補いつつ利水してくれるものから、毒性強く攻めながら逐水するものまで多々あります。

このように水を捌く生薬にもそれぞれの違い・個性があります。各生薬がもつ個性を知ることは鍼灸師にとっても重要なことです。

本記事では利水薬として朮・茯苓(前半)沢瀉・猪苓(後半)の四生薬をピックアップしました。この四生薬の共通点と差違を理解することは勉強になると考えたからです。
またその論として『本草綱目』(明代 李時珍)と『薬能方法弁』(江戸 宇津木昆台)の二書を挙げています。生薬学のテキストとして『本草綱目』は最適であることに異を唱える人は少ないでしょう。
また、氣血水の動きをもとにした薬理動態を学ぶ上で、宇津木昆台の説は適していると考えているからです。それぞれ長文ですが、目を通して損はありません。

朮(白朮)について


画像:ホソバオケラの花(足立鍼灸治療院にて)

『本草綱目』朮

※『本草綱目』からの引用は要所を抜き出しており、独断にて一部省略しております。この点ご容赦ください。
※前半に書き下し文・後半に原文を引用しております。

『本草綱目』草部 第十二巻下 草之一 出草類 朮

[釈名]…(略)…
[集解]…(略)…
[氣味]甘 温無毒。
『名医別録』に曰く甘。
甄権の曰く、甘辛。
李杲が曰く、味は苦にして甘、性は温。味厚く氣薄し、陽中の陰也。升るも可、降るも可。
王好古が曰く、手太陽、少陰、足太陰、陽明、少陰、厥陰の六経に入る。
徐之才が曰く、防風地楡、之が使と為す。
甄権が曰く、桃、李、菘菜、雀肉、青魚を忌む。
陳嘉謨が曰く、咀の後に人乳汁に之を潤し、其の性を制す也。脾病、陳い壁土を以て炒過し、竊(ひそかに)土氣以て脾を助すく也。
[主治]風寒湿痺、死肌痙疽(を主治する)汗を止め熱を除き食を消す。煎に作して餌す。久服すれば身を軽く年を延べ飢えず。(『神農本草経』)
大風の身面に在り、風眩、頭痛、目涙出でるを主る。痰水を消し、皮間の風水結腫を逐い、心下急満、霍乱して吐下の止ざるを除き、腰臍間の血を利し、津液を益し、胃を暖め穀を消し食を嗜む。(『名医別録』)
心腹脹満、腹中冷痛、胃虚下利、多年氣痢を治し、寒熱を除き、嘔逆を止める(甄権)
反胃(を治し)、小便を利し、五労七傷を主り、膝腰を補い、肌肉を長じ、冷氣、痃癖氣塊、婦人の冷癥瘕を治す。(大明・日華子『日華子諸家本草』)
湿を除き気を益す、中を和し陽を補う、痰を消し水を逐う、津液を生じ渇を止め、瀉痢を止める、足脛の湿腫を消し、胃中熱、肌熱を除く。枳実を得て、痞満氣分を消す。黄芩を佐し、胎を安んじ熱を清す。(張元素)
胃を理し脾を益す、肝の風虚を補う。舌本強、食すれば則ち嘔、胃脘痛み、身体重く、心下急痛、心下水痞。衝脈の為す病、逆氣裏急、臍腹痛を主る。(王好古)
[発明]王好古が曰く、本草に蒼白朮の名無し。近世は多く白朮を用う。皮間の風を治し、汗を止め痰を消し、胃を補い中を和し、腰臍間の血を利し、水道を通ず。上りて皮毛、中に心胃、下りて腰臍、氣に在りては氣を主り、血に在りては血を主る。無汗なれば則ち発し、有汗なれば則ち止める。黄耆と同じ功なり
張元素が曰く、白朮は湿を除き燥を益す、中を和し氣を補う。
その用に九有り。温中が一也。脾胃の中の湿を去る、二也。胃中の熱を除く、三也。脾胃を強め、飲食を進む、四也。胃を和し津液を生ずる、五也。肌熱を止める、六也。四肢困倦、嗜臥、目を開くこと能わず、飲食を思わず(を治する)、七也。渇を止める、八也。胎を安んずる、九也。凡そ中焦が湿を受けずして下利するこの能わず。必ず須らく白朮の逐水を以て脾を益すべし。白朮に非ずんば湿を去ること能わず、枳実に非ずんば痞を消すこと能わず。故に枳朮丸に之を以て君と為す。
機曰く、脾は湿を悪む、湿勝てば則ち氣は施化を得ず、津液は何より生ずるや?故に曰く膀胱は津液の府。氣化するときは則ち能く出づる。白朮を用いて以てその湿を除くときは、則ち氣は周流することを得て津液を生ずるなり。
[附方]…(略)…

