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陽明病の特性
陽明病はその名の通り、陽気の勢いが盛大で、それに伴い病勢も強いものがあります。「不悪寒、反悪熱」や「身熱」「汗多」などの表面に現れる熱性所見が多く、陽性の強さは六経病の中でもトップといえるでしょう。
そして陽明ですので、胃腑・大腸腑といった裏位に病熱を移すことで「不大便」「大便鞕」はては「譫語」「狂」「如見鬼状」「循衣模床」といった重篤な病態にまで発展し得るエネルギーを持っています。
鍼灸師にとって陽明病編を学ぶ意義
鍼灸師にとって、急性熱性疾患を診るケースは少ないといえるでしょうが、だからと言って学ぶ必要がないなんて到底言えるものではありません。
このコロナ禍で経験したように、外邪性の熱性疾患の病理病態を正確に把握することで、その予防や病後の調整(コロナであればコロナ後の後遺症)に大きく貢献できるのです。このようにみれば鍼灸師の治病観に五行だけでなく、六経病の治病観を加える意義も分かるのではないかと思います。
ちなみに小児はりを行う者にとって陽明病編は必修の医学だといえるでしょう。むしろ臨床現場で小児を診ている人ほど、この陽明病編の内容は理解しやすいものがあると思います。
※『傷寒論』京都大学付属図書館より引用させていただきました。
※以下に書き下し文、次いで足立のコメントと原文を紹介。
※現代文に訳さないのは経文の本意を損なう可能性があるためです。口語訳は各自の世界観でお願いします。
※書き下し文には各条文に漢数字にて番号をふっています。この番号は東洋学術出版社の『傷寒雑病論』(三訂版)に準じています。
書き下し文 弁陽明病編 第八
■書き下し文 弁陽明病編 第八
一七九)問うて曰く、病に太陽陽明有り、正陽陽明有り、少陽陽明有り。何の謂い也?
答えて曰く、太陽陽明なる者、脾約(一に云う、絡)これ也。正陽陽明なる者は、胃家実これ也。少陽陽明なる者は、発汗利小便已(や)みて、胃中燥き煩し実し、大便難し、これ也。
一八〇)陽明の病為(た)る、胃家実(一つに寒と作す)これ也。
一八一)問うて曰く、何に縁りて陽明病を得ん?
答えて曰く、太陽病、若し発汗し、若しくは下し、若しくは小便を利す、此れ津液を亡(な)くし、胃中乾燥し、因りて陽明に転属す、更衣せず、内実し大便の難き者、此れ陽明と名づく也。
一八二)問うて曰く、陽明病の外証とは何を云う?
答えて曰く、身熱し、汗自出で、悪寒せず反て悪熱する也。
一八三)問うて曰く、病、之を得ること一日、発熱而して悪寒する者有り、何ぞ也?
答えて曰く、之を得て一日と雖も、悪寒将に自ら罷(や)まんとするは、即ち自ら汗出で而して悪熱する也。
一八四)問うて曰く、悪寒は何故に自ら罷(や)むか?
答えて曰く、陽明は中に居し、土を主る也。万物の帰る所、復伝する所無し。始め悪寒すると雖も、二日に自ら止む、此れ陽明の病むを為す也。
一八五)本(もと)太陽、初め病を得る時、其の汗を発し、汗先に出でるも撤せず、因りて陽明に転属する也。
傷寒発熱、無汗、嘔して食すること能わず、而して反て汗出で濈濈然たる者は、これ陽明に転属する也。
一八七)傷寒脈浮而して緩、手足自ら温なる者、これ太陰に在りて繋(かか)るを為す。太陰なる者、身當に発黄すべし。若し小便自利する者、発黄すること能わず、七八日に至りて、大便鞕き者は、陽明病を為す也。
一八八)傷寒転じて陽明に繋る者、其の人濈然として微しく汗出でる也。
一八九)陽明の中風、口苦、咽乾き、腹満し、微喘、発熱、悪寒、脈浮而して緊。若し之を下すときは則ち腹満して小便難き也。
一九〇)陽明病、若し食すること能うは、中風と名づく。食すること能わずは、中寒と名づく。
一九一)陽明病、若し中寒なる者、食すること能わず、小便不利し、手足濈然として汗出でる。此れ固瘕を作さんと欲す。必ず大便初め鞕く後に溏する。然る所以の者は、胃中冷え、水穀を別たざるを以ての故也。
一九二)陽明病、初め食を欲し、小便反て利せず、大便自ら調う、其の人は骨節疼き、翕翕として熱有る状の如し、奄然(えんぜん)として狂を発し、濈然として汗出で而して解する者は、此れ水が穀氣に勝たず、汗と共に并びぶ、脈の緊なるときは則ち愈ゆる。
一九三)陽明病の解せんと欲する時は、申従(よ)り戌上に至る。
一九四)陽明病、食すること能わざるに、其の熱を攻めれば必ず噦する。然る所以の者は、胃中虚冷の故也。以其の人本(もと)虚するを以て、其の熱を攻めれば必ず噦す。
一九五)陽明病、脈遅、食は飽にまで用い難く(食欲はあるが満腹するまで食すること能わず)、飽するときは則ち微煩し、頭眩、必ず小便難し。此れ穀癉を作さんと欲す、之を下すと雖も、腹満すること故の如し。然る所以の者は、脈遅なる故也。
一九六)陽明病、法は多汗なるに、反て無汗、其の身は蟲の皮中を行く状の如くなる者、此れ久虚なるを以ての故也。
一九七)陽明病、反て無汗、而して小便利し、二三日嘔而して欬す、手足の厥する者は、必ず頭痛に苦しむ、若し欬せず嘔せず、手足厥せざる者は、頭痛まず。(一に云う、冬陽明)
一九八)陽明病、但だ頭眩し悪寒せざる、故に能く食し而して欬す、其の人咽必ず痛む。若し欬せざる者、咽は痛まず。(一に云う、冬陽明)
一九九)陽明病、無汗、小便不利、心中懊憹する者、身必ず発黄す。
二〇〇)陽明病、火を被り、額上微しく汗出で、而して小便不利する者、必ず発黄す。
二〇一)陽明病、脈浮而して緊なる者、必ず潮熱して発作するに時有り。但だ浮なる者は、必ず盗汗出でる。
二〇二)陽明病、口燥き但だ水を漱がんと欲し、嚥まんと欲せざる者は、此れ必ず衂する。
二〇三)陽明病、本(もと)自汗出で、医更に重ねて発汗し、病已(すで)に差えるも、尚(なお)微煩して了了たらざる者、此れ必ず大便鞕するが故也。津液を亡(な)くし、胃中乾燥するを以て、故に大便をして鞕せしむ。
