五行にも陰陽あり

鍼道五経会の足立です。

今回の記事はおなじみの五行に関する考察です。

相生と相剋だけではない五行

五行の相関関係には、相生関係と相剋関係のふたつは鍼灸学校でも習うことかと思います。学校や先生によっては相剋の反対の相侮の関係も指導されるかもしれませんね。

五行に陰陽を加えると

しかし、五行(木火土金水)をもう少し詳しくみる必要があります。

なぜなら五行にも陰陽があるからです。木には木の陰陽があります。同様に火の陰陽、土の陰陽、金の陰陽、水の陰陽があります。

すなわち甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸であり、これを十干(天干)といいます。

木の陽と陰が甲と乙 “きのえ”と“きのと”
火の陽と陰が丙と丁 “ひのえ”と“ひのと”
土の陽と陰が戊と己 “つちのえ”と“つちのと”
金の陽と陰が庚と辛 “かのえ”と“かのと”
水の陽と陰が壬と癸 “みずのえ”と“みずのと”です。

身近に在る五行思想

この十干は暦にも使われており、天の氣の運行を表す字として使われています。
この時期におなじみの高島易断発行の来年の暦。各書店でお求めになれます。

今年2017年は丁酉の歳なので、火の歳にあたるのです。さらに丁を冠しているので火でも火陰の歳となります。
そして来年(節分)では戊戌の歳ですので、土陽の歳となります。

いうまでもないことですが、酉や戌は十二支のことであり、子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥も暦(時間)を測るひとつです。天干に対して地支と呼ばれ、天干・十干の陽に対して地支・十二支は陰に属します。奇数と偶数の陽陰です。

もちろん、天干も地支もそれぞれ五行に配当することができます。

身近なことにも五行の思想は活用されています。特に暦は天の運行を推し測るものなので、五行という基準で規則的に分析する必要があるのでしょう。

そして東洋思想のひとつ 天人合一という視点から見ても、天も人も五行という基準でもみることができるというのことは大事なことであります。

さて、話は戻って五行の相関関係
相生関係…木生火、火生土、土生金、金生水、水生木…
相剋関係…木剋土、土剋水、水剋火、火剋金、金剋木…という関係もわかりやすいのですが、この相関関係に十干(甲乙丙丁戊己庚辛壬癸)を入れて見直してみましょう。

その視点で書かれているのが難経三十三難です。

難経三十三難にある相剋関係

三十三難の一部を抜粋しますと…

「然り。肝は純木と為すに非ざるなり。乙は角なり。庚の柔。大言すれば陰と陽。小言すれば夫と婦。その微陽を釈てその微陰の気を吸う。その意、金を楽しむ。又、陰道を行くこと多し。…」
「肺は純金と為すに非ざるなり。辛は商なり。丙の柔。大言すれば陰と陽、小言すれば夫と婦。その微陰を釈て婚して火に就く。その意、火を楽しむ。又、陽道を行くこと多し。…」
※釈はとく、すてる…とも読みます

とあり、相剋関係は夫婦関係であると言い表しています。

肝は純木に非ず…つまり木にも甲(木陽)乙(木陰)があり、肝は木の陰です。そして胆が木陽です。木陰である肝は純木ではないということです。

木陰・乙(肝)は金に剋される側の木です。そして剋する側の金は庚(金の陽)です。
外向きに働きかけるものが陽で、受け入れる側が陰です。ですから金陽が木陰を剋します。

すなわち金剋木は庚剋乙なのです。十干を入れて相剋関係を書き直しますと次のようになります。

木剋土=甲剋己
土剋水=戊剋癸
水剋火=壬剋丁
火剋金=丙剋辛
金剋木=庚剋乙

三十三難では相剋関係を単なる制御する関係と説かずに夫婦関係と表現しています。ですから「乙は…庚の柔」と言い表しているのでしょう。

陽である夫は陰である妻に働きかけるのです。今でいうプロポーズするのは男性の役目ということですね。
この話は日本神話にも共通するものがありますね。伊邪那岐命と伊邪那美命の国産みの神話です。

しかし、ここは五行に戻りましょう。まだ相生関係が残っています。

プロポーズを受けた陰干は…

相生関係については三十三難では触れられていません。ですが相剋の夫婦関係に対し、相生は母子関係です。

母が子を産む…つまり陰が陽を生じる流れです。

ですので、先ほどの剋された陰が陽を産むのです。今風に言い表すとプロポーズを受け結婚した妻(陰)が子(陽)を生じます。

庚に剋された乙(庚剋乙・金剋木)は火を生じます。乙木に生みだされる火は火の陽・丙です。以下にシンプルに書き出します。

木生火=乙生丙
火生土=丁生戊
土生金=己生庚
金生水=辛生壬
水生木=癸生甲

なんだかややこしくなってきましたね。ここまでの相剋・夫婦関係と相生・母子関係を図にまとめると下図になります。

ちょっとややこしいでしょうか…。

木火土金水を消すと、甲乙丙丁戊己庚辛壬癸のみになります。
それが下図です。まだ先ほどの図より見やすい…かもです。

丸に五芒星の図(相生と相剋の図)も美しいですが、この夫婦関係と母子関係を入れた図もなかなか美しいと思えるのです。
このイラストではうまく表現できませんでしたが、外向ベクトルと内向ベクトルが混在した風車です。

鍼灸にどう活かす?

この五行、十干の考えは鍼灸の治療配穴に活かすことができます。というよりも歴代の鍼灸家はすでに実践しています。

『子午流注針経』『針経指南』『扁鵲神応針灸玉龍経』などの金元時代の鍼灸書には、天干はもちろん地支、時間の概念を鍼灸治に取り入れられています。
この三冊がコンパクトにまとまったのがこの『針経三書』亜東書店さんで購入できます。なんと777円で。

その最たるものが飛騰八法や霊亀八法でしょう。しかしながら、この鍼法に関しては私は詳しくありませんので、得意な方に話を譲らせていただくとします。

もっとシンプルな配穴にも十干の観念は使われています。

臨泣-太白(木陽が土陰を剋する)
三里-太谿(土陽が水陰を剋する)
合谷-太衝(金陽が木陰を剋する)

などは十干を意図した鍼灸配穴とも言えるでしょう。もちろんこれらの配穴には他の狙いもあるでしょうし、これ以外の配穴もあることでしょう。たとえば、陰経陽経の表裏関係もこの夫婦関係を成している部分もあります。

とはいえ、五行の関係を一段階深くみること自体に意味はあるかと思います。

またさらなる続きを私も考えていきます。
ということで、今回は五行とその陰陽について…でした。

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