『宋版傷寒論』太陽病下編の原文と書き下し文 ①

傷寒論医学に組み込まれる経穴処方

前記事『宋版傷寒論』太陽病上編①にて、鍼灸師にとっても『傷寒論』は学ぶべき医書であると書き、その理由として「病理(病伝)」を挙げました。もちろん鍼灸師必学の理由は他にもあります。

『傷寒論』にはいくつかの経穴が記載されています。傷寒論医学には経穴処方も組み込まれているのです。
例えば、前記事「太陽病上編」にも風府・風池の二経穴が登場しました。(条文24)また、経穴名こそ記しるされていませんが、太陽病から陽明病に病伝させないために「足陽明に鍼し、経をして不伝せしめるときは則ち愈ゆる(針足陽明使經不傳則愈)」(条文8)という鍼治記載もあります。前編の「太陽病中編」にも期門穴が登場しましたし(条文108条文109、本編「太陽病下編」には期門だけでなく、大椎・肺兪・肝兪も登場します。続く三陰病編にも鍼灸治療は所々に記され、傷寒論医学の中に経絡経穴を用いた治療が組み込まれていることが見てとれます。


※『傷寒論』京都大学付属図書館より引用させていただきました。
※以下に書き下し文、次いで足立のコメントと原文を紹介。
※現代文に訳さないのは経文の本意を損なう可能性があるためです。口語訳は各自の世界観でお願いします。
※書き下し文には各条文に漢数字にて番号をふっています。この番号は東洋学術出版社の『傷寒雑病論』(三訂版)に準じています。

書き下し文 弁太陽病下編 第七

■書き下し文 弁太陽病下編 (弁太陽病脈証并治下 第七)

一二八)問うて曰く、病に結胸有り、臓結有り、其の状は何如に?
答えて曰く、之を按じて痛み、寸脈浮、関脈沈、名を結胸と曰う也。

一二九)何を臓結と謂うか?
答えて曰く、結胸の状の如く、飲食は故の如し、時時下利し、寸脈浮、関脈小細沈緊なるとき、名を臓結と曰う。
舌上白胎滑なる者は、治し難し。

一三〇)臓結、陽証無し、往来寒熱せず(一に云う、寒而して熱せず)、其の人反て静なり、舌上胎滑なる者、攻むべからざる也。

一三一)病、陽に於いて発す、而るに反て之を下し、熱入り因りて結胸を作す。病、陰に於いて発す、而るに反て之を下し(一つに汗出と作す)、因りて痞を作する也。
結胸を成す所以の者、之を下すこと太(はなは)だ早きを以ての故也。
結胸なる者、項も亦た強ばる、柔痓の状の如し、之を下すときは則ち和する。大陥胸丸に宜し。方一
陥胸丸方一
大黄(半斤) 葶藶子(半升、熬る) 芒硝(半升) 杏仁(半升、皮尖を去り黒く熬る)
右(上)四味、二味(大黄・葶藶子)を擣きて篩(ふる)う、杏仁芒硝を内(い)れ、合わせて研(す)りて脂の如くし、散(大黄・葶藶子)に和する。弾丸の如くなるもの一枚を取る。別に甘遂末一錢匕を擣き、白蜜二合、水二升を、煮て一升を取り、温めて之を頓服す。一宿にして乃ち下る。下らざるが如きは更に服す。下を取りて效と為す。禁ずること薬法(桂枝湯法)の如くす。

一三二)結胸証、其の脈浮大なる者、下すべからず。之を下せば則ち死する。

一三三)結胸証の悉くを具え、煩躁する者も亦た死する。

一三四)太陽病、脈浮而して動数、浮は則ち風を為し、数は則ち熱を為す。動は則ち痛を為し、数は則ち虚と為す。頭痛、発熱、微しく盗汗出で、而して反て悪寒する者は、表未だ解せざる也。
医、反して之を下して、動数は遅に変じ、膈内拒痛(一つに云う、頭痛即眩)、胃中空虚し、客気は膈を動じ、短気躁煩、心中懊憹し、陽氣は内陥し、心下因りて鞕して、則ち結胸を為す。大陥胸湯これを主る之。
若し結胸せず、但だ頭汗出で、余処は汗無く、剤頚而して還り、小便不利なれば、身は必ず発黄す。
大陥胸湯方二
大黄(六両、皮を去る) 芒硝(一升) 甘遂(一錢匕)
右(上)三味、水六升を以て、先に大黄を煮、二升を取り、滓を去る、芒硝を内(い)れ、煮て一両沸し、甘遂末を内(い)れて、一升を温服す。快利を得れば後服を止む。

一三五)傷寒六七日、結胸熱実、脈沈而して緊、心下痛み、之を按じて石鞕なる者、大陥胸湯これを主る。三(前第二方を用う)

一三六)傷寒十余日、熱結ぼれて裏に在、復た往来寒熱する者、大柴胡湯を与う。但だ結胸して大熱無き者、此れ水結ぼれて胸脇に在るを為す也。但だ頭に微しく汗出る者は、大陥胸湯これを主る。四(前第二方を用う)
大柴胡湯方
柴胡(半斤) 枳実(四枚、炙る) 生薑(五両、切る) 黄芩(三両) 芍薬(三両) 半夏(半升、洗う) 大棗(十二枚、擘く)
右(上)七味、水一斗二升を以て、煮て六升を取り、滓を去りて再煎す、一升を温服し、日三服す。一方で大黄二両を加う。若し加えざれば、恐らくは大柴胡湯と名づけず。

一三七)太陽病、重ねて発汗し而して復た之を下す、大便せざること五六日、舌上燥而して渇する、日晡所に小しく潮熱有り(一に云う、日晡所に心胸大煩を発す)、心下従(よ)り少腹に至りて鞕満、而して痛みて近づくべからざる者、大陥胸湯これを主る。五(前第二方を用う)

一三八)小結胸病は、正に心下に在り、之を按じて痛む、脈浮滑なる者は、小陥胸湯これを主る。方六
黄連(一両) 半夏(半升、洗う) 栝樓実(大なる者一枚)
右(上)三味、水六升を以て、先に栝樓を煮て、三升を取り、滓を去る、諸薬を内(い)れ、煮て二升を取り、滓を去り、分温三服す。

一三九)太陽病、二三日、臥すること能わず、但だ起きんと欲し、心下に必ず結ぼれ、脈は微弱なる者、此れ本(もと)寒分(かんぶん)有る也。
反て之を下し、若し利止めざ、必ず結胸を作す。
未だ止まざる者は、(四日復た之を下せば、)此れ協熱利を作す也。

一四〇)太陽病、之を下して其の脈促(一に縦と作す)、結胸せざる者、此れ解せんと欲する也。
脈浮なる者は、必ず結胸す。
脈緊なる者は、必ず咽痛む。
脈弦なる者は、必ず両脇拘急す。
脈細数なる者、頭痛未だ止まず。
脈沈緊なる者、必ず嘔せんと欲す。
脈沈滑なる者、協熱利す。
脈滑なる者は、必ず下血す。

