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ドジョウの旬は初夏!
6月講座【生老病死を学ぶ】の打ち上げ・ゴケイメシの食材はドジョウでした。
「そういえば、ドジョウ食べたことないな~…」&「伝統鍼灸学会 in 金沢で食べ損ねたな…ドジョウ。。。」ということで、ドジョウ熱が沸々と上ってきたため、メニューは「ドジョウ」に決定!
「ドジョウは産卵前の初夏が旬」「10㎝以下のサイズなら骨ごとイケる」などなどの情報をネットで仕入れ。楽天さんは「どじょうの大河」さんにて10㎝サイズのドジョウを120匹購入。
前日の土曜日に当院に到着。一晩エアーレーションをかけて待機。念のため軽~く塩を振って塩水浴もしておきます。「鱗の無いドジョウは強い塩水を嫌う」との情報もあったので極ライトな塩水に抑えておきます。
写真:弱った個体もいましたが、当日に1匹、翌日に1匹の離脱程度で済みました。なかなかの活きの良さです
写真:ドジョウを酒で締めます。
泥鰌メシ(ドジョウ料理)のレシピ
泥鰌メシ・簡単レシピのMEMO
料理酒で〆たドジョウを2度ほど塩もみ。
ドジョウを水と料理酒(半々)そして出汁昆布で下茹でします。今回メニューは柳川鍋とドジョウ汁の二つを作るため、多めに出汁を作っておきます。
浅鍋(今回はフライパンで代用)にささがきゴボウを盛って、その上にドジョウを敷き詰めます。比較的まっすぐに茹で上がったドジョウを選んで並べると見栄え良しです。
甘口ダレ(商品名:八方だし)を2回しほど加えて煮込み、煮立ったら溶き卵(5~6個)を回し入れ、セリ(2袋・ざく切り)をドバっと載せて出来上がり。
ドジョウを茹でた鍋(泥鰌が半分残っている)に、“だしの素”・ささがきゴボウ(半分)を加え加熱します。味噌を溶いて加えてできあがり。酒呑み向けに作るため、味噌はかなり濃い目に入れます。
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ドジョウの柳川鍋の残り出汁を利用して「〆の丼」を作ります。
カマボコ・薄揚げを適宜切って入れ加熱します。薄揚げが出汁の味を吸って美味ですね。
火が通ったら、溶き卵を回し入れて、半熟くらいで火を止めて、ちぎった三つ葉を盛ってできあがり。
今回のご飯はサトウのご飯でいただきました。
メンバー全員ドジョウ料理は初めてとのこと。そして食べたとき皆の「美味しい~~!」の言葉が聞けたのは嬉しかったですね。
締めにドジョウ(泥鰌)の本草的情報を。
食物本草からみたドジョウの効能
まずは『日養食鑑』(石川元混 著 1819年)から
『日用食かがみ』
どぜう 泥鰌
甘温 毒なし
中を温め、氣を益し、腎を補ひ、酒毒を消す
▲萆薢(ひかい)と差合。
「中焦を温め益気」の効能がありますが、さらに「補腎」の効能も示しています。
さらにさらに「酒毒を消す」とあり、勉強会の後の疲れた我々の体を労わってくれ、さらに宴で摂取する酒毒のケアまでしてくれるという有難い食材です。
ちなみに差合いとされる「萆薢(ひかい)」とはオニドコロのこと。
オニドコロは毒性もあり、食するには相当の手間をかける必要があります。詳しくは色々と検索してみてください。
『閲甫食物本草』(名古屋玄医 寛文9年(1669年)自序)から(ちなみに名古屋玄医の字(あざな)は閲甫、号は宜春庵…など。)
『閲甫食物本草』泥鰍 登知也宇(とちやう)
按ずるに羅山子(林羅山)が『多識編』に、『本草綱目』の䲡魚(ゆうぎょ)を登知也宇(とちやう=どじやう)と訓ず。而して『本草綱目』の䲡魚、釋名を泥鰍とす。
李時珍が曰く、海䲡は海中に生ず、極めて大なり。江䲡は江中に生ず、長さ七八寸。泥䲡は湖池に生ず、最も小さく長さ三四寸、泥中に沈む。状(かたち)微しく鱓(うつぼ・ごまめ)に似て小さく鋭首肉身(首から口吻にかけて細くなり、身は肉厚という意か)青黒色、鱗無く、涎を以て自ら染む(粘液の意)、滑疾して握り難し、此を以て之を見れば、則ち泥䲡と俗に謂う所の登知也宇、粗(ほぼ)似たるが如し。その氣味も亦た然り。
氣味、甘平に毒無し。
主治、中を暖め氣を益し、酒を醒まし、消渇を解す(時珍)。
米粉と同じく煮て羹にして食えば中を調え痔を収する(呉球)。
或る人問う、俗間に伝える所の登知也宇(どじやう)は陽を起こすこと、宇那岐(うなぎ)に同じくして、泥䲡の繋る所終に、此の言無し。抑々(そもそも)亦た此の説有るや?
