機関誌『おけら』に共同論文『緯書と医書』掲載

機関誌『おけら』(さきたまオケラの会さん発行)に論考『緯書と医書』を掲載していただきました。

写真:さきたまオケラの会さん発行の『おけら』

この論考『緯書と医書 〜易緯『通卦驗』の医学〜』は蒼流庵の濱口昭宏先生と共同執筆したもので12頁の力作です。

濱口先生にお声かけの中いただいたのが、忘れもしない1月東京講座の帰りの新幹線の中。
濱口先生は易学も研究されており『易経』のみならず『易緯』をも読み込んでおられ、その中の『易緯通卦験(通卦験)』なる書にはとりわけ医学的な記載が多くみられるとのこと。
そこで濱口先生は易学方面を、私は医学方面を担当しての共同執筆を、との企画がスタートしました。

実際に『易緯通卦験(通卦験)』をみると、非常に興味深い記載が多く、最も注目すべきは二十四節気と経脈とが相応じているとの人体観です。この二十四節気をベースとした経脈概念は『素問』『霊枢』『難経』にはありません。十二月と十二経脈が対応しているとの記載は『霊枢』にみられますが、同じ一年というスパンで、十二月と二十四節気とは単位も違いますが、暦学的にも成り立ち・構造が異なります。
すなわち、一年を単位とした経脈バイオリズムなのですが、十二月単位と二十四節気単位では全くの別モノといえるのです。古代中国医学ほど、多様なバイオリズムを提示した医学はないのは?と思うほどです。

写真:二十四節気と経脈との対応図 その対応の法則性はいかに?

他にも興味深い点はいくつもあります。記載される経脈の数は十一経脈であり、現行の十二経脈ではありません。十一脈という点から『陰陽十一脈灸経』『足臂十一脈灸経』との比較を試み、各節気・経脈固有の随症に関しては『霊枢-経脈篇-』も加えて比較・考察しました。

明確な結論づけはさておき、暦・占・医がいかに密接な関係であったかを知ることができました。

1月初旬~4月初旬の期間でしたが、濱口先生との共同執筆は楽しかったなーと振り返っています。

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