『中医臨床』に「東垣鍼法から陰火学説を考える(前篇)」を寄稿

東垣鍼法を知っているか?

2022年6月号『中医臨床』に論考を寄稿いたしました。『東垣鍼法から陰火学説を考える(前篇)』と題して、李東垣の陰火学説に関する考察を述べています。
東垣鍼法は『鍼灸聚英』(明代 高武)や『鍼灸大成』(明代 楊継州)に掲載されています。


写真:6月号『中医臨床』(東洋学術出版社発行)


写真:杏林春秋のコーナーに掲載される『東垣鍼法から陰火学説を考える』

思えば陰火学説について興味をもったのが李時珍の『瀕湖脈学』の洪脈記事を書いていたとき。2021年3月の記事なので今から1年3ヵ月前のことです。

『陰火とはなんぞや?』という素朴な疑問。
『陰火と虚熱を混同していなかったか?』という反省。
そして『なぜ陰火病態で洪脈を示すのか?』という好奇心。

そこから始まり、李東垣の生命観にどっぷり浸った約一年でした。この一連の記事を書いて実感できたことはいくつかあります。

まずは「現代日本人は古典文献を自分の感覚で読みたがる」という危うさをもっていること。

『脾胃論』という書のタイトルをみて、胃腸や食事の大事を説いていると誤認したり
『内外傷弁惑論』をざっと眺めて、ストレスはいくない!と早合点したり…

そんな低レベルな過去の自分に気づき脂汗をかきながらも(参考記事はコチラ『戦乱を通して会得した李東垣の医学とは』

陰火病態は特殊な病態である!…が、現代日本人でも実はある条件においては十分に起こり得る(実はすでに体験している)病態でもあるということにも気づきました。
よく『現代日本人の体質は古代中国のものとは違うので、当時の治療法を使うことはできない』などの意見もありますが、それも早計に過ぎません。
現代日本人の体質をロングスパンとショートスパンのそれぞれで理解していない点と古典文献の真意をよく理解していない点を改善すべきでしょう。

また今回は李東垣の鍼法を主テーマに挙げましたが、『李東垣の鍼なんて日本の鍼灸と関係ないよね?』なんて思う人もいるかもしれません。
だがそれもやはり早計に思えるのです。いずれこの点についても追々機会をみて書いてみようと思う次第です。

まずはこの記事を読んで興味がわいた方は『中医臨床』(169号 vol.43-No.2)をお買い求めください。

弁証論治トレーニングにも採用!

鍼道五経会メンバーが二人、『中医臨床』の弁証論治トレーニングにて投稿採用されました。

一人は当会古参の川合真也先生、もう一人は東京講座のダヴィンチこと佐藤陽介先生です。彼らはコツコツと投稿を続けて今回も連続採用。地道な努力というものは良いモノですね。

鍼道五経会 足立繁久

 

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