葉天士の『幼科要略』その12 看三関法について

これまでのあらすじ

葉天士といえば舌診がよく知られています。しかし今回のテーマは小児科の診察法、虎口三関の法が紹介されています。
虎口三関とは小児の人差し指の脈を診る法です。
「脈を診る」といっても厳密には脈診ではなく脈紋を視る法です。つまり望診に属すると言っても良いのではないかとも思える法です。
小児の診法は望診が多いです。その理由はっやはり東医的な根拠に基づいています。もちろんこの虎口三関脈診もその一つ。
では葉天士が示す虎口三関脈診についてみてみましょう。

写真は『鍼灸抜萃大成』(岡本一抱 著)より引用(手持ちの資料で一番絵が良かったから…)

書き下し文・看三関法

滑氏云う、小児の三歳以内では、男は左、女は右の手の虎口三節を看る。三関と曰う。
脈紋の色の紫は熱、紅は傷寒、青は驚風、白は疳病、黄色淡紅が乃ち平常にして小恙なり。
其の筋紋宜しく藏すべし、暴露するは宜しからず。
若し黒色が見わるるは、則ち危険と為す。
再(度論ずる)に、脉紋の見わるに下截の風関は軽と為し、中截の氣関は重と為し、上截の命関は尤も重しと為す。三関を直透するは大危と為す。

小児脈診の基本

虎口三関は脈紋を視る診法です。
その部位は三関と呼ばれ、人差し指の三節(基節 中節 末節)に浮かぶ脈紋、すなわち血管の色やその表れる様を診ます。

最もポピュラーな診法は本論に書かれている通り「脈紋の色」と「脈紋が三関のどの関(節)に現れているのか?」の二法です。
他にも脈紋の形などを細かく見て判断する方も伝えられていますが、私はその脈紋法は用いていません。

脈紋の色や風氣命の三関での判断は、それなりに診断の情報は得られると思っています。
また、脈紋の診察にも小児科医書によっては微妙な表現で細かな技術を伝えているように思います。

本書では「三関を直透する」という表現がそれに当たるのではないでしょうか。(このような診断指針を提示している書に清代の『幼幼集成』があります)

脈紋が三関直透するケースと…風関のみ、氣関のみ、命関のみに脈紋が現れるケースを区別して診断するよう示唆しています。
実際に乳児幼児の脈紋を診ると、そのような脈紋所見もやはり時折見かけることがあります。

本文ボリュームからみて、詳細な情報は明らかに秘匿している様子ですが、このようなちょっとした細かな脈紋の差でもって診断することを虎口三関脈診では伝えられています。

鍼道五経会 足立繁久

■原文・看三関法

滑氏云、小兒三歳已内、看男左女右手虎口三節、曰三関。紋色紫熱、紅傷寒、青驚風、白疳病、黄色淡紅乃平常小恙。其筋紋宜藏、不宜暴露。若見黒色、則為危険。
再脉紋見下截風関為軽、中截氣関為重、上截命関為尤重耳、直透三関為大危。

おすすめ記事

  • Pocket
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントを残す




Menu

HOME

TOP