胃の腑と胃の氣について【臓腑経絡のキホン】第3回

7月30日に【臓腑経絡のキホン】第3回を開催しました。

今回のテーマは大腸の是動病所生病。そして陽明胃経と胃の氣についてです。

 

先月は内熱について

前回の大腸の部では話が広がって、“内熱の発生機序”にまで話が及びました。大腸の話から内熱にまで話が広がるというのは東洋医学ならではの醍醐味だといえます。

また、内熱は多くの症状に絡んでくる病態のひとつです。この一ヶ月の課題は「内熱の発生と病理病伝を考えて治療する」でした。

午前の部は内熱に関する情報シェアと、それに基づいた実技を主に行いました。

胃の腑と胃の氣について

午後の部は座学。胃腑についてです。当然の流れでしょうが、胃について学ぶことで“胃の氣”にまで話は広がります。

胃腑といえば胃土、胃土といえば、李東垣医学・補土派。
補土派といえば胃の氣と氣の升降。升降といえば陰陽の転化。

と、さらに“陰陽の転化が極めて繊細かつ把握が難しいターミナルの患者さんへの鍼灸治療”へと話は移っていき、実際に臨終当日(実際には御臨終二時間前)の脈を診たことがある先生からも貴重な体験談を聴くことができました。

これには私自身もとても勉強になりました。

このように人の臨床経験を聴くことは、実際に体験できないジャンルの治療感覚や視点を知ることができ、とても有意義な学びとなります。実際のところ、この講座以降、私自身の鍼のイメージを見直すきっかけともなっています。

実技は漢方薬(湯液)も飲みながら・・・

午後の部でも実技を行いました。胃腑がテーマなので手持ちの方剤で胃に関係するものを…と理中湯(人参湯)を持参していました。建中湯や補中益気湯、四君子六君子湯があればよかったのですが。

実際に服用直後の脈の変化も皆で確認しました。当然のことではありますが、服用して数秒で脈は変化します。しかし、実際に診るまではイメージしにくいようでもあり「こんなに早く脈が変化するとは…」という感想も聞けました。

このように脈の変化のタイムラグを把握しておくことも脈診家として重要なことです。

余談ながら、“鍼した後の脈の変化”と“湯液(飲食・五味)服用後の脈の変化”は大きな差はないように思えます。若干、鍼後の脈の変化の方が早いように感じます。しかし、これも口に含んでから嚥下するまで時間ほどの差ではないかとも考えています。

実技では、理中湯服用の前後の脈の変化を把握して、その人の元々の体質を推しはかり、さらに鍼治療を加えることを目標としました。

中には理中湯の服用後に熱がこもり陽が上亢する(たかぶる)ような脈を呈する先生もいました。この現象は、次のような流れがイメージしやすいかと思います。

理中湯には乾姜が含まれています。しかし、元々陽を制御する陰が不足している(陰虚)の人にとって、理中湯の補陽力がドーゼオーバーとなり、陽亢してしまうのだと。

ですから、その後の鍼のフォローは陽を引き降ろし陰に治める鍼をしています。それで脈も自覚症状もいったん落ち着きました。と、このように湯液にも明確に体を動かす方向性(ベクトル)があります。これは鍼とは違った長所です。鍼はたとえ同じ経穴を使っても、様々な条件(術者や刺鍼技術など)によって結果が変わります。

しかし、一定性(普遍性)の強い湯液を併用しながら鍼の実技を行うことは、東洋医学の人体に対する影響力とその方向性をイメージしやすくなると考えています。

番外編は東京駅のKITTEに遠足

東京講座でも遠足は実現させたいところ・・・(当会の活動目標のひとつは年一回の遠足なのです)ということで東京駅ナカのKITTEに行ってきました!

ここは日本郵便の施設ですがナント!無料で館内を見学できます。

館内には多数の標本や資料が展示されていて、訪問したときは日本における近代医学の黎明期を支えた人々の資料を展示していました。(残念ながら東洋医学関係の人物は見つからず)

他にも本草(生薬)や鳥類の標本、他にも脊椎動物の骨格標本も多数展示されており(特に館内に入ってすぐ左壁面にあるマニカネワニの骨格は圧巻)、なかなか楽しい時間を過ごすことができました。

また、購入したパンフ(過去の特別展示『東大醫學』)の写真には、経穴人形の写真があり、そこに図示されている流注からも勉強になりました。(写真はここには載せられませんが)

ちなみに「東大醫學」展は2014年3月ー5月の期間に行われていた特別展示です。詳しくはコチラを参照のこと。

ということで、第3回【臓腑経絡のキホン】も充実した一日でした。

次回、9月の【臓腑経絡のキホン】の日程は9月3日の第1日曜日です。

時間は10:30~16:30まで。午前の部で実技を行い、午後に座学を行います。

もちろん、新規メンバー募集中ですので、興味のある方はコチラからぜひご連絡ください。

 

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