今年の夏の猛暑から予測する今後の病

季節は天の気として人体に影響する

苛烈な暑さも過ぎ…朝夕ずいぶんと涼しくなってきました。

いわゆる季節の変わり目という時期にさしかかりました。
となると、そろそろ患者さんの体調にも変化が現れ始める頃です。

関西では台風21号が通過し、大きな被害を残していきました。

この台風という天の気の動きはひとつの節目となります。
東洋医学的にこの夏の天候の影響について考察してみましょう。

この夏の酷暑は、熱邪の影響を強く連想させることでしょう。

熱邪による体調の変化として、口渇・不眠・倦怠感、、ひどいと実熱症状としての熱病・炎症…などを考えさせられます

しかし、体に強く影響する邪として注目すべきは寒邪・湿邪です。

例年の夏と違うのは寒冷の影響?

まず例年の夏と違うのは、暑さ対策の程度です。

24時間体制のクーラーによる温度調整、冷たい飲み物。

一晩中クーラーをつけないと眠れない日々が続きました。

例年であれば、一晩中クーラーをつけようものなら、翌日には倦怠感が残り、いわゆるクーラー病と呼ばれる状態ですが、今年は違いました。

クーラーの影響がかすむほどに強い暑熱だったのでしょう。

そうなると連日にわたって“表気の運行”“外気との交流”は阻害されます。いわゆる束表と呼ばれる状態です。

表気の役割には(発汗による)熱と水の放散がありますが、連日連夜にわたる冷房はこれを阻害します。

となると、体内には大量の熱邪と湿邪が生産されます。

そして、こまめな水分補給は湿邪の蓄積に拍車をかけます。
また冷たい飲み物は内寒を増長させます。

さらに糖分が入った飲み物(経口補水液・スポーツドリンク・果汁系のもの等など)は脾虚を強め、湿痰を増やします。

加えて、この夏の酷暑は運動量を例年に比べて大幅に低下させてしまいます。

その結果、熱放散の減少と湿邪増加によって内熱と伏寒と湿痰が増加します。

ここまでがこの夏の体内の動きです。

夏以降の病症を予測する

そして季節の変わり目、すなわち天の気の運行につられるように、人体の気が動き始める頃です。

潜伏する邪としての熱・湿・寒は例年以上だとみています。

人体としてはこれらの伏邪を処理したいため、様々な手段を講じて“邪の追い出し”にかかることでしょう。

よく見られる駆逐パターンは「皮膚から」「目鼻から」「腸胃から」の3つです。

皮膚から出るケースは皮膚症状や発熱。

目鼻から出るケースは鼻水・鼻塞・目赤・目痛。

腸胃から出るケースは下痢・嘔吐・霍乱。

…などなどでしょう。

このように病症をあげてみると、病位の浅深がわかりますね。

問診から病位と病質がわかる

患者さんの訴え・体の動きから病位が導き出されます。

あとは邪の量と質、そして正気の強弱などから症状の軽重が影響されます。

これは治療方針を決める上で大きなヒントとなります。

このような考えを元に流行する病症予測も(ある程度)可能になります。正気の強弱には個々により差があります。

ですが、今夏の傾向としては、暑熱と表寒と多量の水が伏しています。

寒邪(冷房)の束表の程度が強ければ、その期間が長ければ、三陽付近に潜伏する邪が強いので熱病を内発する可能性が高くなります。

また表位での鬱熱、湿熱の程度が強いと、熱を発する前後に皮膚や粘膜に炎症所見が強く現れることもあります。
インフルエンザの流行だけでなく、風疹、麻疹、手足口病、ヘルペス、扁桃炎…などの類似の症状が予測できます。

しかし病位が腸胃まで深くなると、嘔吐・下痢・霍乱という形で発症することになります。

七竅に属する目鼻は腸胃よりも浅く、膀胱経や胃経など諸経に連絡しています。それなりに深く、それなりに浅いといったところでしょうか。

なので、鼻水・鼻塞・目痒などの症状に長期化するものが多いのかもしれません。

・・・などなど、つらつらと書きましたが、月に一度開催している講座【生老病死を学ぶ】ではこのような病理を学び、現場での診断と治療に役立てる勉強をしています。

生老病死を学ぶ講座に興味がある方はこちらからお申込みください。

【申込み】以下のメールフォームからどうぞ!

当日の連絡先・電話番号(必須)


※メールアドレス、電話番号などの連絡先の記入をお忘れのないようにご注意ください。

おすすめ記事

  • Pocket
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントを残す




Menu

HOME

TOP