第19章 邪在胸膈『瘟疫論』より

これまでのあらすじ

前回は発黄(黄疸)についての説明でした。
発黄(黄疸)は標であり、その本は小便不利であるとの、症状と体質の理解。
しかし、小便不利も標であり、本質的には胃家實が本である、との病態理解の話でした。

(写真・文章ともに四庫醫學叢書『瘟疫論』上海古籍出版社 より引用させていただきました。)

第19章 邪在胸膈

邪在胸膈
瘟疫、胸膈満悶し、心煩、喜嘔し、吐せんと欲して吐せず、吐すと雖も大吐を得ず。
腹満せず、飲まんと欲して飲むこと能わず、食せんと欲して食すること能わず。
これ疫邪、胸膈に留まる。
宜しく瓜蔕散にて之を吐すべし。

瓜蔕散・・・甜瓜蔕(一銭)、赤小豆(二銭研碎)、生山梔仁(二銭)
右(上)を水二鐘を用いて一鐘に煎じ、後から赤豆を入れ煎じて八分に至る。
先に四部を服して、一時の後に吐さざれば、再び服して盡す、これを吐す。
未だ盡きず、煩満尚存する者は再び煎し服す。
瓜蔕無くば、淡豆鼓二銭を以って代用す。

胸膈に邪が停滞している場合は吐かせよというお話。
熱病疫邪に限らず、胸膈に邪気が居座り、満悶、心煩、嘔、吐きたくても吐けない…そんな場合は吐かせた方がスッキリするのです。

こんな体験は一度や二度はあるはず。私はしょっちゅう体験しています。
車酔いや痛飲後などはまさにこの状況。

ちなみに(車酔いや二日酔いとは別件で)吐かせる鍼を自分にしたことがあります。

鍼の響きを体感した瞬間に「吐くっ!!」と感じ、
トイレまでに走ろうとするも間に合わず…。
即応即吐でしたね。

鍼効の速さを思い知った体験でした。
バケツに吐きましたので、粗相ではありませんでした。

それにしても瓜蔕散がないときは、淡豆鼓で代用するって…。
淡豆鼓単味の煎じってすごい臭いしそうですね。それだけで吐けそうな…。

第18章【発黄疸是府病非経病也】≪ 第19章【邪在胸膈】≫ 第20章【辨明傷寒時疫】

鍼道五経会 足立繁久

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