目次
鍼灸師にとって『傷寒論』を学ぶこと
『傷寒論』は漢方を学ぶうえで必学必修の書といえます。
また鍼灸師は現在の日本では東洋医学を専門的に実践する立場の一人であります。鍼師・きゅう師免許が、漢方を取り扱う資格ではないにしても、漢方(湯液)医学を学ぶことは、鍼灸師にとって修めておくべき素養のひとつであると思うのです。
また鍼灸師にとって東洋医学の世界は「陰陽」「五行」がメインに語られることが多いですが、それ以外の病理観も知っておく必要があります。それによって臨床での病理診断がかなり有利になることは言うまでもありません。
『傷寒論』が鍼灸師にとって学ぶべき理由は他にもありますが、またの機会に紹介するとしましょう。
『傷寒論』について
『傷寒雑病論』は張仲景による医学書として広く知られています。反面、その著者である張仲景(張機)は謎に包まれており、長沙の太守であったという説もあり、そのような人物はいなかった…といった説もあるようで、今ひとつ曖昧模糊としています。
その真偽は別にして『傷寒論』序文には、張仲景の一族の多くが伝染病で死亡したため、一念発起して『傷寒雑病論』を記した、との言葉もあります。いずれにせよ、西暦200年代(三世紀)に編纂された漢方医書が現代に伝わり、記されている多くの漢方処方が現代の医療現場で使用されているということに改めて感動を覚えるのです。
さて『傷寒雑病論』の原書は三世紀に記されたとはいえ、現代に至るまでに何度か手が加えられています。有名なところでは、西晋の王叔和(後漢末~西晋、生没年不詳)、北宋の林億らによって整理・再編されたことが知られています。そして林億の校正を経て伝わったのがいわゆる『宋版 傷寒論』です。本記事でもこの『宋版 傷寒論』をテキストとして使用しています。
張仲景の太陽病上編
※『傷寒論』京都大学付属図書館より引用させていただきました。
※以下に書き下し文、次いで足立のコメントと原文を紹介。
※現代文に訳さないのは経文の本意を損なう可能性があるためです。口語訳は各自の世界観でお願いします。
※書き下し文には各条文に漢数字にて番号をふっています。この番号は東洋学術出版社の『傷寒雑病論』(三訂版)に準じています。
書き下し文 弁太陽病上編 第五
■書き下し文 弁太陽病上編 第五
弁太陽病脈証并治上 第五(合一十六法、方一十四首)
一)太陽の病為(た)る、脈浮、頭項強痛し、而して悪寒す。
二)太陽病、発熱、汗出で、悪風す、脈緩なる者は、名を中風と為す。
三)太陽病、或いは已(すで)に発熱し、或いは未だ発熱せざるも、必ず悪寒し、体痛み嘔逆す。脈陰陽俱に緊なる者を、名づけて傷寒と為す。
四)傷寒一日、太陽これを受け、脈若し静なる者は、不伝と為す。頗る吐せんと欲し、若し躁煩し、脈数急なる者は、伝と為す也。
五)傷寒二三日、陽明少陽証の見(あら)われざる者は、不伝と為す也。
六)太陽病、発熱して渇し、悪寒せざる者を温病と為す。
若し発汗し已(おわり)、身の灼熱する者は、風温と名づく。風温の病為(た)る、脈陰陽俱に浮、自汗出で、身重く、多く眠睡し、鼻息必ず鼾し、語言は出で難し。若し下を被むる者は、小便利せず、直視して失溲す。若し火を被むる者は、微しく黄色を発す。劇しきときは則ち驚癇する如く時に痸瘲す。若し之を火熏するときは、“一逆”尚(なお)日を引き、“再逆”すれば命期を促す。
七)病、発熱、悪寒する者有り、陽に於いて発する也。無熱悪寒の者は、陰に於いて発する也。
陽に於いて発するは、七日に愈ゆる、陰に於いて発するは、六日に愈ゆる。陽数は七、陰数は六を以ての故也。
八)太陽病、頭痛、七日以上に至りて自ら愈ゆる者は、その経を行り尽くすを以ての故也。若し再経を作さんと欲する者には、足陽明に鍼し、経をして不伝せしめるときは則ち愈ゆる。
一一)病人、身大熱し、反て衣を得んと欲する者は、熱は皮膚に在り、寒は骨髄に在る也。
身大寒して、反て衣を近づくを欲せざる者は、寒は皮膚に在り、熱は骨髄に在る也。
一二)太陽中風、陽浮而して陰弱。陽浮なる者は、熱自ら発す。陰弱の者は、汗自ら出づる。嗇嗇として悪寒し、淅淅として悪風し、翕翕として発熱す、鼻鳴乾嘔する者は、桂枝湯これを主る。方一。