一四一)病、陽に在れば、応に汗を以て之を解するべきに、反て冷水を以て之を潠(そん)す。若し之を灌ぎげば、其の熱は劫を被りて去ること得ず、彌(いよいよ)更に煩を益し、肉上に粟(ぞく)起し、意は飲水を欲するも、反て渇せざる者、文蛤散を服する。
若し差えざる者には、五苓散を与う。
寒実(かんじつ)結胸し、熱証の無き者には、三物小陥胸湯を与う。(前第六方を用う)白散も亦た服すべし。七(一に云、三物小白散を与う)
文蛤散方
文蛤(五両)
右(上)一味を散と為し、沸湯を以て一方寸匕(ほうすんひ)和して服す、湯は五合を用う。
五苓散方
猪苓(十八銖、黒皮を去り) 白朮(十八銖) 沢瀉(一両六銖) 茯苓(十八銖) 桂枝(半両、皮を去る)
右(上)五味を散と為し、更に臼中に於いて之を杵(しょ)す。白飲にて方寸匕(ほうすんひ)和し之を服す、日に三服す、多く煖水を飲み、汗出でて愈ゆる。
白散方
桔梗(三分) 巴豆(一分、皮心を去り。黒く熬る、研りて脂の如くす) 貝母(三分)
右(上)三味を散と為し、巴豆を内(い)れ、更に臼中に於いて之を杵する。白飲を以て和し服する。強人は半銭匕、羸者は之を減ずる。
病、膈上に在れば必ず吐し、膈下に在れば必ず利する。利せざれば進熱粥一杯を進む、利過ぎて止まざれば、冷粥一杯を進む。
身熱して皮粟(ひぞく)して解せず、衣を引きて自ら覆わんと欲す。若し水を以て之を潠(そん)して之を洗えば、益々熱をして劫して出ることを得ず。當に汗すべきに而して汗せざるときは則ち煩する。仮令(たとえば)汗出で已(おわ)り、腹中痛むは、芍薬三両を与えること上法の如くす。

一四二)太陽少陽の併病、頭痛、眩冒、心下痞する者、肺兪肝兪を刺す。発汗すべからず、発汗すれば則ち譫語す。讝語止まざれば、當に期門を刺すべし。第八。

一四三)婦人の中風、発熱悪寒するに、経水適(たまたま)来たる、之を得て七八日、熱除きて脈遅、身涼しく、胸脇下満すること、結胸の状の如く、譫語する者は、此れ熱入血室を為す也、當に期門を刺すべし。其の実するに随い而して之を取る。九。

一四四)婦人の中風、七八日続きて寒熱を得、発作するに時有り、経水適(たまたま)断つ者、此れ熱入血室と為す、其の血必ず結ぼれる。故に瘧状の如く発作するに時有らしむる。小柴胡湯これを主る。方十。
柴胡(半斤) 黄芩(三両) 人参(三両) 半夏(半升、洗う) 甘草(三両) 生薑(三両、切る) 大棗(十二枚、劈く)
右(上)七味、水一斗二升を以て、煮て六升を取り、滓を去り、再び煎じて三升を取る。一升を温服、日に三服す。

一四五)婦人傷寒、発熱、経水適(たまたま)来たる、昼日明了にして、暮(くれ)れば則ち譫語すること、鬼状を見(あらわ)すが如き者、此れ熱入血室を為す、胃氣及び上二焦を犯すこと無ければ、必ず自ら愈ゆる。十一。

一四六)傷寒六七日、発熱、微悪寒、支節煩疼し、微嘔、心下支結し、外証未だ去らざる者は、柴胡桂枝湯これを主る。方十二。
桂枝(皮を去る) 黄芩(一両半) 人参(一両半) 甘草(一両、炙る) 半夏(二合半、洗う) 芍薬(一両半) 大棗(六枚、擘く) 生薑(一両半、切る) 柴胡(四両)
右(上)の九味、水七升を以て、煮て三升を取り、滓を去る、一升を温服す。本に云う、人参湯、作ること桂枝法の如く、半夏・柴胡・黄芩を加える、復た柴胡法の如し。今、人参を用い半剤と作す。

一四七)傷寒五六日、已(すで)に発汗し而して復た之を下す。胸脇満微結し、小便不利、渇而して嘔せず。但だ頭汗出で、往来寒熱し、心煩する者、此れ未だ解せざるを為す也。柴胡桂枝乾薑湯これを主る。方十三。
柴胡(半斤) 桂枝(三両、皮を去る) 乾薑(二両) 栝樓根(四両) 黄芩(三両) 牡蠣(二両、熬る) 甘草(二両、炙る)
右(上)の七味、水一斗二升を以て、煮て六升を取り、滓を去り、再び煎じて三升を取る。一升を温服、日に三服す。初め服して微煩し、復た服して汗出で便ち愈ゆる。

一四八)傷寒五六日、頭汗出で、微しく悪寒し、手足冷え、心下満、口は食することを欲せず、大便鞕、脈細の者、此れ陽微結するを為す。必ず表有り、復た裏有る也。脈の沈なるも亦た裏に在る也。汗出でるは陽微を為す。仮令(たとえば)純陰の結ぼれれば、復た外証有ることを得ず、悉(ことごと)く入りて裏に在り。此半ば裏に在り、半ば外に在るを為す也。
脈、沈緊と雖も、少陰病と為すを得ず。然る所以の者は、陰は有汗有ることを得ざるに、今、頭汗出でる、故に少陰に非ざることを知る也。小柴胡湯を与うべし。
設し了了たらざる者は、屎を得而して解する。十四。(前第十方を用う)

一四九)傷寒五六日、嘔而して発熱する者は、柴胡湯証を具う。而して他薬を以て之を下し、柴胡証の仍(なお)在る者は、復た柴胡湯を与う。此れ已(すで)に之を下したと雖も、逆と為さず。必ず蒸蒸而して振るい、却て発熱し汗出で而して解する。
若し心下満而して鞕痛する者は、此れ結胸を為す也。大陥胸湯これを主る。
但だ満而して痛まざる者は、此れ痞を為す。柴胡(湯)之を与うるに中(あた)らず、半夏瀉心湯に宜し。方十五。
半夏(半升、洗) 黄芩 乾薑 人参 甘草(炙る、各三両) 黄連(一両) 大棗(十二枚、擘く)
右(上)の七味、水一斗を以て、煮て六升を取り、滓を去る、再び煎じて三升を取る。一升を温服す、日に三服。大陥胸湯を須(もちいる)者、方は前の第二法を用う。(一方は半夏一升を用う)

一五〇)太陽少陽併病、而して反て之を下し、結胸を成す。心下鞕し、下利止まず、水漿下らず、其の人必ず煩する。

一五一)脈浮而して緊、而して復た之を下し、緊、反て裏に入れば、則ち痞を作す。之を按じて自ら濡なるは、但だ氣痞するのみ。

一五二)太陽中風、下利、嘔逆し、表解する者は、乃ち之を攻むべし。其の人、漐漐として汗出で、発作するに時有り、頭痛、心下痞鞕満し、脇下に引きて痛み、乾嘔、短氣、汗出で悪寒せざる者、此れ表解して裏は未だ和せざる也。十棗湯これを主る。方十六。
芫花(熬る) 甘遂 大戟
右(上)三味(芫花・甘遂・大戟)等分し、各別に擣きて散と為す。水一升半を以て、先に大棗の肥なる者十枚を煮て、八合を取り、滓を去り、薬末を内(い)れ。強人は一銭匕(ひ)を服す。羸人は半銭を服す。温めて之を服す。平旦に服す。若し下すること少なく病除かれざる者は、明日更に服し、半銭を加う。快下利を得た後、糜粥もて自ら養う。

