カキ(牡蠣)とエビ(蝦)の食物本草情報

1月の講座【生老病死を学ぶ】の内容は…

先日第四日曜日は定例の講座【生老病死を学ぶ】の日。
お正月に行った易占(年筮)にて山雷頤の卦を得たこともあり、その占意にしたがっての講座内容を心掛けました。

まずはウォーミングアップでは「鍼灸師の遠足 in KYOTO」の振り返りということで、記事『医史蹟を巡る京都の旅2024』に関して手短にかつ丁寧に解説。
また互いの2024年の抱負・目標をシェア。去年の抱負を振り返りながら、今年やりべきことを改めて確認いたしました。

写真:真剣なようすで目標について検討する鍼道五経会メンバー

鍼灸実技では「鍼道五経会の流儀」を再確認しつつ「深鍼と浅鍼の使い分け」を意識した鍼を行いました。


写真:鍼灸実技では治療後の症例検討も行いました

さてさて、勉強会後は打ち上げ・ゴケイメシの時間です。今回の宴は本講座の新年会でもあります。
2024年の新年会のテーマは「牡蠣(カキ)」でした。

1月のゴケイメシの内容は…

これまでも牡蠣パーティーは何度も行いましたが、今回は最多の献立数に挑戦。
・生ガキ
・蒸し牡蠣
・牡蠣の炊き込みご飯
・牡蠣出汁ラーメン
さらに赤エビ・菜の花・シイタケの酒蒸しです。

まずは生ガキを楽しみます。


写真:カキ食うひとびと


写真:ただ黙々と剥いて食する。さながらカニ料理のごとし。


写真:赤エビと菜の花の酒蒸し。予想を超えた菜の花の美味しさに皆が感嘆の声を挙げました。


写真:牡蠣出汁ラーメン、今回はエビ味噌入りの醤油ベースの味付けです。上に載せているのはパクチーとレモン。但し実食した感想でいうと、パクチーよりもネギの方が今回の出汁に合ってましたね。


写真:牡蠣ごはんで作ったおむすび

ちなみに土鍋で炊き上げた牡蠣ごはんですが、あまりの美味さに写真を撮る間もなく。気づいたときには映え写真のシャッターチャンスを逃しておりました。
お持ち帰り用のおむすびをかろうじて写真に収めました。この1つのおむすびに4~5個牡蠣入ってます(笑)

以上のメニューを完食。もうお腹いっぱいになりました。

そして食べたあとは恒例の食物本草のお勉強です。今回は牡蠣(カキ)とエビに関する食物本草の情報といきましょう。

カキ(牡蠣)の食物本草情報

牡蠣(カキ)の本草学的効能を記す食物本草書の情報を以下に挙げていきましょう。まずは『日養食鑑』(石川元混 著 1819年)からです。

『日養食鑑』に記される牡蠣の効能

牡蠣

かき 牡蠣
甘温。毒なし。
脾胃の鬱熱を去り、汗を止め、
渇を治し、酒毒を消し、
婦人の氣血を収め、
久く食すれば、人の顔色を美麗にす。

■原文
かき 牡蠣
甘温。毒なし。脾胃の鬱熱を去り汗を止め渇を治し酒毒を消し婦人の氣血を収め久く食すれば人の顔色を美麗にす。

とあります。「酒毒を消す」という効能は、酒吞みにとって免罪符のような効能です。
次は『閲甫食物本草』に記載される牡蠣の効能です。本書は名古屋玄医(字は閲甫)が記した食物本草書です。

『閲甫食物本草』に記される牡蠣の効能

牡蠣

氣味甘温、毒無し。
煮て食えば、虚損を治し、中を調え、丹毒を解し、婦人血氣(を調治す?)。
姜醋を以て、生にて食えば丹毒、酒後の煩熱を治し、渇を止める。(藏器)
炙りて食えば、甚だ美なり、肌膚をして細やかにし、顔色を美しくせしむる。(蘇頌)

■原文
牡蠣
氣味甘温無毒。煮食治虚損、調中、觧丹毒、婦人血氣。
以姜醋、生食治丹毒、酒後煩熱止渇。(藏器)
炙食甚美、令細肌膚美顔色。(蘓頌)