■原文

[釈名]…(略)…
[集解]…(略)…
[氣味]甘温無毒。『別録』曰甘。權曰、甘辛。杲曰、味苦而甘、性温、味厚氣薄、陽中陰也。可升可降。好古曰、入手太陽少陰、足太陰陽明少陰厥陰六經。之才曰、防風地楡爲之使。權曰、忌桃、李、菘菜、雀肉、青魚。嘉謨曰、咀後人乳汁潤之、制其性也。脾病以陳壁土炒過、竊土氣以助脾也。

[主治]風寒濕痺、死肌痙疽、止汗除熱消食。作煎餌。久服輕身延年不饑。(本經) 主大風在身面、風眩頭痛目淚出、消痰水、逐皮間風水結腫、除心下急滿、霍亂吐下不止、利腰臍間血、益津液、暖胃消穀嗜食。(別録) 治心腹脹滿、腹中冷痛、胃虚下利、多年氣痢、除寒熱、止嘔逆(甄權) 反胃、利小便、主五勞七傷、補膝腰、長肌肉、治冷氣、痃癖氣塊、婦人冷癥瘕。(大明) 除濕益氣、和中補陽、消痰逐水、生津止渇、止瀉痢、消足脛濕腫、除胃中熱、肌熱、得枳實、消痞滿氣分。佐黄芩、安胎清熱(元素) 理胃益脾、補肝風虚、主舌本强、食則嘔、胃脘痛、身体重、心下急痛、心下水痞。衝脉為病、逆氣裏急、臍腹痛。(好古)
[發明]好古曰、本草無蒼白朮之名。近世多用白朮、治皮間風、止汗消痰、補胃和中、利腰臍間血、通水道、上而皮毛、中而心胃、下而腰臍、在氣主氣、在血主血、無汗則發、有汗則止、與黄耆同功。元素曰、白朮除濕益燥、和中補氣。其用有九。温中、一也。去脾胃中濕、二也。除胃中熱、三也。强脾胃、進飲食、四也。和胃生津液、五也。止肌熱、六也。四肢困倦、嗜臥、目不能開、不思飮食、七也。止渇、八也。安胎、九也。凡中焦不受濕不能下利、必須白朮以逐水益脾。非白朮不能去濕、非枳実不能消痞、故枳朮丸以之為君。機曰、脾惡濕、濕勝則氣不得施化、津何由生。故曰膀胱者津液之府。氣化則能出焉。用白朮以除其濕、則氣得周流而津液生矣。
[附方]…(略)…

朮の薬能については[発明]にて張元素や王好古が分かりやすく説いてくれています。特に張元素の説明は9つの要点に分類されており、初心者にも覚えやすいと思われます。また“補”の要素を持つ点も治療に応用すべき情報といえるでしょう。
甘温の性質から脾胃に対して温補として働き、かつ利水としても働きます。個人的には脾胃のみならず、胎や腰臍間といった下焦にも作用するとされるのが興味深いですね。それ故に王好古は衝脈の病をも主るとしているのでしょう。

『薬能方法弁』朮

※引用文はできる限り原文引用しておりますが、ヿや𪜈などの合略仮名は現代仮名に変換しています。この点ご容赦ください。

『古訓医伝』薬能方法弁 白朮

白朮
古訓方中に白朮とあれども其実は蒼白を別たず。本艸も然り。故に二朮通用して可なり。此猶敗醤に花の黄白あれども、其功異ならざるが如し。其内にも若根の白朮と舶来の蒼朮の二種、古訓の朮の効能あり。舶来の白朮の如きは、水気を利導するの功なし。但後世補薬の中に組合わせたれども、歴然たる功を辨明する者なし。実に无用の物なり。識者これを察せよ。
夫れ二朮俱に、湿を散じ痰を消し水道を利し、二便を通ず。故に水気を通流するの主薬たり是を以て小便を通じ、大便を利し、腫気を消し、一身骨節の疼痛を治す。其功、茯苓と相通じて辨別あり
茯苓は水の逆行を下降するを主とし、白朮は内外の水道を通利するを主とす。故に二味相合するときは水気を順通すること尤も速なり。然れども茯朮各其功ありて異なり。左(下)に辨ずる方法を観て、其詳なるを知るべし。

