山茱萸のお勉強

この秋の遠足『生薬探偵と一緒に山茱萸を楽しむ』に備えて山茱萸についての基礎知識をお勉強です。

代表的な本草書、三冊に記されている山茱萸の効能をピックアップします。

本草書に記される山茱萸の効能

代表的な本草書、三冊に記されている山茱萸の効能をピックアップします。
生薬の専門家ではないので、詳しく検証はできませんが、
ひと通り目を通すことで山茱萸の全体像が見えてくるのではないでしょうか。

まずは神農さまが体を張ってリサーチしたという伝説をもつ本草書『神農本草経』です。
『神農本草経』では中品に分類されています。
効能からみて上品に分類されているのかと思っていたですが、意外ですね。

『神農本草経』中品

山茱萸;味酸、平
心下邪気、寒熱を主治し、中を温め、寒湿痹を逐い、三虫を去る。
久服すれば身軽し。
一名を蜀棗という。
山谷に生える。

とはいえ、『本草経』に記されている薬能をみると
久服すれば、軽身の功ありとは書かれているものの、さほど補薬としての効能は少ないみたいです。

写真は山茱萸の花(2019年3月9日撮影)、赤い実は去年のものと思われる。

『名医別録』中品

山茱萸;微温、無毒
腸胃風邪、寒熱、疝瘕、頭脳風、風気去来、鼻塞、目黄、耳聾、面皰を主治し、
中を温め、気を下し、汗を出し、陰を強くし、精を益し、五臓を安し、九竅を通じ、小便利を止める。
久服すれば目を明にし、力を強くし、年(歳)を長ずる。
一名を鶏足、一名を思益、一名を蔲実という。
漢中、及び琅邪、宛胊、東海承県に生する。
九月、十月に実を採り、陰干しする。…

『神農本草経』の薬能に比べると随分と補的な印象が強くなっています。
「陰を強くし、精を益し、五臓を安定…」と、
さらには久服すればアンチエイジングと、現代人が飛びつきそうな効能が並んでいます。

『本草綱目』第三十六巻 木部山茱萸 実

気味
酸、平、無毒
〔王好古曰く、陽中の陰。足厥陰、少陰経の気分に入る〕

主治
脳骨痛を治し、耳鳴を療す。腎気を補い、陽道を興、陰茎を堅くし、精髄に添い、
老人の尿不節を止め、面上瘡を治し、能く汗を発し、月水の不定を止める。(甄権)
腰膝を暖め、水臓を助け、一切の風を除き、一切の気を逐い、癥結を破り、酒齇(しゅさ)を治す(大明)
肝を温める(元素)

※『神農本草経』と『名医別録』の記載は省略しています

そして明代の『本草綱目』(李時珍)

各家の意見を撰していますが、やはり『名医別録』と同じように補的な生薬としての印象が強いですね。
より「中高年のミカタ感」が増しています(特に男性向き)。

あとは、実際に山茱萸を採って、摂って、試してみるしかないですね。

金匱植物同好会の会長 濱口先生にいただいた山茱萸酒。
これを久服することで上記の効能を確認できる・・・かも。

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