とあります。生食と加熱食で効能を分けて書いてくれている点がニクイですね。
ちなみに本書『閲甫食物本草』の牡蠣に関する記載内容は、李時珍の『本草綱目』の牡蠣(肉)の内容と同じです。(『本草綱目』介部 介之二 「牡蠣・肉」はコチラ)
次に『魚鑑』をみてみましょう。『魚鑑』(武井周作 著 1831年)は日本近海で獲れる魚介類の本草書です。本草情報に加えて、当時の習俗や魚介類の漁獲地域などの情報も記録されていて、読んでいて面白い書であります。

『魚鑑』に記される牡蠣の効能

かき

『和名抄』に出づ。或いは形ち闕(かけ)たるが如し、故に名づく。
漢名牡蠣。『綱目』に出づ。種類多く、諸州に産す。俗にいう“撫子介(なでしこがい)”、これ蠔(かき)の尤も小なるもの。歌書に「なみ間(ま)かしわ」と称するもの是(これ)か。海中石上に生ず。形円にして短く、殻薄く芒刺(はり)あり。その肉、味い美(よし)。その殻枯れて風波に晒さるるもの、色微紅(うすあか)瞿麦花(なでしこのはな)の如し。
『綱目』に●蠣という。俗に“ころびがき”。上総木更津にいう“いたぼ”。海の浅渚に生ず。木石に因らずして、孤(ひとつ)生ず。状、円扁にして角あり。“いたらがい”のごとし。角さざえ(サザエ)に似て短く、味(あじわい)鄙(いや)し。『閩志(みんし)』にこれを“草鞋蛎(くさあれい)”という。又、俗に“ひそがき”、“洋(おき)がき”、これ“ころびがき”の一種、小なるものなり。
『綱目』に石牡蛎という、これ又孤(ひとつ)生ず。東洋中(ひがしうみに)多し。その殻、薬に用ゆ。海中に年を経るは殻中おのずから白粉を生ず。『綱目』に海牡蛎(かいぼれい)という。俗に“内海(うつみ)がき”。『寧波府志(ねいはふし)』に梅花蛎(ばいかれい)という。
安芸・広島・播磨・紀伊・和泉・三河・尾張・武蔵等の海、蛎田(かきだ)の種、此れ常の食料なり。下総銚子のもの大なりといえども、味よからず。それを江都(えど)海に一月ほど活(いけ)おけば美味を生ず。江都海(えどのうみ)自然生するもの状小なりといへども、その味ひ極て美(よ)し。その水の肥えたるがゆえなり。また大船のしきに附き来れるを品川にて取ることあり。はからずも遠海の産を居ながらに食するを、都会の幸いなり。
俗に“しゅもくがき”、状(かたち)丁の字のごとし。紀伊海に罕(まれ)に産す。
●:虫へんに雲

[氣味]甘温毒なし。
[主治]煮食うて、中を調え、よく盗汗をとどむ。生にて食えば、酒後の渇をとどむ。

■原文
和名抄に出つ。或は形ち闕たるがことし。故に名づく、漢名牡蠣。
綱目に出つ、種類多く諸州に産す。俗にいふ撫子介、これ蠔の尤小なるもの。歌書になみ間かしわと称するもの是歟。海中石上に生ず。形圓にして短く、殻薄く芒刺あり。その肉味ひ美。その殻枯れて風波に晒さる〱もの、色微紅瞿麦花の如し。綱目に●蠣といふ。俗にころびがき。上総木更津にいふ、いたぼ。海の浅渚に生ず。木石に因らずして、孤生ず。状圓扁にして角あり。いたらがひのごとし。角さ〲いに似て、短く味鄙し。閩志にこれを草鞋蛎といふ。又俗にひそがき、洋がき、これころびがきの一種、小なるものなり。
綱目に石牡蛎といふ、これ又孤生ず。東洋中多し。その殻薬に用ゆ。海中に年を経るは殻中おのつから白粉を生す。綱目に海牡蛎といふ。俗に内海がき。寧波府志に梅花蛎といふ。
安藝廣島播磨紀伊和泉三河尾張武藏等の海、蛎田の種、此常の食料なり。下総銚子のもの大なりといへとも、味よからず。それを江都海に一月ほど活おけば美味を生ず。江都海自然生するもの状小なりといへども、その味ひ極て美し。その水の肥へたるがゆへなり。また大船のしきに附き来れるを品川にて取ることあり。はからずも遠海の産を居ながらに食するを、都會の幸なり。俗に志ゆもくがき、状丁の字のごとし。紀伊海罕に産す。
●:虫へんに雲
[氣味]甘温毒なし。
[主治]煮食ふて中を調へよく盗汗をとゞむ。生にて食へは酒後の渇をとゞむ。