桂枝去桂加茯苓湯、白朮三両。既に茯苓の条にに辨ずる如し。微痛有が故に、心下の水迫ること甚し。故に苓朮相合して其水を和す。
苓桂朮甘湯、白朮二両。これ苓桂朮棗湯に比すれば、其水上行するのみに非ず。心下逆満、起則頭眩、并に脉緊等、水の逆迫すること、茯苓の繋る㪽よりも甚し。故に苓朮相合して、其水を和す。大に桂枝加苓朮湯の意あり、考べし。
五苓散、朮十八銖。上行外迫の水を下降して、胃中に津液を生ずる也。
真武湯、白朮二両。此亦無水気の變動あり。故に苓朮相合して、其水を和す。此症下利に渉(かかわ)る症あるが故に、朮の繋る㪽、最も徴すべし。
桂枝人参湯、白朮三両。此下利の水を分利して、小便に通ずる者也。理中丸も亦然り。此朮の効、茯苓に異る㪽以なり。
桂枝附子去桂加朮湯、白朮四両、此痞表虚裏脫の風湿にして、水気不順、大便鞕なり。故に朮を加て、水道を利すれば、其水分利して大便快通す。これ亦朮の功、茯苓と異なること如此。
甘艸附子湯、白朮二両。此亦風湿裏脫にして、水気皮表に動き、疼痛屈伸を不得に至る。故に述相合して此症を治す。此症の短氣、小便不利、茯苓と異なり、察すべし。
附子湯、白朮四両。最も主薬たり。此症少陰病にして水血表に縮んで順通を得ず。故に身体骨節疼痛する者なり。此亦朮附の主る㪽なり。
麻黄升麻湯、白朮六銖。此亦苓朮相合して水気を下降するなり。理中丸の白朮、桂枝人参湯の下に説くが如し。
麻黄加朮湯、白朮四両。此麻黄湯の症に裏水の上迫を添たる者也。
候氏黒散、白朮十分。四肢の煩重する、白朮の繋る㪽なり。
桂芍知母湯、白朮五両、この諸肢節疼痛する者、朮附の繋る者多し。此症の如きは、他の七味俱に合して、其功を奏す。
越婢加朮湯、白朮四両、此津液の外に泄るを下降して、下焦に順通せしむる也。
天雄散、白朮八両。此症、失精遺尿して下部寒凍、不仁の甚き者也。天雄以下、四味相合して其症を治す。然れども白朮主にして附子と合せず。天雄と相合する者は、其病毒、寒凍凝結の劇き者なり。
薯蕷丸、白朮六分。其方廿一味。苓朮杏仁有て、水の上行外迫を治する察すべし。
甘姜苓朮湯(苓姜朮甘湯)、白朮二両。此症小便自利すと雖、腰以下冷痛して、其重きこと五千銭を帯るが如しと云り。故に苓朮相合して甘艸干姜と俱に水気陽気両を宣暢順通せしむる也。
沢瀉湯、白朮二両。此心下の支飲にて、胃眩の苦む者は、水飲の上迫すること察すべし。
外臺茯苓飲、白朮三両。此方茯苓枳実橘皮あり。水飲凝迫の甚き者也。茯苓の条と併せ観るべし。
茯苓戎塩湯、白朮二両。此亦茯苓の条に辨ずるが如し。
越婢加朮湯、已に前に辨ず。然れども裏水にて一身面目洪腫する者と、内熱津液外に泄れ、下焦脚弱の者と、其病状大に異なり。然れども其方同じき者は学者の第一に眼を着べき処なり。其詳なること緯篇に在。併せ観べし。
枳実湯、白朮二両。此水飲心下に凝迫して堅実なる者也。然れども甘遂芫花大戟等の繋る症と、各辨別あり。各条に就て其功を詳にすべし。
黄土湯、白朮三両。此瘀血を以て主とす。然れども其血不和して下るときは水必ず通流を得ず。此乃朮附相合して主る㪽なり。
猪苓散、白朮等分。嘔吐して水膈上に在て、胃中に下降せざるが故也。
茯苓沢瀉湯、白朮三両。既に茯苓の条に辨ぜり。猪苓散とこの方と、猪苓沢瀉の辨別あり。又、五苓散、猪苓湯は猪沢二味相合して用ゆ。各辨別あり。須く精究すべし。
當皈芍薬散、白朮四両。此亦苓朮沢瀉以て當皈芍藥に合す。其辨已に茯苓の下にあり。
當皈散、白朮半斤。此當皈芍薬湯の方意にして血分の勝者也。故に茯苓沢瀉を去りて黄芩を加う。此血に囙(因り)て不和の水を和す。故に朮一味水に繋りて、他は皆血に繋るの薬なり。
白朮散、白朮二分。此症、當皈散に比するに、水血不暢して、陽気も亦内に凝者也。故に血に芎窮あり、気に蜀椒あり、水に白朮牡蛎あり。然れども朮と牡蛎と、其功辨別あり。牡蛎の条に就て併せ観べし。
柴胡飲子、白朮八分。此柴胡の症にして痰飲不和、水血堅く閉る者也。方意に囙(因り)て其功を知べし。

