難経五十二難の書き下し文と原文と…

難経 五十二難のみどころ

前の五十一難では寒温を切り口に病を陰陽に分類する内容でした。臓病と腑病の違いを陰陽・寒熱・虚実によって整理していました。
本五十二難はその流れを受けて、臓病と腑病の違いを改めて確認し直す内容で、特に病の根本に焦点を当てています。
では本文を読んでいきましょう。


※『難経或問』京都大学付属図書館より引用させていただきました。
※以下に書き下し文、次いで足立のコメントと原文を紹介。
※現代文に訳さないのは経文の本意を損なう可能性があるためです。口語訳は各自の世界観でお願いします。

難経 五十二難の書き下し文

書き下し文・難経五十二難

五十二難に曰く、腑臓の病を発する、(その)根本は等しきや、等しからずや?

然り。
等しからざる也。

何ぞ?

然り。
臓病は止まりて移らず。其の病、其の処を離れず。
腑病は彷彿として賁嚮す、上下行流し、居る処常無し。
故に此れを以て臓腑(の病)の根本の同じからざるを知る也。

臓腑病の根本は同じか否か?

臓腑の病のその根本は同じか?否か?という問いから始まります。

もちろん答えはノーです。
臓病と腑病の根本は同じではありません。

前の五十一難と同じく陰陽の観点から臓病と腑病の特徴を挙げていますが、本難では“動き”に焦点を当てているようです。

「臓病は止まりて移らず」
この言葉は積聚病における積を示唆しているようでもあり、また前難の「欲閉戸獨處、悪聞人聲」の病症でもあります。

対する腑病には動きがあります。本難における「上下行流」「居處無常」という言葉はまさにこの特徴を表わします。
前述の積聚における聚を連想します。
難経五十五難では積聚について記されており、積聚の特徴を以下のように明確に表現しています。
「積者陰氣也、…故陰沈而伏、…其始発有常處、其痛不離」
「聚者陽氣也…陽浮而動、其始発無根本上下無所留止。其痛無常處。」

もちろん臓病腑病のすべてが積聚ではありませんが、病態・病状・病本を陰陽で整理すると、五十一難、五十二難。五十五難のように一定の傾向がみられるということなのでしょう。

鍼道五経会 足立繁久

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原文 難経 五十二難

■原文 難経 五十二難

五十二難曰、府藏発病、根本等不。

然。
不等也。

何。

然。
藏病者止而不移、其病不離其處。
府病者彷彿賁嚮、上下行流、居處無常。
故以此知藏府根本不同也。

 

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