とあります。

牡蠣の食物本草能を考える

「調中」の効能と、「飲酒後の渇を止める」という薬能は三書において概ね共通しているといえます。
ここで興味深いのは「止渇」能ですね。氣味は甘温であるのに、効能は「止渇」や「止盗汗」とあり、あたかも清熱や収斂の性質があるようにみえます。
『本草綱目』に記される牡蠣(殻)の氣味は「甘平微寒」です。この微寒の性質であれば「酒後の止渇」は理解しやすいです。しかし、ここで取り上げているのはあくまでも牡蠣の身(肉)です。前述の通り、牡蠣の身(肉)の性味は甘温です。

となると、牡蠣(殻)の薬能とはまた異なる牡蠣(身・肉)の効能機序を考える必要があります。

中焦脾胃を補うことで止まる渇ということから、陰火に近い病態を想定すべきでしょうか。
また「肌膚の肌目を細やかにして顔色を美麗ならしむる」という効能からも、脾胃を補うことで中氣・胃氣・清氣・営衛の氣を産生させる機序をイメージしやすいのではないかと思います。

蝦(エビ)の食物本草情報

お次はエビ(海老・蝦)についての食物本草学情報です。ま、今回購入したエビは“アルゼンチン産・赤エビ”なので、日本の食物本草書の効能がそのまま適応するとは断定できませんが。ま、大きな観点でみれば、海はアルゼンチン沖も日本の海も繋がっている!ということで強引ながらも話を進めていきましょう。
まずは『日養食鑑』(石川元混 著 1819年)からです。

『日養食鑑』に記される蝦の効能

えび 蝦 総名なり
甘温。小毒あり。海産河産の別あり。俱に風熱蟲積を動し、瘡疥に宜からず、多食すべからず。
鰕の子、尤も毒あり。
いせえび かまくらえび くるまえび ざつこう(雑喉・雑魚エビのことか) かわえび 氣味相い同じ
緑青をなめれば毒に中る。

■原文
ゑび 蝦 總名なり
甘温。小毒あり。海産河産の別あり。俱に風熱蟲積を動し瘡疥に冝からず、多食すべからず。
鰕の子尤毒あり。
いせゑび かまくらゑび くるまゑび ざつかう かわゑび 氣味相同じ
緑青をなむれば毒に中る。。

とあります。
次は『閲甫食物本草』(1669年 序)記載のエビ情報です。本書は名古屋玄医(字は閲甫)が記した食物本草書です。

『閲甫食物本草』に記される蝦の効能

蝦(えび)

閲甫(玄医)按ずるに、鰕(えび)に大小あり、大小に因りて名は異なる。或いは伊世衣比(イセエビ)と曰い、或は久留麻衣比(クルマエビ)と曰い、或いは佐古衣比(サコエビ・シャコエビ?)と曰う。而して或いは『本草』(※1)に、海鰕、伊勢衣比(イセエビ)と訓する者これ有り。海鰕已に皮殻嫰(嫰紅色)と謂うときは則ち明けし。俗に謂う所の伊勢衣比に非ざると為す。学者、宜しく『綱目』を観習すべき也。
氣味、甘温、小毒あり、鬚無く及び腹下通り黒。并びに之を煮て色白き者は並びに食うべからず。小児及び雞狗は之を食うて脚屈弱す(『別録』※2)
孟詵が曰く、水田及に溝渠に生ずる者は毒あり。鮓内にある者(蝦)は尤も有毒。
陳藏器が曰く、熱飯を以て盛密器の中に盛り鮓を作りて食せば、人を毒して死に至る。
張鼎が曰く、風を動じて瘡疥、冷積を発す。
寗原が曰く、風熱を動ずる。病有る人は食うこと勿れ。
李時珍が曰く、羹を作りて鼈瘕を治し、痘瘡を托し、乳汁を下す。法制、陽道を壮んにす。煮汁は風痰を吐す。搗きて膏にして蟲疽に傳く。

