キジ鍋で祝う共同論文掲載 附 雉の食物本草情報

蒼流庵の濱口先生とキジ鍋!

先月の講座【生老病死を学ぶ】の打ち上げ・ゴケイメシはキジ鍋でした。
蒼流庵の濱口昭宏先生との共同論文『緯書と医書 〜易緯『通卦驗』の医学〜』の機関誌『おけら』さん掲載を祝っての宴です。

聞けば濱口先生が「キジを食べてみたい」と興味を示されているとのこと。ということでメニューは「キジ鍋」に決定!

とはいえ夏季に入っているため、雉まるまる1羽というわけにはいかずに、冷凍もののキジ肉(スライス肉700g,ガラ300g)を注文。高知県梼原町産です
レシピには「約2時間煮込む」とあり、このように鍼灸院の玄関前にてグツグツと…(ちなみにこの間は講義中。内容は「奇経と女性の体質について」)。


写真:キジの骨と出汁昆布でキジの鶏がらスープを作ります


写真:ガラとアクを取ればこのように黄金のキレイなスープの出来上がり

雉メシ(キジ鍋)レシピMEMO

簡単なレシピをMEMO

雉ガラを2時間ほど煮込み、ガラとアクを取り除いたスープに塩(適量)、白だし(少量)、醤油(一回し)を足して味を調えます。
また〆のキジ蕎麦に向けて、事前に蕎麦(6人前)を茹で上げておきます。
お鍋の具材は〔白菜・ゴボウ・豆腐・セリ・エノキ茸・ヒラタケ・長ネギ〕
メインのキジ肉700g〔注文時にスライスされています〕
※キジ肉は過熱し過ぎると硬くなるので、スライスされているのがありがたいですね。

これら随時投入して、キジ鍋の宴スタートです。

写真:“いただきます”の前にキジ鍋photoを


写真:阿野先生が差し入れしてくれた「みむろ杉」も一緒に


写真:キジ肉に舌鼓を打つ濱口先生と川合先生

〆にキジ蕎麦を…と予定していましたが、途中から“キジ鍋で蕎麦しゃぶ”状態でしたね。
それにしても、6人前の蕎麦に700gのキジ肉、そして四合瓶×3本の日本酒と、よく呑みよく食べたものです。
4人でいただきましたが、満腹満腹…(笑)

そして最後にキジ肉の効能を・・・

食物本草からみたキジの効能

まずは『日養食鑑』(石川元混 著 1819年)から

『日用食かがみ』

きじ 雉

甘酸 温。毒なし
中を補ひ、痢を止(とど)む。多食すれば悪瘡を發す。
〇秋冬には食すべし。春夏は毒あり。

補中益気の効能がありますが、季節限定ですね。
秋冬がおススメ食材で、春夏はおススメしないとのこと。その理由は『本草綱目』にあるようで、下記の『閲甫食物本草』がその部分を引用してくれています。

『閲甫食物本草』(名古屋玄医 寛文9年(1669年)自序)から(ちなみに名古屋玄医の字(あざな)は閲甫、号は宜春庵…など。)

『閲甫食物本草』

雉 順(源順)が和名集(『和名類聚抄』) 木〱須(ききす) 一に云う、木之(きし)