一五三)太陽病、医が発汗して、遂に発熱悪寒す、因りて復た之を下し、心下痞す、表裏俱に虚し、陰陽の氣並びに竭(けっ)し、陽無ければ則ち陰独(ひと)り。復た焼鍼を加え因りて胸煩す。面色青黄、膚の瞤(じゅん)する者、は治し難し。今、色は微黄、手足温なる者は、愈え易し。

一五四)心下痞、之を按じて濡、其の脈関上浮なる者、大黄黄連瀉心湯これを主る。方十七。
大黄(二両) 黄連(一両)
右(上)の二味、麻沸湯二升を以て之を漬(ひた)し、須臾にして絞り滓を去る。分温再服す。
(臣億等、詳らかに大黄黄連瀉心湯を看るに、諸本は皆二味。又、後の附子瀉心湯は、大黄黄連黄芩附子を用う。恐らく是、前方の中に亦た黄芩有り、後には但だ附子を加うる也。故に後に云う、附子瀉心湯。本に云う、加附子なり。)

一五五)心下痞、而して復た悪寒し汗出でる者、附子瀉心湯これを主る。方十八
大黄(二両) 黄連(一両) 黄芩(一両) 附子(一枚、炮、皮を去り破り、別にして煮て汁を取る)
右(上)の四味、三味(大黄・黄連・黄芩)を切り、麻沸湯二升を以てこれを漬し、須臾にして絞りて滓を去る。内附子汁を内(い)れ、分温して再服す。

一五六)本(もと)之を下すを以ての故に心下痞する。瀉心湯を与うれども、痞は解せず。其の人渇而して口燥、小便不利する者、五苓散これを主る。十九。一方に云う、之を忍ぶこと一日にして乃ち愈ゆる。(前第七証方を用う)

一五七)傷寒汗出で之を解した後、胃中和せず、心下痞鞕し、食臭を乾噫し、脇下に水氣有り、腹中雷鳴して下利する者、生薑瀉心湯これを主る。方二十。
生薑(四両、切る) 甘草(三両、炙る) 人参(三両) 乾薑(一両) 黄芩(三両) 半夏(半升、洗う) 黄連(一両) 大棗(十二枚、擘く)
右(上)八味、水一斗を以て、煮て六升を取り、滓を去る、再煎して三升を取り、一升を温服す、日に三服す。
附子瀉心湯、本に云う、“加附子”。半夏瀉心湯、甘草瀉心湯は、同体別名のみ。
生薑瀉心湯、本に云う、理中人参黄芩湯より、桂枝・朮を去り、黄連を加う。并びに瀉肝法なり。

一五八)傷寒中風、医は反して之を下し、其の人下利すること日に数十行、穀は化せず、腹中雷鳴し、心下痞鞕而して満す、乾嘔心煩して安を得ず。
医、心下痞を見て、病は尽きずと謂い、復た之を下し、其の痞益々甚し。
此れ結熱に非ず。但だ胃中虚し、客氣上逆するを以ての故に鞕をせしむる也。甘草瀉心湯これを主る。方二十一。
甘草(四両、炙る) 黄芩(三両) 乾薑(三両) 半夏(半升、洗う) 大棗(十二枚、擘く) 黄連(一両)
右(上)の六味、水一斗を以て、煮て六升を取り、滓を去る、再煎して三升を取る。一升を温服、日に三服す。
(臣億等、謹みて上の生薑瀉心湯法を按ずる、本に云う、理中人參黄芩湯。今、瀉心(湯)を詳しく痞を療するを以て、痞氣因りて陰を発し而して生ず。是れ半夏(瀉心)生薑(瀉心)甘草瀉心の三方。皆な本(もと)理中に於いて也。其の方、必ず各々人参有り。今、甘草瀉心の中に(人参)無き者は、之を脱け落つる也。又、『千金』并びに『外臺秘要』を按ずるに、傷寒䘌食を治する、此の方を用うるに、皆な人参有り。脱落を知ること疑い無し。)

一五九)傷寒、湯薬を服して、下利止まず、心下痞鞕し、瀉心湯を服し已(おわ)り、復た他薬を以て之を下して、利止まず。
医、理中を以て之を与えるも、利益々甚し。理中なる者は、中焦を理する。此の利は下焦に在り。赤石脂禹餘粮湯これを主る。復た止まざる者、當に其の小便を利するべし。
赤石脂禹餘粮湯方二十二。
赤石脂(一斤、碎く) 太一禹餘粮(一斤、碎く)
右(上)の二味、水六升を以て、煮て二升を取り、滓を去る、分温三服す。

一六〇)傷寒、吐下の後、発汗、虚煩し、脈甚だ微なり。八九日にして、心下痞鞕し、脇下痛み、氣上りて咽喉を衝き、眩冒し、経脈動惕(どうてき)する者は、久しく而して痿と成る。

一六一)傷寒、発汗、若しくは吐し、若しくは下し、解した後に心下痞鞕す、噫氣除かれざる者は、旋復代赭湯これを主る。方二十三。
旋復花(三両) 人参(二両) 生薑(五両) 代赭(一両) 甘草(三両、炙る) 半夏(半升、洗う) 大棗(十二枚、擘く)
右(上)七味、水一斗を以て、煮て六升を取り、滓を去る、再煎して三升を取る。一升を温服、日に三服す。

一六二)下した後は、更に桂枝湯を行(与)うべからず。若し汗すれば出で而して喘する、大熱の無き者っは、麻黄杏子甘草石膏湯を与うべし。方二十四。
麻黄(四両) 杏仁(五十箇、皮尖を去る) 甘草(二両、炙る) 石膏(半斤、碎き綿に裹む)
右(上)四味、水七升を以て、先に麻黄を煮て、二升減ず、白沫を去りて、諸薬を内(い)れ、煮て三升を取り、滓を去る、一升を温服す。本に云う、黄耳杯。

一六三)太陽病、外証未だ除かれず、而して数々之を下す。遂に協熱而して利する、利下(りげ)止まず、心下痞鞕し、表裏解せざる者は、桂枝人参湯これを主る。方二十五。
桂枝(四両、別に切る) 甘草(四両、炙る) 白朮(三両) 人参(三両) 乾薑(三両)
右(上)五味、水九升を以て、先に四味を煮、五升を取る、桂(桂枝)を内(い)れ、更に煮て三升を取り、滓を去る、一升を温服し、日に再(服)し夜に一服す。

一六四)傷寒、大に下した後、復た発汗し、心下痞、悪寒する者、表は未だ解せざる也。痞を攻むべからず、當に先に表に解するべし。表が解すれば乃ち痞を攻むべし。表を解するには桂枝湯に宜し、痞を攻むには大黄黄連瀉心湯に宜し。二十六。(瀉心湯、前第十七方を用う)

一六五)傷寒発熱、汗出でて解せず、心中痞鞕し、嘔吐而して下利する者、大柴胡湯これを主る。二十七。(前第四方を用う)

