ウサギ料理に挑戦 附 ウサギ肉の本草学情報

ゴケイメシ・レポートです

10月の講座【医書五経を読む】の宴では、ウサギ料理に挑戦しました。

調べてみると、どうやらサギ肉は多くの国でよく食されている食材のようです。
今回はスペイン料理の「パエリア」、イタリア料理の「カチャトーラ」に挑戦しました。


写真:ウサギ肉のパエリア


写真:ウサギ肉のカチャトーラ

ここで恒例の(?)簡単レシピMEMOです。なぜレシピをメモしておくのか?
美味しかった料理はまたいつか食べたくなる日がくる。その来たるべきときのために記録を残しておくのです。

うさぎのカチャトーラのレシピ

うさぎのカチャトーラのレシピ・MEMO

■ 材料
・ウサギ肉(もも肉 170g × 2 ; 背肉 300g)
うさぎ肉はその骨から出汁がとれるとのこと。大腿骨も脊骨、どちらも髄があり、良い出汁が取れそうです。カチャトーラ・パエリアに両肉等分で使用します。カチャトーラは、肉のゴロゴロ感を楽しむため、やや大きめに切り分けます。

A
・オリーブオイル(適量)
・ニンニク(ごく少量)
・セロリ 1/2本
・タマネギ 1個
・西洋人參 1/2本

B
・ホールトマト缶 1缶
・マッシュルーム(1パック)
・薄力粉(少々)
・塩(適量)
・赤白ワイン(適量)

①ウサギ肉は白ワインを振りかけ、薄力粉をまぶしておきます。
②Aの材料を程よく炒めます。野菜は基本的にみじん切り。火が通ったら、煮込み用の鍋に移し入れます。
②ウサギ肉をフライパンで炒めます。表面をパリッと焼いたら、①鍋に投入。

画像:表面を焼いたウサギ肉をお鍋に投入

③さらにホールトマトを入れ、マッシュルームも加えて煮込みます。
④赤ワイン(今回はイタリアワイン)を適量加え、塩で味を整えて完成です。

次にパエリアのレシピMEMOです。

うさぎのパエリアのレシピ

うさぎのパエリアのレシピMEMO

■ 材料
・ウサギ肉(もも肉 170g × 2 ; 背肉 300g)
うさぎ肉はその骨から出汁がとれるとのこと。大腿骨も脊骨、どちらも髄があり、良い出汁が取れそうです。カチャトーラ・パエリアに両肉等分で使用します。パエリアでは、肉を小さめに切り分けます。

A
・オリーブオイル(適量)
・ニンニク(ごく少量)
・セロリ 1/2本
・タマネギ 1個
・西洋人參 1/2本
・むきエビ (1パック)

B
・ホールトマト缶 1缶
・マッシュルーム(1パック)
・パプリカ 1個
・生米(お玉2杯分)
・塩(適量)
・白ワイン(適量)
・ブイヨン(市販の物)

①Aの材料を程よく炒めます。野菜は基本的にみじん切りです。火が通ったら、別器に移動。
②ウサギ肉を炒めます。表面をパリッと焼いたら、①と合流。
③さらにホールトマトを入れ加熱します。
④ここでお米(洗わない)を投入。分量は〔フライパン大に対してお玉2杯分〕です。
ここでは敢えてお米とホールトマトの投入順を逆にしました。(野菜分量の多さ・使用できる食器の数のため)
⑤盖なしで加熱し、お米にほどよく火が通ったら、パプリカ・セロリ葉を散らし入れて完成。

カチャトーラ・パエリアともに、メインディッシュとなる献立で、2品並行して作れるか少々心配でもありましたが、材料と調理過程はほぼ同じなので、まずまずスムーズに楽しく調理できました。


写真:ゴケイメシ・クッキングを楽しむ二人

味はどちらも美味!
カチャトーラは赤ワインを加えましたが、赤ワインを加えると香りと味に深みが増すことが分かりました。
パエリアは濃厚な旨味がギュッと凝縮しており、これもまた美味!
メインディッシュ2品が並ぶ食卓でしたが、おかわりの連続で、あっという間に完食いたしました。