以上の『薬能方法弁』の記載をみるに、朮と茯苓の薬能比較(共通点と差違)について明記してくれているのがありがたいですね。
又ひと口に“利水”といっても、上下のベクトルが示されているのも診断や治療に活かせる情報です。

また宇津木昆台の『薬能方法弁』では『傷寒雑病論』に記載される仲景方のすべてにおいて朮が使用される方剤を抜き出し、各方剤における朮の役割りを比較検討しています。これも非常に重要な情報であるといえます。

茯苓について

『本草綱目』茯苓

※『本草綱目』からの引用は要所を抜き出しており、独断にて一部省略しております。この点ご容赦ください。
※前半に書き下し文・後半に原文を引用しております。

『本草綱目』木部 第三十七巻 木之四 寓木類 茯苓

茯苓
[釈名]…(略)…
[集解]…(略)…
[氣味]甘、平、無毒。
張元素が曰く、性温、味甘にして淡し、気味俱に薄し。浮而して升、陽なり。
徐之才が曰く、馬間之が使と為す。甘草、防風、芍薬、紫石英、麦門冬を得て共に五臓を療する。白蘞を悪み、牡蒙、地楡、雄黄、秦艽、亀甲を畏る。米醋及び酸物を忌む。
陶弘景が曰く、薬に馬間(という名の生薬)無し、或いはこれ馬茎也。
蘇恭が曰く、李氏本草、馬刀を茯苓の使と為す、間の字は草書にて刀字に似る、訛(あやまり)を伝うるのみ。
志曰く、二注は恐らく皆な非まり也。當に是れは馬藺の字なり。
[主治]胸脇逆氣、擾恚驚邪恐悸、心下結痛、寒熱煩滿咳逆、口焦舌乾、利小便(を主治する)久服すれば魂を安んじ神を養い、飢えず年(齢)を延ばす。(神農本草経)
消渇好唾、大腹淋瀝、膈中痰水、水腫淋結を止め、胸腑を開き、臓気を調え、腎邪を伐し、陰を長じ、気力を益し、神気を保つ。(名医別録)
胃を開き嘔逆を止め、善く心神を安んじ、肺痿痰壅、心腹脹滿、小児驚癇、女人熱淋を主る(甄権)
五労七傷を補い、心を開き志を益し、健忘を止め、腰膝を暖め、胎を安んずる。(大明(日華子諸家本草))
渇を止め、小便を利し、湿を除き燥を益し、中を和し気を益し、腰臍間の血を利す。(張元素)
水を逐い脾を緩め、津液を生じ気を導き、火を平らかにし泄を止め、虚熱を除き、腠理を開く。(李杲)
膀胱を瀉し、脾胃を益し、腎積奔豚を治する。(好古)