一六六)病、桂枝証の如く、頭は痛まず、項は強ばらず、寸脈浮、胸中痞鞕し、氣上り喉咽を衝き、息すること得ざる者は、此れ胸に寒有りと為す也。當に之を吐すべし。瓜蔕散に宜し。方二十八。
瓜蔕(一分、黄に熬る) 赤小豆(一分)
右(上)二味、各々に別け擣き篩(ふる)い、散と為し已(おわ)り、合してこれを治む。一銭匕(ひ)を取り、香鼓一合を以て、熱湯七合を用い、煮て稀糜を作り、滓を去り、汁を取り散と和す。温にして之を頓服す。
吐せざる者は、少少加う。快吐を得るものは、乃ち止む。
諸々の亡血虚家には瓜蔕散を与うべからず。

一六七)病、脇下に素(もと)より痞有り、連なりて𦜝傍に在り、痛み少腹に引きて、陰筋に入る者、此れ臓結と名づく。死す。二十九。

一六八)傷寒、若しくは吐し、若しくは下した後、七八日解せず、熱は結して裏に在り、表裏俱に熱し、時時悪風して大いに渇す、舌上乾燥し而して煩す、飲水を数升飲まんと欲する者は、白虎加人参湯これを主る。方三十。
知母(六両) 石膏(一斤、碎く) 甘草(二両、炙る) 人参(二両) 粳米(六合)
右(上)五味、水一斗を以て、米を煮て熟し、湯成りて滓を去る、一升を温服、日に三服す。
此の方、立夏の後、立秋の前に、乃ち服すべし。立秋の後は服するべからず。正月・二月・三月は尚(なお)凛冷とし、亦た与えて之を服するべからず。之を与えれば則ち嘔利而して腹痛す。諸々の亡血虚家も、亦た与うべからず。
之を得れば則ち腹痛利する者、但だ之を温むるべし、當に愈ゆるべし。

一六九)傷寒、大熱無く、口燥渇し、心煩、背微寒する者、白虎加人参湯これを主る。三十一。(前方を用う)

一七〇)傷寒、脈浮、発熱無汗、其の表解せざるは、白虎湯を与うべからず。渇して飲水を飲まんと欲し、表証の無き者は、白虎加人参湯これを主る。三十二。(前方を用う)

一七一)太陽少陽の併病、心下鞕し、頚項強ばり而して眩む者、當に大椎・肺兪・肝兪を刺すべし。慎みて之を下すこと勿れ。三十三

一七二)太陽と少陽の合病、自下利する者、黄芩湯を与う。若し嘔する者、黄芩加半夏生薑湯これを主る。三十四。
黄芩湯方
黄芩(三両) 芍薬(二両) 甘草(二両、炙る) 大棗(十二枚、擘く)
右(上)四味、水一斗を以て、煮て三升を取り、滓を去る、一升を温服、日再(昼に二服)夜に一服す。
黄芩加半夏生薑湯方
黄芩(三両) 芍薬(二両) 甘草(二両、炙る) 大棗(十二枚、擘く) 半夏(半升洗う) 生薑(一両半。一つの方、三両、切る)
右(上)の六味、水一斗を以て、煮て三升を取り、滓を去る、一升を温服、日再(昼に二服)夜に一服す。

一七三)傷寒、胸中に熱有り、胃中に邪氣有り、腹中痛み、嘔吐せんと欲する者、黄連湯これを主る。方三十五。
黄連(三両) 甘草(三両、炙る) 乾薑(三両) 桂枝(三両、皮を去る) 人参(二両) 半夏(半升、洗う) 大棗(十二枚、擘く)
右(上)七味、水一斗を以て、煮て六升を取り、滓を去る、温服す。昼三(服し)夜二(服す)。疑うらくは仲景方に非ず。

一七四)傷寒八九日、風湿相い搏ち、身体疼煩し、自ら転側すること能わず、嘔せず渇せず、脈浮虚而して濇なる者、桂枝附子湯これを主る。若し其の人大便鞕(一に云う、臍下心下鞕)、小便自利する者、去桂加白朮湯これを主る。三十六。
桂枝附子湯方
桂枝(四両、皮を去る) 附子(三枚、炮、皮を去り、破る) 生薑(三両、切る) 大棗(十二枚、擘く) 甘草(二両、炙る)
右(上)五味、水六升を以て、煮て二升を取り、滓を去る、分温三服す。
去桂加朮湯方
附子(三枚、炮ずる、皮を去り、破る) 白朮(四両) 生薑(三両、切る) 甘草(二両、炙る) 大棗(十二枚、擘く)
右(上)五味、水六升を以て、煮て二升を取り、滓を去る、分温三服す。
初めの一服、其の人の身は痺れるが如し、半日許(ばかり)して復た之を服す。三服都(すべて)盡くす。其の人、冒状の如し、怪しむこと勿れ。此れ附子・朮の併せて皮内を走り、水気を遂(お)うも未だ除くことを得ざるを以ての故に之をして使からしむるのみ。
法、當に桂(桂枝)四両を加うべし。此の本(もと)一方に二法あり、大便鞕、小便自利を以て、桂(桂枝)を去る也。大便鞕せず、小便不利を以て、當に桂(桂枝)を加うべし。附子三枚は、多きを恐るる也。虚弱家及び産婦は減じて之を服す。

一七五)風湿相い搏ち、骨節疼煩、掣痛して屈伸すること得ず、之に近づけば則ち痛み劇し。汗出で短氣し、小便不利、悪風して、衣を去ることを欲せず、或いは身微しく腫れる者、甘草附子湯これを主る。方三十七。
甘草(二両、炙る) 附子(二枚、炮、皮を去り、破る) 白朮(二両) 桂枝(四両、皮を去る)
右(上)の四味、水六升を以て、煮て三升を取り、滓を去る、一升を温服、日に三服す。
初め服して微汗するときは則ち解する、能く食し汗止まりて復た煩する者は、将に五合を服するべし。一升の多きを恐れる者は、宜しく六七合より服するを始と為すべし。

一七六)傷寒、脈浮滑なるは、此れ表に熱有り裏に寒有るを以てなり、白虎湯これを主る。方三十八。
知母(六両) 石膏(一斤、碎く) 甘草(二両、炙る) 粳米(六合)
右(上)四味、水一斗を以て、米を煮て熟し、湯成りて滓を去る、一升を温服、日に三服す。
(臣億等、謹みて前篇の云を按ずるに「熱結在裏、表裏俱熱者、白虎湯主之(168条)」。又云う「其表不觧。不可與白虎湯(170条)」と。此の云、「脈浮滑、表有熱裏有寒(176条)」なる者、必ず表裏の字を差(たが)うなり。又、陽明一証に云う「脈浮遅、表熱裏寒四逆湯主之(225条)」。又、少陰一証に云う「裏寒外熱、通脈四逆湯主之(317条)」。此れを以て表裏自ずと差うこと明らかなり。『千金翼方』に云う、白通湯に非ざる也。)

一七七)傷寒、脈結代し、心動悸す、炙甘草湯これを主る。方三十九。
甘草(四両、炙る) 生薑(三両、切る) 人参(二両) 生地黄(一斤) 桂枝(三両、皮を去る) 阿膠(二両) 麦門冬(半升、心を去る) 麻仁(半升) 大棗(二十枚、擘く)
右(上)の九味、清酒七升、水八升を以て、先に八味(甘草・生薑・人参・生地黄・桂枝・麦門冬・麻子仁・大棗)を煮、三升を取り、滓を去る、膠を内(い)れて烊消し尽くす。一升を温服、日に三服す。一名を復脈湯とす。

