6月9日は「生薬探偵と行く奥河内」第2回 金匱植物同好会が行われます。
それに先駆けて?土曜の診療後に、濱口先生が鼈・スッポンを持ってきてくれました。もちろん生きた状態で。
初めてみる生きたスッポン
※以下の専門知識や蘊蓄(ウンチク)、工程説明はすべてシェフ濱口から教わったものです。
この個体は2週間前に濱口先生がとある川で釣ってきたスッポン(♂推定2歳)
臭みを取るために、2週間かけて泥抜きをして準備してくれていたとのこと。ありがとうございます。
ちなみに1週間では臭みを取るには短く、2週間以上経つと身が細っていくのだそうな。
デリケートなスッポンは、泥抜きの最初の頃に環境の変化などで胃の内容物を吐き出すそうです。このスッポンくんの吐瀉物からみて、ザリガニやタニシをよく捕食していたとのことです。
なので、調理の際には要加熱です(寄生虫に注意ということですね)。
まずはこのように首を捕まえて〆ます。
生き血を採るために、甲羅と首の間に包丁を入れます。
大椎あたりから刃を入れる感じでしょうか…。
この部位に刃を入れるのは生き血を採るためだそうです。
ちなみにスッポンの生き血を飲む嗜み方もあるようですが、前述の通り寄生虫対策もあり、加熱する調理法を選びます。
濱口シェフのお言葉では「生き血に塩を少々いれて、しばらく冷蔵庫で冷やしておくとゼリー状に固まります。これをモツと一緒に炒めるとまた絶品です。」とのこと。よだれが止まりません。
「ちなみに10%以上のアルコールを入れることで寄生虫対策にもなりますが、加熱した方がリスクは少ないですね」とのことです。
血抜きの後は、あれよあれよという間に解体が進み、気がついたら甲羅は剥がされ、手足の付け根肉もすぐ調理できる状態に…。
刻む命のビート
圧巻だったのは、心臓です。
心臓だけになっても、しばらくは鼓動を止めることなく、我々に生命の力を見せつけてくれていました。
これにはウチの子どもたちも驚きの声をあげると共に神妙な表情に。
スッポンを〆る捌くといった工程の中に、命をいただくと実感する瞬間が何度か訪れます。
調理でもあり、作業でもあり、儀式でもある。
このような体験から大人も子どもも何か感じるものがあるのでしょうね。普段は料理をしない長男も真剣にお手伝いしてくれました。
とにかく親子2人で「生きてるって凄い!」「命ってすごい!」の言葉を繰り返していましたね。
軽々しく安易に称賛してはいけない、でも讃えずにはいられない…と、そんな気持ちでしたね。
近年は学校教育で、鶏などの家畜をいただくことで命をいただく体験を子どもたちに…という教育があると聞きます。
私も基本的に賛成する立場です。
それだけに指導者の先生の技量が重要だということが、濱口シェフの仕事を振り返って感じ入りました。
軽妙な語りと説明と豊富な体験談。
同時に鮮やかな手さばきでスッポンを〆て捌いていく仕事ぶりから、無駄に傷つけている印象を受けずに、素直に有難いと感じることができました。
そういった意味でも、料理人や漁師さん猟師さん、そして〆る役割を担う人たちへの畏敬の念を忘れてはならないと思った次第です。
美味しくいただましたの写真はたった一枚
当初は「夏場は唐揚げとスープがオススメですよ」と濱口シェフから薦められていたのですが、私の父の所望もあり、スッポン鍋&雑炊でいただきました。
当初スッポン・スープ用に準備していた出汁にスッポン肉とこれまた贅沢ないただき方。
このあと、残りの出汁にご飯を入れるだけのシンプル=贅沢な雑炊をいただきました。
濱口シェフが主宰する金匱植物同好会
以上のように、薬草だけでなく動物生薬にも精通している濱口シェフ、もとい濱口先生と一緒に奥河内の岩湧山を歩きませんか?
この時期だと人参の花が見えるかもとのことです。
もちろん、その他にも多くの種類の薬草を観察することができるでしょう。
経験豊富な濱口先生のお話を聴ける!質問できる!という超贅沢なひと時です。
金匱植物同好会の申込み〆切は6月4日ですので、お気をつけください。
第2回 金匱植物同好会の詳細と申し込みについてはコチラから
濱口先生のブログ「蒼流庵随想」
鍼道五経会記事「金匱植物同好会の案内」