新潟マツヤ薬局にて 地黄丸作りを体験

初の新潟訪問、そのきっかけは夏の合宿

個人的な記事ですが、2月末の連休に新潟に行ってきました。
目的はマツヤ薬局の14代目薬剤師 笛木司先生にお会いするため。

笛木先生とのご縁は、この夏の先進融合医学研究会の合宿から始まりました。

この合宿では、私は鍼灸脈診の講義を担当、笛木先生は「生薬の修治、薬性について」を担当されたのですが、特に『傷寒論』方剤における各附子剤の定量比較が個人的にヒット!

『なるほど!このような観点からも傷寒論の凄さを読み解くことができるのかっ!』と感動を覚えたのです。
しかも、難しそうな内容を実に軽妙なトークと実に分かりやすく解説しておられる先生の姿に感銘を受け、再開を約束したのが2019年の夏。

その約束を果たすべく、このたび新潟に足を延ばすことに相成りました。

到着するやいなや丸薬作り

空港まで出迎えてくださり、昼食に新潟名物のタレカツをごちそうになった後は、すぐにマツヤ薬局に直行!
(笛木先生、ごちそうさまでした)
薬房に入ると早々に「丸薬作りはしたことありますか?」との先生のお言葉。
私に丸薬作りを体験させようと、昨夜から準備してくれていたようです。

今回丸薬作りを体験させていただくのは知柏地黄丸。

まずは煉蜜作り。
お鍋に蜂蜜をいれ火をかけて焦げ付かないように混ぜます。
ひたすら混ぜます。

蜂蜜に火を通すこと30分近く。
トロリとした蜂蜜がサラッと液状になり、さらに泡立ち沸騰します。
笛木先生いわく「100℃を超えているから気を付けてね~」とのこと。
蜂蜜を加熱することは生薬の修治もありますが、どうやらボツリヌス菌対策もあるようです。

加熱を止めるタイミングは蜂蜜を垂らした後の固まり具合。
これは何度か見せていただきましたが、その固まり具合の見極めは分からないままでした。

さて、次は細末にした生薬を定量通りにとり、それを混ぜる作業です。
(定量通りに前日に助手さんが用意してくれていたとのこと。ありがとうございます!)
巨大な乳鉢と乳棒で8種の生薬の細末を混ぜる、混ぜる。

混ぜる工程を4度5度と繰り返します。
混ぜ合わせた生薬を煉蜜を加えて、捏ねます捏ねます。
捏ねて切って引き延ばして、丸薬にします。

知柏地黄丸は8種の生薬から成ります。
地黄・山茱萸・山薬・茯苓・沢瀉・牡丹皮の六種(ここまでは六味地黄丸と同じ)に、
知母と黄柏に二味を加えたものが知柏地黄丸になります。

引き延ばしてから丸薬にする工程は写真のような製丸機を使用します。

この製丸機は日本に5台しかないとのこと。

私が滞在中に作製に関わった知柏地黄丸は上写真の通り。
本当はもう少したくさん作ってお手伝いしたかった…。

丸薬作りは序章に過ぎず、マツヤ薬局では実にたくさん勉強させていただきました。


調剤作業をする笛木司先生。こっそり斜め後ろから撮影させていただきました。
漢方の専門的な話を説明しながら、流れるように正確な作業する姿に舌を巻きました。

笛木先生の手作りの生薬、または各地から収集してきた植物生薬、動物生薬、鉱物生薬のサンプル群を見せていただき
下に写真を2つ挙げておきますが、サンプルの数はこんなものではありません。


阿膠(あきょう)
笛木先生の手作りです。輝いています!
この阿膠を作るのに、肉屋さんから材料を仕入れ3〜4日煮込んだとのこと。


ダンボール箱いっぱいの桂皮。シナモン香がすごかった!

さらに夜更けまで笛木先生の中国台湾でみた医学資料、少数民族に伝わる医学文献について、
また笛木先生ご自身の朴庵流の湯液医学の修業時代と臨床現場でのエピソードなど…貴重なお話を独り占めで拝聴できたのも得難い時間でした。

笛木先生にお会いしてまた医学の世界が広がったように思います。また改めて新潟に訪問したいと思いました。

 

 

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