桂枝(三両、皮を去る) 芍薬(三両) 甘草(二両、炙る) 生姜(三両、切る) 大棗(十二枚、擘く)
右(上)の五味、三味(桂枝、芍薬、甘草)は㕮咀し、水七升を以て、微火で煮て三升に取り、滓を去る。寒温を適にし、一升を服する、服し已(や)みて須臾にして、熱き稀粥を一升余り歠(すす)り、以て薬力を助く。温覆を一時許(ばかり)せしめ、遍身に漐漐として、微かに汗有るに似る者を益(いよいよ)佳しとす。水の流離するが如くせしむべからず、病は必ず除かれず。
若し一服して汗出で病差(い)えれば、後服を停める、必ずしも剤を盡さず。
若し汗せざれば、更に前法に依りて服せよ。又、汗せざるは、後服に小しくその間を促し、半日許(ばかり)に三服を盡さしめよ。
若し病の重き者は、一日一夜に服して、周時これを観せよ。一剤を服し盡し、病証猶(なお)在る者は、更に作して服せ。若し汗の出でざるは、乃ち服すこと二三剤に至る。
生・冷・粘・滑・肉・麺、五辛・酒・酪・臭悪などの物を禁ずる。
一三)太陽病、頭痛、発熱、汗出で悪風するは、桂枝湯これを主る。方二(前の第一方を用う)
一四)太陽病、項背強ばり𠘨𠘨として、反て汗出で悪風する者は、桂枝加葛根湯これを主る。方三
葛根(四両) 麻黄(三両、節を去る) 芍薬(二両) 生姜(三両、切る) 甘草(二両、炙る) 大棗(十二枚、擘く) 桂枝(二両、皮を去る)
右(上)七味、水一斗を以て、先に麻黄・葛根を煮、二升減ずる。上沫を去り、諸薬を内(い)れ煮て三升にまで取り、滓を去る。
一升を温服する、覆いて微似汗を取る。須らく粥を啜らず。余は桂枝法の如く、将息及び禁忌す。
(臣、林億等、謹んで仲景本論を按ず。太陽中風自汗に桂枝を用い、傷寒無汗には麻黄を用う。今証に云う、汗出悪風、而して方中に麻黄有り。恐らくは本意に非ざる也。第三巻に葛根湯有り。証に云う、無汗悪風、正に此の方と同じ。是れ合して麻黄を用う也。此れ桂枝加葛根湯を云う。恐らくは是れ桂枝湯中に但だ葛根を加うるのみ。)
一五)太陽病、之を下して後、その氣上衝する者、桂枝湯を与うべし。方は前法を用う。若し上衝せざる者は、之を与えるを得ず。四。
一六)太陽病三日、已に汗を発し、若しくは吐し、若しくは下し、若しくは温鍼し、仍(なお)解せざる者、此れは壊病と為す。桂枝湯これに与えるに中らざる也。
その脈証を観て、何れの逆を犯すかを知り、証に随い之を治せ。
桂枝は本(もと)解肌を為す。若しその人の脈浮緊、発熱、汗出でざる者は、之を与うべからざる也。常に須らく此れを識り、誤らしむる勿れ也。五。
一七)若し酒客の病、桂枝湯を与うべからず。これを得るときは則ち嘔す、酒客は甘を喜ばざるを以ての故也。
一九)凡そ桂枝湯を服して吐する者は、その後に必ず膿血を吐する也。
二〇)太陽病、発汗して遂に漏れて止まず。その人、悪風し小便難く、四肢微急して、以て屈伸し難き者、桂枝加附子湯これを主る。方七。
桂枝(三両、皮を去る) 芍薬(三両) 甘草(三両、炙る) 生姜(三両、切る) 大棗(十二枚、劈く) 附子(一枚、炮。皮を去る、八片に破る)
右(上)の六味、水七升を以て、煮て三升を取りて、滓を去る。一升を温服する。本に云う、桂枝湯、今は加附子(と云う)。将息は前法の如し。
二一)太陽病、之を下して後、脈促、胸満する者は、桂枝去芍薬湯これを主る。方八。(促、一作縦)
桂枝(三両、皮を去る) 甘草(二両、炙) 生姜(三両、切) 大棗(十二枚、劈)
右(上)の四味、水七升を以て、煮て三升を取りて、滓を去る。一升を温服する。本に云う、桂枝湯、今は去芍薬(と云う)。将息は前法の如し。
二二)若し微しく寒する者は、桂枝去芍薬加附子湯これを主る。方九。
桂枝(三両、去皮) 甘草(二両、炙) 生姜(三両、切) 大棗(十二枚、劈) 附子(一枚、炮。去皮、破八片)
右(上)の五味、水七升を以て、煮て三升を取り、滓を去る。一升を温服する。本に云う、桂枝湯。今は去芍薬加附子(と云う)。将息は前法の如し。
二三)太陽病、これを得て八九日、瘧状の如く発熱悪寒し、熱多く寒少なし。その人嘔せず、清便は自ら可ならんと欲し、一日二三度発するに、脈の微緩なる者は、愈えんと欲するを為す也。
脈微而して悪寒する者は、此れ陰陽倶に虚する。更に発汗、更下、更吐するべからざる也。