當に其の小便日に幾行するかを問うべし。若し本(もと)は小便日に三四行し、今は日に再行す、故に大便久しからず出でることを知る。今、小便の数少なきが為に、津液は當に胃中に還入するべきを以て、故に久しからずして必ず大便するを知る也。
二〇四)傷寒、嘔多きは、陽明証有りと雖も、之を攻むべからず。
二〇五)陽明病、心下鞕満する者、之を攻むべからず。之を攻め、利遂止まざる者は死する。利止む者は愈ゆる。
二〇六)陽明病、面に色赤きを合するは、之を攻むべからず。必ず熱を発す、色黄なる者は、小便不利也。
二〇七)陽明病、吐せず、下さず、心煩する者、調胃承氣湯を与うべし。方一。
甘草(二両、炙る) 芒硝(半升) 大黄(四両、清酒で洗う)
右(上)三味、切り、水三升を以て、二物を切り一升に至る、滓を去り、芒硝を内(い)れ、更に微火に上せて一二沸す。温めて之を頓服す、以て胃氣を調う。
二〇八)陽明病、脈遅、汗出でると雖も悪寒せざる者、其の身必ず重く、短氣、腹満而して喘す、潮熱有る者は、此れ外の解せんと欲す、裏を攻むべき也。手足濈然として汗出でる者、此れ大便已(すで)に鞕する也。大承氣湯これを主る。
若し汗多く、微しく発熱し、悪寒する者は、外は未だ解せざる也(一つの法、桂枝湯を与う)。其の熱は潮せずは、未だ承氣湯を与うべからず。若し腹大いに満して通ぜざる者、小承氣湯を与え、微しく胃氣を和する。大いに泄下に至らしむること勿れ。大承氣湯。方二。
大黄(四両、酒洗) 厚朴(半斤、炙る、皮を去る) 枳実(五枚、炙る) 芒硝(三合)
右(上)四味、水一斗を以て、先に二物を煮て、五升を取り、滓を去る、大黄を内(い)れ、更に煮て二升を取り、滓を去り、芒硝を内(い)れ、更に微火に上せ一両沸する。分温再服し、下を得れば余は服すること勿れ。
小承氣湯方
大黄(四両、酒で洗う) 厚朴(二両、炙り、皮を去る) 枳実(三枚、大なる者、炙る)
右(上)三味、水四升を以て、煮て一升二合を取り、滓を去り、分温二服す。初め湯を服して當に更衣すべし、爾(しか)らざる者は盡く之を飲む。若し更衣する者は、之を服すること勿れ。
二〇九)陽明病、潮熱、大便微鞕なる者は、大承氣湯を与うべし。鞕ならざる者は、之を与うべからず。若し大便せざること六七日なるは、恐らくは燥屎有り。之を知らんと欲すの法、少しく小承氣湯を与う。湯、腹中に入りて、転失氣する者、此れ燥屎有る也。乃ち之を攻むべし。
若し転失氣せざる者は、此れ但だ初頭鞕く後必ず溏す、之を攻むべからず。必ず脹満して食すること能わざる也。水を飲まんと欲する者には、水を与えれば則ち噦する。其の後に発熱する者、必ず大便復た鞕而して少なき也。小承氣湯を以て之を和する。
転失氣せざる者は、慎しみて攻むべからず也。小承氣湯。三(前第二方を用う)
二一〇)夫れ実するときは則ち譫語す、虚するときは則ち鄭声す。鄭声なる者は、重語也。直視、譫語、喘満する者は死す。下利する者は亦た死する。
二一一)発汗多く、若し重ねて発汗する者は、其の陽を亡(な)くす、譫語し、脈短なる者は死す。脈自ずと和する者は死せず。
二一二)傷寒、若し吐し若しくは下した後に解せず、大便せざること五六日、上は十余日に至り、日晡所にい潮熱を発し、悪寒せず、独語して鬼状を見(あらわ)すが如し。若し劇しき者、発すれば則ち人を識(し)らず、循衣模床し、惕而して安からず(一に云う、順衣妄撮、怵惕不安)、微喘し直視す。脈弦なる者は生き、濇なる者は死する。微なる者、但だ発熱し譫語する者、大承氣湯これを主る。若し一服して利するときは、則ち後服を止む。四(前第二方を用う)
二一三)陽明病、其の人汗多く、津液外に出で、胃中燥くを以て、大便必ず鞕す。鞕なるときは則ち譫語する。小承氣湯これを主る。若し一服して譫語止む者は、更に復た服すること莫(な)かれ。五。(前第二方を用う)
二一四)陽明病、譫語し、潮熱を発し、脈滑而して疾なる者は、小承氣湯これを主る。因りて承氣湯一升を与う。腹中転氣する者は、更に一升を服する。若し転氣せざる者は、更に之を与うこと勿れ。
明日又、大便せず、脈反て微濇なる者は、裏虚也、難治と為す。更に承氣湯を与うべからざる也。六。(前第二方を用う)
二一五)陽明病、譫語、潮熱有り、反て食すること能わざる者、胃中に必ず燥屎五六枚有る也。若し能く食する者は、但だ鞕なる耳(のみ)。宜しく大承氣湯にて之を下すべし。七。(前第二方を用う)
二一六)陽明病、下血し、譫語する者、此れ熱入血室を為す、但だ頭汗出でる者は、期門を刺す。其の実に随い而して之を寫せ。濈然として汗出でるときは則ち愈ゆる。
二一七)汗(汗、一つに臥に作す)出でて譫語する者は、燥屎有りて胃中に在るを以て、此れ風と為す也。須らく下すべき者は、経を過ぎれば乃ち之を下す。之を下すこと若し早ければ、語言必ず乱る、表虚裏実なるを以ての故也。之を下せば愈ゆる。大承氣湯に宜し。八(前第二方を用う。一つ云う大柴胡湯)
二一八)傷寒四五日、脈沈而して喘満、沈は裏に在るを為す、而して反て其の汗を発し、津液越出す、大便の難きを為し、表虚裏実す、久しきときは則ち譫語す。
二一九)三陽合病、腹満し、身重く、以て転側すること難く、口不仁し、面垢づき(又、枯と作す。一に云う向経)、譫語、遺尿す。発汗すれば則ち譫語す、之を下せば則ち額上に汗を生じ、手足逆冷す、若し自汗出でる者は、白虎湯これを主る。方九。
知母(六両) 石膏(一斤、碎く) 甘草(二両、炙る) 粳米(六合)
右(上)四味、水一斗を以て、米を煮て熟し、湯成りて滓を去る、温服一升、日に三服す。
二二〇)二陽併病、太陽証罷(や)みて、但だ潮熱を発し、手足漐漐として汗出で、大便難く而して譫語する者、之を下せば則ち愈ゆる。大承氣湯に宜し。十。(前第二方を用う)
二二一)陽明病、脈浮而して緊、咽燥き口苦く、腹満而して喘、発熱して汗出で、悪寒せず反て悪熱し、身重し。若し汗を発すれば則ち躁し、心憒憒(かいかい)(公對切)として反て譫語する。
若し温鍼を加うれば、必ず怵惕(じゅってき)煩躁して眠るを得ず。
若し之を下せば則ち胃中空虚、客氣動膈して、心中懊憹す。
舌上に胎ある者は、梔子鼓湯これを主る。方十一。
