『脾胃論』の脾胃虚弱 時に随いて病を為す 病に随いて方を制す

『脾胃論』中巻 脾胃虚弱随時為病随病制方 のみどころ

・李東垣が提唱した陰火学説および陰火病態を理解しよう!
・李東垣は治療に鍼を用いており、その鍼法の深意を理解しよう!
…と、この二点がこの記事の主旨です。

すでに原稿は書きあげ、めでたく『中医臨床』2022年6月号に「東垣鍼法から陰火学説を考える 前篇」が掲載されることとなりました。原稿のメモ書きに書き出していた『脾胃論』の該当章(東垣鍼法の文が記載されている章)の書き下し文・原文を記事にしてアップします。
もちろん『中医臨床』の記事「東垣鍼法から陰火学説を考える」のネタバレにはなりませんので、安心してください。


※画像・本文ともに『脾胃論』(足立鍼灸治療院 蔵)より引用させていただきました。
※以下に書き下し文、次いで足立のコメントと原文を紹介。
※現代文に訳さないのは経文の本意を損なう可能性があるためです。口語訳は各自の世界観でお願いします。

『脾胃論』中巻 脾胃虚弱随時為病随病制方 の書き下し文

『脾胃論』中巻 脾胃虚弱 時に随いて病を為す 病に随いて方を制するの巻

夫れ脾胃虚弱すれば、必ず上焦の氣不足する。
夏に遇い天氣の熱は盛んにして元氣を損傷す、怠惰嗜臥し、四肢不収、精神不足して、両脚痿輭す。早晩に遇いて寒厥し、日高きの後に、陽氣将に旺せんとし復熱すること火の如し、乃ち陰陽氣血俱に不足する故に或いは熱厥して陰虚す、或いは寒厥して氣虚す。口は味を知らず、目中に火が溜まりて物を視るも□□(目㐬目㐬)として見る所無し、小便頻数にして、大便難く結秘す、胃脘 心に當りて痛み、両脇痛み、或いは急縮し、臍下周囲は縄束の㥯の如し。甚しきときは則ち刀刺の如く、腹は舒伸すること難く、胸中閉塞し、時に顕嘔噦す、或いは痰嗽、口沃白沫、舌強ばり腰背胛眼皆な痛む有り。頭痛時に作して食下らず、或いは食入りても即ち飽く、全く食を思わず、自汗尤も甚し。若し陰氣覆いて皮毛の上に在るは、皆な天氣の熱、本病を助くる也。
乃ち庚大腸辛肺金、熱を為して乗ずる所にして作る。當に先に元氣を助け庚辛の不足を理治すべし、黄芪人参湯之を主る。

黄芪人参湯
黄芪(一分、自汗過多の如くは更に一分加う)、升麻(六分)、人参(蘆を去る)
橘皮(白を去らず)、麦門冬(心を去る)、蒼朮(無汗には更に五分を加う)、白朮(已上各五分)
黄檗(酒洗して以て水の源を救う)、炒麹(已上各三分)、当帰身(酒洗)、炙甘草(已上各二分)、五味子(九箇)
右(上記)件同じく㕮咀して都(すべて)一服に作す、水二盞を煎じて一盞に至る、柤を去り稍(やや)熱服して食逺く、或いは空心にして之を服する。酒湿麺大料の物の類、及び冷物を過食する忌む。

・・・加減方・・・(中略)・・・

夫れ脾胃虚弱にして、六七月の間は、河漲霖雨、諸物は皆潤い人汗衣を沾らすに遇い、身重く短氣し、甚しきときは則ち四肢痿軟し、行歩は正からず、脚欹(そばだち)眼黒く倒れんと欲す。此れ腎水と膀胱と俱に竭きるの状也。當に急ぎ之を救い肺氣を滋し、以て水の上源を補うべし。又、庚大腸をして邪熱を受けさしめず、汗を大に泄せしめざる也。
汗泄れること甚しきときは則ち津液を亡す。津液を亡するときは則ち七神の依る所無し。

