絡概念と奇経
【奇経を学ぶシリーズ】の難経編がスタートした。
前回二十三難に続き、今回は『難経』二十六難。
二十六難に登場する奇経は陰蹻脈・陽蹻脈である。
しかも、その絡脈であるという。
蹻脈は奇経の中でも特殊な存在であることは、『十四経発揮』にも二十三難にも記されている通りである。
しかし、この蹻脈の絡とは一体何者?と思うのが、本難の記述である。
※『難経本義』京都大学付属図書館より引用させていただきました。
※以下に書き下し文、次いで足立のコメントと原文を紹介。
難経二十六難の書き下し文
二十六難に曰く、経に十二有り、絡に十五有り。
餘(余)の三絡なる者は、これ何等の絡也?
然り。
陽絡有り、陰絡有り、脾の大絡有り。
陽絡なる者は、陽蹻の絡也。
陰絡なる者は、陰蹻の絡也。
故に絡に十五有り。
絡とは?
「経脈にはそれぞれの絡脈が一つある」とは揚玄操の註にある言葉である。
この釈文を採用するならば、十二経にはそれぞれ十二の絡がある。
それなのに、十五絡とあるのはナゼ?という問いから二十六難は始まる。
その余り3つの絡が陽蹻の絡、陰蹻の絡、脾の大絡なのだ。
脾の大絡はすでに知っている人も多いだろう。
では陽蹻と陰蹻の絡とは何か?
個人的には、絡といえば陽維と陰維の方がよほど巨大な絡としての特性や機能を有しているのではないかと思うのだが、
ここで敢えて、陽蹻・陰蹻を挙げていることに意味があるのだ。
鍼道五経会 足立繁久
二十六難 原文
■原文
二十六難曰、経有十二、絡有十五。餘三絡者、是何等絡也?
然。
有陽絡、有陰絡、有脾之大絡。
陽絡者、陽蹻之絡也。
陰絡者、陰蹻之絡也。
故絡有十五焉。