面色の反て熱色ある者は、未だ解するを欲せざる也。その小しくも汗出でるを得ること能わざるを以て、身は必ず痒する。桂枝麻黄各半湯に宜し。方十。
桂枝(一両十六銖、皮を去る) 芍薬 生姜(切る) 甘草(炙る) 麻黄(各一両、節を去る) 大棗(四枚、劈く) 杏仁(二十四枚。湯浸し皮尖および両仁を去る者)
右(上)の七味、水五升を以て、先に麻黄を煮ること一二沸、上沫を去りて、諸薬を内(い)れ、煮て一升八合を取り、滓を去り、六合を温服する。
本に云、桂枝湯三合。麻黄湯三合、併せて六合と為す、頓服す。将息は上法の如し。
(臣億等、謹んで桂枝湯方を按ずるに、桂枝・芍薬・生薑は各三両、甘草二両、大棗十二枚。麻黄湯方、麻黄三両、桂枝二両、甘草一両、杏仁七十箇。
今、算法を以てこれを約するに、二湯各々三分の一を取りて、即ち得桂枝一両十六銖、芍薬生薑甘草各一両、大棗四枚、杏仁二十三箇、三分枚の一を零(余る)す、これを収して二十四箇、方に合す。此の方を詳らかにすれば、乃ち三分の一。“各半”に非ざる也。宜しく合半湯と云うべし。)
二四)太陽病、初め桂枝湯を服し、反て煩して解せざる者には、先ず風池風府を刺す。却りて桂枝湯を与えれば則ち愈える。十一。(前の第一方を用う)
二五)桂枝湯を服して、大いに汗出で、脈洪大なる者は、桂枝湯を与うこと、前法の如し。
若し形、瘧に似て、一日に再発する者は、汗出でれば必ず解する。桂枝二麻黄一湯に宜し。方十二。
桂枝(一両十七銖、去皮) 芍薬(一両六銖) 麻黄(十六銖、去節) 生姜(一両六銖、切) 杏仁(十六箇、去皮尖) 甘草(一両二銖、炙) 大棗(五枚、劈)
右(上)七味、水五升を以て、先ず麻黄を煮ること一二沸、上沫を去りて、諸薬を内(い)れ、煮て二升を取り、滓を去る。一升を温服する。日に再服す。
本に云う、桂枝湯二分、麻黄湯一分、合して二升と為し、分けて再服す。今、合して一方と為す。将息は前法の如し。
(臣億等、謹しみて桂枝湯方を按ずるに、桂枝・芍薬・生薑各三両、甘草二両、大棗十二枚。麻黄 湯方、麻黄三両、桂枝二両、甘草一両、杏仁七十箇。今、算法を以てこれを約するに、桂枝湯は十二分の五を取る、即ち桂枝・芍薬・生薑、各一両六銖、甘草二十銖、大棗五枚。麻黄湯は九分の二を取る。即ち麻黄十六銖、桂枝十銖三分銖之二を得る。これを収して十一銖を得。甘草五銖三分銖の一、これを収して六銖を得。杏仁十五箇九分枚の四、これを収して十六箇を得。二湯の取る所を相い合して、即ち共に桂枝一両十七銖、麻黄十六銖、生薑・芍薬各一両六銖、甘草一両二銖、大棗五枚、杏仁十六箇を得、方を合する。)
二六)桂枝湯を服して、大いに汗出でて後、大いに煩渇して解せず、脈洪大なる者、白虎加人参湯これを主る。方十三。
知母(六両) 石膏(一斤、碎く、綿に裹む) 甘草(炙る、二両) 粳米(六合) 人参(三両)
右(上)の五味、水一斗を以て、米の熟する(まで)に煮て、湯に成りて滓を去る。一升を温服する、日に三服す。
二七)太陽病、発熱悪寒、熱多く寒少なし、脈微弱なる者は、此れ無陽也。発汗すべからず。桂枝二越婢一湯を宜し。方十四。
桂枝(去皮) 芍薬 麻黄 甘草(各十八銖、炙) 大棗(四枚、劈) 生姜(一両二銖、切) 石膏(二十四銖、碎く、綿に裹む)
右(上)七味、水五升を以て、麻黄を煮ること一二沸、上沫を去り、諸薬を内(い)れ、煮て二升を取る、滓を去り、一升を温服する。日に再服す。
本に云う、當に裁して越婢湯桂枝湯を為し、これを合して一升を飲む。今、合して一方と為す。桂枝湯二分、越婢湯一分。
(臣億等、謹しみて桂枝湯方を按ずるに、桂枝・芍薬・生薑各三両、甘草二両、大棗十二枚。越婢湯方、麻黄二両、生薑三両、甘草二両、石膏半斤、大棗十五枚。今、算法を以てこれを約するに、桂枝湯四分の一を取る、即ち桂枝・芍薬・生薑各々十八銖、甘草十二銖、大棗三枚を得る。越婢湯は八分の一を取る。即ち麻黄十八銖、生薑九銖、甘草六銖、石膏十四銖、大棗一枚八分の七を得、これを棄て、二湯の取る所を相い合する。即ち共に桂枝・芍薬・甘草・麻黄各々十八銖、生薑一両三銖、石膏二十四銖、大棗四枚を得て、方に合する。旧に云う、桂枝三、今は四分の一を取る。即ち當に桂枝二と云うべき也。越婢湯方、仲景雑方中を見るに、外台秘要、一に云う、越婢湯。)