赤茯苓
[主治]結気を破る(甄権)、心小腸膀胱の湿熱を瀉する、竅を利し水を行らす(李時珍)
茯苓皮
[主治]…(略)…

[発明]陶弘景が曰く、茯苓の白色なる者は補、赤色の者は利す。俗に甚だ多く用いる。仙方には服食すること亦た至要と為す。云く其れ神に通じて霊に致る、魂を和して魄を煉す。竅を利して肌を益す、腸を厚くして心を開く、営を調えて衛を理する。上品の仙薬なり。善(しばしば)能く穀を断ちて飢えず。
寇宗奭が曰く、茯苓に行水の功多し、心脾を益するに缺くべからざる也。
張元素が曰く、茯苓の赤は瀉、白は補。上古に此の説無し。気味は俱に薄く、性浮にして升。その用に五有り。小便を利する也、腠理を開く也、津液を生ずる也、虚熱を除く也、瀉を止める也。如(も)し小便利し、或いは数なる者は、多く服せば則ち人目を損ずる。汗多き人、之を服しても亦た元気を損じ、人を夭する、その淡にして滲むが為なり。又云う、淡は天の陽と為す、陽は当に上行す、何を以て水を利して瀉下するか?氣の薄きは、陽中の陰なり、茯苓が水を利して瀉下する所以。陽の体を離れず、故に手太陽に入る。
李杲が曰く、白(茯苓)は壬癸に入り、赤(茯苓)は丙丁に入る。味は甘にして淡、降なり、陽中の陰なり。その用に六有り。竅を利して湿を除く、気を益して中を和す、驚悸を治す、津液を生ず、小便多なる者は能く止める、小便結する者には能く通ず。又云く、湿淫の勝つ所、小便利せず、淡以て竅を利し、甘以て陽を助く、温平は能く脾を益し水を逐う、乃ち湿を除くの聖薬なり。
王好古が曰く、白(茯苓)手太陰、足太陽経の気分に入る。赤(茯苓)は足太陰、手少陰太陽の気分に入る。腎邪を伐つ。小便多きには能く之を止め。小便渋るには能く之を利する。車前子と相い似ると雖も小便を利して気は走らず。酒浸して光明朱砂と同じく用いれば、能く真元を秘する。
味は甘にして平、如何にして是れ小便を利するか?
朱震亨が曰く、茯苓は松の余気を得て而して成り、金に属す。仲景、小便を利するに多く之を用う。此れ暴新病の要薬なり。若し陰虚する者には、恐れて未だ宜と為さず。此の物、行水の功有りて、久服すれば人を損ず。八味丸に之を用うる者は、亦た接引して他薬を腎経に帰就して、胞中の久陳積垢を去り、搬運の功を為すに過ぎざるのみ
李時珍が曰く、茯苓、本草に又言う小便を利し、腎邪を伐つと。李東垣、王海藏に至りては、乃ち言く小便多く者には能く止め、渋る者には能く通ず、朱砂と同じくして能く真元を秘する、と。而して朱丹渓も又言く陰虚なる者には宜しく用うるべからず、義は似て相い反する、何ぞや?
茯苓の気味は淡にして滲、その性は上行し、津液を生じ、腠理を開く。水の源を滋して下降し、小便を利する。故に張潔古が謂く、其れ陽に属す、浮にして升とは、その性を言う也。東垣が謂う其れ陽中の陰を為す、降にして下すとは、その功を言う也
『素問』に云う、飲食胃に入り、精気を游溢し、上りて肺に輸し、水道を通調し、下りて膀胱に輸す。これを観れば、則ち淡滲の薬、俱に皆な上行して後に下降して、直に下行するに非ざることを知る也。小便多きは、その源も亦た異なる。
『素問』に云く、肺氣盛んなれば則ち便数にして欠す。虚すれば則ち欠欬し、小便遺数す。心虚すれば則ち少氣遺溺す。下焦虚するときは則ち遺溺す、胞、熱を膀胱に移すときは則ち遺溺す。膀胱利せずは癃と為す、約せずは遺と為す。厥陰病むときは則ち遺溺、閉癃す。所謂(いわゆる)肺氣盛んなる者は実熱する也。その人、必ず氣壮んにして脈強し。宜しく茯苓の甘淡を用いて以てその熱を滲するべし。故に曰く、小便多き者には能く止む也。若し夫れ肺虚、心虚、胞熱、厥陰病の者は、皆な虚熱なり。その人、必ず上熱下寒し、脈は虚して弱し、法當に升陽の薬を用いて、以て水を升らせ火を降ろすべし。膀胱は約せず、下焦虚する者は、乃ち火を水に投ず。水泉蔵せず、脱陽の証、その人必ず肢冷え脈遅し。法當に温熱の薬を用い、その下を峻補し、坎離を交済すべし。二証は皆な茯苓輩の淡滲の薬の治するべき所に非ず。故に曰く、陰虚の者には宜しく用いるべからざる也。仙家には服食の法が有ると雖も、亦た當に人に因りて用いるべきなり。
[附方]…(略)…
茯神…(略)…

■原文
茯苓
[釈名]…(略)…
[集解]…(略)…
[氣味]甘平無毒。 元素曰、性温味甘而淡、氣味俱薄。浮而升、陽也。 之才曰、馬間為之使。得甘草、防風、芍薬、紫石英、麦門冬、共療五藏、惡白蘞、畏牡蒙、地楡、雄黄、秦艽、龜甲、忌米醋及酸物。弘景曰、藥無馬間、或是馬茎也。 恭曰、李氏本草、馬刀為茯苓使、問字草書似刀字、傳訛爾。 志曰、二注恐皆非也。當是馬藺字。

[主治]胸脇逆氣、擾恚驚邪恐悸、心下結痛、寒熱煩滿咳逆、口焦舌乾、利小便、久服安魂養神、不饑延年。(本經) 止消渇好唾、大腹淋瀝、膈中痰水、水腫淋結、開胸腑、調臓氣、伐腎邪、長陰、益氣力、保神氣。(別録) 開胃止嘔逆、善安心神、主肺痿痰壅、心腹脹滿、小兒驚癇、女人熱淋(甄権) 補五勞七傷、開心益志、止健忘、煖腰膝、安胎。(大明) 止渇、利小便、除濕益燥、和中益氣、利腰臍間血。(元素) 逐水緩脾、生津導氣、平火止泄、除虚熱、開腠理。(李杲) 瀉膀胱、益脾胃。治腎積奔豚(好古)

