二診合参の講義ふたたび
二診合参は石川県での伝統鍼灸学会でも実技発表しましたが、その時の反省も踏まえて内容をさらに改良しています。
講義の出だしお互いに緊張気味でありましたので、当会名物(?)の五味脈診を実験。
辛味、酸味、甘味の順に味見、脈の変化を体感してもらいました。
五味によって脈で変化することを確認することは前回記事の胃の気の脈診にも通じることですが(こちらを参照のこと)味の種類によって変化する脈のパターンは違ってきます。
当然ですね。
ではなぜこのような脈の変化が起きるのか?
辛→酸→甘の順で脈を変える意味
…などを説明しました。
そしてその理由を深く考えると、五味脈診でしている実験プロセスと分析は、
臨床現場で行う鍼灸治療となんら変わらないということも説明させていただきました。
3時間という時間枠をいただきましたので、しっかりと脈診基礎、腹診基礎を紹介。
内容としては…
1、五行医学の長短と五行医学以外の医学観
2、複数の医学観を鍼灸治療に取り込む
3、脈診基礎、腹診基礎を紹介
4、お互いに脈を取り合う基礎実技
5、実際に鍼をして脈が変わることの確認
6、鍼灸治療の組み立て方
腹診の接触深度の説明
触る深さで得られる情報が異なる。しかし、見様によって浅い接触で深層の情報も得られる。
以上の基礎的な講義に加え…
脈診・腹診で得る情報分析の具体例
刺鍼の数秒後に起こる脈の変化
三機の脈診の意味
なども紹介しましたので、けっこう濃い内容になっています。
写真は刺鍼によって脈が変わる瞬間を確認してもらいました。一穴ずつの刺鍼で左右の脈がともに変化する瞬間、脈力が満ちていく過程を指先で確認してもらいました。
その分、内容的にはかなり走った結果にはなりましたが、
全員が経験豊富な臨床家でありますので、今後も紹介した知識と技術を取り込み深めていただけるかと思います。
そして最後に長野先生の挨拶
最後はNPO全国鍼灸マッサージ協会理事の長野匡孝先生に挨拶の言葉をいただきました。
長野先生の「鍼灸師が子どもたちが憧れる職業にしたい」という静かな口調で語られる熱いメッセージが印象的でありました。
最後に今回のオファーをくれました長野匡孝先生、運営・準備に携わってくれました橋詰功先生、関係者各位の先生方に感謝いたします。
鍼道五経会 足立 繁久