二八)桂枝湯を服し、或いは之を下して、仍(なお)頭項痛み、翕翕として発熱し無汗、心下満ちて微しく痛み、小便不利の者、桂枝去桂加茯苓白朮湯これを主る。方十五。
芍薬(三両) 甘草(二両、炙) 生薑(切) 白朮 茯苓(各三両) 大棗(十二枚、劈)
右(上)の六味、水八升を以て、煮て三升を取り、滓を去り、一升を温服す。小便利するときは則ち愈える。
本に云う、桂枝湯。今は“去桂枝加茯苓白朮”。
二九)傷寒脈浮、自汗出でて、小便数、心煩、微しく悪寒、脚攣急す、反て桂枝を与え、その表を攻めんと欲する、此れ誤り也。
これを得て便ち厥し、咽中乾き、煩躁吐逆する者には、甘草乾薑湯を作し、これを与う。以てその陽を復する。
若し厥は愈えて足温むる者には、更に芍薬甘草湯を作してこれを与う。その脚は即ち伸びる。
若し胃氣和せず譫語する者には、少しく調胃承氣湯を与う。
若し重ねて汗を発し、復た焼鍼を加える者は、四逆湯これを主る。方十六。
甘草乾薑湯方。
甘草(四両、炙) 乾薑(二两)
右(上)の二味、水三升を以て、煮て一升五合を取り、滓を去る。分温再服す。
芍薬甘草湯方
白芍薬 甘草(各四両、炙)
右(上)の二味、水三升を以て、煮て一升五合を取り、滓を去る。分温再服す。
調胃承氣湯方
大黄(四両、皮を去り清酒で洗う) 甘草(二両、炙る) 芒消(半升)
右(上)の三味、水三升を以て、煮て一升を取り、滓を去り、芒消を内(い)れ、更に火に上せて微しく煮て沸せしむ、少少に温めて之を服す。
四逆湯方
甘草(二両炙) 乾薑(一両半) 附子(一枚、生用、皮を去り、八片に破る)
右(上)の三味、水三升を以て、煮て一升二合を取り、滓を去る、分温再服す。
強き人は大附子一枚、乾薑三両にて可なり。
三〇)問うて曰く、証は陽旦に象るに、法を按じ之を治し而して増劇し、厥逆し、咽中乾き、両脛拘急而して譫語する。
師の曰うに、夜半に手足は當に温まるべし、両脚は當に伸ぶべし、と言う。
後に師の言の如し。何を以て此れを知るや?
答えて曰く、寸口脈浮而して大。浮は風を為し、大は虚を為す。風なれば則ち微しく熱を生じ、虚なれば則ち両脛は攣(ひきつ)る。病形は桂枝に象る、因りて附子を加え其の間に参える。桂を増して汗をして出さしむ。附子の経を温むるは、亡陽の故也。
厥逆し、咽中乾き、煩躁し、陽明に内結するときは、譫語し煩乱す。更に甘草乾薑湯を飲ませれば、夜半に陽氣は還りて、両足は當に熱する。脛尚(なお)微しく拘急するときは、重ねて芍藥甘草湯を与える。爾(しかるときは)乃ち脛伸ぶ、承氣湯を以て微溏するときは則ちその譫語は止む。故に病の愈ゆるべきを知る。
本記事はテキストとして使用するので。さほど多くのコメントは記すつもりはありません。ですが、印象に残る点について少し触れておきましょう。
桂枝湯の使用上の注意から学ぶこと
条文一二)の桂枝湯における“使用上の注意”は要チェックです。
「服已須臾、歠熱稀粥一升餘、以助藥力。温覆令一時許、……禁生冷粘滑肉麵、五辛酒酪臭悪等物。」
現代の西洋薬に慣れている人にとっては「薬って、飲んだら効くもの」というイメージが強いと思います。しかし、ここで書かれている注意書きはそれとは異なります。
「熱い稀粥を一升余りすすり、以て薬力を助ける」「温覆を一時ばかりせしめ」とあり、この“薄いお粥”や“温覆(今なら毛布や上着など)”も薬や治療の一環として機能させているのです。「飲めば効く」といった乱暴な考え方ではなく、服用後の身の処し方にも細心の注意が払われている点には学ぶべきものがありますね。
また食事面にも様々な制約が記されていますが、これらの飲食物をなぜ禁ずるのか?を理解すれば、桂枝湯を用いて人体をどのように動かしたいのか?が理解できるでしょう。
桂枝湯の将息・その②
桂枝湯の使用上の注意、すなわち将息にはまだまだ興味深い生理・薬理が隠されています。
「温覆令一時許、遍身漐漐、微似有汗者益佳。」
まずは「一時許(ばかり)」という時間の目安に注目です。
傷寒論では(欲解時にて)十二時辰が採用されていますので。この“一時許”は現在でいう約2時間に相当すると考えます。
ではなぜ一時(2時間)なのでしょうか?
