第26章 発斑『瘟疫論』より

これまでのあらすじ

前回までは盗汗・狂汗に関する内容でした。

今回は汗から離れますが、やはり皮表に現れる症候のお話、発斑です。

(写真・文章ともに四庫醫學叢書『瘟疫論』上海古籍出版社 より引用させていただきました。)

第26章 発斑

発斑
邪、血分に留して、裏氣壅閉すれば、下に非ざれば、斑を発すること能わず。斑出るを毒邪外解と為す。
下後、斑 漸く出るは更に大下すべからず.
設し下證有らば、少しく承気を與え、緩緩にこれを下す。
若し復た大下して、中氣不振、斑毒内陥するときは則ち危うし。
托裏挙斑湯に宜し。

托裏挙斑湯方・・・白芍薬、當歸(各一銭)、升麻(五分)、白芷(七分)、柴胡(七分)、川山甲(一銭炙黄為粗末)
水薑煎服す。
下して後、斑 漸に出て、復た大下して斑毒復隠し、反って循衣摸牀、撮空理線が加わり、脉漸微なる者は危うし。
本方に人参一銭を加う。補、及ばざる者は死す。
若し未だ下さずして先に斑を発する者に、設し下證有らば少し承気を與え、須らく緩下に従りてすべし。

発斑は皮膚に現れる、斑状所見です。
冒頭文にある通り、邪が血分に留まることで裏氣が塞ってしまいます。深い層の壅塞のため、下法で陽明腑を通じさせないといけないレベルです。
そのため下法によって裏氣の塞がりを除くことで発斑が起こります。
当然、ここでいう発斑は悪化ではなくて、邪毒が外解する指標となります。これも瘟疫病特有の病理が関与すると考えることもできるでしょう。

但し下法にも加減が必要です。
あまりに強く下してしまうと、中氣を損ない邪毒が内陥してしまいます。
裏氣を補いつつ内托させる必要があります。

邪毒外解の兆候である斑が隠れてしまい、邪毒に内攻されてしまうと危証が現れます。
記されている循衣摸牀(循衣模床)や撮空理線などから重篤な症状であることがイメージできますね。

第24章【盗汗】・第25章【狂汗】≪ 第26章【発斑】≫ 第27章【数下亡陰】

鍼道五経会 足立繁久

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