一七八)脈、之を按じて、来たること緩、時に一止して復た来たる者、名を結と曰う。又、脈来たること動、而して中止し、更に来たること小数、中に還る者有りて反て動ずる、名を結と曰う。陰也。
脈来たること動じて中止(や)みて、自ら還ること能わず、因りて復た動ずる者、名を代と曰う。陰也。此の脈を得る者、必ず治し難し。

脈診情報も豊富である

『傷寒論』は脈診にも重きをおく医学書です。
一見したところ、病症の列記が目立つため、問診や望診に注力した診断体系にもみえますが、実はかなり脈診が重視されています。
このことは各編の「弁○○病脈証并治」という名称が示しています。
太陽病であれば「太陽病における脈診情報と証(症状)を記し、それに応じた治法を弁じている」のです。この病理病伝と治病の理論体系を会得することで、序文の言葉「雖未能盡愈諸病、庻可以見病知源。若能尋余㪽集、思過半矣。」に結びつくのです。

さて、本編(太陽病下編)には実に多様な脈診情報が記されています。この点は他編を凌ぐのではないかと思うほどです。太陽病の上編や中編にも多数の脈診情報が記されています。しかし太陽病下編ほどのバリエーションはありません。

『傷寒論』の一条文「太陽之為病、脉浮、頭項强痛、而惡寒」には太陽病の提綱が記されています。この中の「脈浮」は太陽病であること、すなわち病位を示しています。

ちなみに陽明病を示す脈証は脈大(条文186)、少陽病を示す脈証は脈弦細(265条文)、太陰病を示す脈証は脈弱(280条文)、少陰病を示す脈証は脈微細(281条文)です。それぞれの病の段階を示す脈証が記されているのです。

そして太陽病にて示される脈浮は病位そのもの、つまり表病という状態を示しているのです。このようにみると太陽病上中下編における脈証記載の違いがみえてきます。
太陽病下編の脈証と他編(上編・中編)との違いは“詳細な脈位”にあります。一般的(?)にみて脈位には「浮・中・沈」と「寸・関・尺」があります。太陽病下編には「浮中沈」だけでなく「寸関尺」の脈証が記されています。このことは下編では「表位~裏位への病伝」とは異なり「上~下への病伝」が説かれていることがわかります。

病が解除される過程

本編にある柴胡桂枝乾薑湯と桂枝附子去桂加朮湯に付記される“使用上の注意”は興味深いものがあります。

柴胡桂枝乾薑湯の微煩

柴胡桂枝乾薑湯の条文には「一升を温服、日に三服す。初め服して微煩し、復た服して汗出で便ち愈ゆる。(温服一升、日三服。初服微煩、復服汗出便愈。)」(条文147)とあり、初服(一回目の服用)では「微煩」が起こるとされています。次いで復服(二回目の服用)で発汗がおこり治癒するとの治癒転機が記されています。
本剤は『金匱要略』瘧病編の条文8)にも記載されています。牡蠣の分量は少し異なりますが、服用後の転機(初服微煩、復服汗出便愈)は同じく記載されています。

この「初めの服用後は微煩を起こすが、二服目では汗出て治癒に至る」という治癒の流れは興味深いですね。

『傷寒論識』において浅田宗伯は「徐氏いわく、邪気は已に深く、一時解せず。即ち出るときに蒸蒸として振るえ、発熱汗出でて解するの類。これ未だ必ずしも悉く然らず也。(按初服以下、或一例。徐氏曰、邪気已深、一時不觧、即出如蒸〃而振、発熱汗出而觧之類。是未必悉然也。)」とあります。
浅田宗伯は条文149を引用して、柴胡剤の治癒の過程で起こる現象を説明しています。

柴胡湯の蒸蒸而振、発熱汗出

では条文149)を一部引用しましょう。
「……而以他藥下之、柴胡證仍在者、復與柴胡湯。此雖已下之、不為逆、必蒸蒸而振、却發熱汗出而觧。……」
柴胡湯を服用することで「振(振戦)」「発熱」「発汗」の3つの治癒転機が起こることを記しています。では小柴胡湯をはじめ柴胡湯は同様の治癒転機を必ず辿るのでしょうか?

小柴胡湯方において(条文96)、また小柴胡湯関連の条文(9799100104144148)には、そのような治癒転機は記載されていなかったはずです。
小柴胡湯〔柴胡・黄芩・人参・半夏・甘草・生薑・大棗〕をみても発汗を促すような構成ではありません。となると、この「振」「発熱」「発汗」は小柴胡湯の正証ではないケースの治癒過程と考えられます。

浅田宗伯先生は『傷寒論識』にて次のように述べています。
「凡そ傷寒五六日、下証ありと雖も、唯だ柴胡対証の薬と為す。その他の別薬これを用いるに当たらず、故に指して他薬を為す也。蓋し以て下すべき証を有りて之を下す、幸いにして逆と為さずと雖も、前証仍(なお)未だ已(や)まず。故に復た対証の薬(小柴胡湯)を与う也。蒸蒸として身熱し汗の出んと欲するの状也。振とは振々然として揺動するの貌(さま)、即ち寒振なり。この言、柴胡湯を服した後、膚体が蒸々然として、却て発熱、汗出して邪気解する。その始め、理を以て療の常法を失うことを見るべし、その解(する貌)も亦た常の途に如からざる也。……(凡傷寒五六日、雖有下証、唯為柴胡對証之薬、其他別藥不當用之、故指為他藥也。蓋以有可下証下之、雖幸不為逆、前証仍未已。故復與對証之藥也。蒸蒸身熱汗欲出之状也。振者振〃然揺動之貌、即寒振也。是言服柴胡湯後、膚體蒸〃然、却発熱汗出而邪気觧、可見其始以理療失常法、其觧亦不如常途也。)

“常法を失う”、“常途に如かず”と浅田先生の仰るように、小柴胡湯の治癒転機としてはイレギュラーなパターンであるとのこと。さながら内発病のように少陽病位を解除する過程で、太陽病位に病位をシフトさせた結果、「振・発熱・汗出」を現わしつつ病を解除した、とそのような治癒ストーリーが想像できます。
これは前述の柴胡桂枝乾薑湯の微煩をおこす治癒転機も同様だと考えられます。

ちなみに「必蒸蒸而振、却發熱汗出而觧」の中にある“蒸蒸発熱”という表現が陽明病編248条文にも登場します。
陽明病編にてもこの盛んに熱を発し、汗を発して病邪を駆邪する機序が詳細に記されています。詳しくは陽明病編にて学ぶとしましょう。

桂枝附子去桂加朮湯の如冒状

また桂枝附子湯去桂加朮湯の条文には、本剤服用後に患者が一時“冒状”となるが心配する必要はない、と説明されています。

「三服都(すべて)盡くす。其の人、冒状の如し、怪しむこと勿れ。此れ附子・朮の併せて皮内を走り、水気を遂(お)うも未だ除くことを得ざるを以ての故に之をして使からしむるのみ。(三服都盡、其人如冒状、勿怪。此以附子朮、併走皮内、遂水氣未得除、故使之耳。)」(条文174)ちなみに同じ条文が『金匱要略』痙濕暍病編にあり、病邪の主体が湿であることを示しています。

この「冒状」となる理由は、附子と朮の薬力によって逐われた水気が皮内を動くからであるとのこと。速やかに排出・除去されきれない水氣が体中を動くことによって起こる治癒転機です。