温覆して四半時(30分)ではダメなのでしょうか?
このような点にも東医的な生理学が基盤にあるのだと思います。
例えば、無病であり正気充足(とくに陽気・表気)の状態なら、熱い稀粥を歠ろうものならば、すぐさま発汗が始まります。そして、ここで立ち働くのは水穀の悍氣です。(『霊枢』営衛生会篇を参考のこと)
しかし、桂枝湯証はわざわざ桂枝湯を服用しなければならない状態にあります。言い換えると、熱稀粥を歠るだけでは発汗できない病態です。さらに言い換えると、表虚・陽虚(衛気虚)にあるため、他の氣の助けを借りる必要があるのです。そして他の氣とは、薬気であり、胃気であり、営気であります。
(東医の)理論的な話をしますと、もし衛気だけを補えば良いのであれば、時間という要素(もしくは単位)は不要です。衛気は慓悍の氣でありますから、時間という制約をあまり受けない存在です。もちろん衛気も時間の制約は受けますが、その単位は1日(24時間)であり、昼夜でその流行域が指定されています。
『霊枢』口問篇には「衛氣晝日行於陽、夜半則行於陰。(衛気は昼日に陽を行き、夜半には陰を行く)」とあります。この主旨の情報は他篇にもあります。
ですから、もし桂枝湯が純粋に衛気のみを対象とする方剤・方意であれば、桂枝湯を服用する時間帯(さらには季節まで)を指定する必要があるでしょう。具体的にいうと、(桂枝湯を)日中に服用するのは有利に働きますが、夜に服用するのは不利となります。この論を押し広げていくと、桂枝湯は春夏に服用すべきで、秋冬には適さないという暴論になります。
しかし桂枝湯証とは、あくまでも病的な状態なので、必要とあらば夜間でも服用すべきです。
将息にも「又不汗、後服小促其間、半日許令三服盡」「若病重者、一日一夜服…」とある通りです。
このような観点で将息をみるほどに、桂枝湯は営気を主とし、衛気を客として働きかけていることが分かります。つまり表気虚(衛気不足)を補うために、薬力(薬気)と水穀の氣(胃気)の助けを借りて、表位に正気を赴かせます。ここで赴く気が衛気ならば、熱稀粥を歠れば(ましてや温覆までして衛気の消費・分散を避けているので)すぐに発汗に至ります。それでも一時(約2時間)を待つという所がポイントなのです。
通常であれば、一時(約2時間)もあれば営気は人体を4周回できるのです。(営気の1周回は28.8分です)
さてやっとここで本題です。
私が腑に落ちなかったのが、一時(2時間)という指定です。いくら病的状態とはいえ、4周回も必要なのだろうか???と思うのです。せいぜい、半時(1時間)すなわち2周回で決着がつくのでは?と。
しかし桂枝湯証というのは表虚であります。
そして表虚とはいえ、そう単純なものではなく、53条文にあるように「此れ営気和と為す。営気和する者、外は諧せず。衛気が営気と共に諧和せざるを以て故にしかり。営は脈中を行き衛は脈外を行るを以て、復た其の汗を発す、営衛和すれば則ち愈ゆる。(此為榮氣和。榮氣和者、外不諧、以衛氣不共榮氣諧和故爾。以榮行脉中衛行脉外、復發其汗、榮衛和則愈。)」とある通りです。
この条文も一見すると「営気は和している」と始まり、営気の領分(以下、営気層とします)は無病であるようにもみえますが、そうではありません。「外とは諧せず(外不諧)」とある時点で、営気層は無病とはいえないのです。
もっと分かりやすく言い直しましょう。
営気層に病位はありません(営気層に病邪は侵攻していない)が、病位である衛気層との交流に不具合が生じている(営衛相随ならぬ営衛不随)状態にあります。
主たる原因は「衛気が営気と共に諧和せざるを以て故にしかり。(以衛氣不共榮氣諧和故爾)」であることは間違いありません。しかし、病邪の侵攻は表位から裏位にベクトルが定まっているため、営気が和している(此為榮氣和)としても、営気層の不具合・不調和は考慮すべき条件なのです。
この営気層に対して薬方的介入を試みたのが桂枝湯といえます。
ここまでの説明に随分と言葉を尽くしましたし、読む側もまどろっこしさを感じたと思います。
薬方にて、経口投与にて表位の営衛を調和させることには、それほどに困難が伴うのだとも解釈できると思います。この仮説は鍼灸師だからこそわかる人体観でもあります。
鍼灸治療の世界では、表位における衛気・営気の調整であれば毎日この手で行っています。でも、それはあくまでも(患者さんの)体の外側からの治療介入であり、湯液のような内服ではありません。
つまり内服することで、体の最外層・最表層に対して、さらには陽中の陽である衛気層を主に調整・チューニングする(しかも病的状態において…)ことの困難さを示している…と、将息から読み取れるかと思う次第です。
このようにみると後に続く文「禁生冷粘滑肉麵、五辛酒酪臭悪等物。」の読み取り方も変わるはずです。
よくみる説明であれば「刺激物を避ける」とありますが、一般的な感覚でみると刺激物になりえるのは「五辛酒臭悪」くらいでしょう。「生・冷・粘滑・肉麵・酪」はそこまで刺激になる物なのでしょうか?