赤茯苓
[主治]破結氣(甄権)、瀉心小腸膀胱濕熱、利竅行水(時珍)
茯苓皮
[主治]…(略)…

[發明]弘景曰、茯苓白色者補、赤色者利。俗用甚多、仙方服食亦為至要。云其通神而致靈、和魂而煉魄、利竅而益肌、厚腸而開心、調營而理衛、上品仙藥也。善能断穀不飢。 宗奭曰、茯苓行水之功多、益心脾不可缺也。 元素曰、茯苓赤瀉白補。上古無此説、氣味俱薄、性浮而升、其用有五、利小便也、開腠理也、生津液也、除虚熱也、止瀉也。如小便利、或數者、多服則損人目。汗多人服之、亦損元氣、夭人、為其淡而滲也。又云、淡為天之陽、陽當上行、何以利水而瀉下。氣薄者、陽中之陰、所以茯苓利水瀉下。不離陽之体、故入手太陽。 杲曰、白者入壬癸、赤者入丙丁。味甘而淡、降也、陽中陰也。其用有六、利竅而除濕、益氣而和中、治驚悸、生津液、小便多者能止、小便結者能通。又云、濕淫所勝、小便不利、淡以利竅、甘以助陽、温平能益脾逐水、乃除濕之聖藥也。 好古曰、白者入手太陰、足太陽經氣分。赤者入足太陰、手少陰、太陽氣分。伐腎邪。小便多、能止之。小便澀、能利之。與車前子相似、雖利小便而不走氣。酒浸與光明朱砂同用、能秘真元、味甘而平、如何是利小便耶。 震亨曰、茯苓得松之餘氣而成、屬金。仲景利小便多用之、此暴新病之要藥也。若陰虚者、恐未為宜。此物有行水之功、久服損人。八味丸用之者、亦不過接引他藥帰就腎經、去胞中久陳積垢、為搬運之功爾。 時珍曰、茯苓本草又言利小便、伐腎邪。至李東垣、王海藏、乃言小便多者能止、澀者能通。同朱砂能秘真元。而朱丹渓又言陰虚者不宜用、義似相反、何哉。茯苓氣味淡而滲、其性上行、生津液、開腠理。滋水之源而下降、利小便。故張潔古謂、其屬陽、浮而升、言其性也。東垣謂其為陽中之陰、降而下、言其功也。素問云、飲食入胃、游溢精氣、上輸于肺、通調水道、下輸膀胱。観此、則知淡滲之藥、俱皆上行而後下降、非直下行也。小便多、其源亦異。素問云、肺氣盛則便數而欠。虚則欠欬、小便遺數。心虚則少氣遺溺。下焦虚則遺溺、胞移熱于膀胱則遺溺。膀胱不利為癃、不約為遺。厥陰病則遺溺閉癃。所謂肺氣盛者、實熱也。其人必氣壮脉强。宜用茯苓甘淡以滲其熱、故曰小便多者能止也。若夫肺虚、心虚、胞熱、厥陰病者、皆虚熱也。其人必上熱下寒、脉虚而弱、法當用升陽之藥、以升水降火。膀胱不約、下焦虚者、乃火投于水、水泉不藏、脱陽之証。其人必肢冷脉遅。法當用温熱之藥、峻補其下、交濟坎離。二証皆非茯苓輩淡滲之藥所可治。故曰陰虚者不宜用也。仙家雖有服食之法、亦當因人而用焉。
[附方]…(略)…
茯神…(略)…

茯苓には赤茯苓と白茯苓があり、赤茯苓は瀉(心経・小腸経)、白茯苓は補(腎経・膀胱経)の性質を持つ、という[発明]李東垣の説も理解しやすいですね。
同じく[発明]の張元素の説では「茯苓の功に5つあり」また李東垣の説では「茯苓の功に6つあり」とありますがどちらもみるべき情報です。
また朮は主に脾胃に関わりが深かった点が印象的ですが、茯苓は脾胃のみならず腎にも関係が深いことが書かれています。この点も茯苓が地黄丸の一員として運用される理由としてみることもできるでしょう。

茯苓の薬能で興味深い点は、上下升降が明瞭に記されていることです。「茯苓氣味淡而滲、其性上行、生津液、開腠理。滋水之源而下降、利小便。」とあるように、上行と下降の薬能ベクトルが記されています。張潔古がいう「浮而升」と李東垣がいう「降而下」はそれぞれ性と功を示しているのですよ、と続く後文に記されています。
この茯苓の「上行」「浮而升」という性質は、利竅(竅を利する)という薬能に結びつくのでしょう。