曰く、登知也宇(どじやう)は青黒色にして鱗無く、性酋健にして泥中に沈伏す。
色青黒は肝腎に入る。酋健沈伏は龍に類す、実に陽を起し火を助く。然れども宇那岐(うなぎ)より醴味ならず而して脂膏無し。知んぬ、宇那岐より勝れることを也。
■原文
泥鰍 登知也宇
按羅山子多識編、本草綱目䲡魚、訓登知也宇。而綱目䲡魚釋名、泥鰍。時珍曰、海䲡生海中極大。江䲡生江中、長七八寸。泥䲡生湖池、最小長三四寸、沈於泥中、状微似鱓而小鋭首肉身靑黒色無鱗以涎自染。滑疾難握、以此見之、則泥䲡與俗㪽謂登知也宇、如粗似。其氣味亦然。
氣味甘平無毒。主治暖中益氣、醒酒、觧消渇(時珍)。同米粉煮羹食調中収痔(呉球)
或問、俗間㪽傳登知也宇起陽、同宇那岐而泥䲡㪽繋終、無此言。抑亦有此説乎。
曰、登知也宇靑黒色無鱗性酋健沈伏於泥中。色靑黒入肝腎、酋健沈伏類龍、實當起陽助火。然不醴味於宇那岐而無脂膏。知勝於宇那岐也。
『食鑑』と同じ効能が記されています。またドジョウとウナギの効能比較も興味深いですね。
またドジョウは肝腎に入り、伏しつつも陽を起こす効能を持つため、疲れた中髙年男性の味方ともいえる食材でしょう。
最後に『魚鑑』(武井周作 著 1831年)です
どじょう
俗に鯲の字を用ゆ。漢名は泥鰌。『本草綱目』に出づ。泥中に生ずるもの。肥大にして、斑文(ぶち)陰闇(いからさる)なり。沙中に生ずるもの、痩小にして、斑文分明(あきらか)なり。鷹の羽、柳葉、しまどじょうの名あり。
[氣味]甘温毒なし。是を煮るに燈心草を一握りを入れ煮るときはその骨極めて柔らかなり。
[主治]中を暖め、氣を益し、血を調へ、専ら腎精を益す。
■原文
どじよう
俗に鯲の字を用ゆ。漢名泥鰌。綱目に出づ。泥中に生ずるもの。肥大にして、斑文陰闇なり。沙中に生ずるもの、痩小にして、斑文分明なり。鷹の羽、桺葉、しまどじようの名あり。
[氣味]甘温毒なし。是を煮るに燈心草一握を入れ煮るときはその骨極て柔なり。
[主治]中を暖め、氣を益し、血を調へ、専ら腎精をます。
中焦を温補し、益気能があり、且つ補腎能を持つのも、泥鰌(ドジョウ)の特徴として三書に共通しています。
他にも興味深い情報があります。
「燈心草(イグサ)と一緒に煮ると骨まで柔らかい」(魚鑑)これも一度試してみたいものです。
ゴボウ(牛蒡)の食物本草情報
甘平、毒なし。
水を逐ひ、脹を消し、經脉を通し、齒痛を止む。
ゴボウは日常でありふれた食材の一つ。
利水作用を持ち、経脈を通じさせる疎経の性質を持つようです。
患者さんに勧めたい食材のひとつですね。
氣味、苦寒 毒無し
蘇恭が曰く、主牙歯痛、労瘧、諸風脚緩弱、風毒、癰疽、欬嗽傷肺、肺壅、疝瘕、冷氣、積血を主る。
