少祁派五行通背拳を体験2020 in Osaka

なぜ中国武術を体験するのか?

『霊枢』経脈篇には脊や膂に関する記述があります。

『霊枢』経脈篇第十
「膀胱足太陽之脉、起於目内眥、上額交巓、…其直者、従巓入絡脳、還出別下項、循肩髆内、挟抵腰中、入循、絡腎属膀胱、其支者、従腰中下挟貫臀、入膕中。其直者、従髆内左右、別下貫胛、挟脊内、過髀枢。…」

脊や膂といった文字は“脊椎”や“膂肉”などで見慣れていると思いますが、それを体感できる人はどれほどいるでしょうか?
上記の引用文は足太陽膀胱経の流注の一節です。足太陽膀胱といえば臨床現場で多用される経絡の一つです。

しかし『膀胱経を治療に多用するわりに膂についていかんせんイメージできいないな…』と『文字や知識だけでなく、膀胱経や督脉を体感・理解できているだろうか?』
東洋医学を勉強することで、このように疑問を感じるようになりました。


写真:督脈と太陽膀胱経の図『十四経発揮和語鈔』より

近年は「体幹を鍛える」という言葉もよく見かけるようになりました。
しかし、同じ東洋思想の元で育まれた中国武術は、より鍼灸と近しい東洋的身体観をもつであろう。そのような中国武術を一度でも体験しておくことは経絡を扱う鍼灸師にとって大いに意義があるのではないか!?と、このように感じたのです。

以上のような疑問・テーマが元で、10月18日に少祁派五行通背拳 7代伝人 村松希実彦先生(一修会を主宰)のもと、通背拳をご指導いただく機会を得ることができました。
一修会さまのホームページはコチラFBページはコチラ

背骨・脊骨を遣う通背拳

「通背拳は(他の門派と違って)いきなり背骨の使い方を教える」と、このような言葉を稽古中に耳にしました。

この言葉の通り、稽古は背骨を動かす前転と後転から始まります。(※前転・後転はでんぐり返しのそれではない)
二年前の体験入門では、この前転・後転に苦戦したことを覚えています。(今回はその時よりは上手にできたかな…)

・背骨を中心とした回転
・三軸を中心に身体を動かす
・平行四辺形で身体を動かす
・球(ボール)のイメージを使う
・指はココから
・力を抜いて腕を放り投げるように
・手は触覚
・陰陽を描く
・螺旋を描く
・力を抜く
・流れを途切れさせない

今回の体験入門で学んだのは以上の11点(私の記憶容量の範囲ではこれで一杯)。もちろんこれら要点を知ったからといって、できるようになるのかは別問題。
この点は鍼灸や脈診の習得と似ています。

知っているのと出来るのは全く別。
できるようになるまで訓練をコツコツと積み重ね、体に沁み込ませることが大事です。また、その過程でさらに新たな発見が得られるのです。このことは鍼灸の勉強・研鑽をする中で常々実感することですね。


写真:通背拳を実演指導される村松希実彦先生


写真:手・指の使い方を指導される村松先生


写真:手は放り投げてムチのように…拍!(のつもり)

もちろん、この日の体験だけでも多いに得るものがありました!

例えば、二人で組になって力の受け流しを練習ですが、これは武術的には相手の力を察知して受け流す訓練。ですが気功としてみると双方の氣を交流させることでもあるな…と感じました。

写真:二人で互いの力を受け流し伝える訓練

他にも村松先生のお言葉「動き・流れの中に乗せて不快な方に極めると技になる。反対に心地よい方に導くと治療になる」からは、まさに活殺自在の境地にあることを感じさせられました。

写真:通背拳セミナーの練習風景

ご丁寧なご指導に感謝いたします!

私自身は二年前に一度体験させていただいたとはいえ周りと同レベル、つまり全員が初心者、武道経験ゼロの参加チームでした。
鍼道五経会会員、加えて家族も参加させていただき(私も息子を連れて親子で参加しました)計8名の参加。そして最年少は5歳の男の子。
写真:先生方のやさしく丁寧なご指導に感謝します!

「幼児を連れて参加しても大丈夫ですか?」との問いに、
村松先生からは「子どもは宝だから喜んで!」と尊敬すべきお返事をいただきました(もちろん付き添いとしてご両親ともに参加しています)。

また諸先生方もとても丁寧かつ根気強くご指導くださり、感謝することしきりでした。
大阪で出張講座があれば是非また参加させていただきたいと思います。

改めて一修会の村松先生、円通会の松岡先生、二年前たった一度しか参加していないのに覚えてくださっていた落合先生、ご指導を担当してくださった先生方、本当にありがとうございます。
そして最後に申込み仲介や諸連絡などこまめにパイプ役をしてくださった江島先生に、この場を借りて感謝の意を表したいと思います。ありがとうございました!