肥梔子(十四枚、擘く) 香鼓(四合、綿に裹む)
右(上)二味、水四升を以て、梔子を煮て二升半を取り、滓を去り、鼓を内(い)れ、更に煮て一升半を取る、滓を去り、二服に分け、温めて一服を進む。快吐を得る者は、後服を止む。
二二二)若し渇して水を飲まんと欲し、口乾き舌燥する者、白虎加人參湯これを主る。方十二
知母(六両) 石膏(一斤、碎く) 甘草(二両、炙る) 粳米(六合) 人参(三両)
右(上)五味、水一斗を以て、米を煮て熟し、湯成りて滓を去る、一升を温服、日に三服す。
二二三)若し脈浮、発熱、渇して水を飲まんと欲し、小便不利する者、猪苓湯これを主る。方十三。
猪苓(皮を去る) 茯苓 沢瀉 阿膠 滑石(碎く、各一両)
右(上)五味、水四升を以て、先に四味(猪苓・茯苓・沢瀉・滑石)を煮、二升を取る、滓を去り、阿膠を内(い)れ烊消(ようしょう)す、七合を温服し、日に三服す。
二二四)陽明病、汗出でること多く而して渇する者、猪苓湯を与うべからず。汗多く胃中燥くに、猪苓湯復た其の小便を利するを以ての故也。
二二五)脈浮而して遅、表熱裏寒、下利清穀する者、四逆湯これを主る。方十四。
甘草(二両、炙る) 乾薑(一両半) 附子(一枚、生を用う、皮を去り八片に破る)
右(上)三味、水三升を以て、煮て一升二合を取り、滓を去る、分温二服。強人は大附子一枚、乾薑三両とすべし。
二二六)若し胃中虚冷し、食すること能わざる者、水を飲めば則ち噦する。
二二八)陽明病、之を下し、其の外に熱有り、手足温にして、結胸せず、心中懊憹し、飢えて食すること能わず、但だ頭に汗出でる者。梔子鼓湯これを主る。十五。(前第十一方を用う)
二二九)陽明病、潮熱を発して、大便溏、小便自ら可なり、胸脇満ちて去らざる者、小柴胡湯を与う。方十六
柴胡(半斤) 黄芩(三両) 人参(三両) 半夏(半升、洗う) 甘草(三両、炙る) 生薑(三両、切る) 大棗(十二枚、擘く)
右(上)七味、水一斗二升を以て、煮て六升を取る、滓を去り、再び煎じて三升を取る、一升を温服、日に三服す。
二三〇)陽明病、脇下鞕満し、大便せず而して嘔す、舌上白胎なる者、小柴胡湯を与うべし。上焦は通ずるを得、津液は下るを得、胃氣は因りて和し、身濈然として汗出で而して解する。十七(用上方)
二三一)陽明中風、脈弦浮大、短氣、腹都(すべて)満、脇下及び心痛み、久しく之を按ずれば氣は通ぜず、鼻は乾き、汗は得ず、嗜臥して、一身及び目は悉く黄する、小便は難く、潮熱有り、時時噦して、耳の前後は腫れ、之を刺して小(すこ)しく差えるも、外は解せず。病は十日を過ぎ、脈続いて浮なる者は、小柴胡湯を与う。十八。(上方を用う)
二三二)脈但だ浮にして、余証無き者は、麻黄湯を与う。若し尿せず、腹満して噦の加うる者は、治せず。麻黄湯。方十九
麻黄(三両、節を去る) 桂枝(二両、皮を去る) 甘草(一両、炙る) 杏仁(七十箇、皮尖を去る)
右(上)四味、水九升を以て、麻黄を煮る、二升を減じ、白沫を去り、諸薬を内(い)れ、煮て二升半を取り、滓を去る。八合を温服し、覆いて微似汗を取る。
二三三)陽明病、自汗出で、若しくは発汗して、小便自利する者、此れ津液内竭するを為す、鞕すと雖も之を攻むべからず。當に自ら大便を欲するを須(ま)ち、宜しく蜜煎導にて之を通ずべし。
若しくは土爪根、及び大豬膽汁。皆な導を為すべし。二十。
蜜煎方
食蜜(七合)
右(上)一味、銅器内に於いて、微火にて煎ずる。當に飴状の如く凝るを須(ま)つべし。之を撹して焦げ著かしむること勿れ、可丸にすべく欲して、手を併せて捻りて挻に作す。頭をして銳にせしめ、大きさ指の如く、長さ二寸許(ばかり)。當に熱き時に急ぎ作す、冷なれば則ち鞕し。以て穀道中に内(い)れ、手を以て急ぎ抱して、大便せんと欲すれば乃ち之を去る。疑うらくは仲景の意に非ず。已(すで)に試みて甚だ良し。
又、大猪膽一枚、汁を瀉(そそ)ぎ、少し許(ばかり)の法醋と和し、以て穀道の内に灌ぐ。一食頃の如くして、當に大便して宿食悪物を出だすべし。甚だ効あり。
二三四)陽明病、脈遅、汗出でること多く、微しく悪寒する者、表は未だ解せざる也。発汗すべし。桂枝湯に宜し。第二十一(五味)
桂枝(三両、皮を去る) 芍薬(三両) 生薑(三両) 甘草(二両、炙る) 大棗(十二枚、擘く)
右(上)五味、水七升を以て、煮て三升を取り、滓を去る、一升を温服し、須臾にして熱稀粥一升を啜る、以て助薬力を助け汗を取る。
二三五)陽明病、脈浮、無汗而して喘する者、発汗すれば則ち愈ゆる。麻黄湯に宜し。二十二(前第十九方を用う)
二三六)陽明病、発熱して汗出でる者、此れ熱越と為す、発黄すること能わざる也。但だ頭に汗出でて、身に汗無し、剤頚而還、小便利せず、渇して水漿を引く者は、此れ瘀熱在裏と為す、身に必ず発黄す。茵蔯蒿湯これを主る。方二十三
茵蔯蒿(六両) 梔子(十四枚、擘く) 大黄(二両、皮を去る)
右(上)三味、水一斗二升を以て、先に茵蔯を煮て、六升を減ずる。二味(梔子・大黄)を内(い)れ、煮て三升を取り、滓を去る。分けて三服す。小便當に利するべし。尿、皂莢汁の状の如く、色は正に赤し。一宿にして腹減じ、黄、小便従(よ)り去る也。
二三七)陽明証、其の人喜(しばしば)忘れる者、必ず畜血有り。然る所以の者は、本(もと)より久しく瘀血有り。故に喜(しばしば)忘れしむる、屎は鞕きと雖も、大便反て易し、其の色は必ず黒き者、宜しく抵當湯にて之を下すべし。方二十四
水蛭(熬る) 蝱蟲(翅足を去る、熬る、各三十箇) 大黄(三両、酒洗う) 桃仁(二十箇、皮尖及び両人の者を去る)
右(上)四味、水五升を以て、煮て三升を取り、滓を去る、一升を温服す。下らざれば更に服す。
二三八)陽明病、之を下して、心中懊憹し而して煩す、胃中に燥屎有る者は、攻むべし。腹微満し、初頭鞕く、後に溏するものは之を攻むべからず。若し燥屎有る者は、大承氣湯に宜し。二十五(前第二方を用う)
二三九)病人、大便せざること五六日、臍を繞りて痛み、煩躁、発作するに時有る者、此れ燥屎有る故に大便せざらしむる也。
