『医道の日本』7月号に記事掲載

遅ればせながら報告です。
鍼灸の業界誌『医道の日本』が定期発刊を休止することになりました。

写真:医道の日本7月号の表紙写真
『医道の日本』の定期発刊は1938年から始まったとのこと(鍼灸柔整新聞より)。
82年も続いたの日本』が定期発刊を休止することになったのは残念なことであります。

今の世代が、情報を得る手段として紙媒体を用いなくなったという点も理由のひとつなのでしょうか。
私は情報のアウトプットする時はこのようにネットを使いますが、情報のインプットする際には紙媒体を用います。
古典文献や中国文献はやはり紙媒体で直接見たい派です。

さておき最終号『医道の日本』7月号では「胎毒からみえてくる伝統医学の小児科」の前編と後編の2記事が掲載されました。

写真:胎毒からみえてくる伝統医学の小児科の前編は曲直瀬道三の『遐齢小児方』が中心

伝統医学の小児科においては、胎毒は小児の体質に大きく左右する存在です。
胎毒の多寡(多少)で小児期の病症の軽重が左右されるといわれています。

子どもの体質を理解する点において、
そして東洋医学的な小児はりを実践する上で、胎毒や変蒸といった小児科の専門知識を理解しておくことは必須といえるでしょう。

但し、記事内容は胎毒の説明を、医学史の面からも紹介しているので、歴史の苦手な人にとっては読みづらいと感じてしまうかもしれませんね。
前編では、中国は随唐代の小児科にまでさかのぼり、
日本にては曲直瀬道三の頃から…と小児科の歴史をひも解いています。


写真:胎毒からみえてくる伝統医学の小児科の後編は、香月牛山の小児必用養育草を中心に

後編では、日本の江戸期における小児科の発展、胎毒の解毒法に焦点を当て、
近代に至り、胎毒という概念が衰退していく経緯を記事にしています。


写真:胎便のモノクロ写真
カラー写真ではないのが、もったいない。モノクロでは便の色が刻々と変化してしていく様子が分からない。


写真:胎毒下し(まくり)とも呼ばれる漢方薬
甘草黄連大黄湯と甘草黄連大黄紅花湯。両者の色の違いもモノクロでは伝わらない…。

本当は3回シリーズで、次なる回は「胎毒に関する腹診・鍼灸」編だったのですが、
紙面の都合によりボツとなりました。
また、機会があればどこかで紹介したいと思います。

胎毒を理解することは小児の体質を理解するだけでなく、正気と邪気の在りよう・生命の本質にまで理解が及びます。
まさに生老病死を学ぶことに通ずるのです。

鍼道五経会 足立繁久

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