■原文
蝦(えび)
氣味鹹微寒無毒。聚痰、脾胃虚寒者不可食。
閲甫按、鰕有大小、因大小名異矣。或曰伊世衣比、或曰久留麻衣比、或曰佐古衣比、而或本艸、海鰕訓伊勢衣比者有之。海鰕已皮殻嫰則明けし。非俗所謂伊勢衣比爲、學者宜觀習綱目也。
氣味甘温有小毒、無鬚及腹下通黒并煮之色白者並不可食小児及雞狗食之脚屈弱(別録)
孟詵曰、生水田及溝渠者有毒。鮓内者尤有毒。陳藏器曰、以熱飯盛宻器中作鮓食毒人至死。張鼎曰、動風發瘡疥冷積。寗原曰、動風熱有病人勿食。李時珍曰、作羹治鼈瘕托痘瘡下乳汁、法制壮陽道。煮汁吐風痰。搗膏傳蟲疽。

さて今回の『閲甫食物本草』はいくつかのハッキリと調べておくべき点があります。

※1の『本草』と書かれていると、つい『本草綱目』と読みたくなりますが、文脈からみて『本草綱目』と読むわけにはいきません。「海鰕を伊勢衣比と訓する者これ有り」とのことですが、まず蝦を“衣比”と訓する時点で、和書の本草系書物とみるべきでしょう。もちろん李時珍の『本草綱目』の海鰕の項目に、このような記述はみられません。

では『閲甫食物本草』よりも前に発刊された和書で『本草』と名の付くもの書をザッとみてみると、例えば『食物和歌本草増補』(山岡元隣 著)の鰕の項には「海鰕といふはいせえびの…」とあります。ちなみに同著者による『和歌食物本草』(1667年 山岡元隣)にも鰕の項がありますが、“いせえび”の記述はちょっと見つけられなかったです…。ちなみに玄医の死後発刊の書になりますが、「岡本一抱の『和語本草綱目(広益本草大成)』(1698年)にも海鰕の横に「イセエビ」とカタカナで読み仮名を記して訓んでいます。
閲甫先生が指摘しているのは、このように「海鰕=イセエビ」とする本草書のことを指しているのでしょう。
ちなみに後文の「宜しく『綱目』を観習すべき也」の『綱目』は『本草綱目』とみてよいでしょう。『本草綱目』をしっかりと学ぶべし!ということでしょう。

※2の文では『別録』の引用として「無鬚及腹下通黒、并煮之色白者、並不可食。小児及雞狗食之、脚屈弱。」の文を挙げています。この『別録』とは『名医別録』を指しますが、どうも『名医別録』には該当する文が私には見つけられませんでした…。また『本草綱目』の鰕の項には『別録』ではなく「弘景曰」とあるので、陶弘景の書ではあるが『名医別録』とは別の資料ということになるのでしょうか…。

さて話題をエビの食物本草能に戻します。
「有毒」「瘡疥」「動風」といった特徴が列挙されていますが、これらはエビが傷みやすい食材であることと、アレルゲンとしての特徴を示唆している情報のようにも読めます。もちろん当時は冷凍・冷蔵する設備もなかったでしょうし。仮にそのように考えれば、「有毒」「小毒」という情報も、エビの性味そのものが毒を持つものではなく「保存状態や捕獲後の経過時間で、有毒に変化しやすい」という特徴として読み直す必要があるかと思います。
次に『魚鑑』(武井周作 著 1831年)に記されるエビ情報をみてみましょう。