二四〇)病人、煩熱し、汗出でて則ち解す。又、瘧状の如く、日晡所に熱を発する者は、陽明に属する也。脈実する者は、宜しく之を下すべし。脈浮虚なる者は、宜しく汗を発すべし。
之を下すには大承氣湯を与え、汗を発するには、桂枝湯に宜し。二十六(大承氣湯、前第二方を用う。桂枝湯、前第二十一方を用う)
二四一)大に下したる後、六七日大便せず、煩は解せず、腹満痛する者、此れ燥屎有る也。然る所以の者、本(もと)より宿食有り、大承氣湯に宜し。二十七(前第二方を用う)
二四二)病人、小便不利して、大便は乍ち難く乍ち易く、時に微熱有り、喘冒(一つに沸鬱と作す)し、臥すること能わざる者、燥屎也。大承氣湯に宜し。二十八(前第二方を用う)
二四三)穀を食して嘔せんと欲するは、陽明に属する也。呉茱萸湯これを主る。湯を得て反て劇する者は、上焦に属する也。呉茱萸湯方二十九。
呉茱萸(一升、洗う) 人参(三両) 生薑(六両、切る) 大棗(十二枚、擘く)
右(上)四味、水七升を以て、煮て二升を取り、滓を去る、七合を温服す。日に三服す。
二四四)太陽病、寸緩関浮尺弱、其の人発熱、汗出で、復た悪寒し、嘔せず、心下痞する者は、此れ医が之を下したるを以て也。
如(も)し其の下さざる者、病人悪寒せず而して渇する者、此れ陽明に転属する也。小便数なる者は、大便必ず鞕し、更衣せざること十日なれども、苦しむ所無き也。渇して水を飲まんと欲するは、少少これを与えよ。但だ法を以て之を救う。渇する者は、五苓散に宜し。三十
猪苓(皮を去る) 白朮 茯苓(各十八銖) 沢瀉(一両六銖) 桂枝(半両、皮を去る)
右(上)五味、散を為し、白飲に和し、方寸匕(ほうすんひ)にて服す、日に三服す。
二四五)脈陽微而して汗出でること少なき者、自ら和する(一つに如と作す)と為す也。汗出でること多き者、太過と為す。陽脈実、因りて其の汗を発し、出ることの多き者、亦た太過と為す。太過なる者は、陽が裏に於いて絶すると為し、津液を亡くし、大便因りて鞕する也。
二四六)脈浮而して芤、浮は陽を為し、芤は陰を為す。浮芤相い搏ち、胃氣は熱を生じ、其の陽は則ち絶す。
二四七)趺陽脈浮而して濇、浮なれば則ち胃氣強く、濇なれば則ち小便数なり。浮濇相い搏りて、大便は則ち鞕し。其れ脾は約するを為す。麻子仁丸これを主る。方三十一。
麻子仁(二升) 芍薬(半斤) 枳実(半斤、炙る) 大黄(一斤、皮を去る) 厚朴(一尺、炙る、皮を去る) 杏仁(一升、皮尖を去り、熬る、別に脂に作する)
右(上)六味、蜜に和して丸にす、梧桐子大の如くにす。飲みて十丸を服し、日に三服す。漸くに加え、知るを以て度と為す。
二四八)太陽病三日、発汗して解せず、蒸蒸と発熱する者、胃に属する也。調胃承氣湯これを主る。三十二(前第一方を用う)
二四九)傷寒、吐して後、腹脹満する者、調胃承氣湯を与う。三十三。(前第一方を用う)
二五〇)太陽病、若しくは吐し、若しくは下し、若し汗を発したる後、微煩し、小便数、大便因りて鞕き者、小承氣湯を与え之を和し愈ゆる。三十四(前第二方を用う)
二五一)病を得て二三日、脈弱、太陽柴胡証無し、煩躁し、心下鞕、四五日に至り、能く食すると雖も、小承氣湯を以て、少少与えて微しく之を和す。小しく安からせしむ。六日に至り、承氣湯一升を与う。若し大便せざること六七日、小便少なき者は、食を受けず(一に云う、不大便)と雖も、但だ初頭鞕後必溏す、未だ定まり鞕を成さず、之を攻めれば必ず溏す。小便が利し、屎が定まり鞕なるを須(ま)ちて、乃ち之を攻むべし。大承氣湯に宜し。三十五(前第二方を用う)
二五二)傷寒六七日、目中が了了たらず、睛は和せず、表裏の証は無し、大便難く、身微熱する者は、此れ実と為す也、急ぎ之を下せ。大承氣湯に宜し。三十六(前第二方を用う)
二五三)陽明病、発熱し汗多き者、急ぎ之を下せ。大承氣湯に宜し。三十七(前第二方を用う。一に云う、大柴胡湯)
二五四)発汗して解せず、腹満痛する者、急ぎ之を下せ。大承氣湯に宜し。三十八(前第二方を用う)
二五五)腹満して減ぜず、減ずるも言うに足らざるは、當に之を下すべし。大承氣湯に宜し。三十九(前第二方を用う)
二五六)陽明少陽の合病、必ず下利す、其の脈負ならざる者は、順を為す也。負なる者は、失也。互いに相い剋賊することを、名づけて負と為す也。
脈滑而して数なる者は、宿食有る也。當に之を下すべし、大承氣湯に宜し。四十(前第二方を用う)
二五七)病人、表裏の証無し、発熱すること七八日、脈浮数なる者と雖も、之を下すべし。
仮令已(すで)に下し、脈数なるを解せず、合熱するときは則ち消穀喜飢す、六七日に至りて、大便せざる者、瘀血有り。抵當湯に宜し。四十一(前第二十四方を用う)
二五八)若し脈数を解せず、而して下ること止まざるは、必ず協熱して膿血を便する也。
二五九)傷寒、発汗し已(おわ)り、身目は黄を為す、然る所以の者は、寒湿(一作に温)裏に在りて解せざるを以ての故也。以て下すべからずと為す也。寒湿中に於いて之を求む。
二六〇)傷寒七八日、身黄なること橘子の色の如く、小便不利、腹微満する者、茵蔯蒿湯これを主る。四十二(前第十三方を用う)
二六一)傷寒、身黄にして発熱するは、梔子鼓蘗皮湯これを主る。方四十三
肥梔子(十五箇、擘く) 甘草(一両、炙る) 黄蘗(二両)
右(上)三味、水四升を以て、梔子を煮て一升半を取り、滓を去る、分温再服す。
二六二)傷寒、瘀熱が裏に在れば、身必ず黄する、麻黄連軺赤小豆湯これを主る。方四十四
麻黄(二両、節を去る) 連軺(二両、連翹根これなり) 杏仁(四十箇、皮尖を去る) 赤小豆(一升) 大棗(十二枚、擘く) 生梓白皮(切る、一升) 生薑(二両、切) 甘草(二両、炙る)
右(上)八味、潦水一斗を以て、先に麻黄を煮て再沸す、上沫を去り、諸薬を内(い)れ、煮て三升を取り、滓を去る。分温三服。半日に服し盡くす。
陽明病位は激戦区
冒頭にも書きましたが、陽明病の特徴は「盛大な陽の勢い」に尽きます。病位が陽明位であるため、正気の陽性が強く、侵入した邪気を排除するために激しい邪正相争を繰り広げます。