経に云う、津液相成り、神乃ち自ずと津を生ずる(『素問』六節藏象論)は、庚の大腸の主る所。三伏の義は庚金が囚を受けることを為す也。若し津液を亡し汗大いに泄し、湿を亢(たかぶ)らせしむこと甚しきときは則ち、清粛の氣亡す。燥金が囚を受け、風木の以て制す可く無し。故に風湿相い搏ちて、骨節煩疼し、一身尽痛す。亢ぶるときは則ち害し承乃制する是れ也。
孫思邈が云う、五月に常に五味子を服す、と。是れ丙火を瀉し庚大腸を補し、五藏の元氣を益す。壬膀胱の寒は、已に巳に於いて絶する、癸腎水は已に午に於いて絶す。今更に湿旺ずるに逢い熱を助けて邪と為す、西方北方の寒清絶するなり。
聖人が法を立てる、夏月に宜しく補すべき者、天元の真氣を補して、熱火を補するに非ざる也①。人をして夏に寒を食せしむる是れ也。熱の為に元氣を傷る、人参、麦門冬、五味子を以て脈を生ずる、脈とは元氣也。人参の甘は元氣を補し、熱火を瀉する也①’。麦門冬の苦寒は水の源を補いて燥金を清粛する也。五味子の酸は以て火を瀉して庚大腸と肺金を補う也。
當に此の時、無病の人、亦た或いは二證有り、或いは暑熱を避けて涼を深堂大厦に於いて納め之を得る者、名を中暑を曰う。其の病、必ず頭痛悪寒、身形拘急、肢節疼痛、而して煩心、肌膚大熱、無汗(を苦しむ?)。房屋の陰寒の為に遏める所、周身の陽氣をして伸越することを得せしめず。
世に多きは大順散を以て之を主るとは、是れ也。

若し行人或いは農夫が日中に労役して之を得る者、名を中熱と曰う。
其の病、必ず頭痛、発熱、燥熱、悪熱に苦しみ、之を捫すれば肌膚大熱し、必ず大渇引飲し、汗大いに泄れ、氣以て動ずること無し、乃ち天熱の為に肺氣を外傷する。蒼朮白虎湯之を主る。

潔古が云う、動じて之を得るを中熱と為す、静にして之を得るを中暑と為す。中暑とは陰證、當に発散すべし也。中熱とは陽證、熱の為に元氣を傷る。形体の病を受けるに非ざる也。若し脾胃を虚損して宿疾有るの人、此の天暑に遇う将に理の所を失せんとす。時を違えて化を伐せば、必ず困乏して無力、懶語、氣短、氣弱、氣促、喘に似て喘に非ず、骨乏無力、其の形は夢寐の如く朦朦として煙霧の中の、身の有る所を知らざる也。必ず大いに汗泄、若し風犯し汗し眼皮膚必ず搐し、項筋皮は枯れ毛焦げ、身体皆な重し、肢節時に煩疼有り、或いは一身尽痛、或いは渇し或いは渇せず、或は小便黄渋す、此れ風湿相い搏つ也。
頭痛み或いは頭重く、上熱壅盛、口鼻の氣短、氣促、身心煩乱、不生の意有り。情思惨悽なるは、此れ陰、陽に勝つの極み也。病甚しきときは則ち腎肝に伝えて痿厥を為す。厥とは四肢の火中に在るが如くを熱厥と為す。四肢寒冷は寒厥を為す。則ち腹中に寒有り、熱厥するときは則ち腹中に熱有り。脾は四肢を主るを為す故也。若し肌肉濡潰、痺して不仁なるは、伝えて肉痿の証と為す。証中には皆な肺疾有り、薬を用いるの人、當に此れを以て之を調べるべし。氣は胸に上衝するは、皆な厥証也。痿とは四肢痿軟にして無力也。其の心煩寃して止まず。厥とは氣逆也。甚しきときは則ち大逆す、故に厥逆と曰う。其の厥痿多くは相い須いる也。
前に於いて已に黄芪人参五味子麦門冬湯の中に立つ、毎服、白茯苓(二分)澤瀉(四分)猪苓白朮(已上各一分)加う。
○小便快利して、黄渋せざる者の如くは、只だ澤瀉(二分)と二水とを上下に其の湿を分消す。

