外部講座レポート【Japanese Acupuncture abroad-study tour 2023 in 京都】

先日(2023.04.01~02)の二日間、京都にて行われた【Japanese Acupuncture study-abroad tour 2023】の講師を務めてきました。
Japanese Acupuncture study-abroad tour 2023、略してJAT2023は、サンフランシスコで活躍する前田篤希先生が主宰される日本鍼灸を伝えるツアーのこと。

ここ数年、コロナ禍のせいでJATは休止していましたが、2023年から再開。
今年度は2日間を担当し、【小児科医学と小児はり】【脈診と腹診の二診合参】の2講義を担当しました。
講座は09:00~17:00の朝から夕方まで、みっちりと座学実技の一日でした。

小児はりを通じて日本鍼灸を伝える

初日は小児科医学と小児はりを担当しました。

小児科医学としては、純陽・木旺・変蒸・胎毒・胃実といった「小児科5大特性」 +αβ を加えて小児科特有の体質を紹介。
この話は当会講座【生老病死を学ぶ】(小児科編)で伝えた内容です。

以上の小児科の体質・特性にマッチさせるように工夫・進化してきたのが小児はりだとも言えます。(以下の写真を参照)

 
左写真:小児はりのいろいろ(前田豊吉商店)、右写真:鑱鍼系のはり

そして治療技術編では鑱鍼を担当。調気鍼を鑱鍼として使う方法をレクチャーしました。

普段、私は小児はり治療は温灸・打鍼・鑱鍼(調気鍼)の3つを組み合わせて子どもへの治療を行っていますが、この講座では鑱鍼(調気鍼)を担当しました。ちなみに普段は以下の3種の調気鍼を使い分けています。


写真:調気鍼のいろいろ(左:銀製・青木実意商店、中央:銅製、右:真鍮製 ともにイトウメディカル)

内容としては前述の「小児科5大特性」を知ること、そしてその5大特性を理解しつつ、診断と治療に組み込むことを力を入れて伝えました。手前味噌ですが、このレベルの小児はりの授業って他にないのでは?しかもこの内容を一日で…と、自負しております。

脈診と腹診の二診合参

二日目は脈診と腹診のじかんです。

脈診は「気口九道脈診」、腹診は「夢分流腹診」をテーマに、それらの基本を紹介しました。
脈腹二診合参は当会の診断治療の根幹とも言えます。この脈診と腹診の根本的な診法の特性を伝えました。

また基本だけでなく、原穴治療の意味については易水派鍼法における原気・原穴の見解も含めて紹介。皆さん、なかなか濃い話にもついて来てくれるようでした。

もちろん脈診や腹診の技術、それを活かすための鍼法も伝えましたが、やはり形やマニュアルでは分からない、伝わらないことがある…ということもよく分かりました。それを伝えるために「秘結(secret)」と称して皆さんに伝えた言葉は、我ながら重要な要訣そのものだな…と振り返って思います。


写真:講座終了後、皆で記念撮影

二日ともに共通していたことは、知識・技術を通じて日本鍼灸の根底にある“感性”や“精神”について伝えていたこと。このことは私なりに一生懸命でありましたし、前田先生も情熱を傾けていました。
『どう伝えれば、どんな姿勢を示せば、日本鍼灸の精神が伝わる?』をテーマに土曜日の夜は02時まで熱い作戦会議をしたことは忘れられない良い思い出です。


写真:講義後に前田先生と足立とでツーショット(2023.04.02)

 

二日間にわたって素晴らしい通訳をしてくださった前田先生、講座を陰で支えてくださったMahtab先生、そして最後まで講義に参加してくれた皆さんに感謝いたします。

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