これを邪気の視点からみると、陽明位はナント恐ろしい激戦地域なのだ…と常々思う次第です。
『私が邪気ならば、ゼッタイに陽明位には派遣されたくない…』
『ならば派遣先はどこが良いか?』と、邪気病気の視点から病を考えることも病態を理解する上で有益かと思います。
陽明と生命の力
さて陽明病に話を戻しましょう。陽明病の特徴は「熱」と「津液」、すなわち「火」と「水」と言い換えることもできるでしょう。また陽明病は陽明胃腑をはじめ胃の一家に関わる病態であるため、胃気に関わる病態も記載されています。「火」と「水」そして「胃気」という生命の根源に関わる病態が形成されています。
故に条文中においては「万物が帰るところ(萬物所帰)」「陽明は中央に位置し、土を主る(陽明居中、主土也。)」といった五行的な技術が記述が残されている稀有な編といえます。
命がかかる病態といえば、「死」が列記される少陰病・厥陰病編を思い浮かべます。しかし陽明病に「死」の文字こそ記されてはいませんが、陽明病の症状の激しさは生命力の表われだともいえるでしょう。
万物の帰る所、復伝する所無し
「萬物所帰、無所復傳」という言葉は、病理病伝を考える上でも鍵となるワードであると個人的には思います。
今一度、傷寒病理を考えますと、侵入した風寒邪が正氣と相い搏つことで熱化します。その熱は各病位を伝経するも、陽明位に到達したとき持ち前の陽盛の性をもって陽実証を呈します。しかし復伝する所無きが故に、陽明位にて決着をつける必要があります。それが陽実証の意図でもあり、吐下によって駆邪すべき局面の背景でもあると考えます。
また急性病は吐下を主体とした病態を形成する流れにあります。しかしこれが慢性的な病態であれば、陽明病位に到ったとき、傷寒陽明証のように激烈な症状を呈することはないでしょう。しかし陽明位だけに陽熱を多分に孕む病態を形成することになります。陽明胃家や陽明肌肉を中心とした熱性病態を急慢ともに想定できるのも、傷寒論医学を学ぶ意義だといえるでしょう。
発熱と発汗の勢い
蒸蒸と発熱するということ
太陽病下編にて「柴胡湯の蒸蒸而振、発熱汗出」について触れました。
「柴胡湯を服用すると蒸蒸として振るえ、発熱し汗出て病が解する」という治癒転機ですが、柴胡湯の作用というよりも、内発的な病位のシフトでは?と考察した次第です。
ところでこの「蒸蒸として発熱」という言葉は陽明病に記載されています。
「太陽病三日、発汗不解、蒸蒸発熱者、属胃也。腸胃承気湯主之。」(248条文)
この蒸蒸という表現からは、沸騰した湯から蒸気がもうもうと沸き立つ様を連想させられます。
浅田宗伯先生は以下のように解説しています。
…「発汗不解」とは、邪は外散せずして内伝せんと欲するの象を示す。
「蒸蒸」とは熱気薫蒸の貌(さま)、即ち太陽の発熱翕翕として表に在る者に対して、(蒸蒸発熱は)其の裏に在ることは明らか也。然るに未だ潮熱には至らずも、腹満・燥・実などの証は復た加わらず。…
■原文
…発汗不觧、邪不外散而欲内傳之象。蒸〃熱気薫蒸之皃、即對太陽発熱翕〃在表者、而明其在裏也。然未至潮熱、不復加腹満燥実等証。…」
蒸蒸とは陽明病の発熱を示す表現であり、太陽発熱の翕翕と対になる表現とし、同じ発熱という症でも、病位に違いがあることを指摘しています。
濈然と汗が出るということ
また「濈然汗出」という発汗の状態を表わす言葉も注目です。
「而反汗出濈濈然者」(185条文)、「其人濈然」(188条文)、「手足濈然」(191条文)、「濈然汗出而解者」(192条文)、「手足濈然汗出者」(208条文)、「濈然汗則愈」(216条文)、「身濈然汗出而解」(230条文)
上記と同様に浅田宗伯先生の著書『傷寒論識』から註文を抜き出してみましょう。
まずは185条文の註文
……「発熱無汗、嘔而不能食」なる者とは、小柴胡湯の正証と為す。若し柴胡湯を用いて其の邪解せざるときは、則ち無汗の証が変じて濈濈として汗出でるの状と為す、是れ少陽の邪、進みて陽明に入るの兆し也。濈、音は戢、便ち汗出でるの貌(さま)。
或る人云く、肌肉開きて微汗の乾かざる也。蓋し柴胡の証将に解せんとして汗出でる者、間(まま)これ有り。太陽篇に云う、凡そ柴胡湯の病証にして反して之を下し、若し柴胡証を罷(や)まざる者は、復た柴胡湯(を服す)、必ず蒸蒸として振るえ却りて発熱し汗出でて解する、これ也(149条文のこと)。今云う、汗出でること濈然たる者、是は陽明に転属する也。均しく是れ柴胡の証也。而して彼は汗出を以て病解の兆と為し、此れは汗出を以て病進の候と為す。
一進一退、相い同じからざる者は何んぞ?
夫れ邪は表裏の間に在り、而して其の将に解せんとするに必ず表分に出でる。故に却て振寒し汗出でる也。其の将に進みたるや、惟だ発熱有りて振寒すること無く、而して汗出でる。故に寒熱の有無を以て、其の進退を別かたれば、則ち諸々掌を指すが如し。
■原文
……発熱無汗、嘔而不能食者、為小柴胡湯之正証。若用柴胡湯、而其邪不觧、則無汗之証、変為濈〃汗出之状、是少陽之邪、進入陽明之兆也。濈、音戢、便汗出皃。或云、肌肉開而微汗不乾也。蓋柴胡之証將觧汗出者、間有之。太陽篇云、凡柴胡湯病証、而反下之、若柴胡不罷者、復柴胡湯、必蒸〃振却発熱汗出而觧、是也。今云、汗出濈然者、是轉屬陽明也。均是柴胡之証也。而彼以汗出為病觧之兆、此以汗出為病進之候。一進一退、不相同者何。夫邪在表裏間、而其將觧必出于表分。故却振寒汗出也。其將進乎、惟有発熱無振寒、而汗出。故以寒熱之有無、別其進退、則如指諸掌矣。
続いて188条文の註文です。
濈然汗出とは、而して其の胃実と為す所以を論ずる也。
■原文濈然汗出者、而論其所以為胃実也。
とあります。(191条文、192条文、208条の註文には特記事項無し)
両註文ともに「濈然と汗が出る」現象は陽明病の所見としています。
216条文の註文をみてみましょう。
…但だ「頭汗出」も亦た承氣湯に対す、「手足濈然汗出」とは而して柴胡証明らか也。是に於いて柴胡諸湯を以て与えるときは、則ち血和し熱散じ、濈濈然として汗出る、是れ乃ち柴胡の瞑眩に係る。故に愈ゆると曰う也。