甄権が曰く、甘平。常に作菜食に作して可なり。人をして身を軽せしむ。
蘇頌が曰く、根を晡と作して食う甚だ良なり。
玄朔が曰く(日用食性)遺尿、夢遺、精滑の久しく止め難き人好しからず。
〇閲甫曰く、諺に曰う、牛房根は陽を起こす、寡夫は食すべからず。此の言、亦た野人の語、延べて貴人に及ぶ。意に野人、方に正月に餅及び鰤魚、章魚など陽を起こす類と同じく食う。故に暗に起陽有り。実に起陽の物に非ず。
■原文
牛房根 氣味苦寒無毒
蘇恭曰、主牙齒痛勞瘧諸風脚緩弱風毒癰疽欬嗽傷肺〱壅疝瘕冷氣積血。
甄権曰、甘平。可常作菜食令人身軽。
蘇頌曰、根作晡食甚良。
玄朔曰(日用食性)遺尿夢遺精滑久難止人不好。
〇閲甫曰、諺曰牛房根起陽。寡夫不可食。此言亦野人語延及貴人意野人方正月而與餅及鰤魚章魚等起陽類同食、故暗有起陽。實非起陽之物。
とあります。
セリ(芹)の食物本草情報
次はセリ(芹)の効能です
甘平、毒なし。
精を養ひ、氣を益し、大小便を利す。病人に宜しからず。
▲山牛蒡と差合。
精氣を養益する点はドジョウにもゴボウにも通ずるものがあります。
山ゴボウと差し合いとありますが、ゴボウとは別種なので、今回のメニューはセーフでしょう。
ちなみにヤマゴボウは生薬名を商陸(しょうりく;植物名はマルミノヤマゴボウ)といい、利尿作用があります。根は有毒とされますが、その若葉が食用とされていたそうで、これと差合いなのでしょうか。
さらにヤマゴボウについて余談ですが、マルミノヤマゴボウによく似た植物に、外来種のヨウシュヤマゴボウ(洋種山牛蒡、又はアメリカヤマゴボウ)が空き地などによく見られます。これもまた有毒植物なので要注意です。
さて『閲甫食物本草』から名古屋玄医先生のご意見を拝読しましょう。
『閲甫食物本草』芹 世利
氣味 甘平 毒無し
李延飛が曰く、赤芹は人を害す、食すべからず。
『神農本草経(巻三・菜下品)』曰く、(水靳)女子赤沃、血を止め精を養い、血脈を保ち、氣を益し、人をして肥健ならしめ、食を嗜む(ことを主る)。
陳藏器に曰く、(芹)汁を飲みて小児暴熱、大人の酒後の熱、鼻塞身熱を去り、頭中風熱を去り、口歯を利し、大腸を利す。
芹 世利
氣味甘平無毒
李延飛曰、赤芹害人不可食。本草経曰、女子赤沃、止血養精、保血脉、益氣、令人肥健、嗜食。
陳藏器曰、飲汁去小児暴熱、大人酒後熱、鼻塞身熱。去頭中風熱、利口齒、利大腸。
酒後の熱を去る点は宴レシピに適していますね。
今後もゴケイメシでお世話になることだと思います。
ゴボウ・セリともに利水や大小腸を利する効能は食事としてありがたく現代人にはより必要な性質だと思われます。
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