『魚鑑』に記される蝦の効能

えび

『和名抄』にえび。本朝式文、海老の字を用ゆ。『神祇式』に魵の字を用ゆ。漢名の鰕、『(本草)綱目』に出づ。鰕は和漢ともにえびの総称なり。諸州に有りといえども、伊勢及び相州鎌倉の名産とす。ゆえに伊勢えび・鎌倉えびという。『閩志』に龍蝦という、是なり。その大きさ一二尺、殻紅にして、鬚は身より長し。冬に殻を更(かえ)るものを“やわら”とよぶ(※1)。南海に最大なるものあり。
『延喜主計』に、伊勢摂津和泉等貢(みつぎ)す。古より賀寿(ことぶきいわい)、又、蓬莱盤中、門松の飾に用ゆるは寿を祝し老を慕(いとう)の義なり。
又、江海湖池に産るるもの、その種少からず。
東都芝浦に産るを“しばえび”という、青蝦なり。しらさい、白蝦なり。
梅雨の中、多きをつゆえびという、梅蝦なり。
池沼に生るを“のうまえび”という、泥蝦なり。共に『(本草)綱目』に出づ。
車えび、又“うまえび”あり。共に五色蝦なり。車えびの小なるものを、“さやまき”という。班節蝦なり。ともに『閩書』に出づ。
手長えび、草蝦なり。『八閩通志』に出づ。
背三稜にして、劍背の如きを、“けんえび”という。江蝦の類なり。
“てんぼうえび”、『邵武通志』の大脚蝦なり。
“あみえび”、“ぬかえび”ともいう。米蝦糠蝦なり。これその大きさをもって名づく。『(本草)綱目』に出づ、醤蝦ともいふ。塩辛に作るゆえなり。『閩志』に出づ。
又、しゃこ、状(かたち)蜈蚣のごとく、背に三稜あり。その色青く、尾は僧帽(ぼうずのづきん)の如し。
蝦蛄(かこ)、一名青龍なり。『閩書』に出づ。

[氣味]甘温小毒あり。或いは尾の屈まぬもの毒あり。又、榧(かや)の実と同じく食うべからず。
[主治]氣を益し、腎精を盛んにす。
又、あみ(あみえび)、婦人産門の破れ腫るるによく研りて傳(つく)れば痊ゆ。

■原文
和名抄にえび。本朝式文、海老の字を用ゆ。神祇式に魵の字を用ゆ。漢名鰕、綱目に出つ。鰕は和漢ともにえびの惣称なり。諸州有といへども、伊勢及び相州鎌倉、名産とす。ゆえに伊勢えび鎌倉えびといふ。閩志に龍蝦といふ是なり。その大さ一二尺、殻紅にして、鬚身より長し。冬、殻を更るものをやわらとよぶ。南海に最大なるものあり。
延喜主計に、伊勢摂津和泉等貢す。古より賀寿、又蓬莱盤中、門松の飾に用ゆるは寿を祝し老を慕の義なり。
又江海湖池に産るヽもの、その種少からず。東都芝浦に産るを志はえびといふ。青蝦なり、志らさゐ、白蝦なり。
梅雨の中、多きをつゆえびといふ。梅蝦なり。池沼に生るをのうまえびといふ。泥蝦なり。共に綱目に出づ。車えび、又うまえびあり。共に五色蝦なり。車えびの小なるものを、さやまきといふ。班節蝦なり。ともに閩書に出づ。手長えび、草蝦なり。八閩通志に出づ。背三稜にして、劍背の如きを、けんえびといふ。江蝦の類なり。てんぼうえび邵武通志の大脚蝦なり。あみえび、ぬかえびともいふ。米蝦糠蝦なり。これその大さをもつて名く。綱目に出づ、醤蝦ともいふ。塩辛に作るゆへなり。閩志に出づ。又志やこ状蜈蚣のごとく、背三稜あり。その色青く、尾僧帽の如し。蝦蛄、一名青龍なり。閩書に出づ。
[氣味]甘温小毒あり。或は尾屈まぬもの毒あり。又榧の實と同く食ふべからず。
[主治]氣を益し、腎精を盛にす。又あみ、婦人産門破れ腫るヽによく研りて傳れば痊ゆ。

とあります。

まとめ・今回のゴケイメシの効能は…

以上の三書ともに、小毒ありという点からは、傷みやすい食材としてのエビやアレルゲンとしての性質が記されているようにも読めます。
またエビの食物本草能としては「陽道を壮んにす」「腎精を盛んにす」という記述に注目です。この情報からはエビがもつ補腎能が示されていると判断できますね。

ということで、今回のゴケイメシは牡蠣(岡山坂越産)で補中、エビ(但しアルゼンチン産)で補腎という中焦・下焦ともに補うメニューと相成りました。

ちなみにパクチー(香菜・胡荽)の薬能はコチラの記事「コリアンダー 香菜 (和名:こえんどろ;胡荽)」をご覧ください。

ゴケイメシに興味がわいた人は…

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