濈然汗出とは、而して其の胃実と為す所以を論ずる也。
■原文…
但頭汗出亦對承氣、手足濈然汗出、而明柴胡証也。於是與以柴胡諸湯、則血和熱散、濈〃然汗出、是乃係柴胡之瞑眩。故曰愈也。
216条文の註文では陽明病…とありますが、柴胡証が解するときの治癒転機として濈然と汗が出ると記しています。
そして230条文の註文が以下のようになります。
「…故に云う、「因和、身濈然而汗出」と。此れ本(もと)陽明の在る所。但だ以て服後に在りては、病解の候を為す也。是れ太陽篇、服柴胡湯、「必蒸蒸而振却発汗出而觧」たる者に、相い似て少しく異なる。彼れは則ち邪は少陽に在り、故に表裏和すれば、自ずと表は而して解す。是れ當に其の汗する時を以て、蒸蒸として振るえ、却て発熱する也。此れは則ち胃中の和するを得て而して解する、是れ其の汗の裏より出るを以て、故に濈然と曰う。曰く濈然、曰く蒸蒸、汗の形状を以て、病の浅深を分かつ、論旨精密なること、毎(つね)に此の如し。…
■原文…
…故云、因和、身濈然而汗出、此本陽明之所在、但以在服後、為病觧之候也。是与太陽篇服柴胡湯、必蒸ヽ而振却発汗出而觧者、相似而少異。彼則邪在少陽。故表裏和、自表而觧。是以當其汗時、蒸〃而振、却発熱也。此則胃中得和而觧、是以其汗自裏而出、故曰濈然。曰濈然、曰蒸〃、以汗之形状、分病之浅深、論旨精密、毎如此。学者不可仔細看矣。
と、185条、188条、216条、230条の各註文を読んでいくと「濈然として汗が出る」の機序が分かるかと思います。とくに230条の註文は『太陽病下編』「柴胡湯の蒸蒸而振、発熱汗出」にて触れた内容と比較して理解することができるでしょう。
承氣湯について
陽明病といえば承氣湯、攻下剤について理解しておく必要があるでしょう。
『傷寒論考註』(森立之 著)には以下のような説明が註されています。
『傷寒論考註』巻第廿一 辨陽明病脈證并治上第八
「案ずるに、凡そ芒硝大黄の蕩滌は、此れの右に出る者あること無し。但だ水の腸中に在る者には、直導して之を出だす。鬲間に(水の)在る者は之を陷下し、之を通利して之を出だす。腸水を去るの薬名を承氣と曰う者、其の正氣閉塞する者をして之を通ぜしめ、而して承順通達するの義を言う也。
鬲水を去るの薬名を陥胸と曰う者、胸中の水を陥下して之を通利するの義を言う也。方中に甘草、甘遂が有るの異に就いては、其の用而して其の功の同じき者にして、甘草は芒硝大黄を助け、而して胃氣をして傷損せざらしむ。調胃と名づく所以なり。甘遂は助芒硝大黄を助け、而して胸水をして陥下せしむ。陥胸と名づく所以なり。」
■原文…
案、凡消黄之蕩滌、無有出此右者、但水在腸中者、直導而出之、在鬲間者陷下之、通利之而出之、去腸水之藥名曰承氣者、言使其正氣閉塞者通之、而承順通達之義也。去鬲水之藥名曰陷胸者、言陷下胸中之水而通利之之義也。就中有甘草、甘遂之異、其用而同其功者、甘草助消黄、而令胃氣不傷損、所以名調胃也。甘遂助消黄而令胸水陷下、所以名陷胸也。
と、承氣湯と陥胸湯の比較しつつも、大黄・芒硝・甘草の役割について端的に説明しています。「正氣閉塞するものを通じさせ、正氣を承順通達させる」意味が、承氣湯の名の意味であるとしています。
『傷寒論』における下法の意味・役割を理解しやすい説明だと思います。また駆邪を行うことで、邪氣を排除するだけでなく、その結果として正常な正氣の運行・流通が再開するという治病機序は下法のみならず汗法・吐法・滲法ともに共通したものであるといえるでしょう。
鍼道五経会 足立繁久
鍼道五経会 足立繁久
原文 辨陽明病脉證并治第八
辨陽明病脉證并治第八(合四十四法、方一十首、一方附并見陽明少陽合病法)
179)問曰、病有太陽陽明、有正陽陽明、有少陽陽明、何謂也。
答曰、太陽陽明者、脾約(一云絡)是也。正陽陽明者、胃家實是也。少陽陽明者、發汗利小便已、胃中燥煩實、大便難是也。
180)陽明之為病、胃家實(一作寒)是也。
181)問曰、何縁得陽明病。
答曰、太陽病、若發汗、若下、若利小便、此亡津液、胃中乾燥、因轉屬陽明、不更衣、内實大便難者、此名陽明也。
182)問曰、陽明病外證云何。
答曰、身熱汗自出、不惡寒反惡熱也。
183)問曰、病有得之一日、不發熱而惡寒者、何也。
答曰、雖得之一日、惡寒将自罷、即自汗出而惡熱也。
184)問曰、惡寒何故自罷。
答曰、陽明居中、主土也。萬物㪽歸、無㪽復傳、始雖惡寒、二日自止、此為陽明病也。
185)本太陽、初得病時、發其汗、汗先出不撤、因轉屬陽明也。傷寒發熱、無汗、嘔不能食、而反汗出濈濈然者、是轉屬陽明也。
186)傷寒三日、陽明脉大。
187)傷寒脉浮而緩、手足自温者、是為繋在太陰。太陰者、身當發黄、若小便自利者、不能發黄、至七八日、大便鞕者、為陽明病也。
188)傷寒轉繋陽明者、其人濈然微汗出也。
189)陽明中風、口苦咽乾、腹滿微喘、發熱惡寒、脉浮而緊、若下之則腹滿小便難也。
190)陽明病、若能食、名中風。不能食、名中寒。
191)陽明病、若中寒者、不能食、小便不利、手足濈然汗出。此欲作固瘕。必大便初鞕後溏。㪽以然者、以胃中冷、水穀不別故也。
192)陽明病、初欲食、小便反不利、大便自調、其人骨節疼、翕翕如有熱状、奄然發狂。濈然汗出而觧者、此水不勝穀氣、與汗共并、脉緊則愈。
193)陽明病、欲觧時、從申至戌上。
194)陽明病、不能食、攻其熱必噦。㪽以然者、胃中虚冷故也。以其人本虚、攻其熱必噦。
195)陽明病、脉遲、食難用飽、飽則微煩頭眩、必小便難。此欲作穀癉、雖下之、腹滿如故。㪽以然者、脉遲故也。
196)陽明病、法多汗、反無汗、其身如蟲行皮中状者、此以久虚故也。
197)陽明病、反無汗、而小便利、二三日嘔而欬、手足厥者、必苦頭痛、若不欬不嘔、手足不厥者、頭不痛。(一云、冬陽明)
198)陽明病、但頭眩不惡寒、故能食而欬、其人咽必痛。若不欬者、咽不痛。(一云、冬陽明)
199)陽明病、無汗、小便不利、心中懊憹者、身必發黄。
200)陽明病、被火、額上微汗出、而小便不利者、必發黄。
