『中医臨床』に「海蔵拨原法」を寄稿

『中医臨床』12月号に「海蔵抜原法を通じて原穴鍼法を理解する」と題して寄稿しました。

海蔵拨原法を知っていますか?

「海蔵拨原法」という鍼法があるのをご存じでしょうか?
恥ずかしながら私はこの鍼法について、内容はおろかその名前すら知りませんでした。ただその名のカッコよさはインパクト十分、私の脳内に強く印象が残りました。それだけにどのような鍼法なのか気になるところ。

調べてすぐに分かったのは王好古(王海蔵)が伝えた鍼法で、原穴を用いた鍼法である…ということだけ。海蔵拨原法の術理についての情報は皆無といった状況でした。
となれば、鍼法を伝えた本人に聞くしかない!ということで、王好古とその書について調べることになったのです。

王好古という医家について

この鍼法を伝えた人物は王好古(名が好古、号が海蔵)。王好古はかの李東垣の弟子にあたります。李東垣と師弟関係にあるとはいえ、少し複雑な関係にあります。

はじめ王好古は張元素という医家に教えを受けていました。張元素は李東垣の師でもあります。
つまり李東垣と王好古は兄妹弟子にあたります。張元素の死後、兄弟子・李東垣を師とした結果、王好古は張元素と李東垣の二大医家を師匠とすることになったのです。

また張元素の系譜、雲岐子(張璧)・李東垣・王好古・羅天益らは易水派とも呼ばれ、後代の多くの医家に影響を与えています。この易水派の話は次回に紹介するとして、今回の注目ポイントは原穴治療・原穴鍼法です。


写真:『中医臨床』12月号掲載の「海蔵拨原法を通じて原穴治療を理解する」

原穴治療を行うことの意味

海蔵拨原法が記されているのは『此事難知』(王好古 著)という医書です。この書には『難経』の引用が多数あるのが特徴です。それだけに鍼灸師だからこそ読み取ることができる内容も多いのです。
とくに井栄兪経合の五要穴を用いた鍼法・治法は王好古ならではの経穴観・身体観が反映されています。

拨原法は原穴を用いた鍼法です。原穴を理解するには井栄兪経合の各経穴を理解する必要があります。また『難経』の経穴観を基盤としているため『難経』を深く読み込む必要があります。
このようにみると鍼灸師ならではの観点から衛気・営気・原気を解することが、海蔵拨原法を理解することにつながるのです。原穴を治療に用いる鍼灸師ならば必見の内容といえるかもしれません。

…と、この記事を読んで興味がわいた方は『中医臨床』(171号 vol.43-No.4)をお買い求めください。

鍼道五経会 足立繁久

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