病の治癒は、薬の力によって病邪が体外に排除排出されることで完了します。速やかに排邪できれば良し…なのですが、上記数例のように、薬力によって逐われた病邪が病位を変えて、段階的に駆邪されるケースがあります。

この現象は病位の深さ、病邪の性質などによって駆邪過程が複雑になることで起こることだと考えられます。

このような段階的におこる治癒転機の予測は臨床において重要です。例えば「好転反応」や「瞑眩」といった言葉がありますが、これらのような漠然とした説明ではなく、理に基づいた明確な予測のうえで治癒転機が明示されている点はさすが張仲景の洞察力であるといえるでしょう。

繰り返しになりますが上記をまとめますと、治癒に至るまでに「複数の段階を経る」こと、そのためには「薬力(薬方によって動く正気)が立ち働く」こと、「病位・病邪の質によっては病邪の移動に伴い特有の所見をあらわす」ことがわかります。

心下が重要拠点となる理由

本編・太陽病下編では、心下が重要な病位となっています。このことは傷寒論註釈書を記した歴代の医家たちが「太陽病下編」の冒頭にコメントしております。

それもそのはず。心下という部位は、陽明腑位・少陽病位・太陰病位・厥陰病位…といった複数の病伝ルートの分岐点となるのです。(さらに心下から膈を起点とした太陽病位への再病伝も可能となる。)

この太陽病において「心下」を中心とした病態形成がなされるのが本編に記載される「結胸」と「痞症」です。
この病態は桂枝湯証で(一部の流派で)指摘される「上衝」を起点として形成されます。むろん「結胸」や「痞症」は「上衝」のみでは起こらず、例えば中焦内虚などの要因が重なることで生じることは条文131に明記されています。
このような機序で“心下満”や“心下痞”などが起こる具体的な事例が、太陽病下編では以下の条文に記されています。条文150153156158159161163164…など。このように「心下」を起点として、複雑な病伝ネットワークを構築した医学というのが『傷寒論』がもつ“凄味”であると思います。これと同様の趣旨について太陰病編の記事にて少し触れるかと思います。

鍼道五経会 足立繁久

太陽病中編 第六 ≪ 太陽病下編 第七 ≫ 陽明病編 第八

 