201)陽明病、脉浮而緊者、必潮熱發作有時。但浮者、必盗汗出。
202)陽明病、口燥但欲漱水、不欲嚥者、此必衂。
203)陽明病、本自汗出、醫更重發汗。病已差。尚微煩不了了者、此必大便鞕故也。以亡津液、胃中乾燥。故令大便鞕、當問其小便日幾行、若本小便日三四行、今日再行、故知大便不久出。今為小便數少、以津液當還入胃中、故知不久必大便也。
204)傷寒嘔多、雖有陽明證、不可攻之。
205)陽明病、心下鞕滿者、不可攻之。攻之利遂不止者死。利止者愈。
206)陽明病、面合色赤、不可攻之。必發熱、色黄者、小便不利也。
207)陽明病、不吐不下、心煩者、可與調胃承氣湯。方一。
甘草(二兩、炙) 芒消(半升) 大黄(四兩、清酒洗)
右三味、切、以水三升、煑二物至一升、去滓、内芒消、更上微火一二沸。温頓服之、以調胃氣。
208)陽明病、脉遲、雖汗出不惡寒者、其身必重、短氣腹滿而喘、有潮熱者、此外欲觧、可攻裏也。手足濈然汗出者、此大便已鞕也。大承氣湯主之。
若汗多、微發熱、惡寒者、外未觧也(一法、與桂枝湯)。其熱不潮、未可與承氣湯。若腹大滿不通者、與小承氣湯。微和胃氣。勿令至大泄下。大承氣湯。方二。
大黄(四兩、酒洗) 厚朴(半斤、炙、去皮) 枳實(五枚、炙) 芒消(三合)
右四味、以水一斗、先煑二物、取五升、去滓、内大黄、更煑取二升、去滓、内芒消、更上微火一兩沸。分温再服、得下餘勿服。
小承氣湯方
大黄(四兩、酒洗) 厚朴(二兩、炙、去皮) 枳實(三枚、大者、炙)
右三味、以水四升、煑取一升二合、去滓、分温二服、初服湯當更衣、不爾者盡飲之。若更衣者、勿服之。
209)陽明病、潮熱、大便微鞕者、可與大承氣湯。不鞕者、不可與之。若不大便六七日、恐有燥屎。欲知之法、少與小承氣湯。湯入腹中、轉失氣者、此有燥屎也。乃可攻之。
若不轉失氣者、此但初頭鞕後必溏、不可攻之。必脹滿不能食也。欲飲水者、與水則噦。其後発熱者、必大便復鞕而少也。以小承氣湯和之。不轉失氣者、慎不可攻也。小承氣湯。三(用前第二方)
210)夫實則讝語、虚則鄭聲。鄭聲者、重語也。直視、讝語、喘滿者死。下利者亦死。
211)發汗多、若重發汗者、亡其陽、讝語、脉短者死。脉自和者不死。
212)傷寒若吐若下後不觧、不大便五六日、上至十餘日、日晡㪽發潮熱、不惡寒、獨語如見鬼状。若劇者、發則不識人、循衣模牀、惕而不安(一云、順衣妄撮、怵惕不安)、微喘直視、脉弦者生、濇者死。微者、但發熱讝語者、大承氣湯主之。若一服利、則止後服。四(用前第二方)
213)陽明病、其人多汗、以津液外出、胃中燥、大便必鞕、鞕則讝語、小承氣湯主之。若一服讝語止者、更莫復服。五。(用前第二方)
214)陽明病、讝語、發潮熱、脉滑而疾者、小承氣湯主之。因與承氣湯一升、腹中轉氣者、更服一升。若不轉氣者、勿更與之。明日又不大便、脉反微濇者、裏虚也、為難治。不可更與承氣湯也。六。(用前第二方)
215)陽明病、讝語有潮熱、反不能食者、胃中必有燥屎五六枚也。若能食者、但鞕耳。宜大承氣湯下之。七。(用前第二方。)
216)陽明病、下血讝語者、此為熱入血室、但頭汗出者、刺期門、隨其實而寫之。濈然汗出則愈。
217)汗(汗一作臥)出讝語者、以有燥屎在胃中、此為風也。須下者、過經乃下之、下之若早、語言必亂、以表虚裏實故也。下之愈、宜大承氣湯。八(用前第二方。一云大柴胡湯)
218)傷寒四五日、脉沈而喘滿、沈為在裏、而反發其汗、津液越出、大便為難、表虚裏實、久則讝語。
219)三陽合病、腹滿、身重、難以轉側、口不仁、面垢(又作枯。一云向経)、讝語、遺尿。發汗則讝語、下之則額上生汗、手足逆冷、若自汗出者、白虎湯主之。方九。
知母(六兩) 石膏(一斤碎) 甘草(二兩炙) 粳米(六合)
右四味、以水一斗、煑米熟、湯成去滓、温服一升、日三服。
220)二陽併病、太陽證罷、但發潮熱、手足漐漐汗出、大便難而讝語者、下之則愈。宜大承氣湯。十。(用前第二方)
221)陽明病、脉浮而緊、咽燥口苦、腹滿而喘、發熱汗出、不惡寒反惡熱、身重。若發汗則躁、心憒憒(公對切)反讝語。若加温針、必怵惕煩躁不得眠。若下之則胃中空虚、客氣動膈、心中懊憹、舌上胎者、梔子鼓湯主之。方十一。
肥梔子(十四枚、擘) 香鼓(四合綿裹)
右二味、以水四升、煑梔子取二升半、去滓、内鼓、更煑取一升半、去滓、分二服、温進一服。得快吐者、止後服。
222)若渇欲飲水、口乾舌燥者、白虎加人參湯主之。方十二
知母(六兩) 石膏(一斤碎) 甘草(二兩炙) 粳米(六合) 人參(三兩)
右五味、以水一斗、煑米熟、湯成去滓、温服一升、日三服。
223)若脉浮發熱、渇欲飲水、小便不利者、猪苓湯主之。方十三。
猪苓(去皮) 茯苓 澤瀉 阿膠 滑石(碎、各一兩)
右五味、以水四升、先煑四味、取二升、去滓、内阿膠烊消、温服七合、日三服。
224)陽明病、汗出多而渇者、不可與猪苓湯。以汗多胃中燥。猪苓湯復利其小便故也。
225)脉浮而遲、表熱裏寒、下利清穀者、四逆湯主之。方十四。
甘草(二兩炙) 乾薑(一兩半) 附子(一枚、生用、去皮破八片)
右三味、以水三升、煑取一升二合、去滓、分温二服。强人可大附子一枚、乾薑三兩。
226)若胃中虚冷、不能食者、飲水則噦。
227)脉浮發熱、口乾鼻燥、能食者、則衂。
228)陽明病、下之、其外有熱、手足温不結胷、心中懊憹、飢不能食、但頭汗出者。梔子鼓湯主之。十五。(用前第十一方)
229)陽明病、發潮熱、大便溏、小便自可、胷脅満不去者、與小柴胡湯。方十六
柴胡(半斤) 黄芩(三兩) 人參(三兩) 半夏(半升洗) 甘草(三兩炙) 生薑(三兩切) 大棗(十二枚擘)
右七味、以水一斗二升、煑取六升、去滓、再煎取三升、温服一升、日三服。
230)陽明病、脅下鞕滿、不大便而嘔、舌上白胎者、可與小柴胡湯。上焦得通、津液得下、胃氣因和、身濈然汗出而觧。十七(用上方)
231)陽明中風、脉弦浮大、短氣、腹都滿、脅下及心痛、久按之氣不通、鼻乾、不得汗、嗜臥、一身及目悉黄、小便難、有潮熱、時時噦、耳前後腫、刺之小差、外不觧、病過十日、脉續浮者、與小柴胡湯。十八。(用上方)