このようにみても、営衛のチューニングを行うに際して、ノイズとなり得る要素(上記の物)を最大限排除しておきたいという意図が分かるような気がするのです。
臨床における思考の流れがそのままに…
最後の条文三〇は圧巻ですね。
「問うて曰く、……師はなぜ症状が変化することや治ることが分かったのですか?」と疑問を投げかけています。
そして師は答えます。
まず病態はこのような状態である。故に○○を処方する。その上で体はこのように動くから、次に●●を処方する。すると、このように体は変化する。さらにこのような症状が現れるということは△△の状態だから、▼▼を処方すると治るのだ。
と、病態の動き・流れを完全に把握した上で説明されています。病態の変化すなわち病伝を理解することの重要性をリアルに説いているのです。この問答は、我々臨床家が現場での診察・診断・治療するときに、脳内にて行う思考の流れそのものでもあります。
また、この文章は一見したところ病伝と処方について説明されているようにみえますが、その大前提として人体の仕組み、即ち生理学の重要性も含めて記されている点が秀逸です。
治療家は病理学や治療技術を学ぶことに一生懸命になりがちですが、基盤となる生理学が手薄になってしまっていることがあります。このような教えをサラリと書いて締めているのが太陽病上編ですね。
傷寒例 第三 ≪ 痓湿暍病編 第四 ≪ 太陽病上編 第五 ≫ 太陽病中編第六 ≫ 太陽病下編第七
鍼道五経会 足立繁久
原文 辨太陽病脉證并治上 第五
■原文 傷寒卒病論集
辨太陽病脉證并治上第五(合一十六法、方一十四首)
1)太陽之為病、脉浮、頭項强痛、而惡寒。
2)太陽病、發熱、汗出、惡風、脉緩者、名為中風。
3)太陽病、或已發熱、或未發熱、必惡寒、體痛嘔逆、脉陰陽俱緊者、名為傷寒。
4)傷寒一日、太陽受之、脉若靜者、為不傳。頗欲吐、若躁煩、脉數急者、為傳也。
5)傷寒二三日、陽明少陽證不見者、為不傳也。
6)太陽病、發熱而渇、不惡寒者、為温病。若發汗已、身灼熱者、名風温。風温為病、脉陰陽俱浮、自汗出、身重、多眠睡、鼻息必鼾、語言難出。若被下者、小便不利、直視失溲。若被火者、微發黄色。劇則如驚癇時痸瘲。若火熏之、一逆尚引日、再逆促命期。
7)病有發熱、惡寒者、發於陽也。無熱惡寒者、發於陰也。發於陽、七日愈、發於陰、六日愈。以陽數七陰數六故也。
8)太陽病、頭痛至七日以上自愈者、以行其經盡故也。若欲作再經者、針足陽明使經不傳則愈。
9)太陽病、欲觧時、從巳至未上。
10)風家、表觧而不了了者、十二日愈。
11)病人身大熱、反欲得衣者、熱在皮膚、寒在骨髓也。身大寒、反不欲近衣者、寒在皮膚、熱在骨髓也。
12)太陽中風、陽浮而陰弱。陽浮者、熱自發。陰弱者、汗自出。嗇嗇惡寒、淅淅惡風、翕翕發熱、鼻鳴乾嘔者、桂枝湯主之。方一。
桂枝(三兩去皮) 芍藥(三兩) 甘草(二兩炙) 生薑(三兩切) 大棗(十二枚擘)
右五味、㕮咀三味、以水七升、微火煑取三升、去滓。適寒温、服一升、服已須臾、歠熱稀粥一升餘、以助藥力。温覆令一時許、遍身漐漐、微似有汗者益佳。
不可令如水流離、病必不除。若一服汗出病差、停後服、不必盡劑。若不汗、更服依前法。
又不汗、後服小促其間、半日許令三服盡。若病重者、一日一夜服、周時觀之。服一劑盡、病證猶在者、更作服。若汗不出、乃服至二三劑。禁生冷粘滑肉麵、五辛酒酪臭悪等物。
13)太陽病、頭痛發熱汗出惡風、桂枝湯主之。方二(用前第一方)
