鍼道五経会の足立です。
10月7日に第1回『金匱植物同好会』が開催されました。
主催・ナビゲートは生薬探偵
薬草観察会をナビゲートしてくれたの濱口昭宏先生。
濱口先生は生薬探偵の別名を持つほど、薬草に詳しく、その生息地から特徴・見分け方をビギナーにもわかりやすく説明していただきました。
写真:イヌショウマの説明をする濱口先生。
升麻(サラシマショウマ)とイヌショウマの違いを花柄の特徴、そして名前の由来からも解説してくれ、一同「ほぉ~」「なるほど~」の声があがる。
例えば・・・
「これは神農本草経に載っている薬草です。」
「傷寒論には◻︎◻︎湯に使用されている薬草です。」
などなど、生きた薬草を目の前に本草学をレクチャーしてくれる専門的な内容に伝統医学を学ぶ我々も興奮を隠せません。
さらに上級向けの内容としては・・・
「ジャノヒゲ(麦門冬)は、以前はヤブラン科に入れられていたが、遺伝子解析に基づく新しい分類体系(APG分類体系)では、キジカクシ科に分類されるようになった。」
「柴胡の代用に用いられることが多い前胡は実は・・・」
「金匱要略の木防已湯は木の字は実は・・・」
などなど、かなりディープな解説もしていただきました。
今回 観察した薬草を一部紹介
写真はジャノヒゲ(麦門冬)の実、未成熟な状態。
ジャノヒゲノにも色々な分類があるそうです。
写真:ヤマノイモ(山薬=自然薯)とオニドコロの見分け方を説明する濱口先生
葉の形の見分けだけでなく、葉の裏を観ると独特の違いがあるそうです。
この鑑別は植物学では教えてもらえない知識とのこと。
写真:マムシグサ(生薬名:天南星)を観察
この天南星にもいろいろな種類がある。マムシ草は葛城山~金剛山によくみられるが、他にもウラシマソウやムサシアブミなどの近縁種も多いとか。
もちろん、薬用に使われるが、通常は毒草であるので注意が必要です。
ホコリタケ(生薬名:馬勃)
名前の通り、キノコを押すと胞子がホコリのように舞います。
写真:6~7合目辺り、そろそろ皆も疲労を感じるところ。
写真:この花柄の有無でサラシマショウマか否かを見分ける。
背景に見える葉はイヌショウマの葉っぱ。
写真:センブリ
民間薬として用いられる薬草。千回振り出してもその苦さが衰えることはないというのが、その名の由来。
葉っぱをかじると確かに苦った・・・。
※振り出し…生薬を入れた布袋を湯の中で振り動かし,成分をとかし出して飲むもの(コトバンクより)
写真:リンドウ(生薬名:竜胆)
まだ咲き初めの段階。つぼみの状態のものが多かった。
写真:ナデシコ(生薬名は瞿麦)
秋の七草のひとつでもある。
秋の七草といえば、他にもクズ・葛(葛根や葛花も生薬として用いられる)やオミナエシ・女郎花(生薬名は敗醤)も観察できた。
写真:ツリガネニンジン(生薬名:沙参)
写真:薬草を捜索中。
このときはノコギリソウを探していた。
手前に映っているのはツリガネニンジン。
写真;紫花前胡
写真:香独活とキアゲハの幼虫
ちなみに、キアゲハの幼虫はセリ科の葉を主食する。
私の院の薬草花壇の当帰(セリ科の薬草)もこれに食害された。
薬草の他にも動物生薬の知識も…
その幅は植物生薬だけに収まらず、動物生薬から鉱物生薬まで精通しています。
「サツマゴキブリ(䗪虫)の薬用以外にも楽しむ方法」
「スッポン(土別甲)捕獲方法の秘訣」などなど、
非常にワイルドな内容まで伝えてくださり、とても私好みな濱口先生の観察会でした。
まだまだ濱口先生は引き出しを無尽蔵に持っていると思いますので、
第2回も当会メンバーで団体参加しようと思っています。
写真:山頂で記念写真
背景には大阪市内と淡路島がみえています。
写真:ロープウェイ前で記念写真。
第2回に参加希望される方のために・・・
第2回『金匱植物同好会』の開催予定はまだ未定ですが、
この記事を読んで参加希望される方のために、大まかな情報をまとめておきます。
観察できた薬草は25種。
朝10:30集合。
バスで登山口まで、そこから徒歩で山頂まで。
帰りはロープウェイで下山が17:30だったかな…
全体的にはハードではないコースのはずです。
しかし山慣れしていない人は、参加する前に5~6キロ程度のrun&walkを複数回こなしておくなど
最低限の準備はしておく必要はあるでしょう。
(もちろん、平らなコースではなく、アップダウンのあるコースで準備すること)
費用は3,000円でしたが、第2回以降は不定です。
持ち物:着替え・タオル・水(ペットボトル小2~3本)・携行食(飴など)・お弁当(おにぎり等々)
そして、薬草に直接触れたい方は軍手を持参してくることが望ましいです。
また、コースによってはコンパス(方位磁石)が必要となることもあります。