氣味 酸微寒 毒無し
主治は中を補い氣力を益し、洩痢を止め、蟻瘻を除く(別録)
日華が曰く、秋冬は益あり、春夏は毒あり。痢有る人は食すべからず。
頌が曰く、『周礼』庖人、六禽を供す。雉は是その一也。亦た食品の貴、然れども小毒有り、常に食すべからず、損多く益少なし。
詵が曰く、久しく食すれば人をして痩せしむ。九月より十一月に至りて稍(やや)補有る也。他月は則ち五痔、諸々の瘡疥を発す。
胡桃と同じく食ずば、頭風眩運及び心痛を発す。
菌蕈、木耳と同食すれば五痔を発し互に下血す。
蒼麦と同じく食えば肥蟲を生ず。
卵(雉の卵か)葱と同じく食えば寸白虫を生ず。自ら死して爪甲の申(伸)びざる者は人を殺す。
時珍が曰く、春夏に食うべからざる者はその虫蟻を食らい、及び蛇と交わり変化して毒有るが也。能く痔及び瘡疥を発す。
人をして痩病せしむる者は、その能く蟲を生ずるが為なり、鶏肉と同じ也。
又曰く、雉肉、諸家に言くその痔を発す、下痢の人は食うべからずと。而して『名医別録』に用いて痢瘻を治するは何ぞや?
蓋し雉は禽上に在りて胃土に応ず。故に能く中を補う。而して又蟲蟻を食う、故に能く蟻瘻を治す。その制伏を取るのみ。
若し久しく食し及び食すること其の時に非ざれば則ち蟲を生じて毒有り、故に宜しからず也。
或る人の曰く、今の人、雉能く痔を治すと云いて多く食う。然るに諸書には皆な痔を発すと何ぞや?
雉、能く痔を発す而して膿血㿉(ついえて)その痛み暫く定まる。故に以為(おもえらく)能く痔を治すと。是を以て彌(いよいよ)食し彌(いよいよ)長じ、終いに漏と為るに至る。哀しい哉。

雉 順和名集、木〱須 木之
氣味 酸微寒 無毒
主治補中益氣力、止洩痢、除蟻瘻(別録)
日華曰、秋冬益、春夏毒。有痢人不可食。
頌曰、周禮庖人供六禽。雉是其一。亦食品之貴、然有小毒、不可常食、損多益少。
詵曰、久食令人痩、九月至十一月稍有補也、他月則發五痔諸瘡疥。不與胡桃同食發頭風眩運及心痛。與菌蕈木耳同食發五痔互下血。同蒼麥食生肥蟲、卵同葱食生寸白蟲。自死爪甲不申者殺人。
時珍曰、春夏不可食者爲其食蟲蟻及與蛇交、變化有毒也。能發痔及瘡疥。令人痩病者、其能生蟲與鶏肉同也。
又曰、雉肉諸家言其發痔、下痢人不可食而別録用治痢瘻何耶。蓋雉在禽上應胃土、故能補中。而又食蟲蟻、故能治蟻瘻。取其制伏耳。若久食及食非其時則生蟲有毒故不宜也。
或曰、今人雉能治痔多食、然諸書皆發痔、何耶。
雉能發痔而膿血㿉其痛暫定。故以為能治痔。是以彌食彌長、終至為漏哀哉。

雉の効能はやはり“補中益気”にあり!
ですが、下痢に関する情報も多いですね。下痢を止めると『名医別録』にあり、一方で『日華(日華諸家本草?)』には下痢している人には不可食としています。他にも孟詵が言うには「久食令人痩」として、どうも補中益気とは思えないほどのトリセツですね。

李時珍先生がこれに対してひと通りの解説をしてくれています。
まず春夏におススメしない理由は、この季節の雉の餌は主に蟻とか虫とか…あまり良いものを食べてないからだと。さらに「蛇と交わって毒に変化す」の説は置いておくとして…。
又、曰く「雉は胃土に応ずる故に中を補う」のだ言っています。
「補中」なのに「痩せる」という矛盾に対する回答として、“寄生虫”の存在を挙げています。雉肉という高カロリーなものを食するも、雉肉を過食したり、時期に合っていない雉肉を摂ることで寄生虫を増やし(又は肥え太らせ)、そのために人間がやせてしまう…という現代日本ではお目にかかることができない病理を提示しています。

また「能く瘡疥を発する」という性質ですが、これは魚介類の補中益気の性質が強い食材に書かれてある本草的情報ですね。つまり補中益氣の性が強い食材は、摂り方や食べ合わせ次第で湿熱に転じてしまいます。そして中焦・脾胃から肌肉へと湿熱が波及してしまい、瘡・疥といった症状を発するのでしょう。

ちなみに今回のキジ鍋は初夏の5月に食しましたが、まー…蟻や蟲を餌とする野生の夏キジではなく、丁寧に飼育されているキジですので毒無しの補中益氣の効能あり、とみて良いのではないでしょうか。

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