さて次は恒例の食物本草情報です。
食して血肉にし、脳にもその情報を蓄える…これはキホンであります。

ウサギに関する食物本草情報

『日養食鑑』

『日養食鑑』(石川元混 著 1819年)から以下の引用です。

『日用食かがみ』

うさぎ 兔

甘冷 毒なし
消渇、反胃を治し、熱を消し、血を涼す。小兒の痘毒を解す。

涼血の性を持ち、痘毒を解する、という効能は実に興味深いですね。これは次の『閲甫食物本草』の引用にもつながる情報でもあると個人的には考えています。

『閲甫食物本草』

『閲甫食物本草』(名古屋玄医 寛文9年(1669年)自序)から以下の引用。

『閲甫食物本草』

氣味 辛平、毒無し
『名医別録』に曰く、中を補い氣を益す。
『日華(日華諸家本草?)』が曰く、熱氣湿痺、渇を止め、脾を健にす、炙り食して丹石の毒を壓(おう)す。
孟詵が曰く、酸冷。
李時珍が曰く、甘寒、血を涼し、熱毒を解し、大腸を利す。
陶弘景が曰く、兔肉を羹と為して、人を益す。妊娠(妊婦は)食すべからず、子をして唇を缺けしむ。姜橘(生姜・橘)と同じく食すれば、人をして心痛霍乱せしむ。又、芥(芥子・芥菜か?)と同じく食うべからず。
藏器が曰く、兔の尻に孔有り、子は口より出づ、故に妊婦之を忌む。独り缺唇を為すに非ざる也。大抵久しく食えば人の血脉を絶し、元氣陽事を損ねる。人をして痿黄せしむ。
八月より十月に至りて食うべし。余月は人の神氣を傷る。
兔死して眼合する者、人を殺す。

■原文 兔
氣味 辛平、無毒
別録曰、補中益氣。
日華曰、熱氣濕痹止渇健脾、炙食壓丹石毒。
孟詵曰、酸冷。
時珍曰、甘寒、涼血解熱毒、利大腸。
弘景曰、兔肉為羹、益人。妊娠不可食、令子缺唇。與姜橘同食、令人心痛霍亂。又不可同芥食。
藏器曰、兔尻有孔、子從口出、故姙婦忌之。非獨為缺脣也。大抵久食絶人血脉、損元氣陽事。令人痿黄。八月至十月、可食。餘月傷人神氣。兔死而眼合者殺人。

『名医別録』では「補中益気」の効を示していますが、どうもそれだけではなさそうな効能が列挙されています。

妊婦が食すると産まれてくる子の唇が缺(かける)とは欠唇・兎唇のことをいうのでしょうか。ま、これは医学的な情報ではないので、置いておきましょう。他にも妊婦が忌む食材である情報が見受けられます。
その理由として、血分にまで影響を及ぼす食材であるため、妊婦への禁忌として記載されているのではないでしょうか。
とくに陳藏器の説「久食絶人血脉、損元氣陽事」はウサギ肉を常食することで、血脈に絶するとしています。仮にこのような性質が兎にあるとすれば、確かに妊婦にとっては禁忌食材でしょうね。
また「元氣・陽事を損なう」という性質は、男性にとっても忌々しき効能といえるでしょう。どちらをみても生殖に関わる性質であるとみることもできます。

次に『本草綱目』(明代 李時珍 1596年)の情報をみてみましょう。『本草綱目』では兎の項目に「肉」「脳」「骨」「肝」「皮毛」「屎(糞)」など各部位や“ウサギの落とし物”にまで薬能が記されています。
今回は主にウサギ肉をいただいたので「肉」の薬能を引用します。といっても『閲甫食物本草』が、『本草綱目』の情報をほとんど写していますので、上記内容とほぼ重複しますが…。