鍼道五経会 足立繁久

原文 辨太陽病脉證併治下 第七

問曰、病有結胷、有藏結、其状何如。
答曰、按之痛、寸脉浮、關脉沈。名曰結胷也。
何謂藏結。
答曰、如結胷状、飲食如故、時時下利。寸脉浮、關脉小細沈緊。名曰藏結。舌上白胎滑者、難治。
藏結無陽證、不往来寒熱(一云、寒而不熱)、其人反靜、舌上胎滑者、不可攻也。
病發於陽、而反下之、熱入因作結胷。病發於陰、而反下之(一作汗出)、因作痞也。㪽以成結胷者、以下之太早故也。結胷者、項亦强、如柔痓状、下之則和。宜大䧟胷丸。方一
䧟胷丸方一
大黄(半斤) 葶藶子(半升熬) 芒消(半升) 杏仁(半升、去皮尖熬黑)
右四味、擣篩二味、内杏仁芒消、合研如脂、和散取如彈丸一枚。別擣甘遂末一錢匕、白蜜二合、水二升、煑取一升、温頓服之。一宿乃下、如不下更服、取下為效。禁如藥法。
結胷證、其脉浮大者、不可下。下之則死。
結胷證悉具、煩躁者亦死。
太陽病、脉浮而動數、浮則為風、數則為熱。動則為痛、數則為虚。頭痛發熱、微盗汗出、而反惡寒者、表未觧也。醫反下之、動數變遲、膈内拒痛。(一云、頭痛即眩。)胃中空虚、客氣動膈、短氣躁煩、心中懊憹、陽氣内䧟、心下因鞕、則為結胷。大䧟胷湯主之。若不結胷、但頭汗出、餘處無汗、劑頸而還、小便不利、身必發黄。
大䧟胷湯方二
大黄(六兩、去皮) 芒消(一升) 甘遂(一錢匕)
右三味、以水六升、先煑大黄、取二升。去滓、内芒消、煑一兩沸、内甘遂末、温服一升。得快利止後服。
傷寒六七日、結胷熱實、脉沈而緊、心下痛、按之石鞕者、大䧟胷湯主之。三(用前第二方)
傷寒十餘日、熱結在裏。復往来寒熱者、與大柴胡湯。但結胷無大熱者、此為水結在胷脅也。但頭微汗出者、大䧟胷湯主之。四(用前第二方)
大柴胡湯方
柴胡(半斤) 枳實(四枚、炙) 生薑(五兩、切) 黄芩(三兩) 芍藥(三兩) 半夏(半升、洗) 大棗(十二枚、擘)
右七味、以水一斗二升、煑取六升、去滓再煎、温服一升、日三服。一方加大黄二兩。若不加、恐不名大柴胡湯。
太陽病、重發汗而復下之、不大便五六日、舌上燥而渇、日晡㪽小有潮熱(一云、日晡㪽發心胷大煩)、従心下至少腹鞕滿、而痛不可近者、大䧟胷湯主之。五(用前第二方)
小結胷病、正在心下、按之痛、脉浮滑者、小䧟胷湯主之。方六
黄連(一兩) 半夏(半升、洗) 栝樓實(大者一枚)
右三味、以水六升、先煑栝樓、取三升、去滓、内諸藥、煑取二升、去滓、分温三服。
太陽病、二三日、不能臥、但欲起、心下必結、脉微弱者、此本有寒分也。反下之、若利止、必作結胷。未止者、四日復下之、此作協熱利也。
太陽病、下之、其脉促(一作縦)、不結胷者、此為欲觧也。脉浮者、必結胷。脉緊者、必咽痛。脉弦者、必兩脅拘急。脉細數者、頭痛未止。脉沈緊者、必欲嘔。脉沈滑者、協熱利。脉滑者、必下血。
病在陽、應以汗觧之、反以冷水潠之。若灌之、其熱被劫不得去、彌更益煩、肉上粟起、意欲飲水、反不渇者、服文蛤散。若不差者、與五苓散。寒實結胷、無熱證者、與三物小䧟胷湯。(用前第六方)
白散亦可服。七(一云、與三物小白散)
文蛤散方
文蛤(五兩)
右一味為散、以沸湯和一方寸匕服、湯用五合。
五苓散方
猪苓(十八銖、去黑皮) 白朮(十八銖) 澤瀉(一兩六銖) 茯苓(十八銖) 桂枝(半兩、去皮)
右五味為散、更於臼中杵之。白飲和方寸匕服之、日三服、多飲煖水、汗出愈。
白散方
桔梗(三分) 巴豆(一分、去皮心。熬黑、研如脂) 貝母(三分)
右三味為散、内巴豆、更於臼中杵之。以白飲和服。强人半錢匕、羸者減之。病在膈上必吐、在膈下必利。不利進熱粥一杯、利過不止、進冷粥一杯。身熱皮粟不觧、欲引衣自覆。若以水潠之洗之、益令熱劫不得出。當汗而不汗則煩。假令汗出已、腹中痛、與芍藥三兩如上法。
太陽與少陽併病、頭項强痛、或眩冒、時如結胷、心下痞鞕者、當刺大椎第一間、肺兪肝兪。慎不可發汗、發汗則讝語、脉弦。五日讝語不止、當刺期門。八。
婦人中風、發熱惡寒、經水適来、得之七八日、熱除而脉遲、身涼、胷脅下滿、如結胷状、讝語者、此為熱入血室也、當刺期門。隨其實而取之。九。
婦人中風、七八日續得寒熱、發作有時、經水適斷者、此為熱入血室、其血必結。故使如瘧状發作有時。小柴胡湯主之。方十。
柴胡(半斤) 黄芩(三兩) 人參(三兩) 半夏(半升、洗) 甘草(三兩) 生薑(三兩、切) 大棗(十二枚、劈)
右七味、以水一斗二升、煑取六升、去滓、再煎取三升。温服一升、日三服。
婦人傷寒、發熱、經水適来、晝日明了、暮則讝語、如見鬼状者、此為熱入血室。無犯胃氣、及上二焦、必自愈。十一。
傷寒六七日、發熱微惡寒、支節煩疼、微嘔、心下支結、外證未去者、柴胡桂枝湯主之。方十二。
桂枝(去皮) 黄芩(一兩半) 人參(一兩半) 甘草(一兩、炙) 半夏(二合半、洗) 芍藥(一兩半) 大棗(六枚、擘) 生薑(一兩半、切) 柴胡(四兩)
右九味、以水七升、煑取三升、去滓、温服一升。本云、人參湯、作如桂枝法、加半夏柴胡黄芩、復如柴胡法。今用人參作半劑。
傷寒五六日、已發汗而復下之。胷脅滿微結、小便不利、渇而不嘔。但頭汗出、往来寒熱、心煩者、此為未觧也。柴胡桂枝乾薑湯主之。方十三。
柴胡(半斤) 桂枝(三兩去皮) 乾薑(二兩) 栝樓根(四兩) 黄芩(三兩) 牡蠣(二兩熬) 甘草(二兩炙)
右七味、以水一斗二升、煑取六升、去滓、再煎取三升。温服一升、日三服。初服微煩、復服汗出便愈。
傷寒五六日、頭汗出、微惡寒、手足冷、心下滿、口不欲食、大便鞕、脉細者、此為陽微結。必有表、復有裏也。脉沈、亦在裏也。汗出為陽微。假令純陰結、不得復有外證。悉入在裏、此為半在裏半在外也。脉雖沈緊、不得為少陰病。㪽以然者、陰不得有汗。今頭汗出、故知非少陰也。可與小柴胡湯。設不了了者、得屎而觧。十四。(用前第十方)
傷寒五六日、嘔而發熱者、柴胡湯證具。而以他藥下之、柴胡證仍在者、復與柴胡湯。此雖已下之、不為逆、必蒸蒸而振、却發熱汗出而觧。若心下滿而鞕痛者、此為結胷也、大䧟胷湯主之。但滿而不痛者、此為痞。柴胡不中與之、宜半夏瀉心湯。方十五。
半夏(半升、洗) 黄芩 乾薑 人參 甘草(炙、各三兩) 黄連(一兩) 大棗(十二枚、擘)
右七味、以水一斗、煑取六升、去滓、再煎取三升。温服一升、日三服。須大䧟胷湯者、方用前第二法。(一方用半夏一升)
太陽少陽併病、而反下之、成結胷。心下鞕、下利不止、水漿不下、其人必煩。
脉浮而緊、而復下之。緊反入裏、則作痞。按之自濡。但氣痞耳。
太陽中風、下利嘔逆、表觧者、乃可攻之。其人漐漐汗出、發作有時、頭痛、心下痞鞕滿、引脅下痛、乾嘔、短氣、汗出不惡寒者、此表觧裏未和也。十棗湯主之。方十六。
芫花(熬) 甘遂 大戟
右三味等分、各別擣為散。以水一升半、先煑大棗肥者十枚。取八合、去滓。内藥末。强人服一錢匕。羸人服半錢。温服之。平旦服。若下少病不除者、明日更服、加半錢。得快下利後、糜粥自養。
太陽病、醫發汗、遂發熱惡寒、因復下之、心下痞、表裏俱虚、陰陽氣並竭、無陽則陰獨復加焼針因胷煩、面色青黄、膚瞤者、難治。今色微黄、手足温者、易愈。
心下痞、按之濡、其脉關上浮者、大黄黄連瀉心湯主之。方十七。
大黄(二兩) 黄連(一兩)
右二味、以麻沸湯二升漬之。須臾絞去滓。分温再服。
(臣億等、看詳大黄黄連瀉心湯。諸本皆二味、又後附子瀉心湯、用大黄黄連黄芩附子、恐是前方中亦有黄芩、後但加附子也。故後云、附子瀉心湯。本云、加附子也。)
心下痞、而復惡寒汗出者、附子瀉心湯主之。方十八
大黄(二兩) 黄連(一兩) 黄芩(一兩) 附子(一枚、炮、去皮破。別煑取汁)