写真:通背拳セミナー2日目の集合写真(日本白猿通背拳さまからいただきました)

参加メンバーの感想

通背拳の体験会に参加させて頂きました。
武道をするのは初めてでしたが、皆さんが丁寧に教えて下さったので楽しく体験が出来ました。
村松先生初めご指導頂いた先生方ありがとうございました。
実際に通背拳の基本の身体の使い方をご指導頂き、背骨をひと関節ずつ動かすという、今まで意識した事のなかった動かして方で、少し動いただけで汗が吹き出して来ました。
他にも沢山の複雑な基本的の事を教えて頂きましたが、最後に先生が「形はあるが、実際には形には囚われずその時に合わせてやっている」という事を仰られていました。
これは鍼灸や武道に関わらず修業という点で同じなんだなと感じました。基本を身体に染みこまして、実践(治療)ではアレコレ考える事なく赴くままに対応していくという様な境地まで修業鍛練にて持って行く事が大事なのだと思いました。
また、相手の力に抵抗する事なく受け入れて此方の力に乗せるという様な事も、臨床に通ずる物があるなと感じました。
3時間の体験会で、いつも動かさない筋肉を使ったので筋肉痛になりましたが、楽しく学びの多い 凄く有意義な時期でした。
忘れない様練習したいと思います。ありがとうございました。

鍼灸聚英堂 南川治療院 院長 南川峻英先生

 

通背拳という実践的な中国武術を初めて体験しました。この体験を通じて今まで自分が経験しなかった新しい身体の使い方をたくさん学びました。
この身体の使い方で一番難しかったのが力を抜く事です。
例えば、実践的な武術なので自分よりも体重も身長もある身体の大きな敵と戦うこともあります。力対力勝負ではもちろん身体の小さな方は勝てないです。身体の大きな方は力勝負に持ち込もうとすると身体に力みが出ます。力みが出るという事はパンチを出そうとすると、身体の筋肉から動き出すのでモーションが入ります。モーションが入るということはそこに隙が生まれ、身体の軸もぶれやすくなり、身体の小さな方はそこを突破口にして腕を取るなり、懐に入るなりして身体の大きな方を倒すと、柔よく剛を制すという形になります。
一瞬でも“このパンチで相手を倒そう”と意識すると全身の筋肉に力が入り、筋肉から身体が動き出すとそれだけで敵に動きを察知されてしまいます。
今回の通背拳の体験の中で“手首や肩の力を抜きましょう”と何度か言われましたが、力を抜こうと意識すればするほど力が入るという身体の中で矛盾を感じました。
これは特に運動器疾患の臨床においても、肩や腰などの運動器に痛みやだるさがあるので、もちろん意識はしていて、力も入っています。
その意識をずらして、入っている力をいかにして抜くかというのが、運動器疾患の治療の難しさに繋がっていることであると感じました。
後は常に相手に対して半身にならずに正対して、技を出した時には指を掴まれないようにフォームに気を付けて指先までしっかり気を通さないといけません。半身になると腕を取られやすくなるので、そのまま投げられる可能性が高くなります。また指1本取られるだけでも体勢を崩されたり、腕をそのまま捻り上げられたりします。
これも臨床で施術の姿勢において患者さん、刺入する鍼に対しては半身ではなく正対しなければならないですし、刺し手、押し手の指先は患者さんの状態や鍼先を感じるセンサーになるので、しっかりと指先まで気を通すことが大切になります。
通背拳を体験して、いかに自分が正しく身体を使えていなかったのを痛感しました。この体験を糧にして今一度、自分自身で身体の使い方というのを勉強して、それを臨床に還元できるように努力をしていきます。こういう機会を設けて頂いた、通背拳一修会村松先生をはじめ他の諸先生方ありがとうございました。

川合真也先生(鍼灸整骨院かわい 院長)

 

先⽇、鍼道五経会の遠⾜で『通背拳』を体験させていただきました。
通背拳法 ⼀修会 七代伝⼈ 村松希実彦先⽣、
国際五⾏通背拳協会 関⻄⽀部 円通会 松岡政彦先⽣をはじめ
諸先⽣⽅に沢⼭ご丁寧にご指導いただきありがとうございました。
幼い息⼦に⼼温かくご指導くださり、そしてとても貴重な体験をさせていただき感謝の気持ちでいっぱいです。
武術が全く未経験な私は前⽇から緊張で当⽇の朝は⾝体がガチガチの状態で参加いたしました。
準備運動で村松先⽣が『⾜が⼤切です。』と教えていただき早速、屈伸運動からスタートをすると⾒事に踵を地⾯につけたままだと倒れそうになり、⽇頃の運動不⾜に反省いたしました。
村松先⽣のとてもしなやかな動きを拝⾒し、とても衝撃で感動いたしました。
動きを⽬に焼き付けイメージは出来ているのに、実際、⾝体を動かすとガチガチで(自分の)動きは⾒事なロボットでした。
なかなかしなやかに動けない私の所に先⽣がご指導に来てくださり 2時間ほど体を動かしていると、リズム良く動けようになりました。
リズム良く出来るようになるととても嬉しく昔の部活時代を思い出し、⾝体を動かししっかり呼吸をし全⾝に気が巡る感覚がとても⼼地よく楽しかったです。
このしなやかさを忘れず⾃主練習をして⽇々の臨床での⾝体の運び⽅を考えていきたいと思います。
通背拳体験後の移動中からずっと⾝体が温かく、おかげで午後からの座学講義がいつも以上に集中することが出来きました。
翌朝も⽬覚めが良く⾝体がとても軽かったのが印象的で感動いたしました。
今回の体験を通して学んだことは、⽇頃は浅い呼吸になりがちなので、⾝体を動かししっかり呼吸をして気を巡らす⼤切さを改めて考えるきっかけになり、養⽣指導のアドバイスの幅も増やしていこうと思いました。
この度は、貴重な体験をさせていただきありがとうございました。また、⼤阪で開催される時は、是⾮参加させて頂きたいです。

森裕子先生(結(むすび)鍼灸院 院長

 

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