『本草綱目』

…(略)…
肉 [氣味]辛平、毒無し
孟詵が曰く、酸冷。
…(略)…
陶弘景が曰く、兎肉を羹と為して、人を益す。妊娠(妊婦は)食すべからず、子をして唇を缺けしむ。鷄の肉及び肝・心を合すべからず、食せば人をして面黄せしむ。獺肉と合せて食せば、人をして遁尸を病ましむる。生姜・橘と同じく食せば人をして心痛霍乱せしむ。又、芥(芥子・芥菜か)と同じく食すべからず。
藏器が曰く、兎の尻に孔有り、子は口より出づる故に妊婦は之を忌む。独り缺唇を為すに非ざる也。大抵久しく食えば人の血脉を絶し、元氣、陽事を損ねる。人をして痿黄せしむ。
八月より十月に至りて食うべし。余月は人の神氣を傷る。
兔死して眼合する者、人を殺す。
[主治]
補中益氣。(『名医別録』)
熱氣湿痺、渇を止め、脾を健にす、炙り食して丹石の毒を壓(おう)す。(日華諸家本草?)
腊月(師走)に醤と作して食せば、小児の豌豆瘡を去る。(薬性本草?)
血を涼し、熱毒を解し、大腸を利す。(李時珍)
[発明]
寇宗奭が曰く、兎は、明月の精。白毛の有る者、金の氣を得て、薬に入れて尤も効あり。凡そ兎は秋深まる時に至りて食すべし、金氣の全き也。春夏に至れば則ち味変ずる。然るに醤と作して必ず五味を用う。
既に豌豆瘡を患いて、又この物(兎)を食せば、毒を発すること太だ甚しく、斑爛して人を損なうことを恐る。
李時珍が曰く、兔は冬月に至りて木皮を齕(か)む、已に金氣を得て氣は内に実する、故に味わい美なり。春に至りて草麦を食む、而して金氣は衰ろう、故に美ならざる也。
今俗に小児の(兎)を飼うを以て、出痘の稀にせしむと云う。蓋し亦その性寒にして解熱を解するに因るのみ。故に又、能く消渇を治し、丹石毒を壓する。若し痘が已に出で、及び虚寒の者には、宜しく之を戒しむべし。
劉純の治例に云う、反胃、結腸の甚しき者の治し難きに、常に兔肉を食すれば則ち便は自ずと行わる。(これも)又、その性の寒利する証なるべし。

■原文 兔
…(略)…

[氣味] 辛平、無毒
詵曰、酸冷。
…(略)…
弘景曰、兔肉為羹、益人。妊娠不可食、令子缺唇。不可合鷄肉及肝心食令人面黄。合獺肉食、令人病遁尸。與姜橘同食、令人心痛霍乱。又不可同芥食。
藏器曰、兔尻有孔、子従口出、故妊婦忌之。非獨為缺脣也。大抵久食絶人血脉、損元氣、陽事、令人痿黄。八月至十月、可食。餘月傷人神氣。兔死而眼合者殺人。
[主治]
補中益氣。別録。
熱氣濕痹、止渇健脾、炙食壓丹石毒。日華。
腊月作醤食、去小兒豌豆瘡。藥性
涼血、解熱毒、利大腸。時珍。
[發明]
宗奭曰、兔者、明月之精。有白毛者、得金之氣、入藥尤効。凡兔至秋深時可食、金氣全也。至春、夏則味変矣。然作醤必用五味、既患豌豆瘡、又食此物、發毒太甚、恐斑爛損人。
時珍曰、兔至冬月齕木皮、已得金氣而氣内實、故味美。至春食草麦、而金氣衰、故不美也。今俗以飼小兒、云令出痘稀、蓋亦因其性寒而解熱耳。故又能治消渇、壓丹石毒。若痘已出、及虚寒者、宜戒之。劉純治例云、反胃、結腸甚者難治、常食兔肉則便自行。又可證其性之寒利矣。
…(略)…

[発明]にある寇宗奭の説「兔者、明月之精。……凡兔至秋深時可食、金氣全也。」という記載もおもしろいですね。このこは陳藏器も同じ主旨の記載を残しています。8-10月(もちろん旧暦における)秋が兎の旬であると。そして他のシーズンでは「神氣を傷つける」とまで言っています。

上に触れた“妊婦には禁忌食材”といい、“元氣陽事を損なう”といい、“神氣を傷る”といい、どうもウサギとはハイリスクな食材のようです。

ハイリスク食材とは書きましたが、メリットが無いわけではありません。興味深いのは痘瘡(天然痘)に効果(影響力)があるという薬能です。「小兒の痘毒を解す」(『日養食鑑』)、「去小兒豌豆瘡。」(『本草綱目』)といい、血熱系の感染性の斑疹に効果があると認識されていたようです。
その知名度は、当時の民間では“痘瘡避けの(痘瘡を軽くする)ために子どもたちが兎を飼育していた”ようです。「今俗以飼小兒、云令出痘稀」
なるほど、日本でも昭和の頃、たいていの小学校では、その運動場の片隅みでウサギを飼育していたものでした。もしかして、この“痘瘡避け”の名残りなのでしょうか(笑)。
冗談は置いておくとして、その根拠として「蓋亦因其性寒而解熱耳。」とし、兎肉がもつ「性寒」「解熱」の性を挙げています。
夏が過ぎて秋季に入るころ、血分などやや深層に潜む伏熱を処理するために、兎肉を食すると良い…と、このようにも解釈できそうですね。

鍼道五経会 足立繁久

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