右四味、切三味、以麻沸湯二升漬之、須臾絞去滓、内附子汁。分温再服。
本以下之、故心下痞、與瀉心湯。痞不觧。其人渇而口燥、小便不利者、五苓散主之。十九。一方云、忍之一日乃愈。(用前第七證方)
傷寒汗出觧之後、胃中不和、心下痞鞕、乾噫食臭。脅下有水氣、腹中雷鳴下利者、生薑瀉心湯主之。方二十。
生薑(四兩、切) 甘草(三兩、炙) 人參(三兩) 乾薑(一兩) 黄芩(三兩) 半夏(半升、洗) 黄連(一兩) 大棗(十二枚、擘)
右八味、以水一斗、煑取六升、去滓、再煎取三升。温服一升、日三服。附子瀉心湯、本云、加附子。半夏瀉心湯、甘草瀉心湯、同體別名耳。生薑瀉心湯、本云、理中人參黄芩湯、去桂枝朮、加黄連。并瀉肝法。
傷寒中風、醫反下之、其人下利日數十行。穀不化、腹中雷鳴、心下痞鞕而滿、乾嘔心煩不得安。醫見心下痞、謂病不盡、復下之、其痞益甚。此非結熱。但以胃中虚、客氣上逆、故使鞕也。甘草瀉心湯主之。方二十一。
甘草(四兩、炙) 黄芩(三兩) 乾薑(三兩) 半夏(半升、洗) 大棗(十二枚、擘) 黄連(一兩)
右六味、以水一斗、煑取六升、去滓、再煎取三升。温服一升、日三服。
(臣億等、謹按上生薑瀉心湯法、本云、理中人參黄芩湯。今詳瀉心以療痞、痞氣因發陰而生、是半夏生薑甘草瀉心三方、皆本於理中也、其方必各有人參、今甘草瀉心中無者、脫落之也。又按千金并外臺秘要、治傷寒䘌食、用此方、皆有人參。知脫落無疑。)
傷寒服湯藥、下利不止、心下痞鞕、服瀉心湯已、復以他藥下之、利不止。醫以理中與之、利益甚。理中者、理中焦、此利在下焦。赤石脂禹餘粮湯主之。復不止者、當利其小便。
赤石脂禹餘粮湯方二十二。
赤石脂(一斤、碎) 太一禹餘粮(一斤、碎)
右二味、以水六升、煑取二升、去滓、分温三服。
傷寒吐下後、發汗、虚煩、脉甚微、八九日、心下痞鞕、脅下痛、氣上衝咽喉、眩冒、経脉動惕者、久而成痿。
傷寒發汗、若吐若下、觧後心下痞鞕、噫氣不除者、旋復代赭湯主之。方二十三。
旋復花(三兩) 人參(二兩) 生薑(五兩) 代赭(一兩) 甘草(三兩炙) 半夏(半升洗) 大棗(十二枚擘)
右七味、以水一斗、煑取六升、去滓、再煎取三升。温服一升、日三服。
下後不可更行桂枝湯、若汗出而喘、無大熱者、可與麻黄杏子甘草石膏湯。方二十四。
麻黄(四兩) 杏仁(五十箇去皮尖) 甘草(二兩炙) 石膏(半斤碎綿裹)
右四味、以水七升、先煑麻黄、減二升、去白沫、内諸藥、煑取三升、去滓、温服一升。本云、黄耳杯。
太陽病、外證未除、而數下之。遂協熱而利、利下不止、心下痞鞕、表裏不觧者、桂枝人參湯主之。方二十五。
桂枝(四兩別切) 甘草(四兩炙) 白朮(三兩) 人參(三兩) 乾薑(三兩)
右五味、以水九升、先煑四味、取五升、内桂、更煑取三升、去滓、温服一升、日再夜一服。
傷寒、大下後、復發汗、心下痞、惡寒者、表未觧也。不可攻痞、當先觧表。表觧乃可攻痞。觧表宜桂枝湯。攻痞宜大黄黄連瀉心湯。二十六。(瀉心湯用前第十七方)
傷寒發熱、汗出不觧、心中痞鞕、嘔吐而下利者、大柴胡湯主之。二十七。(用前第四方)
病如桂枝證、頭不痛、項不强、寸脉浮、胷中痞鞕、氣上衝喉咽、不得息者、此為胷有寒也。當吐之。宜瓜蔕散。方二十八。
瓜蔕(一分熬黄) 赤小豆(一分)
右二味、各別擣篩、為散已、合治之。取一錢匕、以香鼓一合、用熱湯七合。煑作稀糜、去滓、取汁和散。温頓服之。不吐者、少少加。得快吐、乃止。諸亡血虚家不可與瓜蔕散。
病脅下素有痞、連在臍傍、痛引少腹、入陰筋者、此名藏結。死。二十九。
傷寒若吐若下後、七八日不觧、熱結在裏、表裏俱熱、時時惡風大渇、舌上乾燥而煩、欲飲水數升者、白虎加人參湯主之。方三十。
知母(六兩) 石膏(一斤碎) 甘草(二兩炙) 人參(二兩) 粳米(六合)
右五味、以水一斗、煑米熟、湯成去滓、温服一升、日三服。此方立夏後立秋前、乃可服。立秋後不可服。正月二月三月尚凛冷、亦不可與服之。與之則嘔利而腹痛。諸亡血虚家、亦不可與。得之則腹痛利者、但可温之、當愈。
傷寒無大熱、口燥渇、心煩、背微寒者、白虎加人參湯主之。三十一。(用前方)
傷寒脉浮、發熱無汗、其表不觧、不可與白虎湯。渇欲飲水、無表證者、白虎加人參湯主之。三十二。(用前方)
太陽少陽併病、心下鞕、頸項强而眩者、當刺大椎肺兪肝兪。慎勿下之。三十三
太陽與少陽合病、自下利者、與黄芩湯。若嘔者、黄芩加半夏生薑湯主之。三十四。
黄芩湯方
黄芩(三兩) 芍藥(二兩) 甘草(二兩炙) 大棗(十二枚擘)
右四味、以水一斗、煑取三升、去滓、温服一升、日再夜一服。
黄芩加半夏生薑湯方
黄芩(三兩) 芍藥(二兩) 甘草(二兩炙) 大棗(十二枚擘) 半夏(半升洗) 生薑(一兩半。一方三兩、切)
右六味、以水一斗、煑取三升、去滓、温服一升、日再夜一服。
傷寒胷中有熱、胃中有邪氣、腹中痛、欲嘔吐者、黄連湯主之。方三十五。
黄連(三兩) 甘草(三兩炙) 乾薑(三兩) 桂枝(三兩去皮) 人參(二兩) 半夏(半升洗) 大棗(十二枚擘)
右七味、以水一斗、煑取六升、去滓、温服。晝三夜二。疑非仲景方。
傷寒八九日、風濕相搏、身體疼煩、不能自轉側、不嘔不渇、脉浮虚而濇者、桂枝附子湯主之。若其人大便鞕(一云、臍下心下鞕)、小便自利者、去桂加白朮湯主之。三十六。
桂枝附子湯方
桂枝(四兩、去皮) 附子(三枚、炮、去皮、破) 生薑(三兩切) 大棗(十二枚擘) 甘草(二兩、炙)
右五味、以水六升、煑取二升、去滓、分温三服。
去桂加朮湯方
附子(三枚、炮、去皮、破) 白朮(四兩) 生薑(三兩切) 甘草(二兩炙) 大棗(十二枚擘)
右五味、以水六升、煑取二升、去滓、分温三服。初一服、其人身如痺、半日許復服之。三服都盡、其人如冒状、勿怪。此以附子朮、併走皮内、遂水氣未得除、故使之耳。法當加桂四兩、此本一方二法。以大便鞕、小便自利、去桂也。以大便不鞕、小便不利、當加桂。附子三枚、恐多也。虚弱家及産婦減服之。
風濕相搏、骨節疼煩、掣痛不得屈伸、近之則痛劇。汗出短氣、小便不利、惡風、不欲去衣、或身微腫者、甘草附子湯主之。方三十七。
甘草(二兩、炙) 附子(二枚、炮、去皮、破) 白朮(二兩) 桂枝(四兩、去皮)
右四味、以水六升、煑取三升、去滓、温服一升、日三服。初服微汗則觧、能食汗止復煩者、将服五合。恐一升多者、宜服六七合為始。
傷寒脉浮滑、此以表有熱裏有寒、白虎湯主之。方三十八。
知母(六兩) 石膏(一斤碎) 甘草(二兩炙) 粳米(六合)
右四味、以水一斗、煑米熟、湯成去滓、温服一升、日三服。
(臣億等、謹按前篇云、熱結在裏、表裏俱熱者、白虎湯主之。又云、其表不觧。不可與白虎湯。此云脉浮滑、表有熱裏有寒者、必表裏字差矣。又陽明一證云、脉浮遲、表熱裏寒四逆湯主之。又少陰一證云、裏寒外熱。通脉四逆湯主之。以此表裏自差明矣。千金翼云、白通湯非也。
傷寒脉結代、心動悸、炙甘草湯主之。方三十九。
甘草(四兩炙) 生薑(三兩切) 人參(二兩) 生地黄(一斤) 桂枝(三兩去皮) 阿膠(二兩) 麥門冬(半升去心) 麻仁(半升) 大棗(二十枚擘)
右九味、以清酒七升、水八升、先煑八味、取三升、去滓、内膠烊消盡、温服一升、日三服。一名復脉湯。
脉按之、来緩時一止復来者、名曰結。又脉来動而中止。更来小數、中有還者反動、名曰結。陰也。脉来動而中止、不能自還、因而復動者、名曰代。陰也。得此脉者、必難治。

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