14)太陽病、項背强𠘨𠘨、反汗出惡風者、桂枝加葛根湯主之。方三
葛根(四兩) 麻黄(三兩去節) 芍藥(二兩) 生薑(三兩切) 甘草(二兩炙) 大棗(十二枚擘) 桂枝(二兩去皮)
右七味以水一斗、先煑麻黄葛根、減二升、去上沫。内諸藥煑取三升、去滓。温服一升、覆取微似汗。不須啜粥、餘如桂枝法、将息及禁忌。
(臣億等謹按仲景本論、太陽中風自汗用桂枝、傷寒無汗用麻黄。今證云、汗出惡風、而方中有麻黄。恐非本意也。第三巻有葛根湯。證云、無汗惡風、正與此方同。是合用麻黄也。此云桂枝加葛根湯、恐是桂枝中但加葛根耳。)
15)太陽病、下之後、其氣上衝者、可與桂枝湯。方用前法。若不上衝者、不得與之。四。
16)太陽病三日、已發汗、若吐、若下、若温針、仍不觧者、此為壊病。桂枝不中與之也。觀其脉證、知犯何逆、隨證治之。桂枝本為觧肌。若其人脉浮緊、發熱汗不出者、不可與之也。常須識此勿令誤也。五。
17)若酒客病、不可與桂枝湯、得之則嘔、以酒客不喜甘故也。
18)喘家作桂枝湯、加厚朴杏子佳。六。
19)凡服桂枝湯吐者、其後必吐膿血也。
20)太陽病、發汗遂漏不止、其人惡風小便難、四肢微急、難以屈伸者、桂枝加附子湯主之。方七。
桂枝(三两去皮) 芍藥(三两) 甘草(三两炙) 生薑(三两切) 大棗(十二枚劈) 附子(一枚、炮。去皮、破八片)
右六味、以水七升、煑取三升、去滓。温服一升。本云、桂枝湯、今加附子。将息如前法。
21)太陽病、下之後、脉促胷滿者、桂枝去芍藥湯主之。方八。(促一作縦)
桂枝(三两去皮) 甘草(二两炙) 生薑(三两切) 大棗(十二枚劈)
右四味、以水七升、煑取三升、去滓。温服一升。本云、桂枝湯、今去芍藥。将息如前法。
22)若微寒者、桂枝去芍藥加附子湯主之。方九。
桂枝(三两去皮) 甘草(二两炙) 生薑(三两切) 大棗(十二枚劈) 附子(一枚、炮。去皮、破八片)
右五味、以水七升、煑取三升、去滓。温服一升。本云、桂枝湯、今去芍藥加附子。将息如前法。
23)太陽病、得之八九日、如瘧状發熱惡寒、熱多寒少。其人不嘔、清便欲自可一日二三度發、脉微緩者、為欲愈也。
脉微而惡寒者、此陰陽倶虚、不可更發汗更下更吐也。靣色反有熱色者、未欲觧也。以其不能得小汗出、身必痒。宜桂枝麻黄各半湯。方十。
桂枝(一两十六銖、去皮) 芍藥 生薑(切) 甘草(炙) 麻黄(各一两、去節) 大棗(四枚劈) 杏仁(二十四枚。湯浸去皮尖及两仁者)
右七味、以水五升、先煑麻黄一二沸、去上沫、内諸藥、煑取一升八合、去滓。温服六合。本云、桂枝湯三合。麻黄湯三合、併為六合、頓服。将息如上法。
(臣億等、謹按桂枝湯方、桂枝芍藥生薑各三两、甘草二两、大棗十二枚。麻黄湯方、麻黄三两、桂枝二两、甘草一两、杏仁七十箇。今以算法約之、二湯各取三分之一、即得桂枝一两十六銖、芍藥生薑甘草各一两、大棗四枚、杏仁二十三箇零三分枚之一、収之得二十四箇。合方、詳此方、乃三分之一、非各半也。宜云合半湯。)
24)太陽病、初服桂枝湯、反煩不觧者、先刺風池風府。却與桂枝湯則愈。十一。(用前第一方)
25)服桂枝湯、大汗出、脉洪大者、與桂枝湯、如前法。若形似瘧、一日再發者、汗出必觧。宜桂枝二麻黄一湯。方十二。
桂枝(一两十七銖、去皮) 芍藥(一两六銖) 麻黄(十六銖去節) 生薑(一两六銖切) 杏仁(十六箇。去皮尖) 甘草(一两二銖、炙) 大棗(五枚劈)
右七味、以水五升、先煑麻黄一二沸、去上沫、内諸藥、煑取二升、去滓。温服一升。日再服。本云、桂枝湯二分、麻黄湯一分、合為二升、分再服。今合為一方。将息如前法。