『薬能方法弁』茯苓

※引用文はできる限り原文引用しておりますが、ヿや𪜈などの合略仮名は現代仮名に変換しています。この点ご容赦ください。

『古訓医伝』薬能方法弁 茯苓

茯苓
専ら水気の逆行を下降し、小便を利し、心下悸、煩躁、驚悸を治し、頭眩、奔豚、痰飲、水腫を和し、淋瀝泄泻を治し、腹滿を消し、津を生じ、渇を止め、能有根の水の動搖を和順す。其他の効能、人の能知㪽なれば贅せず。左に辨ずる方法に就て、これを詳にすべし。

桂枝去桂加茯苓白朮湯、茯苓三両。此症、桂枝湯を服して、裏水心下に滞り、小便不利して微痛あり。故に白朮を合して、其水を下降し、小便に通ずる也。
苓桂甘棗湯、茯苓半斤。此発汗後、気逆に囙(因り)て、裏水上行し、更に下部の水を上提せんと欲して、臍下悸する也。其勢い欲作奔豚なり。痛なし。故に朮なし。
苓桂朮甘湯、茯苓四両。此症、傷寒の為に裏水を動かされ、吐或は下の後、水気上迫し、心下より頭面に至るまで、逆行す。故に起則頭眩すと云り。若発汗して血分を動し、振々揺くことをなす。皆水気の變なり。故に苓朮相合して、其水を治し、桂甘相助て、其気逆を和する也。
茯苓四逆湯、茯苓六両、此症、汗下に囙(因り)て、裏気虚脫し、虚気上行して水気をして逆行せしむ。故に茯苓有て白朮なし。但水の逆行を下降するのみ。
五苓散、茯苓十八銖。此胃中の水外行して、津液内に亡ぶ。故に外行の水を下降して、胃中に行らすときは愈。猪苓澤瀉白朮俱に水を行らすの薬なり。茯苓に水を下降し、津を生じ、渇を止るの功あり。察すべし。緯篇痰飲病篇に曰、𦜝下有悸、吐涎沫而癲眩、此水也、五苓散主之。とあり、併せ観べし。
茯苓甘艸湯、茯苓二両。此症水気動躍して、咽喉に迫りて喘鳴促迫す。此症の茯苓、水の上行動躍を和する、最も速なり。生姜三両有て、水の動搖を和す。其詳なること経篇厥陰病にあり。
真武湯、茯苓三両。此症、茯苓四逆湯に似て、辨別あり。陽気外に脫して水も亦外漏動搖す。故に心下悸、頭眩、身瞤動、振々たる者、皆陽気の脫するに囙(因り)て、水の動く者也。少陰篇の本条の如きも亦曰、有水気て、水の變動を示す。故に下利する者、不下利者、小便も利不利あり。四肢沈重疼痛、或は欬嘔する、皆水の變動也。苓朮の功知るべし。小柴胡湯方後に若心下悸、小便不利者、加茯苓四両、これ茯苓の功、自ら明かなり。柴胡竜骨牡蛎湯、茯苓一両半、小便不利、一身尽重者、乃ち水の迫り温るゝ者察すべし。
猪苓湯、茯苓一両、此血津液を失して、水と和合せず。水血偏倚して、各其用を失う者也。五苓散に比するに、桂枝白朮と阿膠滑石との別ありて、猪苓湯、澤瀉茯苓、各水の逆行を下降する功あり。又、猪苓湯、下利欬嘔を治するの功あり。
附子湯、茯苓三両。此陽気収縮し、水血寒凝の致す㪽なり。苓朮の功、水気に繋ること明なり。
麻黄升麻湯、茯苓六銖。水血咽喉に欝して、膿血を唾す。この苓朮、水の上行を和する也。理中丸の方後に、悸者、加茯苓二両、と云り。此症、元是、霍乱、吐下、腹中寒て、温湯を好む者なり。若水胸裏に集るときは悸する也。此胃気脫せんとす。故に茯苓を加るときは甘姜苓朮湯(苓姜朮甘湯)の意ありて、人参を加えたる者なり。理中丸の意、察すべし。
候氏黒散、茯苓三分。此症、水血内に縮んで下降せず。菊花四十分を主とし、白朮防風各十分を次とし、桔梗八分を其次とし、黄芩五分を又其次とす。其他の薬味皆三分。此茯苓は白朮を助て、水の逆行を和する也。
八味丸、茯苓三両、沢瀉と共に水気を利す。其症、小便不利、又は轉胞の症有が故なり。黄芪建中湯の方後に腹滿者加茯苓一両半と有、此症、虚労裏急、諸不足者、加るに腹滿を以てするときは、其水の逆行を失う者也。他の実症の腹滿に非ず。
薯蕷丸、茯苓五分、此亦苓朮相合して、其症の水を利する也。
酸棗湯、茯苓二両、虚煩不得眠者は、必気逆して静定ならざる者也。囙(因り)て水気も亦逆行す。茯苓を繋ぐこと察すべし。
