鍼道五経会の足立です。
10月の小児はりのキホン!夜泣き編の第1回。台風接近・通過の条件下での開催でしたが、無事に終了しました。
早めに切り上げることも考慮して駆け足の進行でしたが、結果的には盛りだくさんの内容でした。
壮陽・補陽の適不適を脈診で診る
たまたま八味地黄丸(附子多め)が手元にあったので、全員で試飲してみました。ただ試飲するだけでは、勿体ないので、服用前後での脈診チェック(これは五味で味わう脈の変化と同じ)。
さらには「この人は附子を飲んでも大丈夫?」とテーマで脈診しました。
見ざるのポーズをしている人がいますが、気にしないでください
そして八味地黄丸の服用後の脈を確認。このような体が変化する体験も大事な勉強です。
獅子舞に噛まれる
この日は当院に獅子舞が来てくれる日だったので、休憩時間に全員で獅子舞を舞っていただき、無病息災を祈念して頭を噛んでもらいました。
それぞれの現場に帰れば、多くの患者さんの症状を癒す先生たち、無病息災を祈ることは大事なことです。
夜泣きの悩みを知ることから
「小児はりで夜泣きを治療する」といっても、知識やテクニックだけ学んでも十分とは言えません。
夜泣きの悩み・苦しみを知ろうとする姿勢が重要だと考えます。
どんな症状も共通していることですが…患者さんひとりひとりの苦しみは理解できません。なぜなら全く同じ体験をしていないからです。
それでも「ウンウン、分かるよ」というのは欺瞞・傲慢というものです。仮に同じ夜泣きで悩んだ経験を持っていたとしても、その患者さんの苦しみはその人のものであり、その人にしか分からないことです。
分かることが大事なのではなく、分かろうとする姿勢が大事です。
そして夜泣きの悩み・苦しみは、産後間もないお母さんにとってはなかなか苦しいものです。
妊娠・出産で気虚気滞・血虚瘀血が根付いた状態で、強制的にかつ頻繁に起こされるのは心身ともに苦痛です。それが毎日毎晩続くのですから。
さらに悩み深いのは、お母さんの睡眠不足だけでなく、お父さんの睡眠も妨げられることです。こうなると夫婦円満状態を維持することも難しくなる…そんなケースもあるのです。
夜泣き問題から家庭内の問題に発展、さらには・・・と、このような可能性を想定して治療に当たる必要があります。
子育てはまだまだこれから先があるので、それも見据えて小児はりをしないとね・・・という話をしました。
夜泣きの証(体質)はいくつある?
中国医学の小児科医書をもとに講座を進行しました。最初に紹介した書は『顱顖経』。
『顱顖経』は作者不詳とされていますが、唐代に書かれたもので中国医学史上、最古の小児科専門書として知られています。今も昔も夜泣きに悩む人はいたということです。
顱顖経では瘀血を原因とした夜泣きの病理が紹介されていました。
『産まれたばかりの乳児に瘀血なんてあるの?』と思われる方もいるでしょうが、乳幼児にも瘀血に匹敵する邪は潜伏しています。これも含めて講座では紹介しています。
また唐の時代から時代は降って…明代の小児科医書では心熱タイプの夜泣き、脾寒タイプの夜泣きを皮切りに、ざっと9種の夜泣きの証(体質)が記されています。
さらに他の要因を含めると、11種の夜泣きの治法が数えられます。さらに調べていくと治療法はまだまだ増えます。
・・・と、このように夜泣きを勉強すると、いかに現代日本における小児はりの追究・探究が緩いかが痛感されます。
夜泣きの治療配穴を考察
以上のように小児はりの証・原因体質が分かれば、話は早い。その体質を解除する治療法=治療経穴を考えればいいだけです。
と、参加メンバーの知恵と経験をもとに、夜間病症の病理を考察し、その治療配穴をそれぞれ考えるワークも行いました。
とはいえ、今回はひとつの証についての治療配穴を考えるところで時間と相成りました。
この先はまた次回!夜泣きの治療・その2に続きます。
次の講座【小児はりをキホンから】の予定は、11月26日(日)10:30〜17:00に行います。
新規メンバー大歓迎です。
子どもの病気を東洋医学で治したい方、小児はりを基本から学びたい方はぜひ一緒に勉強しましょう。
初参加の方は6,000円⇨4,000円に聴講生割引があります。
申込みはコチラのメールフォームからご連絡ください。※もし申込み後、3日以上経っても返信がない場合は、このブログにコメントを入れてください。