232)脉但浮、無餘證者、與麻黄湯。若不尿、腹滿加噦者、不治。麻黄湯。方十九
麻黄(三兩去節) 桂枝(二兩去皮) 甘草(一兩炙) 杏仁(七十箇去皮尖)
右四味、以水九升、煑麻黄、減二升。去白沫、内諸藥、煑取二升半。去滓。温服八合。覆取微似汗。
233)陽明病、自汗出、若發汗、小便自利者、此津液内竭、雖鞕不可攻之。當須自欲大便。宜蜜煎導而通之。若土爪根、及大豬膽汁。皆可為導。二十。
蜜煎方
食蜜(七合)
右一味、於銅器内、微火煎。當須凝如飴状。攪之勿令焦著、欲可丸。併手捻作挻。令頭銳、大如指、長二寸許。當熱時急作、冷則鞕、以内穀道中。以手急抱、欲大便乃去之。疑非仲景意。已試甚良。
又大猪膽一枚、瀉汁、和少許法醋、以灌穀道内如一食頃。當大便出宿食惡物。甚効。
234)陽明病、脉遲、汗出多、微惡寒者、表未觧也。可發汗。宜桂枝湯。第二十一(五味)
桂枝(三兩去皮) 芍藥(三兩) 生薑(三兩) 甘草(二兩炙) 大棗(十二枚擘)
右五味、以水七升、煑取三升、去滓、温服一升、須臾啜熱稀粥一升、以助藥力取汗。
235)陽明病、脉浮、無汗而喘者、發汗則愈。宜麻黄湯。二十二(用前第十九方)
236)陽明病、發熱汗出者、此為熱越、不能發黄也。但頭汗出、身無汗、劑頚而還、小便不利、渇引水漿者、此為瘀熱在裏、身必發黄、茵蔯蒿湯主之。方二十三
茵蔯蒿(六兩) 梔子(十四枚擘) 大黄(二兩去皮)
右三味、以水一斗二升、先煑茵蔯、減六升。内二味、煑取三升、去滓。分三服。小便當利、尿如皂莢汁状、色正赤。一宿腹減、黄從小便去也。
237)陽明證、其人喜忘者、必有畜血、㪽以然者、本有久瘀血。故令喜忘、屎雖鞕、大便反易、其色必黑者、宜抵當湯下之。方二十四
水蛭(熬) 蝱蟲(去翅足、熬各三十箇) 大黄(三兩、酒洗) 桃仁(二十箇、去皮尖及兩人者)
右四味、以水五升、煑取三升、去滓、温服一升。不下更服。
238)陽明病、下之、心中懊憹而煩、胃中有燥屎者、可攻。腹微滿、初頭鞕、後溏不可攻之。若有燥屎者、宜大承氣湯。二十五(用前第二方)
239)病人不大便五六日、繞臍痛、煩躁、發作有時者、此有燥屎。故使不大便也。
240)病人煩熱、汗出則解。又如瘧状、日晡㪽發熱者、屬陽明也。脉實者、宜下之。脉浮虚者、宜發汗。下之與大承氣湯。發汗、宜桂枝湯。二十六(大承氣湯、用前第二方。桂枝湯、用前第二十一方)
241)大下後、六七日不大便、煩不觧、腹滿痛者、此有燥屎也。㪽以然者、本有宿食、宜大承氣湯。二十七(用前第二方)
242)病人小便不利、大便乍難乍易、時有微熱、喘冒(一作沸鬱)不能臥者、燥屎也。宜大承氣湯。二十八(用前第二方)
243)食穀欲嘔、屬陽明也。呉茱萸湯主之。得湯反劇者、屬上焦也。呉茱萸湯方二十九。
呉茱萸(一升洗) 人參(三兩) 生薑(六兩切) 大棗(十二枚擘)
右四味、以水七升、煑取二升、去滓、温服七合。日三服。
244)太陽病、寸緩關浮尺弱、其人發熱、汗出、復惡寒、不嘔、心下痞者、此以醫下之也。如其不下者、病人不惡寒而渇者、此轉屬陽明也。小便數者、大便必鞕、不更衣十日、無㪽苦也。渇欲飲水、少少與之。但以法救之。渇者、宜五苓散。三十
猪苓(去皮) 白朮 茯苓(各十八銖) 澤瀉(一兩六銖) 桂枝(半兩去皮)
右五味、為散、白飲和、服方寸匕、日三服。
245)脉陽微而汗出少者、為自和(一作如)也。汗出多者、為太過。陽脉實、因發其汗、出多者、亦為太過。太過者、為陽絶於裏。亡津液、大便因鞕也。
246)脉浮而芤、浮為陽、芤為陰。浮芤相搏、胃氣生熱、其陽則絶。
247)趺陽脉浮而濇、浮則胃氣强、濇則小便數。浮濇相搏、大便則鞕。其脾為約。麻子仁丸主之。方三十一。
麻子仁(二升) 芍藥(半斤) 枳實(半斤、炙) 大黄(一斤、去皮) 厚朴(一尺、炙、去皮) 杏仁(一升、去皮尖、熬、別作脂)
右六味、蜜和丸如梧桐子大。飲服十丸、日三服。漸加、以知為度。
248)太陽病三日、發汗不觧、蒸蒸發熱者、屬胃也。調胃承氣湯主之。三十二(用前第一方)
249)傷寒吐後、腹脹滿者、與調胃承氣湯。三十三。(用前第一方)
250)太陽病、若吐若下若發汗後、微煩、小便數、大便因鞕者、與小承氣湯和之愈。三十四(用前第二方)
251)得病二三日、脉弱、無太陽柴胡證、煩躁、心下鞕、至四五日、雖能食、以小承氣湯、少少與微和之。令小安。至六日、與承氣湯一升。若不大便六七日、小便少者、雖不受食(一云、不大便)、但初頭鞕後必溏、未定成鞕、攻之必溏。須小便利、屎定鞕、乃可攻之。宜大承氣湯。三十五(用前第二方)
252)傷寒六七日、目中不了了、睛不和、無表裏證、大便難、身微熱者、此為實也、急下之。宜大承氣湯。三十六(用前第二方)
253)陽明病、發熱汗多者、急下之。宜大承氣湯。三十七(用前第二方。一云、大柴胡湯)
254)發汗不觧、腹滿痛者、急下之。宜大承氣湯。三十八(用前第二方)
255)腹滿不減、減不足言、當下之。宜大承氣湯。三十九(用前第二方)
256)陽明少陽合病、必下利、其脉不負者、為順也。負者、失也。互相剋賊、名為負也。脉滑而數者、有宿食也。當下之、宜大承氣湯。四十(用前第二方)
257)病人無表裏證、發熱七八日、雖脉浮數者、可下之。假令已下、脉數不觧、合熱則消穀喜飢、至六七日、不大便者、有瘀血。宜抵當湯。四十一(用前第二十四方)
258)若脉數不觧、而下不止、必協熱便膿血也。
259)傷寒發汗已、身目為黄、㪽以然者、以寒濕(一作温)在裏不觧故也。以為不可下也。於寒濕中求之。
260)傷寒七八日、身黄如橘子色、小便不利、腹微滿者、茵蔯蒿湯主之。四十二(用前第十三方)
261)傷寒身黄發熱、梔子鼓蘗皮湯主之。方四十三
肥梔子(十五箇、擘) 甘草(一兩、炙) 黄蘗(二兩)
右三味、以水四升、煑梔子取一升半、去滓、分温再服。
262)傷寒瘀熱在裏、身必黄、麻黄連軺赤小豆湯主之。方四十四
麻黄(二兩、去節) 連軺(二兩、連翹根是) 杏仁(四十箇、去皮尖) 赤小豆(一升) 大棗(十二枚、擘) 生梓白皮(切、一升) 生薑(二兩、切) 甘草(二兩、炙)
右八味、以潦水一斗、先煑麻黄再沸、去上沫、内諸藥、煑取三升、去滓。分温三服。半日服盡。