・・・
○汗大いに泄る者の如くは津脱する也。急ぎ之を止む、五味子(六枚)炒黄檗(五分)炒知母(三分)を加え、其の食を妨げず、當に意を以て斟酌すべし、若し食を妨げざるときは則ち止む。食の進みを候いて則ち再服す。三里、氣街を三陵鍼を以て血を出だす。若し汗減ぜず止まざる者は、三里の穴の下三寸上廉穴に於いて血を出だす。酒湿麺を禁ずる。

○夫れ痿とは、湿熱の腎肝に乗じる也。當に急ぎ之を去るべし。然らずば則ち下焦の元氣竭盡して輭癱を成す。必ず腰以下は動くこと能わず、心煩寃にして止まざる也。
…湿熱の令退く時に及び、或いは増す所のこれ病氣退く者は、五味子、沢瀉、茯苓、猪苓、黄檗、知母、蒼朮、白朮の薬を用いず。只、本病中の証候に依りて加減して常に薬を服す、亦た須らく酒黄檗(二分或三分)を用い如(も)し更に時令が清燥の気が大行すれば、却て辛温を加え之を瀉すべし。
若し濕氣勝ち、風證退かざれば、眩運、麻木已(や)まず、除風羌活湯が之を主る。

・・・

調中益氣湯
黄芪(一銭)、人参(蘆頭を去る、嗽有る者は之を去る)、蒼朮(已上各五分)、
柴胡(一味、上氣不足を為し、胃氣と脾氣と下に溜まるは、乃ち上氣を補う。陰より陽を引く也②)、橘皮(腹中の氣、運転すること得ざるの如くは更に一分を加う)、升麻(已上各二分)、木香(一分或いは二分)
右(上記)件、麻豆大に剉く、都(すべて)一服を作す、水二大盞を煎じて一盞に至る。柤を去り熱を帯び、食消盡して之を服す、心を寧し思いを絶すれば、薬必ず神効す。
蓋し病は四肢血脈に在り、空腹旦に在る是れ也。
○如、時に熱燥が顕われる、是れ下元の陰火蒸蒸として発する也。真生地黄二分、黄檗(三分、此の証無きときは則ち之を去る)を加う。

・・・・・・加減方・・・(中略)・・・

○如(も)し秋冬の月、胃脈四道が衝脈の逆する所と為し、脇下の少陽脈二道と并して、反て上行するは、病名を厥逆と曰う。
内経(出典不明)に曰く、逆氣上行し、脈満ちて形去り、明七神昏(くら)く絶し其の形を離去すれば而して死する。
其の證、氣上衝して、咽は息することを得ず而して喘息するに音有り、臥することを得ずは、呉茱萸を加える。(五分或一銭五分、湯洗去苦)厥氣多少を観て之を用う。

○如(も)し夏月に此の証有れば大熱と為す也。蓋し此の病、四時に随いて寒熱温涼を為す也。宜しく酒黄連、酒黄檗、酒知母(各等分)を以て細末と為し、熟湯にて丸と為す。梧桐子大を毎服二百丸、白湯にて送下し、空心にて服す。仍お多くは熱湯を飲みて、服畢りて少時して便ち養飲食を以て之を壓す。胃中に留停することせしめず直に下元に至らしめ、以て衝脈の邪を瀉する也。大抵、飲食労倦の得る所の病は、乃ち虚労七損の証也。當に温平甘多辛少の薬を用いて之を治するべし。是れ其の本法也。

○如(も)し時上見寒熱病四時也、又或いは将理の法に如かず、或いは酒食過多にして、或いは辛熱の食が病を作し、或いは寒冷の食が病を作し、或いは大熱大寒の處に居する(ことで)、其の病を益す。當に時に臨みて制宜す(因時制宜)暫く大寒大熱の治法を用い、而して効を取る。此れ權に従う也。以て効を得るの故にして久しく之を用う可からず。必ず難治を致す。

黄帝鍼経に云う、下より上るは、引いて之を去る。上氣不足は、推して之を揚ぐ。
蓋し上氣とは、心肺上焦の氣。
陽病、陰に在るは、陰より陽に引く。宜しく腎肝下焦に入る薬を以て、甘多辛少の薬を引きて、脾胃の氣を升発させしむべし。又、従りて其の邪氣を腠理皮毛に於いて去る也③