(臣億等、謹按桂枝湯方、桂枝芍藥生薑各三两、甘草二两、大棗十二枚。麻黄湯方、麻黄三两、桂枝二两、甘草一两、杏仁七十箇。今以算法約之、桂枝湯取十二分之五、即桂枝芍藥生薑各一两六銖、甘草二十銖、大棗五枚。麻黄湯取九分之二、即得麻黄十六銖。桂枝十銖三分銖之二、収之得十一銖。甘草五銖三分銖之一、収之得六銖。杏仁十五箇九分枚之四、収之得十六箇。二湯㪽取相合、即共得桂枝一两十七銖、麻黄十六銖、生薑芍藥各一两六銖、甘草一两二銖、大棗五枚、杏仁十六箇、合方。)
26)服桂枝湯、大汗出後、大煩渇不觧、脉洪大者、白虎加人參湯主之。方十三。
知母(六两) 石膏(一斤、碎、綿裹) 甘草(炙、二两) 粳米(六合) 人參(三两)
右五味、以水一斗、煑米熟。湯成去滓。温服一升、日三服。
27)太陽病、發熱惡寒、熱多寒少、脉微弱者、此無陽也。不可發汗。宜桂枝二越婢一湯。方十四。
桂枝(去皮) 芍藥 麻黄 甘草(各十八銖、炙) 大棗(四枚、劈) 生薑(一两二銖、切) 石膏(二十四銖、碎、綿裹)
右七味、以水五升、煑麻黄一二沸、去上沫、内諸藥、煑取二升、去滓。温服一升。日再服。本云、當裁為越婢湯桂枝湯。合之飲一升。今合為一方。桂枝湯二分、越婢湯一分。
(臣億等、謹按桂枝湯方、桂枝芍藥生薑各三两、甘草二两、大棗十二枚。越婢湯方、麻黄二两、生薑三两、甘草二两、石膏半斤、大棗十五枚。今以算法約之、桂枝湯取四分之一、即得桂枝芍藥生薑各十八銖。甘草十二銖、大棗三枚。越婢湯取八分之一。即得麻黄十八銖、生薑九銖、甘草六銖、石膏十四銖、大棗一枚八分之七。棄之。二湯所取相合。即共得桂枝芍藥甘草麻黄各十八銖。生薑一两三銖、石膏二十四銖、大棗四枚、合方。舊云、桂枝三、今取四分之一。即當云桂枝二也。越婢湯方、見仲景雜方中、外臺秘要、一云、越婢湯。)
28)服桂枝湯、或下之。仍頭項痛、翕翕發熱無汗、心下滿微痛。小便不利者、桂枝去桂加茯苓白朮湯主之。方十五。
芍藥(三两) 甘草(二两、炙) 生薑(切) 白朮 茯苓(各三两) 大棗(十二枚、劈)
右六味、以水八升、煑取三升、去滓。温服一升。小便利則愈。
本云、桂枝湯。今去桂枝、加茯苓白朮。
29)傷寒脉浮、自汗出、小便數、心煩、微惡寒、脚攣急、反與桂枝、欲攻其表、此誤也。得之便厥、咽中乾、煩躁吐逆者、作甘草乾薑湯、與之。以復其陽。若厥愈足温者、更作芍藥甘草湯與之。其脚即伸。若胃氣不和譫語者、少與調胃承氣湯。若重發汗、復加焼針者、四逆湯主之。方十六。
甘草乾薑湯方。
甘草(四两、炙) 乾薑(二两)
右二味、以水三升、煑取一升五合、去滓。分温再服。
芍藥甘草湯方
白芍藥 甘草(各四兩、炙)
右二味、以水三升、煑取一升五合、去滓、分温再服。
調胃承氣湯方
大黄(四兩去皮清酒洗) 甘草(二兩炙) 芒消(半升)
右三味、以水三升、煑取一升、去滓、内芒消、更上火微煑令沸、少少温服之。
四逆湯方
甘草(二兩炙) 乾薑(一兩半) 附子(一枚生用去皮破八片)
右三味、以水三升、煑取一升二合、去滓、分温再服。强人可大附子一枚、乾薑三兩。
30)問曰、證象陽旦、按法治之而増劇、厥逆、咽中乾、兩脛拘急而讝語。師曰、言夜半手足當温、兩脚當伸後如師言。何以知此。
答曰、寸口脉浮而大、浮為風、大為虚。風則生微熱、虚則兩脛攣。病形象桂枝、因加附子參其間。増桂令汗出。附子温経、亡陽故也。
厥逆咽中乾、煩躁、陽明内結、讝語煩亂、更飲甘草乾薑湯。夜半陽氣還、兩足當熱。脛尚微拘急、重與芍藥甘草湯。爾乃脛伸、以承氣湯微溏、則止其讝語。故知病可愈。