特別講義「日本鍼灸」と「治神」と
先月のこと(5月21日)、鍼道五経会・東京講座にて松田博公先生と、『ハリトヒト。』の鶴田先生・金井先生・滝沢先生をお招きして特別講座を開きました。
午後の特別講座では、大阪の阿野美也子先生(漢方振興財団 勤務)がオンラインにて『桑田さんとわたし』と題し、実体験を通じて“治神”の一つの解釈の仕方を発表してくれました。
続いてワタクシ足立が『日本鍼灸の根底にあるもの』と『霊枢・終始篇にみる治神 ~移精変氣と治神~』の二本立てで発表。
講義その1『日本鍼灸の根底にあるもの』
写真:「日本鍼灸の根底にあるもの」を講義する
この発表は、以前に松田博公先生が紹介していただいた「日本鍼灸を考えるベクトル図」を基に考察したものです。また、先月(2023.04)に京都にて『Japanese Acupuncture study-abroad tour 2023(JAT2023)』での体験も交えています。海外の鍼灸師の振る舞い・学び方をみることで、より日本鍼灸の根底にあるもの・大切にしようとしているものが分かったような気がしたからです。
講義その2『霊枢・終始篇にみる治神 ~移精変氣と治神~』
写真:内丹を踏まえて『霊枢』終始篇の「治神」を解説する
そして今回のメインはこの「治神」に関する発表です。とくに『霊枢』終始篇には「神」という文字が複数回登場します。それぞれの「神」を意味を考えることが「治神」の理解に繋がると考えたわけです。
終始篇のこれらの文章は決して“鍼治療する際の精神集中”といった浅薄な内容ではないと思うのですね。わざわざ『霊枢』に書く内容ではないですよね。「専意一神」「必一其神」「以移其神」これらの言葉を、「移精変氣」や「内丹」の方面と組み合わせての考察を発表しました。
写真:皆さん、ご清聴いただきありがとうございました。
写真:講座の合間にて。皆さん打ち解けて和気藹々
発表後はゲスト「ハリトヒト。」先生方から活発な意見交流をいただき、大いに盛り上がりました。なにより松田先生からお褒めの言葉をいただいたのは嬉しかったですね。今後の伝統医学の理解に向けて、ますますモチベーションがUpする思いでありました。
講座終了後は、懇親会。
美味しいお酒をたっぷりいただきました。こうして流派や団体の垣根を越えて交流できる…鍼灸師ってなんだかイイですね。
鍼道五経会 足立繁久