又云く、前(さき?)に痛む者を視れば、常に先ず之を取。是れ先ず繆刺を以てす。
其の経絡の壅を瀉するは、血凝りて流れざるを為す。故に先に之を去りて後に他病を治する④

時候・天候に体調が左右されるということ

この章の名称「脾胃虚弱随時為病随病制方」にもなるほどです。

要約すれば「脾胃虚弱に陥れば、時候によって病と為る、その病に随って治療すべし」ということです。
“時候・天候によって病となる”ということは、李東垣の時代だけに起こったことではありません。むしろ現代の日本に於いてそのような現象は多発していますね。

時候や天候だけでなく、湿度が上がっただけ、気圧が乱れただけで(敢えての不適切発言です、ご容赦ください)体調の不和を訴える。
本来であれば、湿度や気圧の乱高下であっても『不快だ~』『だるいな~』と文句言いながらも、なんとか過ごしていたはずです。これが病症レベルまでに昇華されるということは、その本体に裏虚があるのです。李東垣は「衛気・営気・運気・清気・春升の気・生発諸陽上升の気」の本源はすべて胃気によるという身体観に立っていますから、この裏虚は脾胃虚弱にたどり着くわけです。

このように考えると『12~13世紀の昔の話だから現代日本には合わない…』なんて安易な考えは浮かんでこないでしょう。当然、鍼灸治療にも活かすことができる知識でもあるのです。

夏は暑いので人参はどうかと思う

さて下線部①「天元の真氣を補して、熱火を補するに非ざる也」および下線部①’「人参の甘は元氣を補し、熱火を瀉する也」について。
この語句は東垣鍼法とは関係ありませんが、やはり臨床の治療において重要です。夏月における補気について解説しています。

夏は暑い!この言葉に尽きます。

そして脾胃虚損・脾胃虚弱により、陰陽正気のキャパが極端に低下している…そんな設定の患者さん(脾胃虚弱随時為病ですから)に、補気をしたいと思います。
しかし、人参は甘温(※)の性を持ちますので、夏季の火邪暑邪に傷害を受けている人間に投与してよいものか…???と迷う案件です。
しかし李東垣は、人参・黄耆の甘温によって元気を益し火邪を瀉する「以人参黄耆益其元気而瀉其火邪」(『脾胃論』分経随病制方)として、温補しているようにみえるが熱火を補うわけではないのだよ、と諭しています。この人参黄耆の甘温薬が瀉火・瀉陰火するという意の言葉は『脾胃論』に散見されます。
※『本草綱目』では人参の性を微寒としています。

営衛の働きが正常化すれば、風寒熱の制御もスムーズになり「皮膚不任風寒」だった状態が皮膚能任風寒熱となるのです。故に人参黄耆で営衛の本源である脾胃を建て直すわけですね。
この脾胃を補い営衛諸気を益して、身体の各機能を正常化させるという一連の治病ストーリーは陰火を理解する上でも大変重要です。

なぜ上気不足に陥るのか

下線部②「上氣不足を為し、胃氣と脾氣と下に溜まるは、乃ち上氣を補う。陰より陽を引く也」これは柴胡の薬能に関する文です。脾胃虚損・脾胃虚弱により諸気(特にこの場合は運気・春升の気・生発諸陽上升の気)が供給されなくなることで、上気不足に陥ります。
その結果「胃気脾気下溜」となりますので、その気を引き上げないといけません。…と、あまり書いてしまうとネタバレになりますので、この辺で。
下線部③の前述文には『霊枢』官能篇の一節を引用しています。
下線部③文はその霊枢の文の解説でもあり、②と同様の治病理論になります。

繆刺は繆刺でも…

下線部④「その経絡の壅を瀉するは、血凝りて流れざるを為す。故に先にこれを去りて後に他病を治する」

このフレーズは前の「繆刺」の説明になります。この下線部④の意味を考えるのは少し苦戦しましたね。とはいえ李東垣の言葉と『霊枢』を素直に読むと、分かってくるものだと思います。この解釈についても『中医臨床』2022年6月号に「東垣鍼法から陰火学説を考える 前篇」をご覧ください。

ともあれ、ここでは湯液と鍼治の併用治療の理想型のひとつが描かれていると思います。
脾胃虚損という極限状態(極限状態についてはコチラの記事『戦乱を通して会得した李東垣の医学とは』)で李東垣が構築したであろう治療戦略が如何なるものか?と想像しながら読むと古典文献もドラマチックなものとなるのですね。