茯苓杏仁甘艸湯、茯苓三両、此胸痺にして、気塞るときは水気も亦俱に胸中に集る、故に短気す。此乃茯苓の主る㪽なり。
赤丸、茯苓四両。此症腹中寒気厥逆は、烏頭細辛の繋る㪽なり。然るに茯苓半夏を以て主薬とするときは、水飲の心胸に停在するや明なり。
甘姜苓朮湯(苓姜朮甘湯)、茯苓四両。此陽気不順、水気の滞る者也。四味の功歴然たり。
木防已去石膏加茯苓芒硝湯、茯苓四両。此膈間の支飲、三日復発して実症也。故に芒硝実を下し、茯苓にて木防已の功を助る者也。
小半夏加茯苓湯、茯苓三両。或は四両。膈中水有て、眩悸するは水の湛え動く者也。故に半夏生姜と共に其水を通利する也。
外臺茯苓飲、茯苓三両。停痰宿水は素より此方の主る㪽。吐出して後、其痰飲和せざる者も亦主之なり。能食気を胃中に下降するの功あり。
苓桂五味甘艸湯、欝冒上衝して、小便難なる者、此方の主る㪽也。緯篇に辨ずる㪽を観て、此方の繋る㪽を知べし。
括蔞瞿麦丸、茯苓三両。此症、小便淋瀝して通ぜず。腹中寒て手足水気あり。八味丸の意あって、血の變なく、但陽気暢ずして水気の不順なる症也。茯苓瞿相合して其水を通ず。
茯苓戎塩湯、茯苓半斤。此主として水気を利す。戎塩の功、別に有条。
防已茯苓湯、茯苓六両。最主薬たり。防已黄芪と合して皮膚中の水を通利す。
木防已加茯苓芒硝湯の防已茯苓相合する者と併せ観べし。
猪苓散、三味各等分、嘔吐の後、水膈上に在。故に胃中无水。此れ水を思う所以なり。渇して欲飲水者に非ず。故に膈上の水を和して、胃中に下降すれば愈也。
茯苓沢瀉愈、茯苓半斤。最も主薬たり。胃反吐而渇す、故に水を飲んと欲す。猪苓散に似て、猪苓沢瀉の別あり。五苓散の猪苓を去、甘艸生姜を加る方也。又、苓桂朮甘湯に沢瀉生姜を加る方也。又、茯苓甘艸湯に沢瀉白朮を加る方也。而して其主治不同。以上の諸方を歴観して其辨別を知べし。此乃其合する㪽の薬味に囙(因り)て、一味の功、轉換窮り無を知べし。一切の薬能、皆この意を以て察すべし。
桂枝桔梗湯、茯苓五分。上部の水を下降して、小便に通ず。
桂枝茯苓丸、茯苓等分、主として癥痼を下す。然れども、茯苓の功、漏下不止、胎動在𦜝上者に繋れり。此牡蛎竜骨の症に似て非なり。胎動の症を詳にすべし。
當帰芍薬散、茯苓四両。此症、水血相結て、腹中㽲痛する者也。苓朮沢瀉の水、芎皈芍薬散の血、相合する者也。此方活用最廣し。余、毎に打撲、或いは偏枯、又は右脇の積聚、其外水血右に結びたる症に用いて、奇功あり。緯篇の本条の觧をも併せ観べし。
葵子茯苓散、茯苓三両。此妊娠に囙(因り)て水気上行し、小便不利者也。其症、猪苓湯に似て辨別あり。猪苓湯は水血別々になりて和合せず。血津液を失て渇する者なり。この方は妊娠にして血聚滞すと雖、別に血に變なし。然れども葵子、よく血中の水を和するときは茯苓と相合して妊娠中の小便不利を治す。常の小便不利と辨別あるをも察すべし。
半夏厚朴湯、茯苓四両。此症、七気の欝滞に囙(因り)て水気迫り上て致す㪽なり。半夏厚朴茯苓三味、皆水に變ありて各其功を異にす。詳にすべし。
已上、茯苓の功、主として水気を下降通利するに在と雖、又傍ら能く血分に滋潤をめぐらすの功あるときは、水を順らす餘光にて生津止渇の功、其中に在ること察すべし。

朮の項にて「茯苓は水の逆行を下降するを主とし、白朮は内外の水道を通利するを主とす。」との記載文が端的に茯苓の性質を示してくれています。

また茯苓の項では「有根の水の動揺を和順する」とあり、これは『本草綱目』の記載「去胞中久陳積垢」とも通ずる内容かと解釈します。このようにみると、同じ水でもその部位・性質などが異なることが分かります。そしてこれらの理解が診断や治療に大きく影響してくるのは言うまでもありません。

鍼道五経会 足立繁久

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