鍼道五経会 足立繁久

原文 『脾胃論』中巻 脾胃虚弱随時為病随病制方

■原文 『脾胃論』中巻 脾胃虚弱随時為病随病制方

「脾胃虚弱随時為病随病制方」

夫脾胃虚弱、必上焦之氣不足、遇夏天氣熱盛損傷元氣、怠惰嗜臥、四肢不収、精神不足、両脚痿輭、遇早晩寒厥、日高之後、陽氣将旺復熱如火、乃陰陽氣血俱不足。故或熱厥而陰虚。或寒厥而氣虚。口不知味、目中溜火而視物■■(目㐬目㐬)無所見、小便頻数、大便難而結秘、胃脘當心而痛、両脇痛、或急縮、臍下周圍如縄束之㥯、甚則如刀刺。腹難舒伸、胸中閉塞、時顕嘔噦、或有痰嗽、口沃白沫、舌強腰背胛眼皆痛。頭痛時作食不下、或食入即飽、全不思食、自汗尤甚。若陰氣覆在皮毛之上、皆天氣之熱助本病也。乃庚大腸辛肺金、為熱所乗而作。當先助元氣理治庚辛之不足、黄芪人参湯主之。

黄芪人参湯
黄芪(一分、如自汗過多更加一分)、升麻(六分)、人参(去蘆)
橘皮(不去白)、麦門冬(去心)、蒼朮(無汗更加五分)、白朮(已上各五分)
黄檗(酒洗以救水之源)、炒麹(已上各三分)、當歸身(酒洗)、炙甘草(已上各二分)、五味子(九箇)
右件同㕮咀都作一服、水二盞煎至一盞、去柤稍熱服食逺、或空心服之。忌酒濕麵大料物之類、及過食冷物。

・・・加減方・・・(中略)・・・

夫脾胃虚弱、遇六七月間、河漲霖雨、諸物皆潤人汗沾衣、身重短氣、甚則四肢痿輭、行歩不正、脚欹眼黒欲倒。此腎水與膀胱俱竭之状也。當急救之滋肺氣、以補水之上源。又使庚大腸、不受邪熱、不令汗大泄也。汗泄甚則亡津液。亡津液則七神無所依。
経云、津液相成、神乃自生津者、庚大腸所主。三伏之義、為庚金受囚也。若亡津液汗大泄、濕令亢甚則、清粛之氣亡。燥金受囚、風木無可以制。故風濕相搏骨節煩疼、一身盡痛。亢則害承乃制是也。
孫思邈云、五月常服五味子。是瀉丙火補庚大腸、益五藏之元氣。壬膀胱之寒、已絶於巳、癸甚水已絶於午。今更逢濕旺助熱為邪、西方北方之寒清絶矣。聖人立法、夏月宜補者、補天元之真氣、非補熱火也。令人夏食寒是也。為熱傷元氣、以人参麦門冬五味子生脉、生脉者元氣也。人参之甘補元氣、瀉熱火也。麦門冬之苦寒補水之源、而清粛燥金也。五味子之酸以瀉火補庚大腸與肺金也。
當此之時、無病之人亦或有二證、或避暑熱納涼於深堂大厦得之者、名曰中暑。其病必頭痛悪寒、身形拘急、肢節疼痛、而煩心、肌膚大熱、無汗為房屋之陰寒所遏、使周身陽氣不得伸越。
世多以大順散主之、是也。
若行人或農夫於日中勞役得之者、名日中熱。其病必苦頭痛発熱燥熱悪熱、捫之肌膚大熱、必大渇引飲、汗大泄無氣以動、乃為天熱外傷肺氣。蒼朮白虎湯主之。潔古云、動而得之為中熱、静而得之為中暑。中暑者陰證、當発散也。中熱者、陽證為熱傷元氣。非形體受病也。若虚損脾胃有宿疾之人、遇此天暑将理失所。違時伐化、必困乏無力、懶語氣短、氣弱氣促似喘非喘、骨乏無力、其形如夢寐朦朦如煙霧中、不知身所有也。必大汗泄、若風犯汗眼皮膚必搐、項筋皮枯毛焦、身體皆重、肢節時有煩疼、或一身盡痛、或渇或不渇、或小便黄澁、此風濕相搏也。
頭痛或頭重、上熱壅盛、口鼻氣短氣促、身心煩亂、有不生之意。情思惨悽、此陰勝陽之極也。病甚則傳腎肝為痿厥。厥者四肢如在火中為熱厥。四肢寒冷者為寒厥則腹中有寒、熱厥則腹中有熱。為脾主四肢故也。若肌肉濡潰痺而不仁、傳為肉痿證。證中皆有肺疾、用藥之人當以此調之。氣上衝胸、皆厥證也。痿者四肢痿輭而無力也。其心煩寃不止、厥者氣逆也。甚則大逆、故曰厥逆。其厥痿多相須也。於前已立黄芪人参五味子麦門冬湯中、毎服加白茯苓(二分)澤瀉(四分)猪苓白朮(已上各一分)
○如小便快利、不黄澁者、只澤瀉(二分)與二水上下分消其濕。

・・・
○如汗大泄者津脱也。急止之加五味子(六枚)炒黄檗(五分)炒知母(三分)、不令妨其食、當以意斟酌、若妨食則止。候食進則再服。三里氣街、以三陵鍼出血。若汗不減不止者、於三里穴下三寸上廉穴出血。禁酒濕麺。

○夫痿者、湿熱乗腎肝也。當急去之。不然則下焦元氣竭盡而成輭癱。必腰以下不能動、心煩寃而不止也。
…及湿熱之令退時、或所増之病氣退者、不用五味子沢瀉茯苓猪苓黄檗知母蒼朮白朮之藥。只依本病中之證候加減常服藥、亦須用酒黄檗(二分或三分)如更時令清燥之氣大行、却加辛温瀉之。
若濕氣勝、風證不退、眩運麻木不已、除風羌活湯主之。

・・・

調中益氣湯
黄芪(一銭)、人参(去蘆頭、有嗽者去之)、蒼朮(已上各五分)、
柴胡(一味為上氣不足、胃氣與脾氣下溜、乃補上氣従陰引陽也)、橘皮(如腹中氣不得運轉更加一分)、升麻(已上各二分)、木香(一分或二分)
右(上記)件剉麻豆大、都作一服、水二大盞煎至一盞。去柤帯熱、食消盡服之、寧心絶思、藥必神効。蓋病在四肢血脉、空腹在旦是也。
○如時顕熱燥、是下元陰火蒸蒸発也。加真生地黄(二分)、黄檗(三分、無此証則去之)
・・・・・・加減方・・・(中略)・・・

○如秋冬之月、胃脈四道為衝脈所逆、并脇下少陽脈二道、而反上行、病名曰厥逆。
内経曰、逆氣上行、満脈去形、明七神昏絶離去其形而死矣。其證氣上衝、咽不得息而喘息有音、不得臥、加呉茱萸。(五分或一銭五分、湯洗去苦)観厥氣多少而用之。

○如夏月有此證為大熱也。蓋此病随四時為寒熱温涼也。宜以酒黄連酒黄檗酒知母(各等分)為細末、熟湯為丸。梧桐子大毎服二百丸。白湯送下、空心服。仍多飲熱湯、服畢少時便以養飲食壓之。使不令胃中留停直至下元、以瀉衝脈之邪也。大抵治飲食勞倦所得之病、乃虚勞七損證也。當用温平甘多辛少之藥治之、是其本法也。

○如時上見寒熱病四時也、又或将理不如法、或酒食過多、或辛熱之食作病、或寒冷之食作病、或居大熱大寒之處、益其病當臨時制宜暫用大寒大熱治法、而取効。此従權也。不可以得効之故而久用之、必致難治矣。

黄帝鍼経云、従下上者、引而去之、上氣不足、推而揚之。蓋上氣者、心肺上焦之氣。陽病在陰、従陰引陽。宜以入腎肝下焦之薬、引甘多辛少之藥、使升発脾胃之氣。又従而去其邪氣于腠理皮毛也。
又云、視前痛者、常先取之是先以繆刺。瀉其経絡之壅者、為血凝而不流。故先去之而後治他病。

 

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